遊戯王マスターデュエル とあるシャドール使いの格付戦奮闘記 作:咲夜泪
『影依融合』
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分の手札・フィールドから、「シャドール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
EXデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事ができる。
『シャドール』の代名詞であり、無限の可能性を秘めた融合魔法。
デッキ融合を通す事は大体死を意味するエンドカードだが、デッキ融合じゃない時でも《灰流うらら》に無効にされるのは理不尽。
『――《召喚師アレイスター》を通常召喚、効果発動でデッキから魔法カード『召喚魔術』を手札に加える』
ミラー!? いや、デッキの残り枚数は35枚だし、『召喚獣』要素を投入しているだけか? 何にせよ、その1枚初動は許さない!
「手札から《灰流うらら》を捨ててデッキからのサーチ効果を無効!」
久々に初手で引いていた《灰流うらら》を叩きつける。ホント、私のデッキのお前は良く休暇取ってベガス行ってるよな!
……『抹殺の指名者』や『墓穴の指名者』は無いようだ。
これでお互いに手札4枚、何をしてくる? 手札に『召喚魔術』握ってない事を祈るまでだが。
『《召喚師アレイスター》1体でリンク召喚、召喚条件は通常召喚された攻撃力1000以下のモンスター1体、リンク1《転生炎獣アルミラージ》』
やっぱりミラー対決じゃないか! 《転生炎獣アルミラージ》から始めるとなると、相手の型は『ドラグマ召喚シャドール』かな?
『《転生炎獣アルミラージ》1体でリンク召喚、召喚条件はサイバース族リンクモンスター1体、リンク1《セキュア・ガードナー》』
……ドラグマかぁ。『天底の使徒』が無制限なら1枚初動として優秀だったが、制限カードになったから組む意味がなぁ。
それに発動後の制約が地味に面倒だから、個人的には組みたいテーマとは思えない。
『墓地のリンクモンスター《転生炎獣アルミラージ》を除外し、手札から《教導の大神祇官》を守備表示で特殊召喚する』
この時点で、相手はミラー対決だと気づいていないのは情報戦の観点から後攻有利と言えよう。
『《教導の大神祇官》の効果発動、自分のEXデッキからカード名が異なるモンスター2体を墓地に送る。相手は自身のEXデッキからモンスター2体を墓地に送る。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚出来ない』
相手もシャドールだと解ってるなら《教導の大神祇官》の効果は絶対使わない。
『EXデッキから《エルシャドール・アプカローネ》と《灰燼竜バスタード》を墓地に送る』
「此方もEXデッキから《エルシャドール・アプカローネ》と《聖魔の乙女アルテミス》を墓地に送る」
この瞬間、相手側にも『シャドール』ミラー対決だと発覚する。さぁ、此処からは全てプレイング次第だぜ!
まぁこっちは完全に後出しジャンケンなんだけどね!
『墓地に送られた《エルシャドール・アプカローネ》の効果発動』
「墓地に送られた《エルシャドール・アプカローネ》の効果発動」
持ってくるカードは確実に永続罠『影依の偽典』だが、捨てるカードで相手の手札をある程度推測出来る。
まず『召喚魔術』は握ってない。あるなら《召喚獣メルカバー》を立ててる。《灰流うらら》や『墓穴の指名者』などの手札誘発も無い。あるなら此方の《エルシャドール・アプカローネ》の効果を無効にしている。
問題は相手が握っている『シャドール』カードだ。
『自分のデッキから永続罠『影依の偽典』を手札に加え、その後、手札から《教導の聖女エクレシア》を墓地に送る』
なるほど、ある程度透けた。
相手の手札の3枚、うち1枚が今サーチした『影依の偽典』で、残り2枚は『シャドール』モンスターではない。……今、捨てても無駄になる《シャドール・ドラゴン》や《シャドール・ハウンド》の可能性も一応あるか。
あの2枚は《増殖するG》か展開に使えないカード――事故寸前の手札と見た。ご愁傷さまだね! 対する此方は――。
「自分のデッキから永続罠『影依の偽典』を手札に加え、その後、手札から――《シャドール・リザード》を墓地に送る」
確かに《エルシャドール・アプカローネ》と闇属性の《灰燼竜バスタード》を墓地に送れば、それだけで『ドラグマ』モンスターをサーチしつつ『影依の偽典』での相手ターン《エルシャドール・ミドラーシュ》の構えが出来る。――次のターンまで墓地にあればの話だが。
「墓地に送られた《シャドール・リザード》の効果、デッキから《影依の巫女 エリアル》を墓地に送り、墓地に送られた《影依の巫女 エリアル》の効果発動、相手の墓地の《エルシャドール・アプカローネ》《灰燼竜バスタード》《召喚師アレイスター》を除外する」
この時点で相手のデッキ構成において『シャドール』要素が少ないと推測する。
最低限投入した派遣型だろうか? ……純粋に事故ってるケースもあるから断定は出来ないが。
――『シャドール』において『シャドール』カードは継戦能力そのものだ。
40枚型と60枚型の時点で、圧倒的なまでに60枚型の『芝刈り召喚シャドール』の方が遥かに優れている。
デッキを40枚になるようにしている時点で削りたくない『シャドール』カードを極限まで切り詰めているのは明々白々だ。『芝刈り』型は存分に投入出来るからね!
