ゼブルが5歳に成って暫く経ったある日曜の朝、階段の最上段から足を踏み外し一階の床に叩きつけられる寸前に光に包まれ消失した
「ゼブルが……消えた、何で消えたの?」
それを階段から落ちた姿を目撃し助けようにも間に合わないと悟った矢先に、目の前で子供が消えたのを見て母親が呆然としながら呟く
呆然とする妻を発見し事情を聞き頭を抱える夫、警察に連絡しようにもどう説明すれば良いか分からず途方にくれる夫婦の見ている前で階段の前に黒い光が集まり渦巻き始めた
「あの光は……あの子が消えた時と色が違うけど同じ感じの物、もしかして……帰って来た?」
母親が言い終わると同時に光は拡散し中身が露になる、彼女の予想道理ソコには倒れ伏す息子の姿が有った…………見知らぬ金髪少女と共に
とある世界の一角に有る、人里離れた場所の花畑に仲の良い親子が居た
もっとも母親は顔を赤くし慌てていたが
「じゃあ私、誕生日プレゼントに妹が欲しい」
そう愛娘に言われた為である
「あれ?……何か光ってる」
金髪の少女の視線の先には光が集まり渦巻き始めていた
「アレは魔力の塊、いったい何が……アリシアは私の後ろに下がりなさい」
そう言って娘……アリシアの前に出て庇う様に杖を持ち光を見据えていると
光の塊の中から娘と同じ年頃の少年が地面に向かって頭から放り出され…………暫く転がった後にようやく止まる
「痛い~頭が……顔が、って……なぜに外に?、階段から落ちたのに何で外……しかも花畑」
少年は痛そうにしながらも頭を抱えて混乱している
「さっきの光は貴方の魔力光ね?、此処に何をしに来たのかしら?」
杖を持ち油断なく少年を見定める女性
「え~と、何をって言われても、階段から落ちて気づいたら見知らぬ場所に転移してるんですけど……ここ何処ですか?」
「…………階段から落ちて此処に居る、自己防衛による転移能力の暴走かしらね……心当たりは有るかしら?」
少年の言葉を聞き暫し考え自分の考えを口にし訪ねる
「転移能力ですか?…………そういえば去年に暫くの間異世界に移動してたけど、同じ理由かな……あの時は寝てたけど」
女性の言葉を聞き懐かしそうにそう口にする
「単純な転移ではなく次元転移……なら次元漂流者になるのかしら、貴方自分の出身世界の名前が分かるかしら?」
「えっ……出身世界の名前ですか、惑星名が地球だとは分かるけど世界の名前までは流石に知らないです」
首を傾げながら言葉を返す少年
「地球……第97管理外世界の事かしら、世界が分かるなら管理局に言えば送って貰える筈よ、暫く時間は掛かるでしょうけど」
「母様、時間が掛かるならその間家に泊まって貰うのは駄目かな?、友達になれるかもしれないし」
アリシアは母親に笑顔でそう提案する
「アリシアがこう言っているし……管理局の準備が整う迄家に泊まらないかしら?」
「暫くお世話に成ります、アリシアちゃんとえ~と……」
アリシアの方を向き名前を呼び母親の方を向き固まる
「そういえば自己紹介が未だだったわね、私はプレシア・テスタロッサ、この子は娘のアリシアで5歳よ」
アリシアの頭を撫でながら名乗るプレシア
「僕はゼブル・グランディア……5歳です、ところでかあさまって呼ばれてましたけどアリシアちゃんてお嬢様?」
「どうしてそんな事を聞くのかしら?」
「えっと……前に飛ばされた場所に王様や貴族が居て気に入らないって理由で相手をぶっ飛ばすって事を当たり前にやっていたから、ちなみに其処での保護者です」
苦笑いを浮かべながらそう口にする
「アリシアちゃんがやりそうにないのは見ていて分かりますけど、周りの人間が暴走する事なら有りますからね」
「そう言うことね、私は技術者でアリシアはその娘、母様呼びはアリシアが好きでしている事よ」
そう言って微笑みながらアリシアの頭を撫でる、アリシアも嬉しそうに撫でられている
ゼブルがテスタロッサ家に居候し始めて暫く経った日、プレシアに尋ねられた
「ゼブル貴方……年の地球から来たと言ったわね」
深刻そうにそう口にするプレシアに
「ひょっとして時代がずれてます?」
と軽く返した
