とある漂流魔王少年と魔法少女【凍結中】   作:ディストピア

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今回始めて主人公の容姿についての説明が軽く入りました


第五話

シュトゥラでの日々にエレミアが加わってからは

ゼブルとクラウスとオリヴィエとエレミアの四人で時に競い合い、時にともに鍛え

同じ窓の内で学問を学び、同じ食事を楽しく仲良く一緒にとって

世界の事と、日々の事を同じように語らいながら

 

およそ四年あまりの平和な時を過ごした

 

 

シュトゥラの南部に広がる魔女の森に住む、天真爛漫を絵に書いたようないたずら猫な魔女のクロゼルグと出会い仲良くなり

 

クラウスは物凄くなつかれて王様に成ったら魔女の力で助けてあげるとよく言われていた

 

オリヴィエとも歳の離れた姉妹のように仲良く一緒に遊んでいた

 

エレミアには全くなつかず基本的に険悪な喧嘩友達みたいだった

 

ゼブルによく悪戯をしては怒られ、かと思えば遊んでほしいと近寄ったりと、仲が良いのか悪いのかよく分からない感じだった

 

 

そんな楽しい日々はオリヴィエ達が来てからの四年目が終わる頃に世界の情勢が変わり始め終わりを告げた

 

 

 

 

痩せ続けて疲弊していく大地と人々

 

 

 

滅びを間近にしたいくつかの王国が許されざる力に手をつけた

 

 

 (フェアレーター)

『禁忌兵器』の数々

 

水と大地を穢す猛毒の弾丸

 

 

人も草木も全ての命を腐らせる腐敗兵器

 

 

あらゆる生物を無差別に襲い喰らう合成魔獣の創造

 

 

つかの間の勝利の後、自らも死に絶えて行くしか道がなくなる手段を

 

追い詰められた国々が最後の切り札として使い出した

 

 

そして『聖王家』はベルカの戦乱を終わらせる事を宣言し

 

 

聖王のゆりかごを起動させるとベルカ全土に表明した

 

 

 

それから半年はオリヴィエが騎士団の一つを任された事以外は何事もなく時が過ぎた

 

 

 

聖王家の発令を聞いてもオリヴィエの日常は変わる事はなく、要請があれば騎士として出陣していた為に、ここ一年あまりは『聖王家の王女』よりも『シュトゥラの姫騎士』の方が通りが良くなっていた

 

 

 

ゼブルとクラウスは距離を取り、互いに剣を持ち向かい合っていた

 

「行くぞ、クラウス」

 

「来い、ゼブル」

 

 

「覇あぁっ」

ゼブルは瞬時に間合いを積めクラウスに向かって剣を降り下ろし、クラウスはその剣を受け止めた後に弾き返してゼブルのバランスを崩し、そのまま反撃に転じる

「ハァァァァ」

「この程度で!」

剣を弾いた体勢からクラウスの放った連撃を初撃の横凪ぎの一撃を下がる事でかわし、即座に切り返して放った逆払いの一撃をゼブルは剣で受け流し、二人同時に剣を両手でより強く握りしめて降り下ろし、鍔迫り合いになる

 

「チッ、やはり何度も見せているから不意打ちにはならないか」

「初速で最高速度を出すソニックステップだったっけ?、最初の内はそれで初撃で敗北か不利な状態になっていたからね、それでも何度も受けてるし、初撃で来ると分かっていれば反応できる」

 

鍔迫り合いを続けたまま軽く言葉を交わし、二人同時に離れ

 

今度はクラウスから攻撃を仕掛けて、それをゼブルは迎え撃った

袈裟斬りを逆袈裟斬りで迎え撃ち、互いに時には攻撃を逸らして受け流し反撃を仕掛け、時には真っ向から打ち合った

 

まるで予定調和の如く剣を打ち合い、時に拳や足技も出し合いながらも互いに有効打を入れる事が出来ぬまま時間が過ぎ

 

「お二人とも時間切れです!」

 

再び鍔迫り合いになっていた所に審判を務めていた兵士が声を掛ける

 

「くそ、また引き分けかぁ、反応され出してからまた引き分け続きになったな、今のところは俺が勝ち越しては居るが……負け始めたらあっさり逆転されかねない」

 

「同じ技に負け続けたら覇王家の名折れだからね、僕も頑張ったんだけどまた引き分けだね」

 

互いに剣を下ろし笑い合いながら言葉を交わす

 

「クラウス、そろそろ俺達も休憩にしようか」

 

そこまで言ったところでオリヴィエとエレミアが訓練所に顔を出した

 

「エレミアにオリヴィエか、ところで……オリヴィエが持ってるバスケットから良い臭いがするんだけど……何が入ってるの?」

 

名前を呼んですぐに臭いに反応したゼブルに笑いながらオリヴィエは返答する

 

「麦と豆が届いたのでパンにしてもらいました!

塩肉と糖蜜もありますよ~」

 

「それは食べるのが楽しみだ」

食い意地がはってるな~と周りから言われ顔を赤くしながら苦笑いのゼブル

 

 

クラウスはエレミアに話しかける

 

「エレミアは遅刻だぞ!?

