数日後、理樹たちは放課後、恭介に言われていつも野球部の部室ではなく、空き教室に集まっていた。
理樹は、その教室中に入るなり微妙な顔浮かべていた。
「どうしたんだ? リキ、微妙な顔をして?」
「いや、なんでもないよ。鈴」
理樹のその表情に対して気が付いた鈴の問いに対して、表情を元に戻して答える。
(まさか、ここに来て、ピラミッドを作るとかそういうわけじゃないよね)
かつて、幾度となく1学期を繰り返した世界で、彼は自虐癖ある自称スパイの少女と一緒にピラミッドを作り地下迷宮へ挑んだ。
もっとも、あの世界での出来事は全て覚えているわけではなくどことなく穴抜けになっている。
特にその少女に関しては、顔も名前もおぼろげで、記憶にもやが、かかったように思い出せない。
ただ、わかっていることは、リトルバスターズのメンバーではないことと、どことなく懐かしい雰囲気を感じさせたことくらいだ。
とは言え、それを自分の彼女に言うほど、彼は無粋ではない。
「にしても恭介もだけどよ。三枝の奴もこねぇな」
真人は適当な机に座りながら、自分のデッキように用意しカードを眺めながら、そうつぶやいた。
恭介だけではなくはなくて、葉留佳もこの教室に来ていない。
「来ヶ谷は何かしらないか?」
「さあな? 葉留佳君は別クラスだしな。クラスでなにかあったのかもしれないな」
健吾の質問に対して、普段から彼女と一緒にいることが多く姉御と慕われている来ヶ谷も首をかしげる。
2年生が中心となっている新生リトルバスターズの中で、葉留佳は唯一、理樹たちとは違うクラスとなっている。
そのため、上級生である恭介と同様に教室が違い、多少なりとも時間のずれがある。
「皆、みんな待たせたな!」
そんな中、居室のドアが開き、3人の人影が教室に入ってくる。
そのうちの2人は中々、姿を見せない恭介と葉留佳である。
最後の1人は、葉留佳に似ているが目の色や髪型が異なり、何より制服をきっちり着ており、腕には赤い腕章を付けている。
「ふぇ、かなちゃん?」
「珍しいですね」
予想外の来客に対して、小毬を上げて美魚は、ぼそりと驚きを上げる。
二人だけではなく、他の面々も予想外の人物に驚き目を丸くしていた。
二木佳奈多、家庭の事情で葉留佳とは、別の名字を名乗っているが、葉留佳の双子の姉、学校の風紀委員長、リトルバスターズとは元来天敵のような立ち位置にいる。
そんな彼女が、葉留佳ともかく恭介と一緒に登場したのだから、驚きである。
「なんでも、VF甲子園なるものがあるらしいから、部活にしてみた。ちなみに二木には、その手伝いをしてもらった」
「はぁ、別に手伝いたくて、手伝だったわけじゃないないんだけど」
恭介がそう宣言する中、佳奈多はどことなく疲れた感じでいる。
おそらく、VF甲子園の存在を知った恭介に巻き込まれたのだろう。風紀委員長である彼女は教師たちにも顔も効き、ある程度の融通が利く。
だから、そんな彼女に協力を仰いだのだろう。
「ごめんね。お姉ちゃん迷惑だった?」
「そんなことないわよ。全然、迷惑なんてことはなかったわ」
葉留佳に対して、佳奈多の表情は一変してにこやかで、柔らかいものになる。
彼女にとって、妹である葉留佳は、何よりも、自分の人生よりも大切な存在である。
だから、佳奈多の説得に葉留佳に協力を仰いだのだろう。
「そして、部長は理樹、お前だ!」
「えっ、えーーーーーー!?」
唐突の指名に対して、理樹は目を丸くする。
現状、リトルバスターズの2代目リーダーであり、3年生である恭介が部長を務める訳には、いかないので妥当な点ではある。
むしろ、理樹以外のメンバーは驚くことなく部長就任に対して、今にもおめでとうと言わんばかりに、祝福ムードである。
「ちなみに、3日後に交流試合を櫂たちの学校と練習試合をセッティングした」
「わふー!?」
これに関しては、皆、驚きのあまりの全員、絶句してしまう。
