女神の従者の願うこと   作:よっしー希少種

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お久しぶりです
後日談第一話です


後日談
EX1.延命処置の副産物


 ある日、クリストはブランに呼び出されて教会に来ていた。

 

「久しぶりね、クリスト」

「えぇ、お久しぶりで……あ、久しぶり、ブラン」

「……なんで言い直したの?」

「親友なのに敬語っておかしいでしょ? ネプテューヌさんのとこのアイエフさんだって、ネプテューヌさんにタメ口だし」

「そうね……でも無理に変える必要は無いのよ?」

「大丈夫。タメ口(こっち)の方が素だから」

 

 クリストは出されたお茶を一口飲んだ。

 

「……で、何か用事があったから私を呼んだんじゃないの?」

「えぇ。これをどうするか聞きたくて……」

 

 ブランがクリストに見せたのは、キーホルダーのような物体だ。大きさは手のひらくらい、中央には半透明な水色の物体が嵌め込まれていて、鳥の翼の形のフレームに囲まれている。

 

「これは……?」

「あなたの延命処置に用いる予定だったものよ」

「延命処置に?」

 

 クリストはその物体を手に取り、眺めてみた。明かりにかざしてみると、中央の物体は光を浴びて輝いている。

 

「このキーホルダーが?」

「ただのキーホルダーじゃないわ。その中央の宝石のようなものはシェアクリスタルを僅かに含んでいるの」

「……ふむ」

「で……それにより擬似的なシェアエネルギーを貯める事ができるの」

「……へぇ」

「……それを使えば、あなたは一時的に女神に限りなく近い存在になれるわけ」

「……ふーん。え……なんて?」

 

 クリストは視線をブランに向けた。

 

「擬似的ではあるけど、女神化できるの」

「……マジ?」

「マジよ」

「なれるの……? 私、女神に?」

「一応ね。あなたはアンチクリスタルの力で紅い女神になる事が出来た。普通の人間ならシェアエネルギーの影響を受けても女神化はしないのに、あなたはアンチクリスタルの力で女神が出来た。ならシェアエネルギーでもいけるはずよ」

「じゃあ、試してみてもいいの!?」

「勿論よ。でもここじゃなくて修練場でね」

「わかった! 行こう行こう!!」

 

 クリストは勢いよく部屋を飛び出して行った。

 

「あんなにはしゃぐなんて……」

 

 ブランも部屋を出て修練場に向かった。

 

 

「やり方は!?」

「落ち着いて……。まず、それについて説明しなきゃならないから……」

「手短にお願いね」

「はいはい……。それは『信仰の器』って言う名前になってるわ。さっきも話した通り、擬似的なシェアエネルギーを貯めておけるアイテムよ。身に付けておけば、あなたが得た信頼が擬似シェアとして蓄積されていって、蓄積量に応じて変身可能な時間が変わるの。最大で三十分。それには今五分間変身できる分の擬似シェアが貯まっているわ」

「なるほど」

「で、てっぺんの摘みを三回捻ってから二秒後に変身する仕組みになってるわ」

「音声認識じゃないんだ」

「そんな機能付くわけないでしょ」

「そっか……。まあいいや、試してみるよ」

 

 クリストは摘みを三回捻ると、信仰の器を掲げるポーズをとった。

 

「……変s」

 

 直後、水色の魔法陣が上に現れ、クリストの身体を通過した。通過した部位から、光に包まれていく。

 

「え!? セリフ言えてないって!」

 

 全身を通過すると、今度は勢いよく上に上がる。二度目の魔法陣の通過を得て光が消え、変身が完了した。

 

「へぇ……青いのね」

「お……おぉ……!?」

 

 クリストは両手を見た。水色のプロセッサユニットに包まれている。

 

「え……どんな感じ? 今」

「えっと……あ、そこに鏡があるから見てきなさい」

 

 クリストはブランが指さした方にある鏡を見た。そこに写るのは、黒色の髪に、オレンジ色の眼、水色のプロセッサユニットに身を包んだクリストの姿だった。背中にはマントが付いており、鞘に収まった太刀が左右に一本ずつ浮いている。

 

「これが……」

「擬似女神になったあなたよ」

「……はぁ」

 

 クリストは自分の身体をぺたぺたと触った。

 

「……胸が大きくなってない」

「そうね。身長も全く変わってないわ」

「ちょっと期待したんだけどなぁ……」

 

