遊戯王VRAINS Re:Construction   作:師走F

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第10話:Burning Soul(前編)

 ハノイのアジト、そこにある巨大な半透明の青い円柱の前に、ジャックナイフはスキップしながらやってきた。

 

「やあ闇のイグニス、お目覚めかな?」

 

 円柱の中に閉じ込められたAiは、ジャックナイフを睨む。

 

「ぐっ……」

「サイバース世界の場所はどこだ?」

 

 ジャックナイフはAiに顔をぐっと近づける。

 

「ボクらがサイバース世界を襲撃した時、君はサイバース世界自体を暗号化してどこかに隠した。今、サイバース世界の場所を知っているのは君だけだ」

「さあな。お前らにデータを奪われたせいで、記憶が抜けてるんでな」

「嘘をつくなよ。ここにある君のデータの中に、サイバース世界の場所はなかった。つまり今ある君のデータの中にあるはずだ」

 

 ジャックナイフは手元にAiのデータを出現させ、強い口調で言う。

 Aiが彼と睨みあっていると、そこにリボルバーとスペクターもやってきた。

 

「ご苦労だったな。ジャックナイフ」

「いえいえ」

 

 彼は笑顔でリボルバーに頭を下げる。

 

「まさかあなたがプレイメーカーを倒すとは思いませんでしたよ。というか、どうやって彼をおびき出したんですか?」

「そこは企業秘密」

 

 スペクターの疑問に、彼は口元でバツを作る。

 

「それで、こいつはどうします?」

「解析すればいい」

「へっ、お前らなんか調べられるかよ。俺様はプレイメーカーとその仲間でも解析できなかったんだ」

 

 そう自信満々に言うAiに、リボルバーは無言で円柱の側面についたホログラムパネルを操作する。

 

「うぎゃぁ!」

 

 円柱の中に電流が走り、Aiが激しい悲鳴を上げる。

 

「我々はイグニスアルゴリズムを知り尽くしている。この設備があれば貴様の記憶を調べることなど造作もない」

「くっ……」

 

 電撃が収まると、Aiは悔しそうにリボルバーを見る。

 

「私はしばらくここを離れる。その間、ジャックナイフ、スペクター任せたぞ」

「「仰せのままに」」

 

 首を垂れた二人に見送られ、リボルバーはログアウトする。

 そんな彼らの様子を見て、Aiは自身の体に何かのプログラムを走らせる。

 

(頼むぞ、遊作……)

 

 ◆

 

 遊作は美海を連れて、PC室を訪れていた。

 

「やはり、どこかからデータが送信されている」

 

 デュエルディスクが繋がれたパソコンの画面上には奇怪な文字列が表示されている。

 

「Aiが自分の居場所を伝えているのでしょうか」

「イグニスアルゴリズムで暗号化されているようだ」

 

 遊作はパソコンを操作して、暗号を解いていく。

 

「出たぞ」

 

 データの内容はLINK VRAINSのマップだった。

 急いでつくったのかスカスカだが、どうにかAiの居場所までの位置は特定できるようになっていた。

 

「ここが、ハノイの拠点……私達だけで勝てるでしょうか」

 

 きっとそこには、大勢のハノイの騎士が待ち構えていることだろう。

 立った二人だけで潜入して、無事に帰れる保証はどこにもない。

 

 まして遊作はジャックナイフに敗北している。他にもリボルバーや、ゴッドバードを負かしたスペクターまで待ち受けているかもしれない。

 

「それでも行くしかない。あいつがいなければ、レポートを手に入れられない」

「……そうですね」

 

 二人は近くの椅子に腰かけ、デュエルディスクを操作する。

 

「「イントゥザヴレインズ!」」

 

 二人がLINK VRAINSにログインした時、教室の外からその様子を見ていた人物がいた。

 

「遊作、美海……」

 

 ◆

 

 ハノイのアジトにて、

 