その後、ヴァンガードのカードパックを買っている二木佳奈多を見たとか、見なかったとか生徒達との間で噂になった。
3日後
「うんで、櫂、今日練習試合をする棗恭介ってなにものなんだよ?」
「一言でいえば、変人だ」
後江高校の体育館で理樹たちが来るまで、待ち時間の間に三和からの問いに櫂は、一言で答える。
「変人って、もう少し言いようがあるだろが!」
「進学校に入学しながら、就職活動をしているのだから、変人だろ」
あまりにもざっくりした答えに対して、森川が詳しい説明を求めるが、ばっさりと答える。
確かにそれじゃ、何のために進学校に進学したのか謎である。
「でも、櫂が練習試合に快く応じて取り仕切るのは、珍しいな」
「そうか?」
伊崎の率直な感想に対して、櫂は首を傾げる。
基本的に櫂トシキという少年に対しての彼らの印象は「強い奴としかファイトしない」といった感じである。
なので、つい最近、ヴァンガードを始めたばかりの集団が多い学校の部活の練習試合を受けたのは意外である。
「おっ、そうこうしている間に向こうさん、到着したみたいだぜ」
三和は自分たちが、話している間に理樹たちがたどり着いたのに気が付いたのに気が付き、出入り口を指さす。
櫂を除き、三和たちは、自分たちと比べてリトルバスターズに女性陣に対して、目を丸くして目を丸くし、羨ましそうな視線を送る。
自分たちの部は全員、男子のみ、それに対しては女生徒が7人。しかも全員がきれいどころなのだから。
「今日は恭介の要望に答えてくれてありがとうございます。櫂さん」
「なに、気にするな。こっちもこっちで対戦相手がいなくて困っていたところだ」
部長として理樹がお礼を言うと櫂もいつも通りの無表情に答える。
ようするに櫂が恭介の申し出受けのは、練習相手となる学校がいなかったからである。
櫂のような世界レベルファイターがいるとなると、他の学校は、一部を除きしりごみをしてまい練習試合に応じない。
だから、今回の恭介の申し出は彼としてもある意味、ありがたいものである。
「部長同士のあいさつも済んだし、それじゃ、簡単な自己紹介からはじめますか。俺は副部長の三和タイシな。よろしくな」
部長同士の挨拶が終わったところで、三和が理樹たちに簡単に自己紹介をする。
「俺は、森川カツミだ。グレード3最強!!」
「おっ、俺は伊崎ユウタ。よっ、よろしく」
森川はテイション高く、伊崎は女性人多さに少しばかり緊張した感じで簡単に自己紹介をする。
「櫂トシキだ。部長をしている」
そんな中、櫂は相変わらず、無表情でばっさりと簡単な自己紹介をする。
「直枝理樹です。部長をしています。本日は僕たちのために時間をさいてくれてありがとうございます」
理樹は丁寧に櫂たちにあいさつをする。それを見て、三和は櫂に「お前も少しは見習えよ」という。
部長としての愛想のよさでは櫂より理樹の方が良い。
「棗恭介だ。このなかで唯一の3年だが、気を使わずに接してくれ」
恭介は、いつも通りの少年らしい笑顔で名乗る。
「棗鈴だ。そこのバカの不本意ながら、妹だ」
「ちなみに、理樹の彼女な」
恭介を指さしながら、自己紹介をするに鈴対して、恭介は速攻でそう付け加える。その瞬間、理樹も鈴も顔を真っ赤にする。
それを聞いて、三和は「うぇ、まじで!?」と驚きの声を上げる。
特に恭介的には何の悪意もなく単に事実を付け加えただけなのだが、当人たち的には、やはり恥ずかしいものである。
「なんか、空気的に自己紹介しに空気になってしまったが、宮沢健吾だ。剣道部との掛け持ちだ」
タイミング的に自己紹介がしにくい空気に少しなったしまった中、健吾がいつまのある種奇抜な格好で凛と表情で自己紹介をする。
それも見て「どんな和洋折衷だよ」と伊崎がコメントをする。
「井ノ原真人だ。筋肉イエイ、イエイ!」
そんな中でも真人は相変わらずの筋肉推しであいさつをする。
ある意味、今回は空気を入れ替えると働きをしている。
