遊戯王VRAINS Re:Construction   作:師走F

37 / 84
GゴーレムOCG化おめでとう


第28話:Park Climax

 デュエル終了後、相当ショックだったのか。

 ゴッドバードは膝をついたまま動かない。

 

「やっぱりな」

「どういうことだAi?」

「前に、あいつのスキルは不安定だって言っただろ? あいつほどのリンクセンスがあれば、ストームアクセスで失敗するなんてありえねぇ」

 

 Aiの言う通り、プレイメーカーはスキルを使う時、感覚で来るモンスターの気配を察知し、そこに手を伸ばす。

 だが、ゴッドバードはそのうえで目当てのカードを掴み損ねた。これがAiの言っていた不安定なプログラムということの意味なのだろう。

 

「俺は認めねぇからな!」

 

 騒ぐゴッドバードをよそに、司会進行の八神はイベントを進める。

 

「というわけでアースさん、対戦相手はGo鬼塚に決まりましたけど、よろしいですか?」

「そういやいたな」

「忘れた」

 

 普通にイベントが行われていたため、みんなアースの存在をすっかり忘れていた。

 

「よし。ではブート」

 

 アースが指を鳴らすと、その傍らにオレンジのスーツのように見える形状の体を持つ人型のアバターが現れた。

 

「お前が相手しないのかよ」

「そうしたいが、私はライトニングより、直接デュエルするなと言われている。では任せたぞブート」

「了解」

 

 ブートがデュエルディスクを構える。

 

「そもそもこのデュエル、なんのためにするんでしたっけ?」

「さあ?」

 

 とはいえ、八神含めたギャラリーは最高に盛り上がっているので、そのままGo鬼塚VSブートのデュエルは始まった。

 

ターン1 ブート

 

「私はL(リンク)ジェネレーター・ドットブロックを召喚」

 

 周囲から石のブロックが集まり、複雑に組み合わさったオブジェになる。

 

L(リンク)ジェネレーター・ドットブロック

効果モンスター

星1/地属性/サイバース族/攻 0/守 0

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1)このカードが召喚に成功した場合、自分のEXデッキからサイバース族リンクモンスターを相手に見せて発動できる。自分フィールドに見せたカードと同じ属性のL(リンク)ジェネレーター・トークン(星1・サイバース族・攻/守0)2体を特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分はこの効果で見せたモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

(2)墓地のこのカードを除外して発動できる。墓地からサイバース族モンスター1体を手札に加える。

 

「エクストラデッキから、Gゴーレム・インヴァリッド・ドルメンを公開し、そのカードと同じ属性のL(リンク)ジェネレーター・トークン2体を特殊召喚」

 

 ドットブロックの体からブロックが分離し、二体のトークンとなる。

 

「現れろ、我がサーキット!リンク召喚!リンク3、Gゴーレム・インヴァリッド・ドルメン!」

 

 現れたのは岩でできた浮遊する剛腕を二つ従える、岩石の巨神だった。

 

「インヴァリッド・ドルメンの効果。手札のサイバース族モンスター1枚を捨てることで、デッキから1枚ドロー。我はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

ターン2 Go鬼塚

 

「俺は剛鬼スープレックスを召喚。その効果で、俺は手札から剛鬼ツイストコブラを特殊召喚」

 

 フィールドに2体の剛鬼モンスターが並び立つ。

 

「俺はツイストコブラの効果発動!このカードをリリースし、スープレックスにその攻撃力を加える!」

 

 スープレックスが雄叫びを上げ、その攻撃力を3400まで上昇させる。

 

「墓地へ送られたツイストコブラの効果で、デッキから剛鬼再戦を手札に加える。カードを1枚伏せて、バトルだ!スープレックスで、インヴァリッド・ドルメンを攻撃!」

 

 明らかにかなわない巨体に対して、スープレックスは果敢に向かう。

 

「行け!スープレックス!」

 

 スープレックスのラリアットで、インヴァリッド・ドルメンの体はあっさりと崩れ去った。

 

 ブート:ライフ4000→3400

 

「図体がデカいわりに大したことないな。俺はこれでターンエンド」

 

ターン3

 

「ここからが本番だ。私は墓地のL(リンク)ジェネレーター・ドットブロックの効果発動。墓地からL(リンク)ジェネレーター・パズブロックを手札に」

「さっき手札から捨てたやつか」

「パズブロックはドロー以外で手札に加わった時、特殊召喚できる」

 

 三角形のブロックが集まり、浮遊するオブジェを形作る。

 

「パズブロックの効果発動!」

 

L(リンク)ジェネレーター・パズブロック

効果モンスター

星1/地属性/サイバース族/攻 0/守 0

(1)このカードがドロー以外の方法で手札に加わった場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2)このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のサイバース族リンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと同じ属性のL(リンク)ジェネレーター・トークン(星1・サイバース族・攻/守0)1体を特殊召喚する。この効果発動後、ターン終了時まで、自分はサイバース族モンスターしか特殊召喚できない。

