遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
ブルーエンジェルこと葵ちゃんのメイン回です。
LINK VRAINS内、データストリームに乗って二人のデュエリストがデュエルを繰り広げていた。
「これで止めよ!トリックスター・ホーリーエンジェルでダイレクトアタック!」
ブルーエンジェルのモンスターが、敵のデュエルを吹き飛ばす。
「WINNER!ブルーエンジェル!LINKVRAINSのアイドルが今日も華麗に決めたぞっ!」
彼女のデュエルに、多くのギャラリーが歓声を上げる。
「はい!今日のライブはおしまい!みんなー、次のライブまでいい子にしてるんだぞ♪」
カメラに向かってウィンクを決めて、ブルーエンジェルは去っていった。
◆
「はぁ~」
ログアウトするやいなや、葵は机に伏して深いため息を吐いた。
「どうしたのですか? デュエルは無事勝てたのに」
「そうよ。勝ったわよ。なのに」
葵はタブレットを美海に見せる。
それはSNSのタイムラインだ。ブルーエンジェルのデュエルの直後であるにも関わらず、皆の話題はプレイメーカー一色だった。
「なるほど。彼に人気を取られているのが気に入らないと」
「そうよ。Go鬼塚に勝ったせいで、ますます注目を集めちゃって。ほんと、あのゴリラ余計なことしたわね」
「口がよろしくないですよ」
その時、葵のデュエルディスクから着信音がなる。
「お兄様からだわ」
葵はすぐに電話に出る。
「お兄様、どうしたの?」
「いや、一つ聞きたいんだが、お前、LINKVRAINSにはよく行くのか?」
「「!!」」
まさかブルーエンジェルの正体がバレたのかと、二人は冷や汗を流す。
「え、えーっと、たまに行くくらいだけど」
「そうか。最近ハノイの騎士の動きが活発になってきているから、しばらくログインは控えた方がいい」
「……それだけ?」
「それだけだが、何かあるのか?」
「ううん。何でもないわ。お兄様」
「そうか。じゃあくれぐれも気を付けるんだぞ」
そう言って晃は通話を切った。
「焦った~」
「心臓が止まるかと思いましたよ……」
ブルーエンジェルとしての活動を、万一にでも晃に知られれば、妹を溺愛する彼がどのような反応をするかは想像に難くない。
「まあ実の妹が『次のライブまでいい子にしてるんだぞ♪』とか言ってたら、卒倒しますよね。胸盛ってるし」
「胸は関係ないでしょ!」
美海に弄られて、葵は頬を膨らませる。
「このままじゃ駄目!こうなったら私がプレイメーカーに勝つしかない」
「プレイメーカーに勝つといっても、そもそも彼とどうやってデュエルするつもりですか? Go鬼塚のようにハノイに化けます? いくら何でも、同じ手に二度も引っ掛かるとは思えませんが」
「考えがあるわ」
すると彼女はものすごい早さでSNSに書き込みを始める。
「何をしているんですか?」
「フォロワーに呼び掛けてるのよ。私の20万人のファンの力でプレイメーカーを探してもらう」
「えげつない……」
早速大量のリプやDMがブルーエンジェルのアカウントに届く。
「全く、学校でもそれくらい愛想よくしていれば、友達くらいすぐにできるものを」
葵の様子に、美海は小さくため息を吐いた。
◆
同刻、草薙のキッチンカーにて、
「見ろよ。ブルーエンジェルがSNSでプレイメーカーを探してるぜ」
Aiがデュエルディスクの中から、モニターに映るタイムラインを覗いてニヤニヤしている。
「放っておいても大丈夫だろう。いつも通りログは消してあるし、そう簡単に補足されないよ」
草薙はコンソールを叩いて画面を切り替える。
「今はこっちだな」
映ったのはある女子の顔写真だった。
「財前葵か」
「ああ。お前と同じクラスで、SOLテクノロジーのセキュリティ部長、財前晃の妹だ。それからもう一人」
別の女子の顔がホップアップする。
「湊美海。財前家の使用人で、SOLテクノロジーの傭兵デュエリストも務めているらしい」
「湊、美海……」
その名前に、遊作が怪訝な顔を見せた。
「どうした?」
「いや、何でもない」
「そうか……まあ湊美海に関して情報がほとんどない。何せSOLテクノロジーに雇われてるといっても、彼女のデュエル記録が残っていない。デッキの内容すら不明だ」
「というか、どうしてSOLテクノロジーを調べてるんだ?」
Aiの疑問に答えたのは意外にも遊作だった。
「この前のGo鬼塚からのデュエル、あれはSOLテクノロジーが裏で糸を引いていた。加えて前回の大規模スキャン。奴らがお前を欲しがっているのは間違いない」
「やーん。Aiちゃんモテモテ~」