「神北小毬です。この中では、ヴァンガード経験者の1人です。よろしくお願いします」
小毬はほんわかした柔らかい雰囲気自己紹介をする。
三和は「神北小毬って、確か昔、どこかのジュニア大会優勝したファイターが、そんな名前じゃなかったけ?」とコメントをする。
「わふー、能美クドリャフカなのです。今日は、よろしくお願いますなのです。」
「三枝葉留佳。ヴァンガードは日が浅いけど、今日は楽しくファイトだきたらいいですヨ」
「西園美魚です。よろしくお願いします」
クドと葉留佳はテイションを高く、美魚は静かに自己紹介をす。
「わたしでトリか。来ヶ谷 唯湖だ。下の名前で呼ぶのだけは勘弁しくれ」
来ヶ谷が取りして、いつもと変わらない落ち着いた感じであいさつをする。
それのことを聞いて三和が小さな声で「かわいいのもった……」呟こうとしたが、来ヶ谷の眼光で黙ってしまう。
一通り簡単ではあるが、参加者の全員の簡単な自己紹介が完了する。
「じゃ、ファイトに移りますか。最初は……」
「俺様だ」
「僕たちからは……」
「俺が行かしてもらうぜ」
後江高校からは森川が、リトルバスターズからは、真人がモーションフィギュアシステムの前に立つ。
「初心者だからとって言って俺様は容赦しないぜ」
「おう、望むところだ」
不敵な笑みを浮かべる森からにして、真人は気合で満ちた声で答える。
「「スタンドアップ・ヴァンガード」
「獣神 ナイトジャッカル」
「レッドパルス・ドラコキッド」
二人とも掛け声ともにファーストヴァンガードを表にする。
「俺様の先攻! 魔竜聖母 ジョカにライド! ドラッゴキッドは後ろに!」
森川はジョカにライドをし、ドラッゴキッドをその後ろへと移動させる。
「次は俺だ! 獣神 ヘルアーティ・デストロイヤーにライド! ナイトジャッカルは後ろに!」
ヘルアーティに真人はライドを行い、その後ろにナイトジャッカルを移動させる。
「ブーストして、ヘルアーティでアタックだ!」
「ノーガードだ」
真人の最初の攻撃に対して、森川はノーガードを宣言する。
「ドライブ・トリガーチェック! ちっ、トリガーなかよ」
「ダメージチャック! トリガーなしただ」
お互いにトリガーは出ずに真人の攻撃が森川にヒットし、1ダメージを与える。
「次は、俺様のスタンド&ドロー! ブーストして、ジュカでアタック!」
「ノーガードだ!」
森川はライドを行わずに真人へと攻撃を行う。
その光景を見て、後江高校は何となくではあるが様子が付いた。完全にライド事故をひ越している。
特に彼のデッキは櫂が一度構築したデッキをもとに使用しているが、グレード3バカとも呼ばれる彼の性格上、あっという間にデッキ中身を大量のグレード3にしていまったのだろう。
「ドライブ・トリガーチェック! スタンドトリガー!? 意味ねぇ」
「ダメージチャック! トリガーなしだ」
リアガードを起き上がらせるスタンドトリガーを手にしたが、ここでは意味がない。
起きあがらせる肝心なリアガードがいちまいもいないのだから。
そんな感じで、真人が順当にグレートにライドを重ねてくのに対して、森川はずっとグレート1のまま、ファイトが進んでいく。
そして、真人ダメージ3に対して、森川あっと言う間にダージ5になっている。
「ヤマタノドレイクでアタック」
「ノーガードだ」
手札にカードに使えないか再びノーガードを宣言する。
「ドライブ・トリガーチェック! ゲット・ドロートリガー」
「ダメージチャック! トリガーなしただ」
お互いにトリガーを確認すると真人はトリガーをゲットしたが、森川はトリガーなし、よってダメージという形で森川の負けになる。
「きょっ、今日は血液型占いが良くなかったからだ。そうじゃなかったら、最強の俺様が負けるかわけがねぇ」
森川は負けてたことに対して、そう言い訳するが、それを聞いて櫂たち日杖高校の面々は苦笑いを浮かべる。