「どういう事……」
「なんでお前……立ってられるんだ」
「お姉ちゃんの次元一閃を受けたのに……しかも圧縮ハイパーシェアクリスタルも使ったんだよ!?」
ネクストパープルの一番の大技、次元一閃。それを使ってもなお、エクストは倒れなかった。
「言ったでしょ? 私は負けないって」
「くぅ……ここは主人公らしく一番の大技で決着をつけるとこだったのに……」
反動で変身解除したネプテューヌが呟く。
「さぁどうする? まだやるかい?」
「当然よ!」
「いくらだって足掻いてやるよ!」
「あなたを倒すまで諦めませんわ!」
残る三人の女神がネクストフォームになる。
「私達もいくよ!」
候補生四人も改めて構えた。
「ちょっとー! 誰かわたしのとこ来てよ! 私変身すらしてないから!」
「大丈夫だよ〜。ねぷっちはうずめが守るよ!」
地上にいるネプテューヌの傍にはオレンジハートが降り立った。
「まだやるんだ。まぁいいよ。どこまでも付き合ってあげるよ!」
女神達とエクストの戦いは終わる気配が無い。果ての孤島には、絶えず武器がぶつかる音が響いていた。
❅
一方、ルウィー郊外にある研究所では、二人の少女が刃を交えていた。激化する戦闘を予想したエクストは、戦場を外に移していた。
「はっ!」
「くっ!」
二本の刀と太刀が競り合う。
「なるほど。前よりはやるようだね」
「こっちだって成長してるからね……!」
競り合いを解消し、お互いの武器を弾きながら間合いを取る。
「仕方ない。なるべく体力は温存しておきたかったが、やるしかないか」
エクストは宵闇のマントを羽織った。
「そっちがその気ならこっちも!」
クリストも氷晶の陣羽織を羽織る。
「「覚醒!」」
お互い同時に強化形態になると、クリストの方から攻撃を仕掛けた。
「あぶね……」
クリストの攻撃に対し、エクストはギリギリでダガーを太刀と銃剣に変化させ、攻撃を防いだ。
「ちっ……」
「分かってるでしょ。私にはそう簡単には刃は届かないんだよっ!」
クリストの刀を押し返すと、銃剣を向けて数発発砲。その勢いを利用しながら飛び引く。
(どうだ……あの距離からの発砲なら防ぎきれないだろ)
着弾の勢いで舞った粉雪を見る。粉雪が晴れれば、クリストが倒れたかもわかる。
だが、粉雪が晴れるより先に、エクスト目掛けて刀が一本飛んできた。
「!?」
ギリギリで刀を弾き返す。粉雪で中から現れた人影は宙に舞った刀を手に取ると、大きく振りかぶり、エクストに斬りかかった。防御は間に合わないと判断し、最小限に抑えの動きでかわした。
(嘘だ……無傷だと!?)
見ると、大袖型のシールドが少し焦げている。発砲の寸前に、咄嗟にシールドを銃口の前に割り込ませたのだろう。
「どんな反射神経だよ……」
「速さが取り柄だからね」
そのままエクストの顔面目掛けて突きを放つ。今度もかわしたが、直後に脇腹に鋭い痛みを感じた。同時に、氷が触れたような冷たさも。
「っ!!」
頭を狙った突きに意識を集中させ、その隙に氷の刀でエクストの脇腹を斬った。
「もらった!」
「あぁっ!?」
怯んだ隙に、二刀で切り上げる。手応えは十分。エクストの腹部に大きな切り傷を残した。
「く……やる……」
さすがに効いたのか、ヨロヨロと立ち上がる。
「立てるんだ。結構深くやったつもりなんだけどな」
「まぁ……人間なら致命傷だろうね。私はどちらかと言うと女神に近いからな……」
「……? あぁ、そっか」
クリストは刀の血を払い、エクストに剣先を向けた。
「でも血が出るって事はこのまま斬れば死ぬんだよね」
「あんたがそれを出来れば……な」
エクストも銃剣を構えると、クリストの周りに向けて四発発砲。
(当たらないな……)
クリストはあえて動かなかった。読み通り、ビームはクリストに当たることは無かったが、周囲に浮いていた氷の刀は全て破壊されてしまった。