ふざけているAiを無視して、遊作は画面を操作する。
「この二人に接触して、SOLの情報を聞き出す」
「いや、でも遊作には難しいんじゃない?」
「どうしてだ。草薙さん」
「だってお前が女子と話すところなんて、想像できないもんな」
「確かに!」
Aiと草薙が大笑いするのを、遊作は不機嫌そうに見ていた。
◆
翌日の放課後、遊作はすぐには帰らずに学校の校舎を探索していた。
「それで、どうやって財前葵に話しかけるんだ?」
「彼女はデュエル部の部員らしい。デュエル部に体験入部させてもらえば、話すきっかけもできるだろう」
「ここだけ聞くと、好きな女の子に近付こうとしてるみたいだな」
Aiの感想は無視して、遊作はデュエル部の門を叩いた。
ガラッ
扉を開けて出てきたのは、見知った少年だった。
「おお藤木じゃねぇか」
「……島、なぜお前が」
「なんだよ。俺がデュエル部員で悪いかよ」
まだ名前を憶えて数日の関係だが、既にこの島直樹という男に対して、腐れ縁のようなものを遊作は感じていた。
「お前、ひょっとしてデュエル部に入りたいのか?」
「今日は見学だけだ」
「じゃあ俺がデュエル教えてやろうか」
「結構だ」
とりあえず部室に入ると、中の人間を見渡す。
部員はザッとみたところ男女合わせて6人。しかし、その中に財前葵の姿は見当たらなかった。
「財前はいないのか?」
「なんだ。ひょっとして藤木もこの新型デュエルディスクが目当てなのか?」
「何故そこでそれが出てくる」
「うちの部は財前のコネで、新型デュエルディスクをいち早く手に入れられるんだよ」
「私に何か用?」
すると、葵も遅れて部室に入ってきた。
「藤木くん、あなたもデュエリストだったのね」
「ああ」
「……」
「……」
「いやお前ら喋れよ!」
島に突っ込まれても、二人はこれといって話すことがないのか、黙ったままだった。
「遊作、お前やっぱコミュ障だろ……」
Aiは他の人間には聞こえないように小さく呟いた。
◆
その後も
「やれやれ、遊作だけじゃなく、財前葵までコミュ障だなんて、これじゃ仲良くなるのに何年かかんだよ」
「俺は別に仲良くなりたいわけじゃない」
「仲良くなんなきゃ、情報なんて聞きだせねぇだろ。そういえば、プレイメーカー捜索隊の方だけど」
「なんだそれは?」
「ブルーエンジェルが、自分のファンを使ってお前を探させてただろ。今日ブルーエンジェルがLINK VRAINS内でもプレイメーカー捜索を呼びかけるらしいぞ」
Aiがデュエルディスクを操作して、ホログラムウィンドウを投影する。
『はーいみんなー!今日は集まってくれてありがとう!』
LINK VRAINSの特設ステージ、そこで彼女は集まった多くのギャラリーに向けて手を振っている。
『私、ブルーエンジェルは、プレイメーカーとデュエルして勝つことを宣言しまーす』
彼女の宣言に、会場の人々は沸き立つ。
『でもプレイメーカーは神出鬼没、だからみんなに、プレイメーカーを探して欲しいの』
上目遣いで、媚びるような視線を観客、そして画面の向こうの視聴者に送る。
それにすっかり乗せられたギャラリーは、我こそはと次々にプレイメーカー捜索に名乗りを上げ始めた。
「人間ってのは単純だな」
「……一応、警戒はしておいた方がいいか」
◆
同刻、LINK VRAINS内のあるエリア、特殊なプロテクトによって隔離された場所でブルーエンジェルの中継を眺める一人の少年がいた。
年齢は遊作と同じくらいか───アバターの姿など参考にはならないが───エメラルド色の長めの髪、顔の右半分を覆うほど刺青を入れている。
「くくくっ、面白そうなことやってんなぁ」
彼は嬉しそうに笑う。
「雑魚ハッカー共じゃ頼りねぇ。俺も一枚噛ませてもらうか」
恍惚とした不気味な笑みを浮かべ、キーボードを操作し始めた。
◆
翌朝、遊作の目を覚ましたのはアラームではなく、草薙からの電話だった。
「どうしたんだ? こんな朝早くに」
『大変だ!お前のアカウントが特定されかかっている!』
「なんだと!?」
遊作はすぐに自室のPCを起動して状況を確認する。
SNS上で、遊作の通っている学校、LINK VRAINSにログインしている時間帯などの個人情報が晒されていた。
「おいおいヤバいんじゃねぇの?」
「落ち着け。見ろ、この情報はあくまでこいつの推測だ。だが……」
ここまでの精度で情報を集められるハッカーが紛れていたとなれば、正体がバレるのも時間の問題だろう。
「……仕方ない」
遊作はデュエルディスクを装着する。
「イントゥザヴレインズ!」
◆
プレイメーカーがログインすると、待ち構えるようにブルーエンジェルが建物の屋根の上に立っていた。
