遊戯王VRAINS Re:Construction   作:師走F

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第24話:Those who were led by fate

 ハノイの塔の頂上で、リボルバーとプレイメーカーは向き合う。

 

「貴様と戦うのは二度目だな」

 

 一度目は、プレイメーカーのスキル発動に失敗して中断。

 あの場面で、既にプレイメーカーに次の一手はなく、事実上の敗北だった。

 

「あの時の借りを返してやろうぜ」

「黙れイグニス」

 

 プレイメーカーに激励を送るAiに、リボルバーは冷たく言い放つ。

 

「貴様らこそ、諸悪の根源。お前たちさえいなければ……」

「リボルバー、お前は先生、鴻上博士のシミュレートの結果を知っているのか?」

 

 怒りに震えるリボルバーに、プレイメーカーは問いかける。

 

「先生? そうか、お前はあの孤児院の生徒だったか」

「やっぱり、先生を知っているんだな」

「知っているよ。貴様よりもずっとな」

 

 リボルバーは静かにそう言うと、付けていたマスクを外す。

 

「私の本名は鴻上了見。貴様の言う先生、鴻上聖の息子だ」

「なっ!」

 

 それを聞かされて、プレイメーカーは目を見開く。

 

「父は過ちを犯した。お前達のような最悪の存在を作り出した。それを私は正さなければならない」

「そのやり方がこれか」

 

 プレイメーカーは今もなおデータを吸い続けるハノイの塔を見る。

 

「こんな方法で、先生が喜ぶと────」

「何を言っている? この塔を用意したのは父だ」

「え……」

 

 今度はプレイメーカーだけでなく、その場にいたソウルバーナーや塔の下で聞いていたゴッドバードまでもが固まった。

 

「父はイグニスを殲滅するために、このプログラムを用意していたのだ!」

「ちょっと待て、こんな大勢の人間を巻き込むような方法を、本当に先生が認めたのか!?」

 

 プレイメーカーは信じることができずに反論する。

 

「認めるも何も、何度も言うようにこのプログラムは父が作ったものだ」

 

 リボルバーにそう断言され、プレイメーカーは狼狽えていた。

 彼にとって、鴻上聖は身寄りのない自分達を育ててくれた恩人だ。それがこのような手段を講じていたという事実に、思考が追い付かない。

 

「イグニスに与するのなら、たとえ父の生徒であろうと容赦はしない」

 

 リボルバーは既に話は済んだと、デュエルディスクを構える。

 

「プレイメーカー!ボサッとするな!もう塔の起動まで時間がない!」

「あ、ああ」

 

 Aiに叱咤され、プレイメーカーは震える左腕を持ち上げる。

 

「「デュエル!」」

 

ターン1 プレイメーカー

 

「俺はリンクスレイヤーを特殊召喚!」

 

 ヤマネコを象った鎧をまとった騎士が、フィールドに出現する。

 

「このカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。さらにサイバース族モンスターがいる時、バックアップ・セクレタリーを特殊召喚」

 

 バイザーを装着した青髪の少女が、その隣に召喚される。

 

「手札のスタック・リバイバーを墓地へ送り、ミラーリンカーを特殊召喚!さらにサイバース・ガジェットを通常召喚。効果で墓地からスタック・リバイバーを特殊召喚。現れろ、未来を導くサーキット!リンク召喚!スプラッシュ・メイジ!」

 

 スタック・リバイバーとバックアップ・セクレタリーがアローヘッドに吸い込まれ、白いローブをまとった電脳の魔術師が姿を現した。

 

「スタック・リバイバーの効果で、墓地のバックアップ・セクレタリーを特殊召喚。さらにスプラッシュ・メイジの効果!」

 

 スプラッシュ・メイジが手にした杖を手元でクルッと回転させる。

 

「墓地からスタック・リバイバーを自身のリンク先に特殊召喚!」

 

 カツンッと杖を地面に突き立てると、そこにワームホールが開き、中からスタック・リバイバーが蘇った。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!召喚条件は効果モンスター2体以上!俺はスタック・リバイバーと、リンク2のスプラッシュ・メイジをリンクマーカーにセット!リンク召喚!トランスコード・トーカー!」

 

