女神の従者の願うこと   作:よっしー希少種

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18.夜明け

「なんでお前がここに居る……!」

 

 ブランはハンマーを握りながらエクストを睨んだ。

 

「ちょっと待って。敵意は無いから。その鈍器しまってよ」

「じゃあその手のやつはなんだよ」

「回復魔法が使える方の杖」

「反対は?」

「クリストの中にあったアンチクリスタルだよ」

「本当かよ……」

「じゃあ確かめてみたら?」

 

 エクストは杖をダガーに戻し、腰の鞘に収めると、壁にもたれて立った。ブランは警戒しつつ、ベッドの上のクリストに近付いた。

 

「クリスト……」

「はぁ……う……ブラン、様?」

「……!」

 

 クリストはハッキリとブランの名前を呼んだ。その声を聞き、感極まったブランはクリストを抱きしめた。

 

「クリスト……よかった……」

「……ブラン様」

 

 エクストはその様子を見て口角を上げた。

 

「ね? 私はただアイツを助けただけだよ」

「……本当だなんて」

「なんか、信用されてない……」

「今までがアレだったから……」

「……。とりあえず、これは処分しておくよ」

 

 エクストは武器を魔導書に変え、開くと、その中にロストアンチクリスタルを置き、勢いよく閉じた。

 

「……エクストはこれからどうするの?」

「まだわからない」

「そっか……」

「ま、いつか運が良ければ会えるんじゃないかな? そしたらその時は……ご飯でも奢ってよ」

 

 そう言うと、窓の方に歩いていった。

 

「じゃ……さよなら、トーシャ」

「ちょ……待って!」

 

 そして窓から飛び降りる。トーシャは慌てて窓まで走り、下を見たが、そこにエクストの姿は無かった。

 

「……」

 

 トーシャはブランとクリストを見た。こちらの出来事には気付いて居ないようだ。

 

「……お礼、言えなかったな…………」

 

 そう呟いて、空を見る。東の空が微かに明るくなっていた。

 

 

「助けてきたよ」

「……ありがとう」

 

 エクストはレイラに報告に戻っていた。窓からは陽の光が射し込んでくる。

 

「私の役目は終わりだね。だから……」

 

 エクストはダガーを抜くと、柄をレイラに向けて差し出した。

 

「?」

「あんたの妹を苦しめたんだ。憎いだろ? これ使って私を殺してくれ」

「嫌だ」

「……はぁ?」

「だって、あなたはクリストを助けたんでしょ? じゃあもう恩人だよ。私は恩人を殺すことはできない。それに、せっかく助かった命だよ? 簡単に捨てようとしないで」

「……私がまた事件を起こすかもしれないぞ? 良いのか?」

「起こす訳ないじゃん」

「なんでそう言いきれる」

「悪人なら人助けはしないから」

「……」

 

 エクストは小さく笑った。

 

「なんというか……アイツも同じ事良いそうだな」

「姉妹だからね」

 

 レイラは誇らしげに胸を張った。

 

「わかったよ。あんたに助けられた命だ。無駄にしたりはしない。約束するよ」

「へへっ。ありがとう」

「……じゃあ、私はもう行くよ。介抱から何から、ありがとうね」

「こちらこそ。クリストのこと、ありがとう」

 

 二人は小屋を出ると、レイラはルウィーの方へ、エクストとはレイラとは逆の方へ歩き出した。

 

「……」

 

 エクストは雪原の真ん中で足を止めた。朝の寒冷地に吹く風を浴びながら、結んでいた髪を解く。風に揺られ、綺麗な白髪がふわりと広がる。それを手で束ねると、ダガーを持ち、一気に切った。切った髪が雪原に溶けていく。

 

「これで、少しはあいつと違う存在になれたよな」

 

 ダガーを収めると、再び歩き出した。まっさらな雪原に足跡を付けながら、宛もなく歩いていく。




雪国の産まれだからわかるんです。めっちゃ天気いい日の冬の外ってなんか気持ちいいんですよ。寒さすら心地いいみたいな
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