「来たわね。プレイメーカー」
プレイメーカーに向けてビシッと指さす。
「このデュエルであなたを倒して、私はLINK VRAINSの頂点に立つわ」
「その前に、俺が勝ったら、俺の正体を詮索するのを止めさせろ」
「えぇ。約束するわ」
「それで、レギュレーションはどうする?」
「当然スピードデュエル」
「分かった」
二人はDボードを出現させ、流れるデータストリームに飛び乗る。
「「スピードデュエル」」
◆
その頃、葵の部屋では、
「全く、こんなに派手にやって。SOLに目をつけられたら晃様にも……」
ぶつぶつと文句を言いながら、美海は葵のために隠蔽工作を行う。
「とりあえずIPを変えて、それからログも消去、念のためダミーも……ん?」
そこでふと、パソコンに映る情報から彼女はあることに気付いた。
その瞬間、彼女はSNSの書き込みを急いで削除した後、自分のデュエルディスクを装着した。
「イントゥザヴレインズ!」
◆
ターン1 ブルーエンジェル
「私はフィールド魔法、トリックスター・ライトステージを発動!」
周囲が暗闇に染まる。
「なんだ?」
「さぁ、これが私達のステージよ!」
暗闇に光が灯る。
赤、緑、黄、色とりどりのペンライトの光がLINK VRAINSを飾った。
「ライトステージの発動時の処理で、デッキからトリックスター・リリーベルを手札に加え、その効果で自身を特殊召喚!」
ステージに巨大なベルを振りながら、赤いツインテールの少女が降り立った。
「続けて、トリックスター・キャンディナを召喚。効果でデッキからトリックスター・マンジュシカを手札に。そしてマンジュシカの効果で自身を特殊召喚し、キャンディナを手札に戻す」
キャンディナがクルッと宙返りすると、入れ替わるようにマンジュシカが現れる。
「
キャンディナが再び現れて、彼女のモンスターゾーンが可憐な少女たちで埋められる。
トリックスター・ハルシネイション
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1)手札から「トリックスター」モンスター1体を、効果を無効にして特殊召喚する。その後、お互いデッキから1枚ドローする。この効果で特殊召喚したモンスターは「トリックスター」リンクモンスター以外のリンク素材にできない。
(2)「トリックスター」リンクモンスターが戦闘で破壊される場合、かわりに墓地のこのカードを除外できる。
「ここからがトリックスター真骨頂!さらにトリックスター・ハルシネイションの効果でお互い1枚ドロー!」
「お、手札貰えたじゃん。ラッキー」
「ここでトリックスター・マンジュシカの効果!相手がカードを手札に加えた時、相手に200ダメージを与える!」
マンジュシカがレイピアを振ると、プレイメーカーに衝撃波が飛ぶ。
「ライトステージの効果!トリックスターが相手にダメージを与えた時、さらに200のダメージ!」
プレイメーカー:ライフ4000→3600
「うぇ、アンラッキー」
Aiは立て続けのダメージに顔をしかめる。
「バーンデッキか」
「まだまだこれからよ!出てきて。夢と希望のサーキット!」
ブルーエンジェルがウィンクすると、彼女の視線の先にアローヘッドが出現する。
「召喚条件はトリックスター2体!」
ステージ上を彩るペンライトが青一色に染まる。
キャンディナとリリーベルの2体がお辞儀をして飛び、アローヘッドに吸い込まれた。
「リンク召喚!出てきてリンク2!トリックスター・ホーリーエンジェル!」
現れたのは白く長い髪と翼をはためせる美しい女性型のモンスターだ。
「私はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン2 プレイメーカー
「俺のターン、ドロー!」
「この瞬間、マンジュシカの効果で相手に200ダメージ!」
ライフ3600→3400
「ライトステージの効果でさらに200ダメージ!」
「ぐっ!」
ライフ3400→3200
「さらに
プレイメーカーの手札がデータの破片となって消える。
「さあカードを6枚ドローしなさい」
「……」
プレイメーカーがカードを引く。
「マンジュシカの効果で、手札に加えた枚数×200のダメージ!ライトステージの効果と合わせて1400ダメージ!」
ライフ3200→1800
「トリックスター・ホーリーエンジェルの効果!「トリックスター」モンスターの効果でダメージを与えた時、ターン終了時ま、その数値分、自身の攻撃力をアップする!」
「ホーリーエンジェルの攻撃力が3200になっちまったぞ。どうすんだ?」
