第八話
グランディア家のリビングの入り口、そこに黒い渦巻く球体が現れ……霧散し消え去ると中からゼブルが出現する
「戻って来た…………か、わぷっ」
武装を解除し、暗い表情で自分の家に戻って来たのを認識した直後…………微妙に泣いてるアリシアに飛び付かれ抱き付かれる
その時ツインテールの片割れが顔に直撃し変な声が出たのは気にする事ではない
「良かった…………帰ってきたよぉ………」
抱き付きながら泣きじゃくるアリシア
そんなアリシアの頭に右手を乗せ撫でながら笑顔で告げる
「心配かけたみたいで……ゴメンね、あと……ただいま、アリシア」
「うん、お帰り……ゼブル」
涙を拭きながら笑ってそう返すアリシア
〈此処が何処なのかは気になりますが…………そんな些細な事よりも重要な事は、
小さくて可愛い小さくて可愛い小さくて可愛い小さくて可愛い小さくて可愛い小さくて可愛い、貴方……なんでそんなに小さく、そして可愛くプリティーな姿に成ってるんですか?、そしてその子も凄く可愛いです♪、私に体が有れば二人共抱き抱えてぎゅって抱き締めて頭を撫で廻して可愛がりたいぐらいに可愛すぎますよ♪、勧誘を受けて本当に良かったーーーー!!〉
アリシアに飛び付かれた時に落とした名無しのデバイスがやたらと興奮した感じで騒ぎ出した
それを呆れながら見るゼブルと困惑しながら見るアリシア
「なに…………コレ?」
「一応…………戦利品のデバイス」
可愛らしく首を傾げながら尋ねるアリシアに力無く教えるゼブル
ちなみにアリシアはまだゼブルに抱き付いた侭だ
「戦利品?」
「今さっき迄跳んでた先で戦ってた奴から奪った使われず……名前すら付けられてなかった不憫なデバイス、この世界は魔法が無いから使って戦う機会何て無いだろうけど…………アリシアが魔法を使う気が有るならミッド式じゃなくてベルカ式だけど教えれるから、どうかなって思って勧誘した……こんな性格だとは知らなかったけど……」
アリシアの疑問に答え持っていた理由を告げるゼブル
右手で頭を撫でながら何気にさりげなく左手でアリシアを抱き締め返していたりする
〈いや~~そんなに抱き締め合っちゃって……ラブラブですね~♪〉
そんな二人をからかう名無しのデバイス
「「えっ…………」」
ゼブルとアリシアの二人はその言葉に反応し互いを見つめ合い
真っ赤になって固まった
数十秒後ようやくゼブルが再起動する
「あ……あれ?、俺っていつアリシアを抱き締めてたんだ?」
どうやら抱き締め返して居たのは完全に無意識だったようだ
完全に慌てている
アリシアを左手で抱き締めた侭だが
「アリシア…………ちょっと離れて」
「…………………やだ」
アリシアはゼブルの言葉に対し暫し考えた後その言葉を拒絶した
「え~~~と、どうしても?」
「四時間も何処かもわからない世界に跳んでいて凄く心配したんだからね…………おじ様は仕事に行かない訳にはいかないって出てて、おば様は今は買い物に行ってるから、一人で寂しく心配しながら待ってたんだから」
尋ねたゼブルに涙声でそう返すアリシア
「せめて服を着替えさせて、体が十歳近く戻っててサイズが全然合ってないから……その後でなら……その……」
最後の方は恥ずかしそうしながらそこまで言って
「俺に抱き付いてても良いし……俺が抱き締めても良い、俺に抱き付くか抱き付かれるか好きな方を選んで良いから!」
顔を完全に真っ赤にして半ば暴走しながら言いきるゼブル
「えっ…………………うん」
驚き…………同じ様に真っ赤になりながら返事をして離れるアリシア
そして自室に着替えにいくゼブル
〈初々しいですね~♪〉
そんな二人を見ながら楽しげにしている名無しのデバイス
「ただいまー、アリシアちゃん、ゼブル帰ってきたかしら?」
色々な意味で空気を読まずに母親であるヘルが買い物から帰宅する
そして着替えて戻って来たゼブルは母親が帰って来ている事に暫く硬直した後
ヘルが11時半頃と言う微妙に早めの昼食を作っている間、有言実行!と顔を真っ赤にしながらアリシアに後ろから抱き付いていた
そして呟く
「………………………恥ずかしいけど、なんか落ち着く……抱き心地が凄く良い」
「そっ…………そうかな、私も恥ずかしいけど………………嫌じゃない……かも」
アリシアも顔を真っ赤にしながら抱き付かれている………が、なんだか嬉しそうだ
リビングでソファーに座りながらそんな事をしている二人をキッチンから一人と一基が微笑ましいものを見るように見ていた
〈ラブラブですね~あの二人、凄く……可愛いですね~♪〉