 クリストは小さくため息をついた。ブランは変身したクリストを見ながら、ある違和感を感じていた。

 

「…………あ。クリスト、あなた翼が無いのね」

「え? あ、本当だ……」

 

 背中を見てみるが、翼らしき物体は見当たらない。

 

「マントが代わりってことかしら?」

「普通マントじゃ飛べないんだけど」

「今のあなたは普通じゃないのだけど」

「……そっか」

 

 クリストは飛行を試みてみた。身体を浮かせるイメージで力を込める。

 

「浮いた……」

「本当!?」

「ちょっとだけね。地面スレスレって感じ」

「んなぁぁあ! じゃあ無理!!」

「まぁ、擬似女神だし、飛行能力は無くてもおかしくは無いわね」

「そうだね……。じゃあ武器試そうかな」

 

 クリストは浮いている太刀を一本手に取り、鞘から抜いた。(しのぎ)は白く、刃は水色の機械チックな刀だ。刃は少しだけ透き通って見える。

 

「うん、使いやすい重さだ」

「良いわね。女神の武器って感じで」

 

 鞘を手放して刀を構えようとしたその時、手放した鞘が三つに分かれ、変形して菱形の翼を形成した。

 

「…………何これ」

「私もしらないわよ……」

「ん……って事は」

 

 クリストはもう一本の刀も抜刀してみる。やはり、鞘を三つに分かれて翼になった。左右三対、計六つの翼が下向きに展開された。

 

「これなら飛べたりして」

「やってみて」

「うん……」

 

 クリストは上に向かうイメージを持ちながら小さくジャンプした。その時点でクリストの身体がふわりと宙に浮いた。

 

「おぉ……」

 

 更に地面を蹴ってみると、より高く飛行することが出来た。

 

「飛べた……」

「飛行能力にも問題無さそうね。しかし……鞘と翼を共通のパーツにしていたなんて。パーツが減るから装備にかかるエネルギー量を節約できる……上手いわね」

「なんだかこのまま何処までも飛べそうな気分だ……すごいすごい! これが女神が見た光景!」

 

 はしゃいでいると、身体が光に包まれ、変身が解除された。

 

「あ」

「まずい!」

「うわあぁぁぁ!?」

 

 ブランは落ちてくるクリストの真下に駆け寄り、受け止めた。

 

「ふぅ……。大した高度は無いとはいえ、怪我されたら困るわ」

「ありがとう……」

「で……どうだった? 使えそう?」

「そうだね……まだ練習は必要そうだけど、きっと使いこなせるよ」

「それは良かったわ」

 

 クリストはブランの腕から降りると信仰の器を優しく握った。

 

「……この力は大切に使うよ。それこそ、ブランがピンチの時とかの」

「ふふっ、頼もしいわ」

 

 二人は笑い合うと、修練所を後にした。

 

 

「それで、名前はどうするの?」

 

 二人はエントランスに続く廊下を歩いていた。

 

「名前?」

「女神化した時の名前よ」

「あー……うーんと……」

 

 クリストはふと、窓の外に目をやった。今日は天気が良く、青空が見えている。

 

「……決めた」

「ん、なんて名前にするの?」

「スカイハート……どうでしょうか」

「スカイハート。いい名前ね。あなたのプロセッサユニットの色とも合ってるわ」

「それに、あの時少し飛んでみてわかったんだ。多分、もっともっと高くまでいける。だからまぁ……うん、そういう事」

「……良いわね。あなたも超高度の景色、見てみるといいわ」

「いつか見るよ。必ずね」

 

 ブランに別れを告げて教会を後にした。憧れていた存在に近付けた喜びと、新しい力への期待感に満ちたまま、クリストは帰路に着いた。




スカイハートの設定について補完を……
鞘が翼になる関係上、武器を抜いていないと飛行能力は皆無。刀を一本抜く(翼三枚の状態)だけだと、高層ビルを越す程度の高さだが、翼が全てある状態だと高度の制限が無くなる。
全体的なスペックは本物の守護女神、及び候補生には劣る点が多い。しかし、飛行能力だけはずば抜けて高く、翼が六枚ある状態であれば、他をよせつけない高速飛行が可能になる。
武器は合体させると双刃刀(ナギナタ)になり、融合させると大太刀になる。
擬似シェアは本物とは性質が異なるため、アンチクリスタルの影響を受けないという長所がある。

と言った感じでしょうか。出したかったから出した、そんな姿です。
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