 現れたのは角ばったオレンジの重装甲をまとった電脳の騎士だった。

 

「トランスコード・トーカーの効果発動!墓地からスプラッシュ・メイジを特殊召喚」

 

 トランスコード・トーカーの後ろに、スプラッシュ・メイジが蘇る。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!召喚条件はモンスター2体以上!リンク召喚!」

 

 スプラッシュ・メイジ、バックアップ・セクレタリー、サイバース・ガジェットの3体がアローヘッドに吸い込まれ、上下左右のリンクマーカーを描く。

 

「唸れ嵐!虚構に渦巻く旋風は、万物を振るわす竜の雄叫びとなる!リンク召喚!」

 

 アローヘッドより爆風が吹く。

 

「リンク4、ファイアウォール・ドラゴン!」

 

 風の中から、機械の翼を広げる白いドラゴンが現れた。

 

「サイバース・ガジェットの効果発動!ガジェット・トークンを特殊召喚。現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 ミラーリンカー、リンクスレイヤーがリンクマーカーに吸い込まれる。

 

「リンク召喚!リンク2、ハニーボット!」

 

 ファイアウォール・ドラゴンのリンク先に、ハチの巣のようなビットを従えた女性型のモンスターが出現する。

 

「さらに残りのガジェット・トークンを使い、リンク召喚!トークバック・ランサー!そのままリンクマーカーにセット!リンク召喚!セキュア・ガードナー!」

 

 さらにファイアウォール・ドラゴンの左隣に、両肩に盾を装備したロボットが出現した。

 

「墓地のミラーリンカーの効果発動!」

 

ミラーリンカー

効果モンスター

星2/水属性/サイバース族/攻 800/守 900

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)自分の手札からこのカード以外のサイバース族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2)このカードがリンク素材となって墓地へ送られたターンのメインフェイズに、墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのサイバース族リンクモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターのリンクマーカーの数だけ、デッキの上からカードをめくり、その中から「サイバネット」魔法・罠カード1枚を手札に加え、残りを墓地へ送る。この効果で手札に加えなかった場合、めくったカードはデッキに戻す。この効果で手札に加えたカード、及びその同名カードはこのターン、発動できない。

 

「ファイアウォール・ドラゴンを対象に、墓地のこのカードを除外。デッキの上から対象のモンスターのリンクマーカーの数だけめくり、その中からサイバネットカード1枚を手札に加える。俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

「よし!これでファイアウォール・ドラゴンの相互リンク状態のカードは3枚、相手のカードを3枚戻せるぜ」

 

ターン2 リボルバー

 

「プレイメーカー、確かにサイバースのカードは強力だ。貴様も、ソウルバーナー、ゴッドバード、μ(ミュー)、そしてイグニス。その使い手達と幾度となく我々は戦ってきた」

 

 リボルバーは自分や、自分の部下達が戦った相手を思い返しながら言う。

 

「我々がそのサイバースに対して、何の対策も講じていないと思っていたか?」

「何?」

 

 リボルバーは手札から引いたカードを掲げる。

 

「フィールド魔法、天火の煉獄を発動!」

 

 瞬間、塔の周りを巨大な鳥籠が覆う。

 鳥籠の外周に、4の灯火が点き、籠の中を照らした。

 

「なんだ……」

「このカードがフィールドに存在する限り、お互い1ターンに1度しかリンク召喚できない。そして、サイバース族リンクモンスターが存在する場合、サイバース族モンスターは効果を発動できず、攻撃できず、リンク素材にもできない」

「なっ!」

 

 気付くと、プレイメーカーのフィールドにいるモンスター達はまるで抜け殻のように動かなくなってしまった。

 

天火の煉獄

フィールド魔法

このカードは自分のメインフェイズ1開始時にのみ発動できる。

(1)お互い、1ターンに1度しかリンク召喚を行えない。

(2)フィールドにサイバース族リンクモンスターが存在する限り、以下の効果を適用する。

●サイバース族モンスターの発動した効果は無効化される。

●フィールドのサイバース族モンスターは攻撃できず、リンク素材にできない。

(3)このカードが相手の効果でフィールドを離れた場合、自分フィールド・墓地のリンク4のモンスター1体を除外して発動できる。EXデッキから「トポロジック」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「サイバース族の強力なリンクモンスターに対してはミラーフォース、サイバース族の力そのものを奪うための天火の煉獄!この二段構えこそが、ハノイの切り札だ!」

