イラストも無事ゲット
キャラの順番がおかしいのは気にしないで
みんなは日課というものがあるだろうか?
ランニング、読書、ドラマをみるなど。人それぞれで、自覚していない日課もあることだろう。
自分ももちろんある。
それはパンを買いに行くこと。一見当たり前に見えるが、毎朝5時に起きてパン屋に向かう。そして朝ごはんとなるパンを1つ買って食べ歩きして帰るという日課だ。例え学校があろうが、どんなに悪天候だろうが、そのパン屋が休みでない限り行っている。ほら特殊だろ?
この話から察するに、パン屋があればいいってものじゃない。特定のお店しか自分は行かない。
なぜこだわりがあるかって?もちろん美味しいというのもあるが、もう1つの理由は………自分が起きてからはなそu…………
『ピピピピピピピピピピ』
「う〜ん?うるさいなぁ……」
目覚まし時計の頭を思い切り叩く。窓から朝日がうっすら顔を覗かせている。ちゃんと今日も起きれた証拠だ。
「寝みぃや。夜遅くまでゲームするんじゃなかった。」
目覚まし時計がまた鳴らないよう電源を切って、簡単な私服に着替える。あまりうるさくしてしまうと家族から苦情が来てしまう。だから家を出る時もゆっくり、抜き足差し足忍び足。まるで泥棒だ……
「そういえば今日変な夢を見たなぁ〜」
なんかのステージに立って淡々と語る自分。自分にあたっていたスポットライトが唯一の明かりだったステージに自分は誰に向けて語っていたのだろう。
考えれば考えるほど理解し難い夢だから深く追求するのはやめとこう。
持ち物は財布のみ。目指す場所はお気に入りのパン屋さん。目的は自分の朝ごはんを買いに行くため。
親が朝に弱く、朝ごはんを作ってくれるものの、学校の時間にギリギリ間に合わないから自分が調達するようになった。自分は朝ごはん食べれて、親はゆっくり寝れる。見事にwin-winなのだ!
「今日は何にしよう。王道のあんぱんか、クリームパン。惣菜パンも捨てたがいな〜」
独り言を呟いて20分歩くと、お気に入りのパン屋さん『山吹ベーカリー』が見えてくる。まだシャッターが閉まっている店が多いなか、山吹ベーカリーの光が目立って見える。
「いらっしゃいませ〜あ、今日も来てくれたんだ!」
「おはよ沙綾〜」
「おはよ。毎日毎日大変じゃないの?」
「大変じゃないよ?美味しいからついつい早起きしてるって感じ?」
「あはは。いつもありがと!」
店内は焼きたてのパンでいい匂いだ。いくら人気なパン屋でも朝早いと誰もいない。
この雰囲気が好きだから毎日行っているのもあるが、最大の目的は看板娘、沙綾に会うためだ。
「今日のオススメは?」
「ベーコンエッグトーストだよ。味付けを少し変えてみたんだ。」
「いいね〜けどこの前たまご落としちゃったからちょっと怖いな。」
「食べ歩きするからでしょ〜」
軽い雑談を交わすのが楽しい。だから朝早くても毎日来れる。そして今日一日頑張れる。
初めて沙綾に会ったのはたまたまここに寄った時だ。山吹ベーカリーのパンに虜になった自分は、毎日通うように。1週間連続して行けば、向こうも顔を覚えてくれるようになり、だんだん話す仲に。気がつけば最大の目的がパンから沙綾に変わっていた。
「じゃあカレーパンにしよ。会計お願いね。」
「カレーパンなんだ……いつも思うけどそれで足りるの?」
「朝は少食なんだ。パン一個で充分。」
「男の子にしちゃ珍しいね。」
「沙綾の周りが特殊なんだよ。」
「ふふっ。それは言えてる。」
だって朝飯食べておやつにパン10個買うやつやチョココロネを独占するやつだっているんだぜ。ビックリなことに同級生。目の当たりにした時はさすがに引いてしまったな。
「じゃあ店番頑張ってね。」
「君も学校頑張ってね!」
「じゃあまた来るよ。」
そのまたは明日でしょ?と言われたのでそうだよと言って店を後にする。
明日はなんのパンにしようかな?
次の日。
「あ〜よく寝た〜」
夜9時に寝たおかげでお目覚めバッチリ!
いつも通り山吹ベーカリーに朝ごはんを買いに行く。
「おはよう沙綾〜ってあれ?」
「おや?君がいつも来てくれる子かな?」
「お、おはようございます……」
レジに立っていたのは沙綾ではなく、優しそうな男性…多分お父さんだろう。
「今朝妻の体調が悪くて沙綾が病院に連れて行ったんだ。変わりに私がレジもしているのだがすまないね。沙綾じゃなくて。」
「い、いえ。」
「しかし本当に来てくれるとは正直半信半疑だったよ。」
「沙綾……さんから聞いていたんですね。」
「普段私は裏にいるからね。7時8時に毎日来るお客さんはいるが、6時ぐらいに来る男子高校生なんて……」
「ここのパンが美味しいですから。毎日来たくなっちゃうんです〜」
「沙綾と会いたいなら夕方にもう1回来るといいよ。もちろんパンは買わなくても大丈夫だから。」
「夕方……ですか…」
実は自分重度なコミュ障。沙綾とは難なく会話しているが、それはまだ完璧に目が覚めていないから。夕方の自分なんて相槌打つので精一杯だ。
「せっかくですが、用事あるので大丈夫です。」
「そうか。まぁ君のことだ。明日の朝も来るでしょ。」
好きなパン選んでくれと言って解放される。何故か知らないが、めちゃくちゃドキドキした。
「そういえば君はなんで毎朝来てくれるんだ。」
「それはパンが美味しいから……」
「それだけじゃないでしょ?」
「それは……沙綾さんと会いたいから。」
「はははっ!やっぱりそうか!」
なんで見透かされているだ!?毎日来ていることすら疑っていたのに……
「そりゃ第一声が、「おはよう沙綾〜」ってあたかも沙綾目当てで来てるような感じだから。」
やだこのかた怖い。
「あ、あの……目障りなようでしたら今日限りにしますのでどうか警察だけは……」
「ごめんごめんそのつもりはないよ。ただ初々しい恋愛を見ていじわるしたくなっちゃって。」
恋愛?誰がしているの?
「もしかして……自覚ない感じ?」
「異性として好きかどうか……まだはっきりしないかもしれません。」
「そうか。まぁ仮に沙綾と付き合ってもおじさんOKだからね。」
「あ、ありがとうございます……」
いつも沙綾と会うのが楽しみだし、今日いなかったのは残念でしかない。
恐らく……いや、間違いなく自分は沙綾のことが好きなんだ。異性として。
ただ通常の自分になると、まともに話せることができない。そんな自分を受け入れてくれるのか?
そもそも沙綾はあくまでも接客という仕事をしているから仲良くしてくれる可能性もある。たった1個でも立派な売り上げだらね。だからと言って、もう二度と行かないとはならないし、これが普通である。
「長話してごめんね。時間大丈夫?」
「ちょっと危ないかも。これでお願いします。」
選んだのはベーコンエッグトーストだ。
「今日はサービスだよ。」
「え?い、いいんですか?」
「いつも買ってくれるからね。それに長話させちゃったからそのお詫びも。」
そして少し早歩きで帰る。
自分の頭は色々な思いでぐちゃぐちゃ……ではなく、ただ1つ。
(明日は会えるといいな〜)