遊戯王マスターデュエル とあるシャドール使いの格付戦奮闘記 作:咲夜泪
『隣の芝刈り』
通常魔法(準制限カード)
(1):自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。
デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。
デッキが互いに60枚、あとは言わずもがな。
――ドライトロン・ドライトロン・ヌメロン・ドライトロン・電脳堺・ドライトロン・ロンゴミ・イグニスター・ドライトロン。
地獄のような環境デッキとの殴り合いの果て、ダイヤモンド4まで這い上がり、コイントスが裏で後攻……2分の1の筈なのにやけに裏が出るのは何故だろうか? うわ、私の運命力低すぎ?
「……完璧な手札だ」
初期手札、『超融合』『影依融合』『影依融合』『冥王結界波』『神の写し身との接触』、見事な緑一色である。
相手がどんなに展開しようが捲れるぞー! この場合は『ドライトロン宣告者』は鴨だね鴨!
『私のターン。カードを2枚伏せてターンエンド』
え? 何も展開して来ない? もしや『エルドリッチ』? ダイヤモンド帯に生きていたのか!?
「わ、私のターン、ドロー!」
引いたカードは《増殖するG》……何一つ動けねぇよ!? そんな馬鹿な!?
「我はこれでターンエンド」
まさかの後攻でのドローゴーである。これは死んだな。サレンダーの準備は既に整っている。
『私のターン、ドロー。ターンエンド』
「え?」
相手もドローゴー!? どういう事? 『エルドリッチ』じゃない? メタビート系のデッキか?
「わ、私のターン、ドロー」
早くも4ターン目。自分の引いたカードは《原始生命態ニビル》……またもや動けねぇじゃないか! 『シャドール』モンスターが1枚でも来ればとりあえず動けるのに……!?
「ぐぬぬ、手札が7枚になっちゃったし、『神の写し身との接触』を伏せてターンエンド」
事故りすぎて普通のデュエルなら5回は殺されてるぞ!?
『私のターン、ドロー。カードを1枚伏せてターンエンド』
んー? なんか見覚えあるような動き。何でだろう、凄い既視感を覚える。
これはメタビート系でも無い? 何だこれ、一体何のデッキなんだ?
「私のターン、ドロー」
引いたカードは罠カード『影光の聖選士』……だから『シャドール』モンスターがいないと一切動けないんだよ!? どうなってるの、我がデッキ!?
「また手札が溢れるなぁ……『影光の聖選士』を伏せてターンエンド」
伏せても発動出来ないカードが2枚。なぁにこれぇ?
『私のターン、ドロー』
おかしい、もう既に7ターン目だ。何なのだ、この状況は。相手のデッキは何なんだ!?
『フィールド魔法『暴走魔法陣』を発動、効果処理として《召喚師アレイスター》をデッキから手札に加える』
ミラーかよ!? この既視感ってまさか……同様の手札事故をしていたというのか!? 文字通りの鏡写しかよ!?
しかし、非常にまずい。これで相手に先手許してしまった。『超融合』も除去されたくないから伏せてないからこのターン、私は何も出来ないぞー!
『《召喚師アレイスター》を通常召喚、効果発動でデッキから魔法カード『召喚魔術』を手札に加える』
「チェーンして手札から《増殖するG》を捨てて効果発動、相手がモンスターを特殊召喚に成功する度にカードを1枚ドローしなければならない」
《召喚師アレイスター》を見たら即座に《増殖するG》を投げないと間に合わないぞー。チェーンブロック作らずにリンク召喚してくるし。
これで相手が《召喚獣メルカバー》まで出してきたら2枚ドロー出来るし、その2枚で何とか打開札を引きたい。
『――バトルフェイズに移行。《召喚師アレイスター》でダイレクトアタック』
「んな、融合せずに直接殴ってきた!? 痛ぇっ!?」
『ターンエンド』
これで此方のLPは7000、このターン展開しなかったか……!? 無防備だと言いたいが、思い切りの良いプレイングだ。
「私のターン、ドロー!」
此処で私が引いたカードは魔法カード『隣の芝刈り』! よっし、此処でエンドカードを引けたのはでかい! これで一気に形勢逆転だ!
「私は魔法カード『隣の芝刈り』を発動! 相手のデッキ差分のカードをデッキから墓地に送る!」
相手は何もしない! よっし、勝った! 第三部完!
――デッキから墓地に送られたカードは2枚目の『影光の聖選士』、この1枚のみ。
「……え? ほわい?」
あれ、相手のデッキ枚数……50枚? 50枚!? まさかの『芝刈り召喚シャドール』のミラー戦かよ!? その1枚って《召喚師アレイスター》がサーチした『召喚魔術』の分じゃん!?