「ぎゃぁぁぁっ!」

 

 Aiの絶叫が響き渡る。

 強引な解析と、それに必死に抗うことによって、Aiを構成するデータに激しい負荷がかかっているのだ。

 

「う~ん、しぶといな~」

 

 リボルバーに解析を任されたジャックナイフは、まるで弄ぶようにホログラムパネルを操作する。

 

「いい加減白状しなよ~」

「っ……へっ、誰が……」

「そんなに仲間のイグニスが大事?」

 

 Aiを襲う電流がさらに強まる。

 

「がぁぁぁぁっ!」

「あはははははすごーい!まるで人間みたいな声!AIのくせに、一人前に痛そうにするじゃん!」

 

 その時、ジャックナイフの笑い声をかき消すように警報が鳴り響く。

 

『ジャックナイフ』

 

 同時に、彼のデュエルディスクにスペクターからの通信が入る。

 

『プレイメーカーが侵入してきました』

「ふ~ん、思ったより早いじゃん」

『早い? まさか…‥』

「こいつがずっと変なデータを外部に送信してたんだよ」

 

 ジャックナイフが閉じ込められたAiを呼び指すと、彼はギョッと目を見開く。

 

『何故私やリボルバー様に報告しなかったのですか?』

「え~必要ある? それよりここで確実に潰しておく方が効率的だとボク思うんだけどな~」

『それを決めるのはあなたではありません。とにかく、今はリボルバー様も不在なので、イグニスを連れて移動を……』

「あ~ボクここで解析続けるから、君らでどうにかしといてよ」

『あなたは命令一つまともに————』

「じゃあね~」

 

 スペクターの言葉を最後まで聞かずに、彼は通話を切ってしまった。

 

「お前、俺がデータを送ってたこと……」

「気付いてるに決まってんじゃん。AIのくせにバカなんじゃないの?」

「さっきからお前、AIに恨みでもあんのか?」

「あるよ?」

 

 急に真顔になった彼は、円柱の側面にギリギリまで顔を近づけると、Aiを睨む。

 

「お前たちイグニスに、ボクの人生は壊されたんだ」

 

 虚ろな目がAiと向き合う。

 その表情の落差に、Aiはただ押し黙るしかなかった。

 

「ま、どうでもいいや」

 

 ケロッといつもの笑顔に戻り、彼は作業を再開した。

 

 ◆

 

 プレイメーカーと美海は、Dボードでネットワークの下層を駆け抜けていた。

 周囲は暗く、空間のあちこちに紫のノイズがある。

 

「この先にハノイのアジトが……」

 

 すると、彼らの行く手に一人の男が立ちふさがった。

 

「君達ですか、我々のアジトに侵入した不届き者というのは」

 

 緑髪の中年の男で、ハノイの制服と半分に割れた仮面をつけている。

 

「私の名はゲノム、ハノイの騎士のセェカンドォッ!この先へは行かせませんよぉ」

「やるしかないか」

 

 プレイメーカーがデュエルディスクを構える。その時、

 

「ちょっと待ったぁぁっ!」

 

 流星の如き速度で、Dボードが炎をまとって彼らの間に到着した。

 

「お前は、ソウルバーナー!」

 

 現れたのは、LINK VRAINSのカリスマデュエリストの一人、炎のデュエリスト、ソウルバーナーこと、穂村尊だった。

 

「ここは俺に任せてもらおうか」

「お前、どうやってここに?」

「ちょっとお前らが心配になってな。後をつけさせてもらったのさ」

 

 ソウルバーナーはデュエルディスクを構えて、ゲノムの前に立ちふさがる。

 

「お前らは先に行け。事情は知らねぇが、やらなきゃならねぇことがあるんだろ?」

「……分かった」

「ありがとうございます。ソウルバーナー」

 

 美海とプレイメーカーは、Dボードを加速させて先を行く。

 

