遊戯王マスターデュエル とあるシャドール使いの格付戦奮闘記 作:咲夜泪
《召喚獣メルカバー》
融合・効果モンスター
星9/光属性/機械族/攻2500/守2100
「召喚師アレイスター」+光属性モンスター
(1):1ターンに1度、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)の手札を1枚墓地へ送って発動できる。
その発動を無効にし除外する。
『召喚シャドール』の頼れる相棒。
基本的に《エルシャドール・ミドラーシュ》の隣に立てておくと相手は苦悶する。
が、使ってる側としては手札にある種類しか無効除外出来ないので、実質無効にできるのはモンスターor魔法の2択だったりする。
コスト無しで万能無効使えるヤツが羨ましい。
――季節は移り変わる。
4月が終わり、5月となり、本家のOCG版では新たな『暗黒期(スプライト)』の襲来に恐れ慄いている中、『遊戯王マスターデュエル』のランクマッチは煮詰めに煮詰め切った地獄の釜となっていた。
まず変更点は1つ、いや、2つか。
今までプラチナ帯が最高ランクだったが、その次のランク、ダイヤモンド帯が実装された。
これだけなら今までプラチナ帯にいた猛者がそのままダイヤモンド帯に行くだけだろうと思われた。だが、2つの要因で現状は蠱毒の様相となっていた……!
1つ目は同じランクとしかマッチングしなくなった事。
今まではプラチナ1だったとしてもプラチナ5に当たったり、逆も然りだった為、悪く言えばプラチナに上がったばかりの者と多く当たって楽に勝ち進める場合もあった。
だが、突如サイレント修正され、プラチナ1はプラチナ1としかマッチングしなくなり――デッキの質は元より、決闘者としても同レベルかそれ以上の者としかマッチングしなくなった。地獄かな?
2つ目は『遊戯王マスターデュエル』における初の制限改定。
これにより大きく弱体化を余儀なくされたTier1デッキが存在する。そう、《サイバー・エンジェル-弁天-》が制限にされた『ドライトロン宣告者』である。
……敵対側としては、明らかに甘い制限改定だった。《サイバー・エンジェル-弁天-》が制限になっても1ターン目から5妨害立てられるし、少し手札誘発に弱くなった程度の誤差だ。
だが、その制限改定の実行日が5月9日――ランクマッチの切り替えが5月1日なのに、9日ぐらい猶予があったのだ。
そうなると弱体化前にダイヤモンド1まで登り切ってしまおうと考えるのは決闘者として当然の考えであり、高ランク帯のランクマッチは10戦中7戦以上『ドライトロン宣告者』に当たるという地獄と化した!
「いやまぁ、コイントス切断対策はされたから以前より先攻『ドライトロン宣告者』に当たる確率は減ってるんだけどね!」
それでも6回連続コイントスに負けて『ドライトロン・ドライトロン・ロンゴミ・ドライトロン・アダマシア・ドライトロン』に当たり続けて先攻制圧され、プラチナ1からプラチナ4まで転落し続けた時は正直心が折れそうになったね!
もはや相手は確実に『ドライトロン宣告者』だという前提で覚悟しておいた方が良い環境である。
ただ、誰もがテンプレ的な動きしかしない訳ではない。まさかの《幻獣機アウローラドン》を使って墓地に事前に送り込んだ『虚無空間』を回収して壊獣対策の特殊召喚まで封じられたり、《ユニオン・キャリアー》を使って《崇光なる宣告者》に《B-バスター・ドレイク》を装備して魔法カードの効果を無効にして『超融合』『冥王結界波』『禁じられた一滴』への対策を講じたり――《ラーの翼神竜-球体形》で纏めて処理出来たのは非常に運が良かったね、うんうん。まさに神のカードだね! ……本体? 未実装だよ。早くエラッタして。
――先攻取られて先攻制圧され、先攻取ったのに手札事故って『我はこれでターンエンド』でドローゴーして後攻1キルされたりしたが、何とかプラチナ1――あと1勝でダイヤモンド帯に突入という処まで這い上がってきた……!
長く苦しい戦いだった。――さて、此処で1つ、『ガチ勢が密集し、地獄の釜と化しているランクマッチ』に何故走り続けているのか、疑問に思う者もいるだろう。
少し待てば制限改定で他のデッキが弱体化される。『芝刈り召喚シャドール』に関しては被害0、他のトップ勢が軒並み弱体化食らう予定なので逆に強化だね。……流石に『エルドリッチ』の《黄金郷のコンキスタドール》の制限は何か違うような……? 脱獄犯(『王宮の勅命』《十二獣ドランシア》《真竜皇V.F.D.》《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》 )の禁止を真っ先にすべきだったと思うが。
更に待てば待つほど上のランクに人が多くなり、言い方が悪いが、勝ちやすい相手も増える。上旬と下旬ではランクマッチの難易度は天と地ほどの差があると言っても過言じゃない。
更に更に言えば、ダイヤモンド帯に行く理由も特に無い。報酬のジュエルも些細な量であるし、上に行けば行くほど『楽しいと思えるデュエル』から遠ざかるかもしれない。ワクワクを思い出せなくなった決闘者は基本的に眼が死んでいるよ!
