遊戯王マスターデュエル とあるシャドール使いの格付戦奮闘記 作:咲夜泪
「――わぁお、《水晶機巧-ハリファイバー》《餅カエル》『虚無空間』が禁止かぁ。『マスターデュエル』でも早く禁止になれば良いのに」
その日、遊戯王OCGでの2022/7/1制限改正が発表され、結構大胆な規制が行われた。
《餅カエル》は現環境での環境デッキ『スプライト』への規制、『虚無空間』は直接サーチが可能になった事が影響しているだろうか。
そして登場した当初からぶっ壊れリンクモンスターとして活躍し続けた《水晶機巧-ハリファイバー》の禁止は、多くの決闘者に「今までありがとう、眠るが良い」と惜しまれつつも晴れやかに見送られたのだった。
「というか、あの『魔導書の神判』制限復帰って良いの? 絶対悪さするだろうに」
たった1枚で中堅デッキを2強環境のトップに押し上げた禁断のカード、『魔導書の神判』の制限復帰は多くの決闘者を二重の意味で驚かせた。……主に、復帰して良いカードなのかと、更には現環境が『魔導書の神判』を使っても許されるほどインフレしている事を暗に告げているのだと。
「……まぁぶっちゃけ現環境で『征竜』全復帰しても大した事無いだろうしなぁ」
と、思ったが、《水晶機巧-ハリファイバー》亡き後にランク7エクシーズして《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》からの《幻獣機アウローラドン》やれるから、こっちは帰ってくる事は無いな。
「出張パーツに『魔導書』追加してドロー加速しながら《昇霊術師 ジョウゲン》……魔法カード主体のデッキなら色々悪さ出来るな?」
今回の規制で全く影響の無いトップ、更には新規ぶっ壊れカードも約束されている『イシズティアラメンツ(シャドール)』に対してどれほど食い下がれるか、非常に興味深い処である。
……まぁ『マスターデュエル』の方で来るのは相当先だろうし、こっちの制限改定がどうなるかなんて未知数だけどね!
「……あ、コイントス裏。しかし、先攻を渡された? 『ヌメロン』か『サイバー・ドラゴン』かな?」
初期手札は《召喚師アレイスター》『超融合』『神の写し身との接触』『禁じられた一滴』『影光の聖選士』……『シャドール』モンスターが1体でもいれば完璧だったなぁ。
「《召喚師アレイスター》を通常召喚、効果発動でデッキから『召喚魔術』を手札に加える」
『チェーンして手札から《増殖するG》を捨てて効果発動』
む、一番嫌なタイミングで《増殖するG》を使われたか。
これで『墓穴の指名者』《灰流うらら》を握ってない事も判明してしまうので情報戦の観点から見ても相当な痛手である。
此処から《聖魔の乙女アルテミス》《召喚獣メルカバー》で2ドローさせるのはどう考えても割に合わない。かと言って、《召喚師アレイスター》棒立ち状態でターンを渡せば間違いなく死ぬだろう。
「カードを1枚セットしてターンエンド」
伏せたカードは速攻魔法『超融合』、相手が光属性のモンスターを出してくれれば相手ターンに《召喚獣メルカバー》を出す事が出来る。
『禁じられた一滴』を伏せなかったのは『ハーピィの羽根箒』で一掃されたら立て直し出来なくなるからだ。……出し惜しんで死ぬケースもあるから、ケースバイケースだが。
『私のターン、ドロー』
さて、相手のデッキは何かねー?
『フィールド魔法『ヌメロン・ネットワーク』発動』
やっぱり『ヌメロン』か。良かった良かった、このターンでワンキルされる事は無いようだ。
最近はめっきり数を減らして稀にしか出遭わなくなったなぁ。相手ターンに破壊効果撒き散らせる《D-HERO デストロイフェニックスガイ》のせいで『ヌメロン・ネットワーク』を割られる事が多いから減少したのかな?
『――『ヌメロン・ネットワーク』の効果発動、発動条件を満たしている『ヌメロン・ダイレクト』をデッキから墓地に送り、その効果を発動。EXデッキから『ゲート・オブ・ヌメロン』エクシーズモンスターを4体まで特殊召喚する。――《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》』
この4体同時召喚からのワンキルの流れもワンパターンというか、これが通らなければ負けという、潔いデッキよね。
「――速攻魔法『超融合』発動、手札の『影光の聖選士』を墓地に捨てて、《召喚師アレイスター》と相手の場の光属性《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》を融合! レベル9《召喚獣メルカバー》を守備表示で融合召喚!」
当然、素材にするのは《No.1》である。重ねてエクシーズ出来るのは《No.1》だけだしね。
さて、これで2回まで攻撃受けれて攻撃力4000のダイレクトアタック食らうだけで次のターン迎えられるな。
『《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》の3体でリンク召喚、召喚条件はエクシーズモンスター3体、リンク3《無限起動要塞メガトンゲイル》』
……ああ、なるほど。こっちの手札にモンスターカードがある前提で、先にそっちを出したか。
確かに1回無効にすれば《召喚獣メルカバー》を戦闘破壊すら出来ないからね。手札にモンスターカード無いけど。
『バトルフェイズ、攻撃力4000の《無限起動要塞メガトンゲイル》で守備力2100の《召喚獣メルカバー》を攻撃』
「戦闘破壊されるよー」
『私はこのままターンエンド』
ふむ、『リミッター解除』無し、バック破壊出来るカードも無し、伏せられるカードも無し。どうやら相当事故っているな?