 

 リボルバーは高らかに宣言する

 

「私はヴァレット・オーバードーズを発動!」

 

ヴァレット・オーバードーズ

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、発動するターン、自分はEXデッキからモンスターを1度しか特殊召喚できない。

(1)相手フィールドのモンスターが自分より多い場合に発動できる。自分フィールドのモンスターが相手フィールドのモンスターの数と同じになるまで、自分の手札・デッキから「ヴァレット」モンスターを守備表示で特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。この効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズに破壊される。この効果で特殊召喚されたモンスターがフィールドに表側表示で存在する限り、自分は闇属性・ドラゴン族モンスターしか特殊召喚できない。

 

「相手フィールドのモンスターの数と自分フィールドのモンスターの数が同じになるまで、手札かデッキからカード名の異なるヴァレットモンスターを特殊召喚!」

 

 虚空に四つの穴が開き、そこから4体のヴァレットモンスターが射出される。

 

「現れろ、我が道を照らす未来回路!」

 

 リボルバーの手を伸ばす先に、アローヘッドが出現する。

 

「召喚条件は効果モンスター3体以上!私は4体のヴァレットモンスターをリンクマーカーにセット!」

 

 弾丸がリンクマーカーに装填され、アローヘッドが回転する。

 

「閉ざされた世界を切り裂く我が烈風!リンク4!ヴァレルソード・ドラゴン!」

 

 現れたのは、頭部に巨大な刃を装備したドラゴン。

 その胴体にはヴァレルロードと同じく、シリンダーがついている。

 

「そしてシルバーヴァレット・ドラゴンを通常召喚。バトルだ。まずはシルバーヴァレット・ドラゴンで、セキュア・ガードナーを攻撃!」

 

 シルバーヴァレット・ドラゴンが弾丸に変形し、セキュア・ガードナーに向けて発射された。

 

「セキュア・ガードナーの効果!自分が戦闘・効果ダメージを受ける時、それを1度だけ0にできる!この効果は永続効果、発動する効果ではないので無効にされない」

 

 セキュア・ガードナーが動き、最後の力を振り絞って弾丸を自らの体で受け止めた。

 

「ヴァレルソード・ドラゴンの効果発動!シルバーヴァレット・ドラゴンを対象に、それを守備表示に変更!効果の対象となったことで、シルバーヴァレット・ドラゴンは破壊!」

 

 シルバーヴァレット・ドラゴンが弾丸となって、ヴァレルソードのシリンダーに装填される。

 

「シルバーヴァレット・ドラゴンの効果発動!リンクモンスターの効果の対象になった時、自身を破壊し、相手のエクストラデッキからカードを1枚選んで除外する」

 

 プレイメーカーのエクストラデッキのカードが公開される。

 

「お前だ!エンコード・トーカー!」

 

 弾丸がそのカードを貫き、消滅させる。

 

「そしてこの効果を使ったことで、ヴァレルソードはこのターン、2回攻撃できる!まずはハニーボットを攻撃!」

 

 ヴァレルソードに襲われても、ハニーボットは一切動くことなく、何の抵抗もなく切り裂かれた。

 

 プレイメーカー;ライフ4000→2900

 

「終わりだ!ヴァレルソード・ドラゴン!ファイアウォール・ドラゴンを攻撃!この瞬間、ヴァレルソード・ドラゴンの効果発動!攻撃する相手モンスターの攻撃力の半分、自身の攻撃力をアップし、その相手モンスターの攻撃力を半分にする!」

 

 トランスコード・トーカーの効果で3000までアップしていたファイアウォール・ドラゴンの攻撃力が1500まで下げられ、その力がヴァレルソード・ドラゴンに奪われる。

 

「終わりだ!行け!ヴァレルソード・ドラゴン!」

「俺は(トラップ)カード!サイバネット・エマージェンスを発動!」

 

