女神の従者の願うこと   作:よっしー希少種

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 ネプシスですか? 私はSwitchユーザーなので……。代わりに夜道を廻るゲームしてます。超楽しいです


3.同じだから

 次の日、クリストとエクストは建物内の使われていない大部屋に来ていた。エクストは昨日までと違い、紺の軍服のような服に裏地が赤色のスカートを身につけていた。

 

「この部屋……いや、そもそもこの建物自体かなり頑丈らしいよ。実験で失敗しても簡単に吹き飛ばないようにだって」

「はぁ……」

 

 エクストはクリストに背を向けたまま話す。その姿を見ながら、クリストは密かに鍔を弾く。

 

「おっと、無駄話は不要って? 良いよ。始めようか」

 

 エクストは振り向くと、腰に差していたダガーを手に取った。黒い鞘の中から、紅い刃が現れる。グリップ部分に、何かを差し込めそうなスロットと、トリガーが付いている。

 

「刀じゃないんだ」

「差別化だよ。全部一緒は嫌でしょ?」

 

 お互い、武器を握って構える。

 

「さぁ来い」

「いざ……!」

 

 クリストは一気に距離を詰めると、エクストへ二本の刀で攻撃を仕掛けた。エクストは連撃をかわし、いなしてやり過ごす。

 

「いい太刀筋だ。悪くない」

 

 鍔迫り合いになりながら、エクストが呟く。

 

「ただ、なぁ……私には及ばない」

「なんだって……?」

「ふっ……油断しちゃダメだよ?」

 

 エクストは剣を回し、鍔迫り合いを解き、今度は攻めに転じた。

 

「くっ……」

「凌げるよね? 二本あるもんね」

(短剣だからかな……二刀に劣らない手数だ……)

 

 クリストは一度強く弾いて距離を取ると

 

「『飛燕氷牙』!」

 

 スキルによる攻撃をしかけた。対するエクストは

 

「よっ!」

 

 ダガーで軌道を逸らしつつ避けた。

 

「避けるとは思わなかった?」

「……いや、想定内だよ」

「なんだぁ……」

 

 クリストは刀を納刀し、左腰に差している刀の柄に手を添え、構えた。

 

「もう良いでしょ。これで決着をつける」

「居合いか。良いだろう」

 

 エクストはダガーを逆手に持ち、一度深呼吸をする。

 

「……『居合・」

 

 鍔を弾く。氷の魔力を込めた冷たい刃が辺りの空気を冷やす。

 

「氷華一文字』!!」

 

 全力で、高速の居合い斬り。刃の軌道は確かにエクストの胴を捉えていた。

 

「……そこっ!」

 

 金属同士がぶつかり合う音が響く。エクストはクリストが振るのと逆向きにダガーを振り、居合斬りを阻止すると同時に、反動も利用して大きく飛び引いた。

 

「は……?」

「すごいでしょ。……半分賭けだったけど」

 

 エクストはダガーを回しながら話す。

 

「さて、私はあなたのスキルを相殺しました。スキル使わずに。実力差は証明できたと思うけど……どうする? 負けを認めて降参する?」

「……いや」

 

 クリストはいつの間にか水色の陣羽織を羽織っていた。

 

「まだ、ここからだから……」

 

 そして篭手、臑当、兜を生成し身に付け、大袖の形をしたシールドを二つと、氷の刀を四本、背後に浮かせる。

 

「おぉ、本気か」

「あぁ、ここからは私のステージだ!」

 

 水色の瞳はエクストを睨みつけた。氷魔覚醒。クリストが氷晶の陣羽織を羽織り、魔力を大幅に増幅させた強化形態。

 

「はっ!」

 

 向上した身体能力を活かし、より速く、強い連撃を叩き込む。

 

「おぉっ!?」

 

 エクストも負けじと防ぐ。しかし、さっきよりも明らかに余裕が無い。ギリギリ刃がエクストの体には届いていないが、このまま押され続ければ負けるのは確実。エクストはダガーで攻撃を受けた瞬間、体を前に動かし、鍔迫り合いにもちこんだ。

 

「なるほど……強い……」

「話す余裕あるんだ」

 

 四本の氷の刀がエクストの頭上から降り注ぐ。

 

「っ!」

 

 エクストはクリストを思いっきり押し、前に避けた。氷の刀はエクストの背中を掠め、地面にぶつかり砕けた。

 