このドライトロン地獄のランクマッチで自分の他に『芝刈り召喚シャドール』が居たとは……!
「い、いや、まだ最悪の事態ではない。相手が本当に『ミラー対決』なら――カードを1枚セットしてターンエンド!」
伏せたカードは速攻魔法『超融合』、自分の場に融合素材が無いなら相手の場の素材を使えばいいじゃない。
『私のターン、ドロー。魔法カード『召喚魔術』発動。フィールドの《召喚師アレイスター》を除外し、手札の《PSYフレームギア・γ》を捨てて融合召喚、レベル9《召喚獣メルカバー》』
ぐぬぬ、味方なら心強いが敵なら余りにも邪魔過ぎる! 昨日の友が今日の敵とはやってくれるのう、やってくれたのう!
『墓地の『召喚魔術』の効果発動、除外された《召喚師アレイスター》を手札に加え、墓地の『召喚魔術』をデッキに戻す』
むぅ、相手はまだ通常召喚権を使ってないから《召喚師アレイスター》からの、また融合召喚が可能。前の『ドライトロン』の時みたいに《召喚獣メルカバー》を2体並べる気か……?
「その場合、《召喚師アレイスター》を通常召喚した時に『超融合』するタイミングがあるが、美味しくないな」
『召喚魔術』はフィールド・墓地から除外してだから、『超融合』して墓地に送られても一切支障無い。同じく《召喚獣メルカバー》
を出しても相討ちされて相手の場に《召喚獣メルカバー》が1体残るだけだ。
『バトルフェイズに移行。《召喚獣メルカバー》でダイレクトアタック』
「あれ、展開せずに殴ってき、痛い!?」
無防備な状況で殴られ、LPが4500まで削られる。……いや、此処まで無防備さを曝け出して死んでないのが不思議なんだけどね?
『メインフェイズ2、《召喚師アレイスター》を通常召喚して効果発動、デッキから『召喚魔術』を手札に加えてターンエンド』
相手、動かなかったな。此方の『超融合』に警戒したのか? となると、相手側のEXデッキの『召喚獣』融合モンスター、結構少ないのかもしれない。……少ないという事は、リンクモンスターに割り振っているという事だ。《アナコンダ》やハリファイバーセレーネアクセスコードも仕込んでいそうだ。
「私のターン、ドロー!」
引いたカードはまさかの『召喚魔術』! この局面で素引きするとは素敵だ!
「まずは手札の『影依融合』を捨てて速攻魔法『超融合』発動! 相手の場の《召喚師アレイスター》と光属性《召喚獣メルカバー》を融合! レベル9《召喚獣メルカバー》!」
相手の場のみで融合する融合召喚は最高だね! やはり『超融合』は絶対無敵の力……!
「更に魔法カード『召喚魔術』発動!」
ふはは、先に動いたのが運の尽きだったな……!
『手札から《増殖するG》を捨てて効果発動』
「通すよ、もう特殊召喚はしないからね。1枚ぐらいドローさせてやるさ」
『更に罠カード『アーティファクトの神智』発動、デッキから『アーティファクト』モンスター1体を特殊召喚する』
……あれ、このタイミングで《アーティファクト-デスサイズ》出されたら此方の『召喚魔術』が不発に終わるのでは……?
『デッキから《アーティファクト-ロンギヌス》を特殊召喚する』
……《アーティファクト-デスサイズ》じゃない? もしかしてその伏せカードの内のどっちかが《アーティファクト-デスサイズ》で、特殊召喚したくても出来なかったというオチ?
「相手の墓地の《召喚師アレイスター》と融合モンスター《召喚獣メルカバー》を除外して融合召喚! レベル8《召喚獣アウゴエイデス》!」
『《増殖するG》の効果で1枚ドロー』
《アーティファクト-ロンギヌス》は相手ターンにフィールドのそのカードをリリースして除外出来なくさせる効果。タイミングが遅いね! ……まぁ『超融合』してきた後に素引きの『召喚魔術』を使われるとは思わないよな。
「《召喚獣アウゴエイデス》の効果発動、特殊召喚に成功した場合、相手の場のモンスター1体《アーティファクト-ロンギヌス》を破壊する!」
『チェーンして《アーティファクト-ロンギヌス》をリリースして効果発動、このターン、互いにカードを除外出来ない』
まぁどうでも良いね。これ以上展開出来ないし。
『バトル! 《召喚獣メルカバー》と《召喚獣アウゴエイデス》でダイレクトアタック! 合計で4500ダメージ! 私はこれでターンエンド』
これで形勢逆転だ。さぁせいぜい足掻いてみせろ! 《召喚獣メルカバー》で万能無効(罠カード無し)に特殊召喚時に相手モンスターを破壊する《召喚獣アウゴエイデス》の2妨害をどうやって潜り抜けるかな!