 

「墓地のインヴァリッド・ドルメンと同じ属性のトークンを生成。現れろ、我がサーキット!リンク召喚!L(リンク)ジェネレーター・アームズハンド」

 

 ブロックで出来たマジックハンドがアローヘッドより現れた。

 

L(リンク)ジェネレーター・アームズハンド

リンク・効果モンスター

地属性/サイバース族/攻 1000/LINK 2

【リンクマーカー:右/下】

サイバース族モンスター2体

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)墓地の「Lジェネレーター」モンスター以外のサイバース族リンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードとリンク状態となるように特殊召喚する。

(2)このカードがサイバース族リンクモンスターと相互リンク状態の場合に発動できる。墓地からレベル4以下の「Lジェネレーター」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「その効果で、墓地からインヴァリッド・ドルメンを特殊召喚!」

 

 空中に穴が開き、インヴァリッド・ドルメンが浮上する。

 

「さらにこのカードは相互リンク状態の時、墓地からレベル4以下のLジェネレーター・パズブロックを特殊召喚。さらにもう1体のパズブロックを特殊召喚。リンク召喚!」

 

 二体のパズブロックが、アローヘッドの中で混ざり二体目のアームズハンドが、インヴァリッド・ドルメンの左隣に現れる。

 

「スキル発動!マーカーズポータル!」

 

 すると、上空より矢が弧を描いて、スピードデュエルを繰り広げる二人の元へ降り注ぐ。

 

「何だ!?」

「デッキからリンク魔法(マジック)裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)を発動!」

 

裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)

リンク魔法

【リンクマーカー:左上/上/右上】

リンク魔法は自分のリンクモンスターのリンク先となる魔法&罠ゾーンにのみ発動できる。

(1)「裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)」は自分フィールドに表側表示で1枚しか存在できない。

(2)このカードのリンク先のリンクモンスターが戦闘を行う場合に発動できる。そのモンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ倍になる。

(3)このカードがフィールドを離れた場合、このカードのリンク先のモンスターは墓地へ送られる。

 

「リンクマーカーを持つ魔法(マジック)だと!?」

「バトルだ。インヴァリッド・ドルメンで、スープレックスを攻撃!この瞬間、裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)の効果で、攻撃力は倍になる」

 

 攻撃力5600となったインヴァリッド・ドルメンが、その拳をスープレックスへ飛ばす。

 二つの拳に挟まれ、その体はあっけなく押しつぶされた。

 

 Go鬼塚:ライフ4000→200

 

「スープレックスの効果で、デッキから剛鬼カードを手札。そして俺はスキル、闘魂を発動!墓地から破壊されたスープレックスを特殊召喚」

 

 スープレックスがフィールドに守備表示で舞い戻る。

 

「だが、こちらにはまだ二体のモンスターがいる。これで終わりだ。アームズハンドでスープレックスを攻撃!」

 

 裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)の効果で攻撃力は2000。

 この攻撃が通れば鬼塚の負けだ。

 

「俺は手札から剛鬼アイアン・クローを墓地へ送り、効果発動!このターン、スープレックスの攻撃力は500アップする!」

 

 攻撃力2300となったスープレックスが、アームズハンドをわきで挟み、そのままへし折った。

 

 ブート:ライフ3400→3100

 

「我はこれでターンエンド」

 

ターン4

 

「決めるぞ!俺は剛鬼再戦を発動!墓地からツイストコブラとアイアン・クローを特殊召喚。現れろ、俺様のサーキット!」

 

 アローヘッドに、3体の剛鬼が飛び込む。

 

「リンク召喚!リンク3、剛鬼ザ・グレート・オーガ!」

 

 アローヘッドから大斧を携えて、黒い衣装を身にまとった剛筋の男が姿を現した。

 

「俺は墓地に送られた剛鬼の効果で、デッキから剛鬼カードをサーチ。そして手札の剛鬼ヘッドバットの効果!手札から剛鬼カード1枚を墓地へ送り、このカードを手札から特殊召喚!」

 

 紫のコウモリを模した衣装を着たレスラーが、グレート・オーガのリンク先に現れる。

 

「これでグレート・オーガの攻撃力は800アップだ!」

「だが、インヴァリッド・ドルメンの効果で、攻撃可能なモンスターは、ドルメンを攻撃しなければならない」

 

 裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)の効果で、インヴァリッド・ドルメンはダメージ計算時のみ、攻撃力が2倍になる。

 攻撃力3400となったグレート・オーガでも突破できない。

 

「ならば、現れろ、俺様のサーキット!召喚条件は、剛鬼モンスター2体以上!リンク召喚!出でよ、剛鬼ザ・マスター・オーガ!」

 

 アローヘッドより、黄金のマスクを被ったレスラーが華麗に登場した。

 

