女神の従者の願うこと   作:よっしー希少種

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12.交わる紅白の刃

「どういう事……」

「なんでお前……立ってられるんだ」

「お姉ちゃんの次元一閃を受けたのに……しかも圧縮ハイパーシェアクリスタルも使ったんだよ!?」

 

 ネクストパープルの一番の大技、次元一閃。それを使ってもなお、エクストは倒れなかった。

 

「言ったでしょ? 私は負けないって」

「くぅ……ここは主人公らしく一番の大技で決着をつけるとこだったのに……」

 

 反動で変身解除したネプテューヌが呟く。

 

「さぁどうする? まだやるかい?」

「当然よ!」

「いくらだって足掻いてやるよ!」

「あなたを倒すまで諦めませんわ!」

 

 残る三人の女神がネクストフォームになる。

 

「私達もいくよ!」

 

 候補生四人も改めて構えた。

 

「ちょっとー! 誰かわたしのとこ来てよ! 私変身すらしてないから!」

「大丈夫だよ〜。ねぷっちはうずめが守るよ!」

 

 地上にいるネプテューヌの傍にはオレンジハートが降り立った。

 

「まだやるんだ。まぁいいよ。どこまでも付き合ってあげるよ!」

 

 女神達とエクストの戦いは終わる気配が無い。果ての孤島には、絶えず武器がぶつかる音が響いていた。

 

 

 一方、ルウィー郊外にある研究所では、二人の少女が刃を交えていた。激化する戦闘を予想したエクストは、戦場を外に移していた。

 

「はっ!」

「くっ!」

 

 二本の刀と太刀が競り合う。

 

「なるほど。前よりはやるようだね」

「こっちだって成長してるからね……!」

 

 競り合いを解消し、お互いの武器を弾きながら間合いを取る。

 

「仕方ない。なるべく体力は温存しておきたかったが、やるしかないか」

 

 エクストは宵闇のマントを羽織った。

 

「そっちがその気ならこっちも!」

 

 クリストも氷晶の陣羽織を羽織る。

 

「「覚醒!」」

 

 お互い同時に強化形態になると、クリストの方から攻撃を仕掛けた。

 

「あぶね……」

 

 クリストの攻撃に対し、エクストはギリギリでダガーを太刀と銃剣に変化させ、攻撃を防いだ。

 

「ちっ……」

「分かってるでしょ。私にはそう簡単には刃は届かないんだよっ!」

 

 クリストの刀を押し返すと、銃剣を向けて数発発砲。その勢いを利用しながら飛び引く。

 

(どうだ……あの距離からの発砲なら防ぎきれないだろ)

 

 着弾の勢いで舞った粉雪を見る。粉雪が晴れれば、クリストが倒れたかもわかる。

 だが、粉雪が晴れるより先に、エクスト目掛けて刀が一本飛んできた。

 

「!?」

 

 ギリギリで刀を弾き返す。粉雪で中から現れた人影は宙に舞った刀を手に取ると、大きく振りかぶり、エクストに斬りかかった。防御は間に合わないと判断し、最小限に抑えの動きでかわした。

 

(嘘だ……無傷だと!?)

 

 見ると、大袖型のシールドが少し焦げている。発砲の寸前に、咄嗟にシールドを銃口の前に割り込ませたのだろう。

 

「どんな反射神経だよ……」

「速さが取り柄だからね」

 

 そのままエクストの顔面目掛けて突きを放つ。今度もかわしたが、直後に脇腹に鋭い痛みを感じた。同時に、氷が触れたような冷たさも。

 

「っ!!」

 

 頭を狙った突きに意識を集中させ、その隙に氷の刀でエクストの脇腹を斬った。

 

「もらった!」

「あぁっ!?」

 

 怯んだ隙に、二刀で切り上げる。手応えは十分。エクストの腹部に大きな切り傷を残した。

 

「く……やる……」

 

 さすがに効いたのか、ヨロヨロと立ち上がる。

 

「立てるんだ。結構深くやったつもりなんだけどな」

「まぁ……人間なら致命傷だろうね。私はどちらかと言うと女神に近いからな……」

「……? あぁ、そっか」

 

 クリストは刀の血を払い、エクストに剣先を向けた。

 

「でも血が出るって事はこのまま斬れば死ぬんだよね」

「あんたがそれを出来れば……な」

 

 エクストも銃剣を構えると、クリストの周りに向けて四発発砲。

 

(当たらないな……)

 

