女神の従者の願うこと   作:よっしー希少種

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6.奪還作戦決行

「これから、クリスト奪還作戦を決行するわ」

「お姉ちゃん……」

「私達しか居ないよ?」

 

 イストワールからエクストがこの次元を離れたという情報を聞き、ブラン、ロム、ラムの三人は前に特定していた反女神組織の拠点と思われる建物の前に来ていた。まだ女神化はできないため、それぞれ店売りの武器を持ってきている。

 

「仕方ないわ。エクストが別の次元に渡った今、警戒を緩めるわけにはいかないからね。拠点に一番近い私達がクリストを奪還。その間他のみんなでエクストの動向を調査、これしかないのよ」

「そっか……」

「側近さん、大丈夫かな……(そわそわ)」

「大丈夫じゃなかったら……攫ったやつに地獄の苦しみを与えてやるよ」

「お姉ちゃん……怖い」

 

 三人は入り口に近付く。見張りや罠の気配は全く無い。

 

「私が扉を破るわ。中に入ったら、私が先頭を行くから、ロムとラムは魔法で援護をお願い。魔力切れに注意して」

「わかった!」

「頑張る……!」

「よし、いくぞ!」

 

 ブランはハンマーを大きく振りかぶり、思いっきり振り切った。入り口の扉は派手に砕け散った。

 

「いくぞ!」

「続けー!」

「ごー!」

 

 

 今から少し前、またクリストとトーシャは話をしていた。

 

「まだ帰ってないんだ」

「うん……」

「はぁ……大変な事になったね……」

「どうしようどうしよう……このまま別の次元でも被害を出したりしたら……」

「なんかもう……同情するよ……」

 

 トーシャは大きな溜息をついた。相当精神的にきているようだ。

 

(このままこの話題で続けたら病みそうだな……話題少し逸らすか)

「て言うか、エクスト無しに自衛って出来るの?」

「無理。今女神に攻められたりしたら簡単に落ちる」

「そっか……。あ、そう言えばさ、前に複製が得意って言ってたじゃん?」

「うん」

「それで私の左眼、何とか出来ないかな?」

「……眼球の複製自体はできるよ」

「本当?」

「代わりに、サンプルとしてもう片方の目を抉ることになるよ」

「……ごめん、止めとく」

 

 二人の間に沈黙が流れる。そんな中、遠くで何かが壊れるような音がした。

 

「な、何だろう」

「はぁ……年貢の納め時かな」

 

 トーシャは白衣のポケットから鍵を取り出すと、鉄格子の鍵を開けた。

 

「え?」

「行きなよ。多分女神だ。早く帰りな?」

「……」

「行かないの?」

「いや……」

「まさか情が移っちゃった?」

「……」

「仮にも敵なんだよ。見捨てて早く行きな」

「お姉ちゃん、こっちに部屋ある!」

 

 聞きなれた、でも久しぶりに聞くような声。間違いなく、ラムの声だ。

 

「居た! あんたが主犯ね!」

「待ちなさいラム。何をしてくるかわからないわ」

「早く……側近さんを出して」

 

 牢屋の中からではわからないが、外には確かにブランとラムとロムが居る。女神を前に、トーシャは黙って両手を上げた。

 

「……?」

「降参だよ。あなた達の側近ならこの牢に居る。鍵はあいてるよ」

「罠か……」

「そう思うならそれでいい。だったら私を今すぐ殺せばいいじゃないか」

「……」

 

 ブランはトーシャの前に立つと、ポケットから手錠を取り出し、トーシャの両手首を繋いだ。そして、牢の中に視線を送る。

 

「ブラン様……」

「クリスト……」

 

 ブランは牢の中に入ると、クリストの左瞼を撫でた。そしてグッと唇を噛む。

 

「ごめんなさい……」

「え……」

「守れなくて……」

「いえ……私の無謀さ故に失ったんです。気負わないでください」

「……」

 

 ブランはクリストの手を握った。

 

「まずは、教会に帰りましょうか。話は後で聞くわ」

「はい……」

 

 ブランとクリストは牢から出た。

 

「「側近さん!」」

 

 すぐにロムとラムが駆け寄ってきた。クリストが左眼を瞑っていることに驚いたのか、少し表情が固くなる。

 

「本当に……片目……」

「大丈夫ですよ。少し、慣れましたから」

「な、治さなきゃ……」

「すいません、もう治らないんです……」

 

 トーシャは黙って会話の様子を見ていた。やがて、ブランが手錠を握った。

 

「お前もだ。今回の件について、洗いざらい話してもらうからな」

「わかってる……」

 

 そして五人は研究所を去った。

 

 

 その日の夜、ブランはフィナンシェを呼び出した。

 

「クリストの様子、どうだった?」

「目立った外傷などはありませんでした。ただ、やはり片目を失った事に関してはトラウマになっているようです……」

「やっぱり……これは少し休ませないとダメね」

「それが良いと思います。その間私がブラン様のお手伝いをしますので」

「いや、フィナンシェはクリストについてて。あの娘、時々無茶する時あるから……」

「……ブラン様の方は大丈夫なのですか?」

「元は側近なんて居なかった訳だし、一人でも仕事はこなせるわ。安心して」

「わかりました」

「後は話すことは無いから、今日はゆっくり休みなさい」

「ありがとうございます。では、おやすみなさい」

「えぇ。おやすみ」

 

 フィナンシェは部屋を後にした。

 

(エクストもいつ来るかわからないし、対策会議もしなきゃならないわね)

 

 ブランは時計を見た。22時15分。普段ならまだ寝る時間では無い。

 

(明日から忙しくなりそうだし……今日は私も休もうかしら)

 

 ブランは寝る前の読書もせずに、ベッドに入った。

 




 この小説、20話いかずに終わりそうな気がしてきた。ど……どうしよう……
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