「まぁ理由なんて特に無いよね。こういうのは登山家と一緒で、山(結末)があるから登る(ランクマる)だけだし」
現状こそがより困難な道程であるが、逆に考えるんだ。全盛期の『ドライトロン宣告者』とデュエル出来る最後の機会であると。
そういう絶対的強者をぶちのめさないと得られない心の栄養素が此処にあるんだ……!
「……って、さっきと同じ相手――『ドライトロン宣告者』確定じゃないか。でも珍しく先攻っと」
初期手札は《幽鬼うさぎ》『強欲で貪欲な壺』『隣の芝刈り』『召喚魔術』『冥王結界波』……ふむ、微妙。現状、選択肢は2つだけ、『強欲で貪欲な壺』と『隣の芝刈り』、どっちを先に使うかという運命の選択肢だ。
最大効率を求めるなら先に『隣の芝刈り』を使ってから『強欲で貪欲な壺』だ。『強欲で貪欲な壺』を先に使うと『隣の芝刈り』で墓地に送れるカードの枚数が12枚少なくなる。
「いや実はこれ、悩むまでもないんだけどね――魔法カード『強欲で貪欲な壺』を発動、コストでデッキから10枚除外」
『手札から《灰流うらら》を捨てて効果発動、デッキからカードを手札に加える効果を無効にする』
もうこのランク帯になると相手が確実に《灰流うらら》以上を握っているという前提で動くべきだろう。
2枚ドローで引いたキーカードに《灰流うらら》を使うか、それをドローされる可能性を事前に潰すか。大抵選ばれるのは後者だろう。既にキーカードを握っている可能性は無視せざるを得ない。
「魔法カード『隣の芝刈り』発動、デッキから10枚墓地に送る」
墓地に送られたカードは『神の写し身との接触』《召喚師アレイスター》『強欲で貪欲な壺』『冥王結界波』『ルドラの魔導書』《灰流うらら》《ラーの翼神竜-球体形》《PSYフレームギア・γ》『ルドラの魔導書』『墓穴の指名者』……嘘だろ、『シャドール』モンスターカード1枚も落ちなかった!?
一瞬動揺するも……《召喚師アレイスター》と光属性の《PSYフレームギア・γ》が墓地に落ちている! よっしゃ、『シャドール』ルートに欠片もアクセス出来ないが、動けるぞー!
「手札から魔法カード『召喚魔術』を発動、墓地の《召喚師アレイスター》と光属性《PSYフレームギア・γ》を除外して融合召喚、レベル9《召喚獣メルカバー》!」
……相手に反応無し。唯一の懸念点だった《増殖するG》無し。《召喚獣メルカバー》が着地したのでもう手札誘発は怖くない。《朱光の宣告者》なら2枚損失になるので是非とも打って貰いたい。……捨てるカードが《イーバ》の場合は許されない。
さて、召喚権を使わずに《召喚師アレイスター》が除外され、墓地に『召喚魔術』があるという事は――。
「墓地の『召喚魔術』の効果発動、除外された《召喚師アレイスター》を手札に、墓地の『召喚魔術』をデッキに戻す。――《召喚師アレイスター》を通常召喚してデッキから『召喚魔術』を手札に加える!」
さて、私のEXデッキの構成だが、リンクモンスターは2体、シンクロ1枚、残り全部融合モンスターという構成だ。『召喚シャドール』として極めて『召喚獣』モンスターを多く採用している型である。
「《召喚師アレイスター》1体でリンク召喚、召喚条件はレベル4以下の魔法使い族モンスター、リンク1《聖魔の乙女アルテミス》!」
足りない光属性を自己配給、そして此処から出る融合モンスターは当然!
「魔法カード『召喚魔術』発動! 墓地の《召喚師アレイスター》とフィールドの光属性《聖魔の乙女アルテミス》を除外して融合召喚! 2体目の《召喚獣メルカバー》!」
当然2体とも守備表示。守備力2100という脆弱さを晒す事になるが、魔法カード『ライトニング・ストーム』対策の方が優先である。
「これでターンエンド!」
『芝刈り召喚シャドール』
LP8000
手札2枚(《幽鬼うさぎ》『冥王結界波』)
EXモンスターゾーン
無し
メインモンスターゾーン
《召喚獣メルカバー》星9/光属性/機械族/攻2500/守2100
《召喚獣メルカバー》星9/光属性/機械族/攻2500/守2100
魔法・罠カードゾーン
無し
今回は相手が『ドライトロン宣告者』と事前に解っているので、『壊獣』でリリースされる心配は皆無。
手札はモンスターカード1枚と魔法カード1枚。これで相手を止めねば此方が死ぬ……!