「さあハノイの騎士、俺が相手だ!」

「いいでしょう。まずはあなたから私の研究材料にしてあげましょう」

 

「「スピードデュエル!」」

 

ターン1 ソウルバーナー

 

「俺は手札から、魔法カード、マジェスティ・オブ・ファイアを発動!」

 

マジェスティ・オブ・ファイア

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。手札からレベル5以上の炎属性モンスター1体を特殊召喚する。

(2)自分のデュアルモンスターの召喚に成功した場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキ・墓地から「スーペルヴィス」または「ギア・ブレード」装備魔法カード1枚を手札に加える。

 

「手札からフェニックス・ギア・フリード1体を特殊召喚!」

 

 炎を纏った白い戦士が降臨した。

 

「俺はフェニックス・ギア・フリードを再召喚!これにより、フェニックス・ギア・フリードは効果モンスターとなる」

 

 フェニックス・ギア・フリードの纏う炎が勢いを上げ、まるで翼のように広がる。

 

「自分のデュアルモンスターの召喚に成功した時、墓地のマジェスティ・オブ・ファイアを除外して効果発動!デッキからストライク・ギア・ブレードを手札に加え、そのまま装備!」

 

ストライク・ギア・ブレード

装備魔法

デュアルモンスターにのみ装備可能。

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)自分のデュアルモンスターが召喚される度に、相手に200ダメージを与え、装備モンスターの攻撃力を200アップする。

(2)装備モンスターがもう1度召喚された状態なら、自分のメインフェイズに発動できる。手札・墓地の装備モンスターよりレベルの低いデュアルモンスター1体を召喚する。

(3)モンスターに装備されたこのカードがフィールドから墓地に送られた場合に発動できる。デッキから「スーペルヴィス」または「ストライク・ギア・ブレード」以外の「ギア・ブレード」装備魔法カード1枚を手札に加えるか、自分のデュアルモンスターに装備する。

 

「ストライク・ギア・ブレードの効果発動!1ターンに1度、装備モンスターよりレベルの低いデュアルモンスターを召喚する。俺は手札からエヴォルテクター シュバリエを召喚」

 

 配下の赤い剣士が、フェニックス・ギア・フリードの隣に現れる。

 

「デュアルモンスターが召喚されたことで、ストライク・ギア・ブレードの効果で相手に200ダメージを与え、装備モンスターの攻撃力を200アップする」

 

 ギア・フリードが剣を振るうと、火の粉がゲノムの顔に舞る。

 

 ゲノム:ライフ4000→3800

 

「俺はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

ターン2 ゲノム

 

「ソウルバーナー、あなたのことは把握していますよ」

「へぇ、そいつは嬉しいね」

「ソウルバーナー、カリスマデュエリストランキング七位。炎のカードを操る熱いデュエリスト、私からすればあなたのデュエルは無駄が多い」

「なんだと?」

 

 ゲノムの言葉に、ソウルバーナーは顔をしかめる。

 

「見せてあげましょう。私の完璧なデュエルを!私は魔界発現世行デスガイドを召喚。その効果で、デッキからクリッターを特殊召喚」

 

 赤髪の女性が手を振ると、どこからか黒いバスが到着し、中から三つ目の毛玉の悪魔が下りてくる。

 

「現れたまえ、我らの未来回路!召喚条件は悪魔族モンスター2体!リンク召喚!地獄螺旋鬼(ヘルリックス)ネクロ・ダーウィン!」

 

 現れたのは、むき出しの青い骨の首、胸に奇怪な仮面をつけた怪鳥だった。

 

地獄螺旋鬼(ヘルリックス)ネクロ・ダーウィン

リンク・効果モンスター

闇属性/悪魔族/攻 1800/LINK2

【リンクマーカー:上/左】

悪魔族モンスター2体

このカード名の(2)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)相互リンク状態のこのカードは攻撃対象にならない。