「くっ……そ!」

 

 クリストの右下からの切り上げ。

 

「ふうっ!!」

 

 エクストの右上からの切り下がり。刃同士が激しくぶつかる。エクストはクリストの方が力が強いことを利用し、衝撃も利用して後に飛び引いた。

 

「はぁ……はぁ……あーヒヤヒヤした……」

「にしてはまだ余裕ありそうだね」

「……」

 

 エクストは一つ、大きく深呼吸をした。

 

「……わかる?」

「やっぱりね。一体どこからその余裕が来るんだか……」

「……確信したから、かな」

「?」

 

 エクストが指を弾くと、彼女の手の上に布が現れた。黒色の畳まれた布だ。

 

「あなたがそういうの出来るなら、私も似たような事出来るはずだよね。だって、私はあなたで、あなたは私だもん」

「なっ!?」

「さぁ、宵闇のマントよ……アンチクリスタルの力を増幅させ、私に更なる力を授けよー!」

 

 エクストは黒い布、宵闇のマントを羽織った。

 

「っ! させない!」

 

 クリストは攻撃で阻止しようとしたが、目の前に現れた紅い結晶によって阻まれた。その結晶は四つに分かれると、紅いガントレットとグリーブを形作り、エクストの四肢を覆った。更に、右の瞳孔の色が赤に染まる。

 

「反晶覚醒……どう? かっこいい?」

「強化形態……!?」

「ふふーん。マルチウェポンスタイルだよ。イカスでしょ?」

「え……? マルチ……ウェポン?」

 

 クリストはエクストの体をよく見た。が、武器はダガー以外見つからない。

 

「マルチウェポンだよ?」

「どこが」

「これが」

 

 エクストが見せたのは、小さなゲームカセットのような物体。

 

「……巫山戯てる?」

「まさかぁ。今からこの物体……超容量メモリーカセットの真価をみせてあげるよ」

 

 エクストはカセットをスロットに差し込む。

 

「ん……安定して出せるのはまだこれだけか……ま、いいや。メモリーカセット第三出力!」

 

 トリガーを押すと、ダガーが光に包まれる。そして現れたのは、白い刃を持つ灰色の戦斧。そのシルエットはどことなく、ホワイトハートが使う戦斧に似ていた。

 

「こういうこと……さ」

「それ……!」

「うん。あなたの記憶の中に一番鮮明に残ってた女神の武器だよ」

「こいつ……!」

「ふふん。さ、紹介は終わったし……」

 

 エクストは戦斧をクリストに向けた。

 

「来な! 反晶覚醒の初陣といこうか!」

「……ここで黙らせる!」

 

 クリストは一気に距離を詰め、二刀での攻撃を仕掛けた。エクストは戦斧で合わせる

 

(同じだ……重いし硬い……!)

 

 一度と距離を取り、今度は氷の刀も同時に向かわせる。エクストは軽々と戦斧を振るうと、氷の刀を粉砕。続くクリストの攻撃もそのまま受けた。

 

「ダメだねぇ」

「はぁ?」

「そんな怖がってちゃあさぁ……」

「……!」

 

 図星だった。見た目の威圧感と、格上の敵に強化形態の存在を教えてしまった事で、クリストの心は恐怖と焦りに支配されていた。

 

「刀を見ればわかる。さっきよりも全然弱い。精神状態が現れてるよ」

「う……うるさい!」

「図星かなぁ?」

「っ……黙れぇ!!」

 

 感情に任せた斬撃を放つ。エクストはそれをバク宙で回避。エクストの下を二本の白い刃が通る。着地と同時に、戦斧を片手で振り、遠心力も利用してクリストに重たい一撃を与える。防御する隙を与えない迅速な反撃を、クリストはモロに受けてしまう。

 

「……っ!」

 

 そのまま横に大きく吹っ飛び、壁に激突する。全身が砕けそうなくらいの痛みが走る。

 

「さ、どうする? ここで負けを認めるのが良いと思うけど?」

(負けを……そしたら……いや、ダメだ。ここで倒さないと……ブラン様達が!)