『私のターン、ドロー』
相手の手札はこれで5枚、さぁ、どう出る?
『フィールド魔法『竜輝巧-ファフニール』発動』
……なんだっけ、このフィールド魔法。余り見た事無いな。えーと、テキストはっと。
『竜輝巧-ファフニール』
フィールド魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「竜輝巧-ファフニール」以外の「ドライトロン」魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる。
(2):儀式魔法カードの効果の発動及びその発動した効果は無効化されない。
(3):1ターンに1度、自分フィールドに「ドライトロン」モンスターが存在する状態で、モンスターが表側表示で召喚・特殊召喚された場合に発動できる。
このターン、その表側表示モンスターのレベルは、その攻撃力1000につき1つ下がる(最小1まで)。
うーむ? ドライトロン版『暴走魔法陣』? 儀式魔法を無効にして除外する気満々だったが、此処で止めるか……?
いや、通そう。囮の可能性がある。
『効果処理としてデッキから魔法カード『極超の竜輝巧』を手札に加える』
えーと、デッキから『ドライトロン』モンスターを特殊召喚するカードだったか。あれは止め処かな?
『魔法カード『エマージェンシー・サイバー』発動、デッキから《サイバー・ドラゴン》、または通常召喚出来ない光属性・機械族モンスターを手札に加える』
またサーチカードか。これで《サイバー・ドラゴン》をサーチされた経験無いんだよなぁ。此処で止めるか……? いや、これも本命じゃないな。2体《召喚獣メルカバー》がいるのに先に使ってくるカードなんて囮に決まってるだろう。
『《竜輝巧-バンα》を手札に加える』
最優先で止めるべきカードを目視する。普通の無効化では次のターンに墓地から動き出してしまうが、今回こっちにいるのは無効にして除外する《召喚獣メルカバー》だ。『ドライトロン宣告者』と言えども除外ゾーンでは悪さ出来まい……!
『魔法カード『極超の竜輝巧』発動、デッキから『ドライトロン』モンスターを1体特殊召喚する』
さて、これを止めるかどうか考える。
現在、相手の手札は《竜輝巧-バンα》含めて4枚。《竜輝巧-バンα》は確定で無効にするから、残り3枚。
負け筋は此処から《サイバー・エンジェル-弁天-》と儀式魔法を握られたら展開され続けて《ヴァレルソード・ドラゴン》で盤面崩されて《崇光なる宣告者》に蓋される。
「……危険だが、これもスルーだ。《召喚獣メルカバー》の効果を使わない」
『デッキから《竜輝巧-アルζ》を特殊召喚する』
《竜輝巧-アルζ》の効果を使われたら儀式魔法をサーチされるか。うーむ、これ、しくじったか? やっぱり『極超の竜輝巧』で止めるべきだった。
自分のプレイミスで死ぬと精神的に打ちのめされるんだがなぁ……。
『手札の《竜輝巧-バンα》の効果発動、手札の儀式モンスター《竜輝巧-メテオニス=QUA》をリリースし、守備表示で特殊召喚する』
え? 場の《竜輝巧-アルζ》をリリースせずに手札の《竜輝巧-メテオニス=QUA》をリリース? あの儀式モンスターにリリースされた際のアド取り効果は無かったし、これで残りの手札2枚――さては相手、私以上のプレイミスを犯したな?
《竜輝巧-メテオニス=QUA》をリリースせずに場の《竜輝巧-アルζ》をリリースしておけば、《竜輝巧-バンα》の効果を無効にされても墓地の《竜輝巧-アルζ》の効果使えて儀式魔法を手札に加える事が出来ただろうに。
「うーむ? 今まで使ったカードにその展開を遮るデメリット効果は無いな……? 何だろう、何か手札に握ってるのか?」
訳が解らないが、とりあえず――。
「1体目の《召喚獣メルカバー》の効果発動、モンスターカードの《幽鬼うさぎ》を捨てて《竜輝巧-バンα》の効果を無効にして除外する」
無造作に《竜輝巧-バンα》の効果を無効にして除外する。これでもう悪さ出来まい! さぁ、此処からどうする――?
『《竜輝巧-アルζ》1体でリンク召喚、召喚条件はレベル1モンスター1体、リンク1《リンクリボー》』
《リンクリボー》で《竜輝巧-アルζ》を墓地に送り――手札にまだ儀式モンスターか『ドライトロン』モンスター握っていたか……?