(2)このカードが墓地に存在する場合、自分の悪魔族リンクモンスターのリンク先となる自分フィールドにこのカードを特殊召喚することができる。

(3)自分にダメージを与える効果が発動した時に発動できる。その効果で自分が受けるダメージは0になる。その後、このカードの攻撃力はターン終了時まで元々の攻撃力の倍になる。

 

「墓地に送られたクリッターの効果で、デッキから攻撃力1500以下のモンスターを手札に加える。私はカードを2枚伏せてターンエンド」

「大口叩いたわりには、モンスター1体出すだけで攻撃もせずにターンエンドかよ」

 

ターン3

 

「俺は魔法カード、アームズ・ホールを発動。デッキの一番上を墓地に送り、デッキから装備魔法カード1枚を手札に加える。俺はフェニックス・ギア・ブレードを手札に加え、フェニックス・ギア・フリードに装備」

 

フェニックス・ギア・ブレード

装備魔法

デュアルモンスターにのみ装備可能。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)装備モンスターの攻撃力は300アップする。

(2)装備モンスターがもう1度召喚された状態なら、そのモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

(3)モンスターに装備されたこのカードがフィールドから墓地に送られた場合に発動できる。デッキから「スーペルヴィス」または「フェニックス・ギア・ブレード」以外の「ギア・ブレード」装備魔法カード1枚を手札に加えるか、自分のデュアルモンスターに装備する。

 

「そしてエヴォルテクター シュバリエを再度召喚!これにより、シュバリエは効果モンスターとなり、真の力を解放する!」

 

 シュバリエの体を炎が包む。

 

「ストライク・ギア・ブレードの効果で200ダメージを与え、攻撃力を200アップ」

 

 ゲノム:ライフ3800→3600

 

「シュバリエの効果発動!フィールドの装備魔法、ストライク・ギア・ブレードを墓地に送り、相手フィールドのカード1枚を破壊する。俺はネクロ・ダーウィンを破壊!」

 

 シュバリエが剣を振るうと、ネクロ・ダーウィンの体はあっさり切断される。

 

「この瞬間!私のスキル、種の保存を発動!自分のリンクモンスターが相手によって破壊された時、破壊されたモンスターと同じ種族のモンスターを、そのリンクマーカーの数だけデッキから特殊召喚!」

 

 真っ二つにされたネクロ・ダーウィンの体から、2体のクリッターが生まれる。

 

「このスキルで特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、攻撃力・守備力共に0になる」

「なら、俺は墓地に送られたストライク・ギア・ブレードの効果!デッキからスピアード・ギア・ブレードを、フェニックス・ギア・ブレードに装備!」

 

スピアード・ギア・ブレード

装備魔法

デュアルモンスターにのみ装備可能

(1)このカードをもう1度召喚された状態のデュアルモンスターに装備した場合に発動できる。デッキの上から3枚をめくる。その中から炎属性のデュアルモンスター1体を手札に加え、残りを墓地へ送る。手札に加えられなけれない場合、めくったカードをデッキに戻す。

(2)装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力が攻撃力を超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(3)モンスターに装備されたこのカードがフィールドから墓地に送られた場合に発動できる。デッキから「スーペルヴィス」または「フェニックス・ギア・ブレード」以外の「ギア・ブレード」装備魔法カード1枚を手札に加えるか、自分のデュアルモンスターに装備する。

 

「スピアード・ギア・ブレードは再度召喚状態のモンスターに装備した時、デッキの上3枚から炎属性のデュアルモンスターを手札に加える」

 

 ソウルバーナーがめくった3枚は、フェニックス・ギア・フリード、ヘルカイザー・ドラゴン、フェニックス・ギア・ブレードだ。

 

「俺はフェニックス・ギア・フリードを手札に加える。この効果で手札に加えたら、めくった残りのカードは墓地へ送れる。そして、こいつは装備モンスターに貫通効果を与える。バトルだ!フェニックス・ギア・フリードで、クリッターを攻撃!」