「ゼブルは少し落ち込んでる様子だったけど、アリシアちゃんに任せておけば大丈夫そうね、それにしても二人共可愛いわね~♪」
〈可愛いは正義!!……ですよ、ヘルさん♪〉
何やらほんの少しの間にすっかり意気投合しているようだ
なお……グランディア家は居間・食堂・台所に仕切りを置かない間取りのリビングダイニングキッチンである
そして昼食時
「それでゼブル、今回はどんな世界に跳んでたのかしら?」
そう尋ねるヘルに対してゼブルは
「詳しくは食事中に言う事じゃないから簡単に言うけど…………日本で言うと戦国時代的な時代、それで察して………………それにしても、贅沢に調味料や糖分を使えるなんて…………夢の様な時代だなぁ……美味しすぎる」
号泣と言っても良いくらいに涙を流しながら返答するゼブル
「って、戻って来てから……体に引きずられてか涙腺が脆いし、感情が表に出やすいな………少し困った」
顔を赤くしながらそう呟く
「戦国時代ね……なるほど、確かに食事時にする話題じゃないわね」
真面目な…………それでいて少し悲痛な表情で納得するヘル
空気が重くなったのを感じ少し不安がるアリシア
そして昼食終了後
「グロい部分もあるけど…………映像見る?、アリシアは見ない方が良い気がするけど……所々スプラッタだから」
アリシアの事を気にしながら一応聞くゼブル
「私は見るわよ……って、映像有るの?」
見ると即答しながらも映像が有る事に驚くヘル
「私も……見る、グロいのやスプラッタはちょっと怖いけど」
アリシアもちょっと怖いと言いつつも見ると宣言した
そんな二人の反応に少し困ったような嬉しいような複雑な表情を浮かべるゼブル
「了解……ブレイブルー、魔獣を狩り始めた辺りから記録映像を再生してくれ」
そう自分のデバイスに指示を出す
〈承知、映像再生開始〉
空間投影型のディスプレイを展開し映像を再生する青の魔導書・ブレイブルー
なお、映し出された映像の中のゼブルを見た二人の第一声は可愛いだった
映像を見ながらヘルは魔法って凄いのね~と驚いたり、戦闘技術に感心したりしていた
アリシアは驚いたりかっこいいと呟いたり顔を青ざめさせたりと色々な反応をしていた
そして
〈王の財宝により打ち出される数多の武具の一斉掃射が凄いのは分かってましたが、食らう側から見たら絶望的な光景ですね、貴方…………よく勝てましたね~~〉
名無しのデバイスは呆れ果てていた
「戦ってる時にも言ったが……索敵すらしない、慢心の化身だったからな、強力無比な……絶大な力を持った武器を使って戦う我はマジ凄い、なバカだったからな……戦闘者として一流ならあんな使い方はしない」
バカだったから生き残れたと、そう続けた
〈そういえば王の財宝を取り込んでましたけど、使えるんですか?〉
疑問に思った事を訪ねる名無しのデバイス、ヘルとアリシアも興味深そうに見ている
「俺も気になるしな、ブレイブルー……王の財宝を発動」
〈了承、王の財宝発動〉
ゼブルの目の前に空間の揺らぎが発生しゼブルは右手を肘まで揺らぎに入れた
「ん~~~~…………まさか」
暫くかき混ぜる様に中を探っていたが何かに気付き頭を突っ込んだ
数秒後微妙な表情をしながら頭を出した
〈中はどうだったんです?〉
尋ねる名無しのデバイス
「空だった、何もない……地平の彼方まで何も無い巨大な黄金の蔵だった、入れ物だけで中身は奪えなかったみたいだ」
別の意味で凄い光景だったと語るゼブル
〈確かにそれはそれで凄い光景ですね〉
同意する名無しのデバイス
色々な事が有りながらも、その後はのんびりした普通の日常だった
仕事から帰ってきたシナトが映像を見て感心したり唸ったり
ゼブルとアリシアの二人共に抱き付き癖と抱かれ癖が付いたりしたが
ゼブルは落ち着く、アリシアは楽しいのと嬉しいと理由に違いはあるが
「目的の魔力反応を拾いました、家が何処に有るのかも分かりました、この子が魔力波長を記録していたお陰です」
『そう、そちらに向かう為の準備に取り掛かりたいから一度こちらに帰ってきなさい』
「分かりました、しかし……星の半分近くを探索する事になるとは……流石に疲れました」
『それについては詳しく聞いていなかった私の落ち度ね、ごめんなさい』
「そんな事はありませんよ、遣り甲斐は有りましたからね、それでは帰還します」
海鳴市の何処かでそんな会話があった
作中で書いてませんが父親のシナトの仕事は基本的にアリサの父親の護衛をしています
ヘルも小学校に入った辺りからちょっとした不定期の仕事をします、でかい仕事の時は今もコンビとして活動してますが