サイバネット・エマージェンス

通常罠

(1)自分のサイバース族モンスター1体を対象として発動できる(ダメージステップでも発動可能)。そのモンスターはこのターン、1ターンに1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘によって発生する戦闘ダメージはお互いが受け、半分になる。その後、受けたダメージの数値分、戦闘を行った相手モンスターの攻撃力をダウンさせ、デッキからその数値以下の攻撃力または守備力を持つサイバース族モンスター1体を手札に加える。

 

「ファイアウォール・ドラゴンはこのターン、1度だけ戦闘で破壊されず、戦闘ダメージは半分になって互いが受ける!」

 

 ファイアウォール・ドラゴンを守るように、赤い障壁が展開される。

 

 そして、ヴァレルソード・ドラゴンとその背後にいるリボルバーに向けて赤い障壁から光線が照射される。

 

 プレイメーカー:ライフ2900→1400

 リボルバー:ライフ4000→2500

 

「そして、受けたダメージの数値分、戦闘を行った相手モンスターの攻撃力をダウンさせ、その数値以下の攻撃力か守備力を持つサイバース族モンスター1体を、デッキから手札に加える」

「くっ、私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

ターン3

 

「どうにかターンは返ってきたな」

「ああ。だが、あのフィールド魔法がある限り、俺はリボルバーを攻撃できない」

 

 プレイメーカーのデッキのモンスターは例外なくサイバース族。

 それらは全て天火の煉獄の効果を受けてしまう。

 

「どうにかしてあれを除去しないとな」

「ああ。俺は魔法カード、サイバネット・ドローを発動!」

 

サイバネット・ドロー

通常魔法

自分フィールドにリンク3以上の「コード・トーカー」モンスターが存在する場合、このカードの発動と効果は無効化されない。

(1)自分のフィールド・墓地・除外されているサイバース族リンクモンスターのリンクマーカーの合計が8以上の場合、自分のメインフェイズ1開始時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。この効果発動後ターン終了時まで、自分はデッキからカードを手札に加えられない。

 

「デッキから2枚ドロー!そして今引いたサイバネット・クロスワイプを発動!ファイアーウォール・ドラゴンをリリースして、天火の煉獄を破壊!」

 

 ファイアーウォール・ドラゴンが光に包まれて、彼らを閉じこめる鳥籠に向けて突っ込む。

 その決死の特効により、天火の煉獄は音を立てて崩れ始めた。

 

「どうだリボルバー!お前の切り札はぶっ潰してやったぞ!」

 

 デュエルディスク上で、Aiがビシッと指差す。

 

「ククク……」

 

 だが、そんな彼をリボルバーが嘲笑う。

 

「我が煉獄が破壊されたことで、そこに封印されし力が呼び覚まされる」

 

 ゴゴゴゴ……

 

 地鳴りがして、崩れた鳥籠の周囲を覆っていた4つの灯火が集まる。

 

「自分のフィールド・墓地のリンク4のモンスターを除外することで、エクストラデッキから特殊召喚する」

 

 灯火は幾何学的な模様を描くように周り、やがて1つとなって光を放つ。

 

「とこしえの創世より、無限に再生するゼロ!出でよ、トポロジック・ゼロヴォロス!」

 

 光の中から現れたそれは、ドラゴンと呼ぶにはあまりに 禍々しく、命を感じない無機質な姿。尾を奇怪な模様を描くようにうねられ、自身の背中に接続している。

 

「新たなリンク4のモンスター……」

「おい!プレイメーカー!こいつ、サイバース族だぞ!!」

「なんだと!?」

 

 リボルバー、ハノイの騎士はイグニスを殲滅することを目的としている。

 そのイグニスの力の象徴とも呼べるサイバース族のカードを自ら使ったことに、二人は驚きを隠せない。

 

「これこそ、父が遺した、天火の煉獄に封印されしサイバース族のカード。敵の力を以て、敵を殲滅する。これが私と父の覚悟のカードだ!」

「先生のカードか……」

 

 確かに、イグニスを研究していた鴻上博士なら、サイバース族のカードを産み出せても不思議じゃない。

 

「リボルバー、先生はそもそもどうしてイグニスを作ったんだ!」

「父は人類の未来を憂い、人類に福音をもたらす存在としてイグニスの研究を始めた。だが、金にしか興味のないSOLテクノロジー社は、結果を急ぐあまり、父の孤児院の子供達、つまりお前達を実験台にしたのだ。強制された事とはいえ、父は自らの罪の意識に耐えきれず、その命を絶った」