 

 フェニックス・ギア・フリードの現在の攻撃力は3500、これを食らえばひとたまりもないが、

 

「私は罠カード!和睦の使者を発動!これにより、私のモンスターはこのターン、戦闘で破壊されず、戦闘ダメージも0になる」

 

 白いヴェールに覆われ、クリッターは攻撃から守られる。

 

「くっ、俺はこれでターンエンド」

 

ターン4

 

「現れたまえ、我らの未来回路!召喚条件は悪魔族モンスター2体!リンク召喚!リンク2、地獄螺旋鬼(ヘルリックス)ゴシックローン!」

 

地獄螺旋鬼(ヘルリックス)ゴシックローン

リンク・効果モンスター

闇属性/悪魔族/攻 0/LINK 2

【リンクマーカー:上/下】

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。このカードの攻撃力はダメージステップ終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力と同じになる。

(2)このカードは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

(3)自分のターン中、このカードの(2)の効果を適用したダメージ計算後に、このカードのリンク先のこのターンに攻撃を行っていないモンスター1体をリリースして発動できる。リリースしたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「墓地のネクロ・ダーウィンは、悪魔族リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる」

 

 ゴシックローンの背後に、再びネクロ・ダーウィンが飛翔する。

 

「バトルだ!私はゴシックローンで、フェニックス・ギア・フリードを攻撃!」

「攻撃力0のモンスターで攻撃!?」

「この瞬間、ゴシックローンの効果発動!戦闘を行う相手モンスターと同じ攻撃力となる!」

 

 ゴシックローンの姿が、フェニックス・ギア・フリードと同じになる。

 2体のギア・フリードの剣がぶつかり合い、互いに体を切り裂かれて倒れる。だが、

 

「ゴシックローンは、1ターンに1度だけ、戦闘で破壊されない!」

 

 倒された一方のギア・フリードの中から、ゴシックローンが再び姿を現す。

 

「くっ、俺は墓地に送られたスピアード・ギア・ブレードの効果発動!デッキからスーペルヴィスを手札に加える!」

「ゴシックローンのさらなる効果!戦闘破壊を防ぐ効果を適用したダメージ計算後、LINK先の攻撃を行っていないモンスター、すなわちネクロ・ダーウィンをリリースすることで、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」

 

 ソウルバーナー:4000→2200

 

「さらに罠カード!遺伝子復元を発動!」

 

遺伝子復元

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか衣装できない。

(1)墓地のリンクモンスター1体を特殊召喚する。

(2)墓地のこのカードを除外して発動できる。墓地から悪魔族モンスター1体を手札に加える。その後、自分は1000ダメージを受ける。

 

「墓地のネクロ・ダーウィンを特殊召喚!そしてそのまま墓地の遺伝子復元を除外して効果発動!墓地から悪魔族モンスターを手札に加え、自分は1000のダメージを受ける。さらにネクロ・ダーウィンの効果発動!ダメージを無効にし、このカードの攻撃力を倍にする!」

 

 流れるようなコンボで、ネクロ・ダーウィンは攻撃力3600となってフィールドに戻ってきた。

 

「バトル!ネクロ・ダーウィンで、エヴォルテクター シュバリエを攻撃!」

 

ソウルバーナー:ライフ2200→500

 

「私はこれでターンエンド。どうです? 私の完璧なデッキは」

「くっ……」

 

 ソウルバーナーの手札にあるのは、スーペルヴィスとストライク・ギア・ブレード、そしてフェニックス・ギア・フリード。

 モンスターカードは最上級モンスターのフェニックス・ギア・フリードのみで、フィールドに生け贄となるモンスターもおらず、特殊召喚する手段もない絶望的な状況だ。

 

「逆転の目はありません。大人しくサレンダーを宣言なさい」

「誰が……俺のターン!」

 