「突破するしかない。俺は自分フィールドにモンスターが存在しない時、このカードは手札から特殊召喚できる。こいリンクスレイヤー!」
リンクスレイヤーが剣を構える。
「続けてバックアップ・セクレタリーを特殊召喚。さらにサイバース・コンバーターを特殊召喚!このカードは自分フィールドのモンスターがサイバース族のみの場合、手札から特殊召喚できる」
「モンスター3体、来るわね」
「現れろ。未来を導くサーキット!」
データストリームが渦を巻き、プレイメーカーの進む先にアローヘッドが出現する。
「召喚条件は効果モンスター2体以上、リンク召喚!来いデコード・トーカー」
青い鎧をまとった電子の騎士が、プレイメーカーの傍らに降り立った。
「プレイメーカーのエースモンスター」
「俺はディフェクト・コンパイラーを通常召喚」
ディフェクト・コンパイラーがデコード・トーカーのリンス先に出てきたことで、デコード・トーカーの攻撃力は2800となる。
「俺は手札のユニット・コンバーターの効果発動!」
ユニット・コンバーター
効果モンスター
星6/水属性/サイバース族/攻 1800/守 2500
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか使用できない。
(1)相手のリンクモンスター以外のメインモンスターゾーンのモンスター1体をリリースして、このカードを相手フィールドに守備表示で特殊召喚できる。
(2)このカードのコントローラーは1ターンに1度しかリンク召喚できない。
「トリックスター・マンジュシカをリリースして、このカードを相手フィールドに特殊召喚!」
マンジュシカの生け贄に、デコード・トーカーの正面、つまりそのリンク先に特殊召喚される。
「デコード・トーカーはリンク先のモンスターの数×500攻撃力がアップする!パワーインテグレーション!」
「これで攻撃力は3300。ホーリーエンジェルを上回ったぜ」
「バトルだ!デコード・トーカーでホーリーエンジェルを攻撃!」
「墓地のトリックスター・リンカーネイションの効果発動!このカードを墓地から除外して、墓地のトリックスターを特殊召喚!」
ペンライトが赤に染まり、フィールドに花びらが舞う。赤い花吹雪の中からマンジュシカが姿を現した。
「トリックスター・ホーリーエンジェルの効果!リンク先にモンスターが特殊召喚された時、相手に200ダメージを与える!」
これを食らえば、ホーリーエンジェルの攻撃力は再び上がり、デコード・トーカーを上回ってしまう。
「俺はディフェクト・コンパイラーの効果!効果ダメージを受ける時、かわりにこのカードにディフェクト・カウンターを置く!」
ホーリーエンジェルから放たれた魔法の弾丸は、ディフェクト・コンパイラーの発生させたバリアに吸い込まれる。
「さらにディフェクト・コンパイラーの効果発動!ディフェクト・カウンターを使うことで、デコード・トーカーの攻撃力を800アップする!」
デコード・トーカーの攻撃力は4100まで上昇する。
その一撃を防ぐことはできず、ホーリーエンジェルはやられてしまった。
ブルーエンジェル:ライフ4000→3100
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン3
「やるわね。私のターン」
「先に言っておくが、ユニット・コンバーターの効果で、お前は1ターンに1度しかリンク召喚ができない」
「私のリンク召喚を封じるのが狙い? でも無駄よ。私は装備魔法、トリックスター・マジカローラを発動!墓地からトリックスター・ホーリーエンジェルを特殊召喚してこのカードを装備」
ホーリーエンジェルが花飾りをかぶって再び現れる。
「さらにトリックスター・ライトステージの効果発動!相手のセットされたカード1枚はこのターンのエンドフェイズまで発動できず、相手はエンドフェイズにそれを発動するか、墓地に送る」
「くっ……」
伏せカードを封じられて苦い顔をする。
「さあバトルよ!まずはユニット・コンバーターでディフェクト・コンパイラーを攻撃!」
プレイメーカーが送りつけたサイバースモンスターが、プレイメーカーの守りの要を破壊する。
リンク先のモンスターを失ったことで、デコード・トーカーの攻撃力は2800までダウンした。
プレイメーカー:ライフ1800→1200
「そして私のスキル!トリックスター・フロードを発動!手札のトリックスターを墓地に送り、相手は手札が3枚になるようにドローする!」
手札0のプレイメーカーに3枚もの手札をプレゼントした格好だが、当然それだけでは終わらない。
「マンジュシカとライトステージの効果で800ダメージ」