「さぁて、此処からどうやってEXデッキから特殊召喚した《セキュア・ガードナー》を処理するのか、見せて貰おうじゃないか。召喚権は既に使っているけど、私が思いつかない方法で処理してくれるんだろうなぁ」
相手の『影依の偽典』は墓地に『シャドール』モンスターがいないので融合出来ない状態――何を仕掛けてくるかな?
『手札を2枚セットしてターンエンド』
『ドラグマ召喚シャドール』
LP8000
手札1枚
EXモンスターゾーン
《セキュア・ガードナー》リンク1/光属性/サイバース族/攻1000
メインモンスターゾーン
《教導の大神祇官》星8/光属性/魔法使い族/攻1500/守3000
魔法・罠カードゾーン
伏せカード2枚
「ふむ、伏せカードの1枚は確実に『影依の偽典』で良いとして――残りは何だろう? 『禁じられた一滴』? 『ドラグマ・パニッシュメント』? いや、もしかしたら『超融合』か……!?」
一番嫌なのは『超融合』だが――とりあえず、ドローしてから考えよう。『シャドール』の展開はいつも高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変にだ!
「私のターン、ドロー!」
うーむ、『ハーピィの羽根帚』や『ライトニング・ストーム』を引かなかったか。
「フィールド魔法『暴走魔法陣』発動、効果処理でデッキから《召喚師アレイスター》を手札に加える」
とりあえず、動きながら判断しよう。
「《召喚師アレイスター》を通常召喚、効果発動でデッキから『召喚魔術』を手札に加える」
おっと、《聖魔の乙女アルテミス》は既に墓地に送ってあるからリンク召喚は出来ないし、する必要が無い。
「手札から魔法カード『ルドラの魔導書』を発動、フィールドの魔法使い族《召喚師アレイスター》をリリースし、2枚ドロー」
……普通に通るのか、これ。誘いが露骨すぎたかな? まぁいいや。
「――魔法カード『影依融合』発動! さて、EXから特殊召喚したモンスターをどう処理するんだ?」
……あるぇー? マジで処理出来ないの? ならアド差で押し潰されて死ぬしかないね!
「EXデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事が出来る。――デッキから《シャドール・ドラゴン》と光属性《妖精伝姫-シラユキ》を墓地に送って融合召喚! レベル8《エルシャドール・ネフィリム》!」
今回、《シャドール・リザード》を経由せずに《シャドール・ドラゴン》を融合素材にした理由は『暴走魔法陣』の隠された効果があるからだ。
「特殊召喚された《エルシャドール・ネフィリム》の効果発動、《シャドール・ドラゴン》の効果発動! ――同じカードを使う者同士、説明はいらないと思うが、『暴走魔法陣』がフィールドゾーンに存在する限り、融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動出来ない」
つまり、このタイミングに限って言えば、絶対に妨害される事無く《シャドール・ドラゴン》の魔法・罠カード除去効果を一方的に通す事が出来るのだ!
さぁ『影依の偽典』との2択だー!
「《シャドール・ドラゴン》の効果で伏せカードを1枚破壊! ――罠カード『ドラグマ・パニッシュメント』だったか」
よーしよし、見事に踏み抜いたな! EXデッキのモンスターを墓地に送ってその攻撃力以下のモンスターを破壊する罠カードだったか。
《旧神ヌトス》を墓地に送ればモンスター2体破壊になる厄介なドラグマ罠。……まぁ対象がいなくなればEXデッキからモンスター落とせなくなるんだけどね!
「《エルシャドール・ネフィリム》の効果でデッキから《シャドール・リザード》を墓地に送って効果発動、デッキから……『影光の聖選士』を墓地に送る」
《影霊の翼 ウェンディ》を墓地に送ってからの《シャドール・ビースト》での最大アド取りに行こうとしたが、ふと嫌な予感が過って『影光の聖選士』にする。
――果たして、融合召喚出来ないと確定している状況で『影依の偽典』を伏せるだろうか?