 ソウルバーナーは諦めずにカードを引く。

 引いたカードは「華麗なる密偵-C」、モンスターカードではあるが、デュアルモンスターではないため、ストライク・ギア・ブレードもスーペルヴィスも装備できない。

 

「どうすれば……」

 

 ◆

 

 その頃、ハノイのアジト内部まで潜入した二人の前に、一人の男が立ちふさがった。

 

「待っていましたよ。プレイメーカー」

「スペクター……」

 

 プレイメーカーはデュエルディスクを構えようとするが、美海がそれを制止した。

 

「あなたは先に行ってください。ここは私が引き受けます」

「分かった」

 

 プレイメーカーを先に行かせて、美海はデュエルディスクを構える。

 

「おやおや、あなたが私の相手をするのですか?」

「えぇ、お気に召しませんか?」

「いえいえ、弱い方から倒した方が、効率がいいですからねぇ」

 

 美海はそれに対して反論はしない。

 自身の未熟さは、これまでのデュエルでよくわかっているつもりだ。

 

(この男はゴッドバードを倒した。そして、私はゴッドバードに勝てなかった)

 

 勝てる可能性は限りなく低い。

それでも退くわけにはいかない。

 

「行きます」

 

「「デュエル!」」

 

 ◆

 

 美海とソウルバーナーの強力を得て、プレイメーカーはようやく最奥の部屋へとたどり着いた。

 

「Ai!」

 

 円柱形の装置に閉じ込められたAiを見つけて叫ぶ。

 

「思ったより早かったじゃないか」

 

 その前にジャックナイフが現れる。

 

「でも残念だったね。もうデータの吸出しは完了した」

「くっ……ジャックナイフ!俺とデュエルだ!」

「ん~、ここで君とデュエルしてあげてもいいんだけど~」

 

 ジャックナイフはクルッとプレイメーカーに背を向けて、一歩ずつ彼から遠ざかる。

 

「もぉっと面白いこと、してあげるよ」

 

 ジャックナイフが指を鳴らす。

 すると、部屋の中に突然闇が広がり、プレイメーカーは飲み込まれる。

 

「なんだっ!」

 

 気付くと、そこは白い壁に囲まれた小さな部屋だった。

 

「ここは……」

 

 見覚えのある光景に、プレイメーカーは無意識に心臓を抑える。

 すると、彼の目の前に一つの影が現れた。

 

 人の形をした真っ黒いアバター、その左腕にはプレイメーカーが使うものと同じタイプのデュエルディスクが装着されている。

 

「あの時の……」

「せいかーい」

 

 どこからかジャックナイフの声が鳴り響く。

 

「今君の目の前にいるのは、ハノイプロジェクトに使われたデュエルAI、そいつとたっぷり遊んでもらうよ」

 

 デュエルAIは既に臨戦態勢となっている。

 

「当時君が戦って、君のデュエルを学習し続けた個体だ。そいつに今までのハノイの騎士とのデュエルデータをインストールして進化させてある。さぁ、とっても楽しい実験の開始だよ。藤木遊作くん」

「やはりお前は、俺のこと知っているのか」

 

 ジャックナイフはそれには答えない。

 

「それじゃあ、がんばってね~」

 

 それきり彼の声は聞こえなくなった。

 

「やるしかないか……」

 

 忌まわしき過去の象徴。

 自然と足が竦み、心臓の鼓動が早くなる。

 

(俺は、恐れているのか、こいつを……)

 

 わずか6歳の頃に受けた壮絶な人体実験。

 その記憶がプレイメーカーの、遊作の体に見えない鎖を巻き付けていく。

 

(……震えている場合じゃない。三つ数えろ。戦うための三つの理由。一つ、過去に打ち勝ち、乗り越えるため。二つ、あの事件の真実を解き明かす、三つ、俺達を救ったあの声を、あいつに会うためにも)

 

「いくぞ、デュエル!」

 

 

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