「その通りよ、今は新暦39年で貴方の言う時代は新暦61年、22年も離れている……説明出来るかしら?」
嘘は許さぬ……雰囲気でそう語るプレシアに
「説明が難しいんですけど、前に世界を跳んだ時に数ヵ月過ごしたけど……再び世界を跳んだ結果……家に帰ったけど、時間は一日も経っていなかった、これって時間も跳んでるって事ですよね」
プレシアはその言葉に驚き呟く
「……時間と世界を越えたって事ね、信じがたいけど」
「僕にしても今回で二回目で殆ど理解してませんよ、自力で跳ぶにも全然制御出来そうに無いですしね」
ため息混じりに言う
「そんな規格外能力を自力や貴方に渡した程度の性能の低いストレージデバイスで出来たら非常識も良いところよ」
呆れ果てた様にため息混じりに言う
「マザーハート……母の心と自分で名付けておいて貶しますね、僕はいつ戻るか分からないけど……居る間はアリシアの友達をやりますよ、二日後に次元航行エネルギー駆動炉ヒュードラでしたっけ、それが完成した後の休みをアリシア凄く楽しみにしてますよ……存分に可愛がってあげてください」
笑顔でそう語るゼブル
「当たり前よ、ヒュードラを完成させたら、アリシアと一緒に過ごせる時間を今の仕事を止めてでも増やすのだから、今迄寂しい思いをさせてしまったもの……貴方が来てくれて本当に感謝しているのよ、友達が出来て楽しそうだもの」
前半は拳を握りしめつつ言い、後半は優しい笑みを浮かべゼブルの頭を撫でながら言った
「元気なアリシアに振り回される楽しい日々の始まりですね、覚悟し頑張ってください……アリシアの体力は底無しです」
寧ろ望むところよ!、そう拳を握りしめ高らかに宣言する
そんな日々は来ないと誰もが知らずに居た…………数少ない例外を除いて
「あの光……母様達の居る方だよね、家の中に」
慌ててテラスから家の中に入ろうとするアリシア……その前方の空間が微妙に揺らぎ……
「アリシア危ない」
ゼブルに押し倒されたアリシアの髪を……ツインテールの片方を半ばから引き千切り魔力弾が通過した
「空間跳躍狙撃……いったい何処の誰がこんな真似を……ってそれよりも、デバイスが手元に無いから不安だけど、物理保護……じゃ無理か、遮断系の結界を」
言い終わると同時にゼブルとアリシアの二人の周りに魔方陣が出現し結界が展開され
金色の光に飲み込まれた
「なに……これ」
「分からないけど、この光……周りの酸素を魔力に変換してる、普通の結界だと苦しいと思う間もなく即死だったな」
ゼブルの言葉にアリシアは顔を青ざめさせる
茜色の魔力弾が何発か結界に当たり弾かれる
「何処の馬鹿か知らないが……攻撃続行かよ、マザーハート……この状況をちゃんと記録しておけよ」〈OK、マスター〉
《そんなにヒュードラの暴走事故で死ぬべき存在のアリシア・テスタロッサを守りたいのかイレギュラー、ならお前は邪魔だ……一緒に死んでいろ》
二人の頭に始めて聞く男の声が響く
「私がヒュードラの暴走事故で死ぬべき存在って……なんの事?」
肩を振るわせ呟くアリシア
「これは……念話か、ヒュードラが暴走してアリシアが死ぬべきだなんてふざけた事言ってんじゃねぇぞクソヤロォー」
吼えるも直後、前方の空間が揺らぎそこから出現した茜色の砲撃が結界に撃ち込まれる
「クソッ……魔力が足りない、僕は……俺は女の子一人守れないのかよ」
《良い様だなイレギュラー、そのままくたばってろ、それが本来有るべき形だ》
「アリシアがここで死ぬのが本来有るべき形だと、ふざけんなぁーーー」
激昂するゼブル、それに呼応するかの様に結界を黒い渦が覆い始め徐々に勢いを増していき中が完全に見えなくなり、砲撃をそのまま反射し弾き返した
《なんだ、なにが起こギャァー》
慌て動揺する声と、自分の魔力砲撃を食らった男の叫びと悲鳴が響く
黒い渦はやがて急速に収束し消滅した
黒い渦が有った場所、ソコには円形に抉れた床が有るだけで……誰も居なかった
豆腐メンタルですか地道に更新を頑張ります、感想返しは余り頻繁には出来ないと思いますが見放さないでくれると嬉しいです