「そっちか……!」
「厄介なものは先に片付けるに限る……!」
エクストはさらに銃剣を戦斧に変えると、片手で持ってクリストに斬りかかった。余裕を持ってシールドを合わせたが、先のビームのダメージがあったからか、シールドも割れてしまった。
「くぅ……」
「これで……!」
クリストの浮遊武装は全て破壊した。これで本体にも攻撃が当てやすくなる。
「う……おあぁぁっ!!」
傷が痛むのを耐えながら、エクストは全力で戦斧を振るう。遠心力も利用した一撃はかなり重いものだが、動きも読みやすい。クリストは戦斧をかわすとエクストの左手を斬った。ガントレットに守られていたため、ダメージにはならなかったが、衝撃によって戦斧が手から離れた。
「はっ!」
「おあっ!?」
エクストを蹴り飛ばし、戦斧から離す。受け身をとって体勢を整えたエクストに対し、さらに追撃を加える。それに対し、右手の太刀で防いでみせた。
「こんのおぉぉぉ!!」
刀を押し返すと、体を捻りながら回転の勢いを利用してクリストの刀を弾き飛ばす。左手に持っていた刀が宙を舞い、クリストの背後に落ちる。クリストはそれでも怯まず、刀を振り、鍔迫り合いに持ち込む。
「さっきまでの余裕はどうした?」
「悪かったよ……正直舐めてた」
「……でもまだ勝てると思ってるでしょ?」
「あぁ、勿論だ」
「でしょうね……」
お互い、一歩も下がることは無い。カチカチと刃が競り合う音が小さく聞こえる。
「女神に勝てないあんたが、私に勝てるわけないから」
「それは……真剣勝負での話でしょ?」
「あ?」
「私だって現代っ子だよ? 戦いの場において、正々堂々とか素直に貫くと思う?」
「……どういう意味だ」
「こういう意味だよっ!」
クリストは雪を強く踏みしめると、片足を振り上げ、エクストの股間を蹴った。
「……っっあ!?」
激痛にひるむエクストに対し、更に回し蹴りを放つ。大きく吹っ飛んだエクストは、近くの木に激突した。
(あいつ……マジか……)
痛みに悶えるエクストをよそに、クリストは刀を拾い、シールドと氷の刀を再生製した。
「っ……舐めるなよクソガキ!!」
エクストは太刀を銃剣に変えると、後ろ向きに発砲。その勢いを使ってクリストの距離を詰めた。
「っ!」
「はぁっ!」
(間に合わない……!)
そして銃剣を振り、クリストの左太ももを深く斬った。
「っ……!?」
左脚の激痛でバランスを崩したクリストに対し、今度は
「っは……!?」
激痛と呼吸の乱れで体が言うことを聞かない。エクストはその隙に戦斧を拾うと、今度は杖に変化させた。
(万全を期したい……まずは回復だ)
回復魔法を使おうと杖を掲げたが、横から飛んできた氷の刀により弾かれてしまった。
「こいつ……」
「……」
「あぁわかった。もういい。今すぐ死にたいんだね……」
エクストは武器をダガーに戻した。ダガーの刃が、赤から黒に変わる。
「エグゼドライヴ……」
そしてダガーを振ると、空間が裂け、そこに体が引き寄せられる。
「っ!?」
引力はかなり強く、どう足掻いても逆らえない。クリストは裂け目に拘束され、更に闇の力でジワジワとダメージを受けていた。
「う……あ……」
「……『ブレード・オブ・ダークネス』!!」
抵抗出来ないクリストに対し、ダガーで六回、全力の斬撃を見舞う。
「……!!」
「死ね」
裂け目が閉じる時の衝撃でクリストは弾き出され、そのまま倒れて動かなくなった。周りの雪が徐々に血で赤く染っていく。
(あれなら仕留めきれてなくても、失血で死ぬな)
エクストはクリストに背を向けると、ダガーに付いた血をスカートで拭い、鞘に戻した。そして雪を踏みしめながら研究所に向かった。
書いてて楽しいお話でした。たまにはこういうのも書いた方が健康に良い。