『魔法カード『儀式の準備』発動、デッキの7レベル以下の儀式モンスターを1体手札に加える』
ああ、なるほど。これで《サイバー・エンジェル-弁天-》握ってリリースして儀式魔法サーチして――此方の最後の手札がモンスターカードと誤解していたのか。魔法カード止めなかったから。
「2体目の《召喚獣メルカバー》の効果発動、魔法カード『冥王結界波』を捨てて『儀式の準備』を無効にして除外する!」
これで此方の妨害は全て使い切り、相手の手札は1枚……まだ動けるか?
『……私はこれでターンエンド』
『ドライトロン宣告者』
LP8000
手札1枚
EXモンスターゾーン
《リンクリボー》リンク1/闇属性/サイバース族/攻 300
メインモンスターゾーン
無し
魔法・罠カードゾーン
無し
フィールド魔法『竜輝巧-ファフニール』
「しゃーっ、乗り切った―! 私のターン、ドロー!」
引いたカードは《シャドール・ハウンド》か。リバース効果発動すれば墓地の速攻魔法『神の写し身との接触』を回収出来るが、その機会は訪れないな。これは素直に《召喚獣メルカバー》の効果発動コストにしよう。
さて、ターンを跨いだ事により、墓地の『召喚魔術』の効果を使えるようになっている!
「墓地の『召喚魔術』の効果発動、除外された《召喚師アレイスター》を手札に、墓地の『召喚魔術』をデッキに戻す。そして《召喚師アレイスター》を召喚、デッキから『召喚魔術』を手札に加える」
通常召喚権を使うとは言え、この循環が出来るのが『召喚獣』ギミックの強みだ。流石誰でも寝る男《召喚師アレイスター》。
「ただ、ここから出せるのは《灰流うらら》除外して炎属性の《召喚獣プルガトリオ》か……」
相手のフィールド魔法『竜輝巧-ファフニール』があるから打点2600、《召喚獣メルカバー》2体で5000の7600、足りない。《リンクリボー》の効果に《召喚獣メルカバー》の無効効果を使っても仕留められない始末か。……既に『召喚魔術』の《召喚師アレイスター》戻しの効果は使ったから本当にぎりぎり仕留めきれない。
それで手札0枚で相手ターンに渡すなど自殺行為だ。だから此処は敢えて融合召喚しない!
「2体の《召喚獣メルカバー》を攻撃表示に変更――バトル、《召喚師アレイスター》で《リンクリボー》に攻撃!」
『《リンクリボー》の効果発動、相手の攻撃宣言時、このカードをリリースし、その相手モンスターの攻撃力をターン終了時まで0にする』
当然スルー。
「2体の《召喚獣メルカバー》でダイレクトアタック! 5000ダメージだオラァ!」
無難にライフを5000削って――。
「私はこれでターンエンド」
さて、私の手札はモンスターカードの《シャドール・ハウンド》と魔法カード『召喚魔術』だ。これでモンスターカードと魔法カードの効果を1回ずつ無効に出来る!
『私のターン、ドロー』
ラストターンだ、何をしてくる?
『墓地の《竜輝巧-アルζ》の効果発動、手札の《竜輝巧-ルタδ》をリリースし、墓地から守備表示で特殊召喚する』
「当然通さない。1体目の《召喚獣メルカバー》の効果発動、手札のモンスターカード《シャドール・ハウンド》を捨てて効果を無効にして除外する」
此処で相手はサレンダーする。……最後の1枚、結局何だったんだ?
今引いたカードは《竜輝巧-ルタδ》で確定だろうし。
手札誘発ではない、『ドライトロン』モンスター及び儀式モンスター、更には儀式魔法でもないとなると……手札で腐っていた《イーバ》か、手札に天使族モンスターがいない為に効果を使えない《朱光の宣告者》だろうか?
「ふむふむ、『ドライトロン宣告者』でも事故る事あるんだなぁ」
『シャドール』は基本的に3枚初動なので、1~2枚初動のデッキの事故率の低さには羨ましさを感じる。それこそ『隣の芝生』だろうか? 刈らないと。
――ともあれ、これでプラチナ帯から卒業してダイヤモンド帯だー! 目指すは頂、ダイヤモンド1! 何故其処に登るかって、其処が頂点だからさ!
ダイヤモンド帯に突入したので箸休め回の『ドライトロン宣告者』。
実際のデュエルをモチーフにして書くと楽です。
ダイヤモンド帯で連続で同じ人とデュエルする事も珍しくないですが、3回連続『芝刈り召喚シャドール』のミラー対決になってびっくり。
ひそかに『芝刈り召喚シャドール』が宣教されている……!?