「私のターン、ドロー」
引いたカードは2枚目の『禁じられた一滴』……事故っているのは此方も同じだなぁ。
「手札から『召喚魔術』発動、墓地の《召喚師アレイスター》と融合モンスター《召喚獣メルカバー》を除外して融合! レベル8《召喚獣アウゴエイデス》」
さて、何故『召喚魔術』がある時にチェーンして『禁じられた一滴』を使わなかったのか。単なる使い忘れのプレミではなく、手札のとあるカードを墓地に送りたかったからだ。
「特殊召喚に成功した《召喚獣アウゴエイデス》の効果発動、相手フィールドのモンスター《無限起動要塞メガトンゲイル》を破壊する。ただし、エクシーズモンスター以外のモンスター効果を受けない耐性があるから、このままで破壊出来ないので――チェーンして速攻魔法『禁じられた一滴』発動、手札の『神の写し身との接触』を墓地に送り、《無限起動要塞メガトンゲイル》の攻撃力を半分にして効果を無効にする」
《無限起動要塞メガトンゲイル》の耐性は結構厄介だが、魔法カードに関しては何の耐性も無いのである。
効果が無効になり、前回苦戦した《無限起動要塞メガトンゲイル》はあっさりと効果破壊される。
「墓地の『召喚魔術』の効果発動、除外されている《召喚師アレイスター》を手札に加え、墓地の『召喚魔術』をデッキに戻す」
このターン、まだ通常召喚を行っていないが――《召喚師アレイスター》は敢えて出さない。
「バトル、攻撃力2000の《召喚獣アウゴエイデス》でダイレクトアタック。2000ダメージ」
ぶっちゃけ出しても意味が無いというか、現状、融合出来るモンスターいないんだよね。炎属性も無いし。
それに、次のターン、また『ヌメロン』エクシーズモンスター4体来るしねー。
「メイン2、カードを1枚セットしてターンエンド」
一応、《召喚師アレイスター》を出して、リンク2から《アナコンダ》出して《デスフェニ》ルートもあるが――『ヌメロン』相手にLPを削るのは結構危険だ。
『私のターン、ドロー』
さて、どう攻めてくるかなー?
『手札から魔法カード『ヌメロン・ダイレクト』を発動。自分フィールドに『ヌメロン・ネットワーク』が存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動出来る。EXデッキから《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》を特殊召喚する』
『ヌメロン・ダイレクト』を素引きとか、相当事故っているなぁ。同情はするけど容赦はしない。
「相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合、《召喚獣アウゴエイデス》の効果発動、《No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》を破壊する」
さっくり破壊、これで『リミッター解除』が無い限り、相手は此方の《召喚獣アウゴエイデス》を確定で突破出来なくなった。
『バトルフェイズ、攻撃力1000の《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》で攻撃力2000の《召喚獣アウゴエイデス》を攻撃』
本来は戦闘耐性があるので戦闘破壊されず、『ヌメロン』モンスターの攻撃力を倍にする効果を発動出来るが――。
「速攻魔法『禁じられた一滴』発動、手札の《召喚師アレイスター》を墓地に送り、《No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》の攻撃力を半分にし、効果を無効にする――よって攻撃力500となり、返り討ちにして戦闘破壊する」
1500ダメージで相手のLPは4500、攻撃力を倍にする効果が1回使えなくなったので相手の計算が狂った事だろう。
『攻撃力1000の《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》で攻撃力2000の《召喚獣アウゴエイデス》を攻撃』
「迎え撃って1000ダメージ」
『《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》は戦闘では破壊されない。ダメージステップ終了時に効果発動、自分フィールドの全ての『ヌメロン』モンスターの攻撃力はターン終了時まで倍になる』
相手の残りLP3500、結構削られているねぇ。
『攻撃力2000となった《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》で攻撃力2000の《召喚獣アウゴエイデス》を攻撃』
「――これで一方的に此方を戦闘破壊すると言いたいんだろうけど、『超融合』のコストで墓地に送ったカードと1枚目の『禁じられた一滴』で墓地に送ったカードを確かめておくべきだったね」
『超融合』で墓地に送ったカードは『影光の聖選士』、1枚目の『禁じられた一滴』で敢えて墓地に送ったカードは『神の写し身との接触』だ。
「墓地の『影光の聖選士』の効果発動、墓地のこのカードと『シャドール』カード1枚、『神の写し身との接触』を除外し、自分フィールドの表側表示モンスター《召喚獣アウゴエイデス》を裏側守備表示にする」
やっぱり『影光の聖選士』には無限の可能性を感じる。
《召喚獣アウゴエイデス》の攻撃力は2000だけど、守備力は2800なんだよねぇ!
『……反射ダメージ800で残りLP2700、ターンエンド。エンドフェイズ、『ヌメロン・ダイレクト』の効果で特殊召喚された《No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》《No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》は除外される』
「私のターン、ドロー」
そして私の引いたカードは――。
「魔法カード『隣の芝刈り』発動、私のデッキは53枚、そっちのデッキは33枚だから20枚墓地に――」
此処で相手サレンダー。割りと事故っていたが、上手く切り抜けられたデュエルだったね。対戦ありがとうございました。