「まだ……負けてない……!」

 

 体を無理矢理動かし、フラフラと立ち上がると、エクストに刃を向けた。

 

「……失望した。あなたはもっと賢いと思ってたのになぁ」

 

 呆れたように小さくため息をつく。

 

「いいよ。その無謀な勇気、一撃で砕いてやるから」

 

 エクストは戦斧のスロットのボタンを押した。戦斧が光に包まれ、元のダガーが現れる。

 

「……来い」

「……『居合・氷華一文字【徒花】』!!」

 

 クリストは臆することなくスキルを放った。神速の刃がエクストに迫る。

 

「……」

 

 エクストはダガーを左手に持ち、右手のガントレットで攻撃を受けた。完全には防ぎきれず、ガントレットはヒビが入り、凍りついてしまった。だが、問題は無い。そのまま左手に持ったダガーをクリストの左眼へ向かわせる。

 

「あ……っ」

 

 一瞬、何が起きたのかわからなかった。眼前にダガーが見えた瞬間、視界の左半分は闇に閉ざされた。

 

「ふっ!」

「っ!? あぁっ!!」

 

 左眼に走る、抉られたような激痛、頬を液体が伝う感覚、理解した頃には、恐怖心に支配されていた。エクストはクリストの左眼からダガーを抜くと、スカートで血を拭い、鞘に戻した。

 

「今回は片目で勘弁してあげるよ。ふふ……可愛い顔に傷が付いちゃったね〜」

 

 恐る恐る、左眼をおさえる。手が血で染っていく。

 

「ひっ……はっ……ぁ……」

 

 クリストは精神を落ち着かせようと、深呼吸した。痛みに耐えようと俯いたその時、指の間を何か固形物が通って落ちた。血溜まりの中に落ちたそれは、砕けた眼球の欠片だった。驚いて手を離すと、残りの欠片も血溜まりに落ちた。

 

「ちゃんと眼球は砕いてあげたからね」

「ひっ……え……?」

「最後に……」

 

 エクストは血溜まりの中の眼球を思いっきり踏み潰した。

 

「こうしておけば目は治せない。回復魔法は欠片からの再生は出来ても、無からは流石に無理だからね」

「あ……あぅ……」

「さて、もう戦える精神状態じゃなさそうだし、私の勝ちでいいよね?」

 

 クリストは答えなかった。ただ、エクストを見る怯えた目が戦意がない事を伝える。

 

「……うん、大丈夫。伝わったよ。じゃ、私はやる事が出来たから、後はトーシャを頼ってねー」

 

 エクストはクリストに向かってヒラヒラと手を振ると、部屋を出て行った。

 

 

「場所は?」

『バッチリですわ』

「ありがとう。ノワールとネプテューヌは?」

『ネプテューヌがやりたい事があるって、ノワールを巻き込んで何かしていて……』

「繋がらない……と」

『えぇ。全く何をしているのやら……』

「……早めに繋がることを祈るしか……ん?」

 

 ブランは部屋の外がやたら騒がしい事に気付いた。人の声に混ざって、氷が砕ける音もする。

 

『ブラン?』

「……まさか!」

 

 部屋の扉を突き破り、ホワイトシスターロム、ラムが変身解除しながら飛んでくる。

 

「い……た……」

「うぅ……力……が……」

「ロム! ラム!」

 

 ブランは二人に駆け寄った。致命的な外傷は無いが、かなり辛そうにしている。

 

「お、見つけたよぉー」

「やっぱお前か……」

 

 扉の向こうから歩いてきたのは、紺の軍服に身を包んだ少女。

 

「私だよ。あ、名前もらってからは初対面になるかな? エクストだよ〜」

「……何しにここに来た」

「言わなくたって分かるでしょ?」

 

 エクストは宵闇のマントを羽織りながら、ブランにダガーを向けた。

 

「ルウィーの守護女神ホワイトハート……まずはあなたから殺す」

 

 次々と防具を身につけ、強化形態である反晶覚醒へ移行した。ブランもホワイトハートに変身し、戦斧を構える。

 

「上等だ。テメェはここでぶっ潰す」

「良いね。さ、本気でいくよ!」

 

 二人は同時に前進、戦斧とダガーが激しくぶつかり合った。

 その様子を、モニター越しにベールは見ていた。

 

「大変な事になっていますわね……。私も向かいませんと」

 

 ベールは通信を切ると、グリーンハートに変身し、ルウィーへと翔んだ。




 やっぱオリ主は虐めるに限りますね。オリ主だから好き放題しても誰にも文句言われる筋合いはありませんから。
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