 

 リボルバーは激しい怒りを込めて語る。

 

 だが、プレイメーカーはその話に何か引っ掛かりを覚えた。

 

(なんだ? この違和感は……)

 

 リボルバーが嘘を言っているようには見えない。

 

 今の話にも、これまでの情報との矛盾はない。

 

「おい!プレイメーカー!しっかりしろ!」

「っ……あ、ああ。悪い」

 

 Aiに声をかけられ、一度思考は打ち切られる。

 

(今はこのデュエルに集中する)

 

「いくぞ!俺はトランスコード・トーカーの効果発動!墓地からスプラッシュ・メイジを特殊召喚!さらにスプラッシュ・メイジの効果で、墓地からリンクスレイヤーを特殊召喚!」

 

 プレイメーカーのフィールドに3体のモンスターが並ぶ。

 

「私は速攻魔法!クイック・リボルブを発動!デッキからヴァレットモンスターを特殊召喚!」

 

 トポロジック・ゼロヴォロスのリンク先に、アネスヴァレット・ドラゴンが射出される。

 

「この瞬間!トポロジック・ゼロヴォロスの効果発動!」

 

 トポロジック・ゼロヴォロスの尾を伝うように、雷が駆け巡る。

 

「このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された時、フィールドのカードを全て除外する!アシュラーエニグマッッ!」

 

 光が限界まで高まり、全てを飲み込む。

 

 二人のフィールドのモンスター達は跡形もなく消し去られた。

 

「くっ……俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

ターン4

 

「スタンバイフェイズに、自身の効果で特殊召喚されたトポロジック・ゼロヴォロスは帰還する」

 

 空間が歪み、トポロジック・ゼロヴォロスが再び姿を現す。

 

「そしてトポロジック・ゼロヴォロスは、除外されているカードの数×200、攻撃力がアップする」

 

 現在の除外されているカードの枚数は、プレイメーカーとリボルバーで合わせて6枚。ゼロヴォロスの攻撃力は4200となる。

 

「バトルだ!トポロジック・ゼロヴォロスで、ダイレクトアタック!」

 

 ゼロヴォロスの尾を伝ってエネルギーが加速する。

 

「終熄のディスオーダー・コードッッ!」

 

 加速したエネルギーがプレイメーカーに向けて放たれる。

 

「俺は(トラップ)カード!スリーフェイト・バリアを発動!」

 

スリーフェイト・バリア

通常罠

(1) 以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このターン、自分のモンスターは戦闘・効果で破壊されない。

●このターン、自分はダメージを受けない。

●このターン、自分のモンスター1体は1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘によって戦闘ダメージを受けるかわりに、その数値分、自分のLPを回復する。

(2)自分がダメージを受けた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。

 

「このターン、俺はダメージを受けない!」

 

 プレイメーカーの前に、黄色いバリアが張られ、ゼロヴォロスの攻撃を防いだ。

 

「私はこれでターンエンド。貴様も分かっていると思うが、これで貴様のリンク召喚は封じられた」

 

 ゼロヴォロスはリンク先にモンスターが特殊召喚された時、フィールドのカードを全て除外する。

 そして、ゼロヴォロスは現在メインモンスターゾーン中央におり、そのリンクマーカーはエクストラモンスターゾーンを向いている。

 

 エクストラモンスターゾーンを使えば、その瞬間にプレイメーカーのモンスターは消し飛ぶこととなる。

 

(次のドローが勝負を決める)

 

「いくぞ!俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードを確認する。

 

「これなら、俺はバランサーロードを召喚!ライフを1000払い効果発動!」

 

 プレイメーカー:ライフ1400→400

 

「このターン、俺はもう一度通常召喚できる!俺はレディ・デバッカーを召喚!」

 

 てんとう虫の羽を持つ女性型のモンスターが出てくる。

 

「このカードが召喚に成功した時、デッキからレベル3以下のサイバース族モンスターを手札に加える。俺はマイクロ・コーダーを手札に。現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 プレイメーカーが空に手を伸ばすと、光の軌跡が駆けて上空にアローヘッドを出現させる。