「深読みしすぎか? もし『影依の偽典』を伏せずに『超融合』だったら強かだったと褒めるべきか」
どの道、このターンでは仕留められない。余力を残るように展開しつつ、相手側に展開させる隙を微塵も与えない。これで行こう。
「手札から魔法カード『召喚魔術』を発動――墓地の《召喚師アレイスター》と相手の光属性モンスター《教導の聖女エクレシア》を除外し、レベル9《召喚獣メルカバー》を融合召喚!」
……『超融合』を使うならこの2体が並んだタイミングだが、使ってこないな。バトルフェイズに入るのを待っているのか?
「墓地の『召喚魔術』の効果発動、除外された《召喚師アレイスター》を手札に、墓地の『召喚魔術』をデッキに戻す」
とりあえず――。
「バトル! 《エルシャドール・ネフィリム》で《教導の大神祇官》を攻撃、そして効果発動、このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動、そのモンスターを破壊する」
あれ、すんなり通ったな。やっぱり考え過ぎだったか。
「《召喚獣メルカバー》で《セキュア・ガードナー》を攻撃!」
『自分が戦闘・効果でダメージを受ける場合、《セキュア・ガードナー》の効果で1ターンに1度だけそのダメージを0にする』
戦闘ダメージは0だが、破壊はされる、と。
「メインフェイズ2、《エルシャドール・ネフィリム》1体でリンク召喚、召喚条件はリンクモンスター以外のEXモンスターゾーンのモンスター1体、リンク1《グラビティ・コントローラー》。墓地に送られた《エルシャドール・ネフィリム》の効果で墓地の『影光の聖選士』を手札に加える」
使い終わった《エルシャドール・ネフィリム》は即座に墓地に送って『シャドール』罠カードを回収っと。
「カードを2枚伏せてターンエンド」
伏せたカードは『影光の聖選士』と『影依の偽典』。どんな状況でも対応出来る布陣だとも。
『芝刈り召喚シャドール』
LP8000
手札4枚(《召喚師アレイスター》)
EXモンスターゾーン
《グラビティ・コントローラー》リンク1/闇属性/サイキック族/攻1000
メインモンスターゾーン
《召喚獣メルカバー》星9/光属性/機械族/攻2500/守2100
魔法・罠カードゾーン
伏せカード2枚(『影光の聖選士』『影依の偽典』)
フィールド魔法『暴走魔法陣』
『私のターン、ドロー』
さて、何をしてくるかな?
『相手フィールドの《召喚獣メルカバー》をリリースし、相手フィールドに《壊星壊獣ジズキエル》を特殊召喚する』
なるほど、握っていたのは『壊獣』モンスターか。これで《召喚獣メルカバー》は無償で処理出来た。……次のターン、また出せるけど。
それで最後の1枚でどうするんだ? フィールド全部ふっ飛ばして墓地も除外しないと勝てないけど?
『魔法カード『影依融合』発動、EXデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事が出来る』
ほうほう、トップ解決していたか。随分と引きが強くて羨ましいなぁ――無駄だが。
「知ってるよ、そしてこの場からいなくなるとも――墓地の《妖精伝姫-シラユキ》の効果発動、《グラビティ・コントローラー》を含む7枚を除外して墓地から特殊召喚する」
これで此方の場にEXデッキから特殊召喚したモンスターはいなくなった。
――相手が『シャドール』なんだから、『影依融合』使われる時にEXデッキから特殊召喚されたモンスターを全部自己処理するぐらい普通する。
「手札は0枚、これでは何も融合召喚出来ないねぇ!」
相手は此処でサレンダー。対戦ありがとうございました。
『シャドール』ミラー戦。
大抵の場合は後出しジャンケン、珍しい事に後攻側が若干有利。
初手で《メルカバー》《ミドラーシュ》とかしても『超融合』1枚で処理出来るし、《ミドラーシュ》による特殊召喚1回縛りは基本融合召喚1回で処理出来る。
『シャドール』使いにとって《ミドラーシュ》は要介護のひ弱な護衛対象。オレが守護らなければならぬ……!
互いに回りだすと泥試合になり、現代遊戯王にも関わらず非常に長引く。
其処まで行くとリソース勝負になるので基本60枚で『シャドール』カードが潤沢な『芝刈り召喚シャドール』型の方が有利。
……何方も、枕詞に事故らなければ、とつく。融合出来なかったら潔く死ぬしかあるまい。