 クリストはあえて動かなかった。読み通り、ビームはクリストに当たることは無かったが、周囲に浮いていた氷の刀は全て破壊されてしまった。

 

「そっちか……!」

「厄介なものは先に片付けるに限る……!」

 

 エクストはさらに銃剣を戦斧に変えると、片手で持ってクリストに斬りかかった。余裕を持ってシールドを合わせたが、先のビームのダメージがあったからか、シールドも割れてしまった。

 

「くぅ……」

「これで……!」

 

 クリストの浮遊武装は全て破壊した。これで本体にも攻撃が当てやすくなる。

 

「う……おあぁぁっ!!」

 

 傷が痛むのを耐えながら、エクストは全力で戦斧を振るう。遠心力も利用した一撃はかなり重いものだが、動きも読みやすい。クリストは戦斧をかわすとエクストの左手を斬った。ガントレットに守られていたため、ダメージにはならなかったが、衝撃によって戦斧が手から離れた。

 

「はっ!」

「おあっ!?」

 

 エクストを蹴り飛ばし、戦斧から離す。受け身をとって体勢を整えたエクストに対し、さらに追撃を加える。それに対し、右手の太刀で防いでみせた。

 

「こんのおぉぉぉ!!」

 

 刀を押し返すと、体を捻りながら回転の勢いを利用してクリストの刀を弾き飛ばす。左手に持っていた刀が宙を舞い、クリストの背後に落ちる。クリストはそれでも怯まず、刀を振り、鍔迫り合いに持ち込む。

 

「さっきまでの余裕はどうした?」

「悪かったよ……正直舐めてた」

「……でもまだ勝てると思ってるでしょ?」

「あぁ、勿論だ」

「でしょうね……」

 

 お互い、一歩も下がることは無い。カチカチと刃が競り合う音が小さく聞こえる。

 

「女神に勝てないあんたが、私に勝てるわけないから」

「それは……真剣勝負での話でしょ?」

「あ?」

「私だって現代っ子だよ? 戦いの場において、正々堂々とか素直に貫くと思う?」

「……どういう意味だ」

「こういう意味だよっ!」

 

 クリストは雪を強く踏みしめると、片足を振り上げ、エクストの股間を蹴った。

 

「……っっあ!?」

 

 激痛にひるむエクストに対し、更に回し蹴りを放つ。大きく吹っ飛んだエクストは、近くの木に激突した。

 

(あいつ……マジか……)

 

 痛みに悶えるエクストをよそに、クリストは刀を拾い、シールドと氷の刀を再生製した。

 

「っ……舐めるなよクソガキ!!」

 

 エクストは太刀を銃剣に変えると、後ろ向きに発砲。その勢いを使ってクリストの距離を詰めた。

 

「っ!」

「はぁっ!」

(間に合わない……!)

 

 そして銃剣を振り、クリストの左太ももを深く斬った。

 

「っ……!?」

 

 左脚の激痛でバランスを崩したクリストに対し、今度は鳩尾(みぞおち)に蹴りを放った。

 

「っは……!?」

 

 激痛と呼吸の乱れで体が言うことを聞かない。エクストはその隙に戦斧を拾うと、今度は杖に変化させた。

 

(万全を期したい……まずは回復だ)

 

 回復魔法を使おうと杖を掲げたが、横から飛んできた氷の刀により弾かれてしまった。

 

「こいつ……」

「……」

「あぁわかった。もういい。今すぐ死にたいんだね……」

 

 エクストは武器をダガーに戻した。ダガーの刃が、赤から黒に変わる。

 

「エグゼドライヴ……」

 

 そしてダガーを振ると、空間が裂け、そこに体が引き寄せられる。

 

「っ!?」

 

 引力はかなり強く、どう足掻いても逆らえない。クリストは裂け目に拘束され、更に闇の力でジワジワとダメージを受けていた。

 

「う……あ……」

「……『ブレード・オブ・ダークネス』!!」

 

 抵抗出来ないクリストに対し、ダガーで六回、全力の斬撃を見舞う。

 

「……!!」

「死ね」

 

 裂け目が閉じる時の衝撃でクリストは弾き出され、そのまま倒れて動かなくなった。周りの雪が徐々に血で赤く染っていく。

 

(あれなら仕留めきれてなくても、失血で死ぬな)

 

 エクストはクリストに背を向けると、ダガーに付いた血をスカートで拭い、鞘に戻した。そして雪を踏みしめながら研究所に向かった。




 書いてて楽しいお話でした。たまにはこういうのも書いた方が健康に良い。
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