 

「召喚条件は効果モンスター2体以上!俺はバランサーロード、レディ・デバッカー、そして手札のマイクロ・コーダーをリンクマーカーにセット!」

 

 空を三つの光が駆けて、アローヘッドにリンクマーカーを描く。

 

「リンク召喚!リンク3、デコード・トーカー!」

 

 アローヘッドより、青い鎧を身にまとった電脳の騎士が現れた。

 

「潔く散るか。いいだろう。やれ!トポロジック・ゼロヴォロスッ!」

 

 トポロジック・ゼロヴォロスの尾でエネルギーが加速する。

 

「アシュラーエニグマッ!」

 

 限界値まで高まった熱量が光となって放出され、フィールドのカードを全て飲み込んだ。

 

「これで、今度こそ貴様は次のターン────」

「俺は墓地のリコーデッド・アライブの効果発動!」

「なにっ!?」

 

 空間が歪む。

 

「除外されている「コード・トーカー」モンスター1体を特殊召喚!来い、デコード・トーカー!」

 

 次元の奥より、デコード・トーカーが舞い戻った。

 

「バカな。いつの間に……最初のターンか」

 

 プレイメーカーが1ターン目に発動したミラーリンカーの効果。デッキの上からカードをめくり、「サイバネット」カードを手札に加えて、残りを墓地へ送る。

 あれでリコーデッド・アライブが墓地へ送られていたのだ。

 

「たが、デコード・トーカーの攻撃力では、私のライフは削りきれない!」

「まだだ。俺はマイクロ・コーダーの効果で手札に加えたこいつを使う!フィールド魔法、サイバネット・ユニバースを発動!」

 

 空が黒く染まり、それを彩るように無数の電子の光が複雑な軌道で飛び交い始める。

 

「このカードは、リンクモンスターの攻撃力を300アップする!」

 

 これで攻撃力2600。

 リボルバーのライフ2500に届いた。

 

「バトルだ!デコード・トーカーでリボルバーにダイレクトアタック!」

 

 剣を振り上げ、リボルバーに急接近する。

 

「デコォォォドォッ!エンドッッッ!」

 

 ◆

 

 デュエルが終了すると同時に、ハノイの塔の上空で回転していた輪が止まる。

 

「私の敗けだ。プレイメーカー……」

 

 リボルバーは倒れた体を起こす。

 

「だが忘れるな。イグニスが存在する限り、人類の破滅は避けられない。私はその運命から逃げるつもりはない」

 

 リボルバーがデュエルディスクを操作する。

 

「待て!」

 

 リボルバーのアバターは姿を消してしまった。

 

「……人類の破滅」

 

 レポートにも書かれていた。

 シミュレートの結果、イグニスはいずれも人類を滅ぼす未来を引き起こすと。

 

 確かに、現に今、ライトニングを初めとした4人のイグニスは人間に対して宣戦布告した。

 

 運命の歯車は、既にシミュレートされた未来に動き出している。

 

(だが、なんだ。何か……)

「プレイメーカー!」

 

 ソウルバーナーに声をかけられ、プレイメーカーの思考は中断された。

 

「どうした?」

「いや……ブルーエンジェルと美海を迎えに行こう」

「それなら……おーい!ゴッドバード!」

 

 ソウルバーナーが塔の上から呼び掛ける。

 視覚補正と聴覚補正で、遥か下にいるゴッドバードと共きっちりやり取りができる。

 

「もっかいデータストリーム起こしてくれ!」

「ふざけんな俺はタクシーじゃねぇんだぞ」

 

 なんだかんだ言い合って、結局ゴッドバードが送ってくれることになった。

 

 

 ◆

 

 Hello world

 

 Second Phase(第2段階) 終了……進捗率37%

 

 コレマデノ結果ハ、スベテ シミュレーション ドオリ

 

 コレヨリ、『Project:Hanoi』ヲ Third Phase(第3段階)へト移行シマス




これにてハノイの塔編は終了です
原作では事件の真相が明らかになり、遊作の復讐が終わった節目の回でしたが、本作では新たな謎が浮かび上がった始まりの回となっております
次回からのストーリーにもご期待ください
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