効果ダメージを食らい、プレイメーカーは残りライフ400まで追い詰められる。
「ホーリーエンジェルは攻撃力が600アップ!さらに墓地に送られたトリックスター・メルキーの効果発動!」
トリックスター・メルキー
効果モンスター
星2/光属性/天使族/攻 800/守 400
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが墓地に送られた場合、自分フィールドに「トリックスター」リンクモンスターがいれば発動できる。相手に200ダメージを与える。
(2)このカードが墓地に存在し、自分フィールドの「トリックスター」リンクモンスターが相手に戦闘・効果でダメージを与えた場合に発動できる。このカードを墓地からそのリンクモンスターのリンク先に特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードはフィールドを離れた場合、除外される。
「相手に200ダメージを与える。ホーリーエンジェルはさらに攻撃力アップ!」
これで攻撃力2800となり、デコード・トーカーに並んだ。
「トリックスター・ホーリーエンジェルでデコード・トーカーを攻撃!」
「相討ち狙いか」
「いいえ、倒されるのはあなただけよ。墓地のトリックスター・ハルシネイションの効果!「トリックスター」リンクモンスターが戦闘で破壊される時、墓地のこのカードを除外して身代わりにできる」
ホーリーエンジェルが鞭を振るい、デコード・トーカーを締め上げると、そのまま場外へ投げ飛ばしてしまった。
「これで終わりよ!マンジュシカでダイレクトアタック!」
「そこまでだ!手札のダイレクト・ジャマーの効果発動!」
ダイレクト・ジャマー
効果モンスター
星1/闇属性/サイバース族/攻 0/守 0
(1)相手の直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、バトルフェイズを終了させる。
「このカードを手札から特殊召喚!その後、バトルフェイズを終了させる」
「ふふっ、やっぱり簡単じゃないわね。私はこれでターンエンド!さぁこのデュエル、もっと盛り上げて、一緒に楽しみましょう」
ターン4
「楽しむか……」
ブルーエンジェルの言葉に、プレイメーカーは少し寂しそうな顔を見せる。
「悪いが、俺にデュエルを楽しむなんて感情はない」
「えっ……!」
「いくぞ。俺はサイバース・ウィザードを召喚。自分のサイバース族モンスターが召喚された時、ブート・スタッガードを手札から特殊召喚!」
プレイメーカーのフィールドに再び三体のモンスターが並ぶ。
「サイバース・ウィザードの効果でマンジュシカを守備表示に変更する。現れろ。未来を導くサーキット!召喚条件はサイバース族モンスター2体!リンク召喚!スプラッシュ・メイジ!」
アローヘッドより、スプラッシュ・メイジが飛び出し、その能力で墓地からサイバース・ウィザードを蘇生させる。
「現れろ!未来を導くサーキット!リンク召喚!リンク3、エンコード・トーカー」
現れたのは光輝く大盾を携えた電子の騎士だ。
「バトルだ!サイバース・ウィザードでホーリーエンジェルを攻撃!」
「え!?」
サイバース・ウィザードの攻撃力は1800。ホーリーエンジェルの攻撃力2000に届いていない。どころかライフ200しかないプレイメーカーはそのまま戦闘ダメージを食らって負けてしまう。
「エンコード・トーカーの効果発動!リンク先のモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも0になる。そして戦闘を行った相手モンスターの攻撃力分、エンコード・トーカーの攻撃力をアップする」
「攻撃力4300!?」
「バトルだ!エンコード・トーカーでホーリーエンジェルを攻撃!」
エンコード・トーカーが大盾を構えて突進する。
「ファイナルエンコード!」
ホーリーエンジェルを突飛ばし、そのまま盾を槍のように振り回して、ホーリーエンジェルを切り裂いた。
◆
デュエルが終了した後、やや放心状態の葵はファンサービスもそこそこにログアウトした。
「デュエルを楽しめない……」
彼の悲壮と怒りが混じった表情を思い出す。
思い返してみれば、彼は自分とのデュエルでも、Go鬼塚とのデュエルでも、一度も笑顔を見せたことがなかった。
「どういう意味なんだろう……」
そこで彼女はふと、自分の机に座る美海の方に目をやる。
彼女は椅子にもたれ掛かったまま動かない。見ると、その左腕に装着されたデュエルディスクは起動していた。
「ログインしてるの?」