『私のターン、ドロー。魔法カード『ハーピィの羽根帚』を発動、相手の魔法・罠カードを全て破壊する』
んー、伏せカードは現在効果使えない『影光の聖選士』と素材が無くて融合出来ない『神の写し身との接触』、《召喚獣メルカバー》の効果を使う価値も無いので通しで。
『魔法カード『召喚魔術』を発動』
「ははは、通す訳無いだろう! 《召喚獣メルカバー》の効果発動、魔法カード『冥王結界波』を捨てて効果無効にして除外だ! これで《召喚師アレイスター》ギミックも崩壊だ! HAHAHAHA! って、あれ、何で無効されずに更には除外されないの?」
……そう、この時の私は完全に失念していたのだ。フィールド魔法『暴走魔法陣』の隠された効果、融合召喚の効果は無効化されず、融合召喚成功時にモンスター・魔法・罠の効果を発動出来ない事を……!
「……あれ、つまり私は《召喚獣メルカバー》の効果を無駄撃ちした上に……相手の融合召喚成功時に《召喚獣アウゴエイデス》の効果も発動出来ない!?」
此処に至って取り返しようのない、致命的なプレイミスを犯している事にやっと気づいたのだった……! よりによって完全なミラー対決の時に!?
『手札の《エフェクト・ヴェーラー》と《PSYフレーム・ドライバー》で融合召喚、融合素材は同じ属性で種族の異なるモンスター2体。レベル4《沼地のドロゴン》』
何か珍しいのが出てきた!? いや、相手モンスターのみを『超融合』する場合、結構役立つヤツだけど!
苦肉の策でコイツを『召喚魔術』で出したんだが、まずい、これで『召喚魔術』が墓地に、《召喚師アレイスター》が除外されているので……!
『墓地の『召喚魔術』の効果発動、除外された《召喚師アレイスター》を手札に加え、墓地の『召喚魔術』をデッキに戻す』
ぐぬぬ、まだ相手は通常召喚権を使ってない……!
『《召喚師アレイスター》を通常召喚して効果発動、デッキから『召喚魔術』を手札に加えて発動、フィールドの《召喚師アレイスター》と融合モンスター《沼地のドロゴン》を除外して融合、レベル8《召喚獣アウゴエイデス》を融合召喚する』
ぐぐぐぐぐ、フィールド魔法『暴走魔法陣』のせいで此方の《召喚獣アウゴエイデス》の効果は発動出来ない。それに対して相手は一切阻害されずに効果を通せる……!
『特殊召喚された《召喚獣アウゴエイデス》の効果発動、相手の《召喚獣メルカバー》を破壊する』
ぐおぉぉぉ、完全なプレイミスだぁー!? 『召喚魔術』じゃなく、《召喚師アレイスター》に《召喚獣メルカバー》の効果使っていれば相手に展開させなかったのに!?
『バトルフェイズに移行、《召喚獣アウゴエイデス》で《召喚獣アウゴエイデス》を攻撃』
まずいまずいまずい、致命的にまずい。此方はまだ『シャドール』モンスター1体も無し、《召喚師アレイスター》へのアクセス手段すら無いのにフィールドを空にされたら何も出来ずに死ぬ……!
何か、何か無いか!? つっても、こっちの墓地に落ちたモンスターなんて《増殖するG》のみで、あとは使えない『シャドール』魔法・罠カードのみだぞ!? ……って、使えるカードあった!
「墓地から罠カード『影光の聖選士』の効果発動! 墓地のこのカードと『神の写し身との接触』を除外し、フィールドの表側表示の《召喚獣アウゴエイデス》を裏側守備表示に変更! 《召喚獣アウゴエイデス》の攻撃力は2000で、守備力は2800! よって反射ダメージ800で戦闘破壊されない!」
よっしゃ、ぎりぎりで守り切った! これで相手モンスターを墓地に送らずに済んだ!
『……カードを1枚伏せてターンエンド』
「私のターン、ドロー!」
引いたカードは《シャドール・ドラゴン》、やっと来た『シャドール』モンスターカードだが、遅いよ。相手の場にEXデッキから特殊召喚されたモンスターがある以上、『影依融合』のデッキ融合条件は整っている!
「手札から魔法カード『影依融合』発動! デッキ融合だー! デッキから《シャドール・リザード》と《妖精伝姫-シラユキ》で融合! レベル8《エルシャドール・ネフィリム》!」
此処で相手側はサレンダー、12ターンも続いた完全なミラー対決に決着がついたのだった。
ダイヤモンド帯で遭遇したまさかのミラー対決。
道理で、非常に既視感ある事故り方していた訳ですね。同じデッキなだけに、わかるってばよ……。