途中からでも訓練に参加すると言ったろう!」

 

「あれ、そうでしたか?、これはうっかり」

 

少し申し訳なさそうにするエレミアに

 

 

「僕はまだ訓練が食い足りなかったところでね、皆の休憩中模範試合でもするか?」

右手を振り上げ外装を払いやる気十分と態度で示すクラウス

 

「……ついさっき迄俺と試合してたのに元気だな」

その姿に呆れるゼブル

 

「まあ……付き合わない事もないですけど」

言いながらフードを下ろすエレミア

 

 

そして笑いながらクラウスに近付くオリヴィエ

 

「クラウス、模範試合なら顔の汚れくらい拭いてください!」

「ああ、すみません……」

恐縮しながらオリヴィエに大人しく顔の拭かれるクラウス

 

 

それを見て自然と周りから笑いが溢れる

 

 

 

 

そんな微笑ましい光景を見て誰もが思っていた

 

 

 

武勇に優れ兵にも慕われている若い王子と

 

強く優しく美しい王女

 

 

 

二人はいずれ結ばれてシュトゥラという国はより強く、聖王家との絆は更に深く

 

 

そんな風に円満に纏まってゆく

 

この国に居る者達のほぼ全員がそう思っていた

 

 

 

「これで僕の勝ち越しは5勝目だったか?」

「まだ4勝だよ!、あとは全部僕の勝ち!」

ボロボロな格好で楽しげに笑い合いながら歩きつつ話をするクラウスとエレミア

 

 

その少し後ろでゼブルとオリヴィエは若干苦笑いで歩いていた

 

 

そこに侍女が慌ててやって来た

 

「あああ!、やっぱりお二人ともドロドロじゃないですか!」

「恐れていた通りに……」

 

侍女の片方は顔まで押さえていた

 

「クラウス様はこれから来客の方と会食の予定がございますのに!」

「ああ……そうだった」

侍女の剣幕に押されぎみになりながら予定を思い出すクラウス

 

「すぐに着替えを用意いたしますからね!、湯殿の準備も!」

侍女の一人が言いながら慌てて走り去る

 

 

クラウスは湯殿にエレミアを誘うも断られ、周りの全員が笑いを堪えているのを不思議がっていた

 

 

 

結局ゼブルを誘い二人で湯殿に向かう

 

 

「ゼブル、僕は何か可笑しな事を言ったのだろうか?」

「いや~~~別に~~~気のせいじゃないか~~」

 

深刻そうな顔で尋ねるクラウスに妙に間延びした口調で笑顔で返すゼブル

 

「さっきのオリヴィエといい、なんだい……その変な口調」

「気にしない気にしない♪、気にしすぎると……禿げるよ」

 

ゼブルはニヤリと笑いながら男にとっての禁句の一つを口にする

 

 

慌てて頭に手をやり慌てるクラウス

 

それを見てますますニヤニヤ笑うゼブル

 

そんな日々を皆が楽しんでいた

 

 

だけどその日からわずか半月後─────

 

 

 

魔女の森が炎に包まれ騎士団は大急ぎで駆け付けたが、すでに森の大半が火の海と化していた

 

「クラウス、火元と思われる方角から西と東に高速で……恐らく馬で移動してる連中が二組居る、俺は東に行くから西を頼む」

「わかった」

 

クラウス怒りをなんとか押さえながらも同意し、西と東に別れるゼブルとクラウス

 

 

 

 

「急ぐぞ、この辺りも間もなく火の海になる」

騎馬に乗った者達の内の一人がそう叫ぶ

 

 

「この森に火を放ったのは……貴様らだな──」

 

その行く手を所々に魔力を流すと光る赤いラインの入った漆黒の鎧に黒いマント、金色のバイザーを身に付けた緑の髪で赤い瞳の少女の様な姿の者が荒れ狂う純白の魔力を振り撒きながら身の丈以上の大きさの剣を片手に持ち立ち塞がった

 

「小娘が一人で何をする気だ?」

嘲るように言葉を口にする男だが

 

「いや、あれはシュトゥラの黒騎士!!」

別の者が正体に気付き慌て出す

 

「何をって…………貴様らを一人残らずブッ飛ばす!!」

 

荒れ狂っていた純白の魔力が手にした剣に収束されていき

 

 

高らかに降り上げ────

 

「エクス……カリバーーー」

全力で降り下ろし、純白の光が眼前に居た全ての敵を粉砕し……消し飛ばした

 

 

 

「…………これが人間か、これならまだ…………悪魔の方が話も通じるし可愛げもある」

 

そう感情が抜け落ちたかの様な無表情で呟く

 

 

 

 

この事件により魔女の森の大半が焼け落ち失われた

 

 

 

 

 

この侵攻と時を同じくして聖王連合の『威嚇による圧政』を許すわけにはいかないと

 

 

 

 

一部の国家が聖王の血統所有者とそれを庇護する国や団体を狙い始めた

 

 

 

大陸各地で発生した聖王連合への反発はまるで疫病のように大陸全土に広がった

 

 

 

悪天候や土壌を汚す兵器による収量の低下もあり

 

民や兵の皆が疲労と不安を蓄積させていた

 

 

 

だけどもうすぐ『ゆりかごの聖王様が民に光をもたらして下さる』

 

民草はそう信じて明日への希望を繋いでいた

 

 

 

「オリヴィエ、式典のためとゼーゲブレヒト家に帰還したが、まさかとは思うが…………だけど事実そうだとしたら、確かに救われるな…………国と民だけは」

 

ゼブルは一人深刻な顔をしながら聖王のゆりかごが在る方角を見ながら呟いた




原作の大幅コピーに引っ掛からないか少し心配です
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