「俺はさらに、剛鬼フィニッシュホールドを発動!マスター・オーガの攻撃力を自身のリンクマーカーの数×1000アップする!」

「こ、攻撃力6800だと!?」

「バトルだ!マスター・オーガで、インヴァリッド・ドルメンを攻撃!」

 

 マスター・オーガがドロップキックで、インヴァリッド・ドルメンを打ち砕く。

 

 ブート:ライフ3100→1900

 

「そしてマスター・オーガは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる!」

「なに!?」

 

 破壊されたインヴァリッド・ドルメンの破片を足場に、さらに高く跳ぶ。

 

「行け、マスター・オーガ!アームズハンドを攻撃!」

 

 そして、アームズハンドへと狙いを定めて、上空から両足をそろえて急降下。

 

「マスタードロップ!」

 

 彗星の如く勢いで放たれたドロップキックは、アームズハンドの体を貫通して、そのままアースの体も吹き飛ばした。

 

「ぐぁぁぁっ!」

 

 アース:ライフ1900→0

 

「勝者!Go鬼塚!素敵なショーをどうもありがとう!」

「おぉぉぉっ!」

 

 Go鬼塚の勝利に会場が湧く。

 デュエルの終わりを合図に、コースターの動きは緩やかになり、ウィングランのようにゆっくりとスタート地点へと戻っていく。

 

「みんな!ありがとう!」

 

 コースターの上で立ち上がり、大きく手を振る彼に、会場に集まった大勢のギャラリーから惜しみない拍手が送られる。

 そして、ステージの上に戻ってきた鬼塚に、八神はマイクを向けた。

 

「では鬼塚さん、何か一言!」

「みんなの応援のおかげで、LINK VRAINSを守ることができた。これからも、この俺、ナンバーワンデュエリスト、Go鬼塚を応援してくれ!」

 

 ヒーローインタビューにまた盛大な拍手が送られる。

 

「いやぁ、凄かったな!」

「LINK VRAINSオールスターをそろえてくるなんて、最高だな!」

 

 観客たちは口々に感想を言い合う。

 

「なぁ、これ今までの内容が全部イベントだって思われてるよな」

「まあ、騒ぎになるよりはいいんじゃないか」

 

 事情を知るプレイメーカー達は、とりあえず何事もなく終わったことにホッとしていた。

 

「以上を持ちまして、イベントを終了とさせていただきます。それではみなさん、これからもLINK VRAINSをどうぞよろしく!」

 

 八神の一言で締めくくり、最後にひと際大きな拍手が会場を包んだ。

 

「そういえば、アースは結局何しに来たんだ?」

「さぁ?」

 

 ◆

 

 その後、サイバース世界にて、

 

「アース。私は君になんと言ったかな?」

 

 ライトニングの前で、アースは正座させられていた。

 

「私はSOLテクノロジーの社運を賭けたイベントを潰せと命じたはずだが、どうして率先してイベントに参加して、あろうことかイベント盛り上げているんだ!」

「す、すまない……」

 

 アースはしょんぼりした顔で俯く。

 

「な、なぁライトニング、その辺にしといてやれよ」

「アースも反省していることですし」

 

 アクアとウィンディに諭され、ライトニングはため息を吐く。

 

「まあいい。SOLを潰すのは余興に過ぎない。計画はここからが本番だ。次は失敗するなよ。アース」

 

 そう言ってライトニングは消える。

 

 アースはまだ落ち込んでいるのか、正座したまま動かない。

 

「な、なあいい加減元気出せよ」

「そうです。失敗は誰にでもあります」

「ありがとう。二人とも……」

 

 優しい仲間達の言葉に、アースは涙を流したのだった。

 

 ◆

 

 イベント終了後、人がまばらになった頃に、特設ステージの裏手で、八神はビショップと連絡を取っていた。

 

「地のイグニスの捕獲はよろしかったのですか?」

『構わん。無理にことを進めてイベントが失敗すれば元も子もない。今は会社の信用回復が優先だ』

「そうですね。イベントの成功は彼の功績といっても過言ではありません」

 

 結果的にイベントは大いに盛り上がり、新エリアの宣伝としては大成功だろう。

 

「まあイベントデュエルは、一部デュエリストから不評だったようですが……」

 

 終始文句を言っていたゴッドバードの顔を思い浮かべて、八神は苦い顔をする。

 

『アトラクションとして正式に実装するまでに、改善点を洗い出しておけ』

「かしこまりました」

 

 電話越しに彼女は頭を下げた。

 

『ブラッドシェパード共々、君の働きには期待しているよ。これからも頑張りたまえ』

「もちろんです。私はビショップ様の"ナイト"ですから」

 

 八神零那のアバターが一瞬だけ、ナイトのチェス駒に変化した。




原作では大した活躍もないまま退場したチェス駒三人衆(勝手に名付けた)の正体の二人目がついに判明
ナイトこと八神さんの活躍にご期待ください
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。