女神の従者の願うこと   作:よっしー希少種

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 ここからはスローペースな更新になるかもです。連載モノもう一個抱えているので……


2.名を得る複製体

 翌日、ブランは他国の女神達に連絡を入れた。

 

「……という事よ」

『まぁ……クリストちゃんが……』

『そこじゃないでしょ。いや、それもだけど……アンチクリスタルの力を使うって本当?』

『そうだよ。ブランが疲れてたからそう感じたんじゃないの?』

「いや……間違いないわ。あなた達もやられてみればわかるわ」

『そんな野蛮な……』

 

 四人はそれから対策を話し合った。結果、やはり拠点を叩くことが一番という結論に至った。

 

『とにかく、元凶を叩く必要があるわね』

『私達も協力しますわ。そんな危険な存在、放っておけませんわ』

『じゃあみんな頑張ってね〜。わたしは来るべき決戦に備えて支度するから〜』

「おい、何様のつもりだ」

『果報は寝て待て、って言うでしょ?』

「サボる気満々じゃねーか!!」

 

 何はともあれ、ブランは女神達の協力を得ることができた。

 

「はぁ……私の方も頑張らなきゃ……」

 

❅

 

「はい、ご飯だよー」

「……」

 

 トーシャは鉄格子の下から食事を入れた。

 

「大丈夫、毒も薬も入ってないよ〜」

「……あれはどうなったの?」

「複製体の事? あれならルウィーの教会で挨拶を済ませてきたとこらしいよ」

「ブラン様達に何もしてないな?」

「それはわからないなぁ」

「……」

 

 クリストはトーシャを睨んだ。

 

「ただいま〜」

「お、ウワサをすればなんとやら」

 

 牢の前にもう一人のクリストが現れた。

 

「お前……」

「やぁクリスト。元気?」

「元気に見える?」

「全然」

「クリストって?」

「こいつの名前。女神もそう呼んでた」

「ほう」

 

 もう一人の方はやたら楽しそうにニコニコしている。

 

「ところでさぁ、トーシャ」

「何?」

「私も名前欲しい」

「いきなりだね。でも確かに、区別できた方が良いか……うーん…………」

「せっかく瓜二つなんだからって似た名前がいいな」

「……じゃあ、最近読んだ本に出てきた名前から……エクストなんてどう?」

「エクスト……悪くない!」

「じゃ決定〜」

(えらくあっさり決まったな……)

 

 楽しそうに会話をする二人をクリストは黙って眺めていた。

 

「あれ、ご飯食べないの?」

「食べる空気じゃないでしょ」

「あー悪いね。ほら、行くよエクスト」

「はーい」

 

 二人は牢の前から立ち去った。クリストは静かになった空間で、少し冷めた食事を口に運んだ。

 

❅

 

 牢の生活は快適だ。快適過ぎて怖いくらいには快適。今も牢に備え付けのシャワーを浴びている。

 

「はぁ……今頃ブラン様達何してるかな……」

 

 側近として、傍に居られないのは不甲斐なさを感じる。

 

(早く出る方法を探さないと……でも食器は使い捨てだから殺傷能力無いし、魔法使えないんじゃ壁も破れない。うーん……)

 

 ふと、鏡を見ると、背後に何かいるのに気付いた。白髪で片目が紫の女の子。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」

「うるさい! 急に叫ばないで!」

「いやいやいや! 何で君がここに居るのさ!」

「背中流してあげようと思って。ほら、私はあなたであなたは私だし」

「ちょっと意味わかんない!」

 

 クリストはエクストの方を見る。どこを見ても自分と同じ存在というのはやはり慣れない。双子と思い込めば良いかと思ったが、情が移るのは嫌なのでやめている。

 

「なんの用?」

「話したいことがあってさ」

「何?」

「ちょっと手合わせしてみない?」

「は?」

 

 エクストはニヤッと笑うと、話を続けた。

 

「あなたは普通の人間だから、アンチクリスタルから受ける影響は女神より小さい。なら戦ったって問題ないでしょ?」

「……やるメリットはあるの?」

「勿論。あなたが勝ったらここから出してあげる

「……!」

「女神に対しての脅威を排除して、女神の元に帰れる。それって素晴らしい事だと思わない?」

「……負けたら?」

「負けたらまたしばらくここに居てもらう事になる」

 

 エクストはクリストの肩に腕を置いた。そして耳元で囁くようにして聞いた。

 

「どうかな……?」

 

 シャワーの音だけが響く。今のクリストに迷いはなかった。何を企んでいるかわからないが、勝てばいいのだから。

 

「わかった。その話乗った」

「うんうん。じゃあ明日やろうか〜」

 

 エクストの手がクリストの背中を撫でる。何かヌルヌルした液体が付くのを感じる。

 

「うわぁ! 何塗ってんの!」

「ボディーソープ」

「勝手に塗るな!」

「背中流してあげようと思ってって言ったじゃん……」

「だからっていきなりやるか!?」

「まあまあ」

 

 エクストはクリストにバックハグをした。

 

「自分に体流して貰うなんて滅多に無いことだよ? 貴重な経験だよ?」

「遠慮しとく! てか離れて!」

「なんでぇ」

「いくらなんでも……裸でくっつくのは……」

「………………ほぉーー」

 

 エクストは楽しそうな声でクリストの体を撫でる。

 

「ウブだねぇクリストちゃんは♪」

「やめろって!!」

「遠慮しないで。私とイイこと……しよ?」

「ダメダメダメダメ!! それは絶対ダメ!!」

「あっはっはっはー! 何マジな反応してんの!? チョーウケる!!」

「この……クソガキィ!!」

「自分の幼女体型認めたか」

「黙れェ!!!!」

 

 二人の喧嘩(?)はこの後しばらく続いたとか……。

 

❅

 

「あー楽しかった」

「エクスト、何で裸で歩いてんの? しかも濡れてるし……お風呂はさっき入ってたよね?」

「約束してきた」

「はいぃ???」

「とにかく、明日訓練室使うけどいいよね?」

「構わないけど、何するの?」

「私の力を……引き出すの」




 なおエクストはクリストをからかっただけで、恋愛感情的なやつは抱いていません。
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