遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
デュエル終了後、相当ショックだったのか。
ゴッドバードは膝をついたまま動かない。
「やっぱりな」
「どういうことだAi?」
「前に、あいつのスキルは不安定だって言っただろ? あいつほどのリンクセンスがあれば、ストームアクセスで失敗するなんてありえねぇ」
Aiの言う通り、プレイメーカーはスキルを使う時、感覚で来るモンスターの気配を察知し、そこに手を伸ばす。
だが、ゴッドバードはそのうえで目当てのカードを掴み損ねた。これがAiの言っていた不安定なプログラムということの意味なのだろう。
「俺は認めねぇからな!」
騒ぐゴッドバードをよそに、司会進行の八神はイベントを進める。
「というわけでアースさん、対戦相手はGo鬼塚に決まりましたけど、よろしいですか?」
「そういやいたな」
「忘れた」
普通にイベントが行われていたため、みんなアースの存在をすっかり忘れていた。
「よし。ではブート」
アースが指を鳴らすと、その傍らにオレンジのスーツのように見える形状の体を持つ人型のアバターが現れた。
「お前が相手しないのかよ」
「そうしたいが、私はライトニングより、直接デュエルするなと言われている。では任せたぞブート」
「了解」
ブートがデュエルディスクを構える。
「そもそもこのデュエル、なんのためにするんでしたっけ?」
「さあ?」
とはいえ、八神含めたギャラリーは最高に盛り上がっているので、そのままGo鬼塚VSブートのデュエルは始まった。
ターン1 ブート
「私は
周囲から石のブロックが集まり、複雑に組み合わさったオブジェになる。
効果モンスター
星1/地属性/サイバース族/攻 0/守 0
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1)このカードが召喚に成功した場合、自分のEXデッキからサイバース族リンクモンスターを相手に見せて発動できる。自分フィールドに見せたカードと同じ属性の
(2)墓地のこのカードを除外して発動できる。墓地からサイバース族モンスター1体を手札に加える。
「エクストラデッキから、Gゴーレム・インヴァリッド・ドルメンを公開し、そのカードと同じ属性の
ドットブロックの体からブロックが分離し、二体のトークンとなる。
「現れろ、我がサーキット!リンク召喚!リンク3、Gゴーレム・インヴァリッド・ドルメン!」
現れたのは岩でできた浮遊する剛腕を二つ従える、岩石の巨神だった。
「インヴァリッド・ドルメンの効果。手札のサイバース族モンスター1枚を捨てることで、デッキから1枚ドロー。我はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン2 Go鬼塚
「俺は剛鬼スープレックスを召喚。その効果で、俺は手札から剛鬼ツイストコブラを特殊召喚」
フィールドに2体の剛鬼モンスターが並び立つ。
「俺はツイストコブラの効果発動!このカードをリリースし、スープレックスにその攻撃力を加える!」
スープレックスが雄叫びを上げ、その攻撃力を3400まで上昇させる。
「墓地へ送られたツイストコブラの効果で、デッキから剛鬼再戦を手札に加える。カードを1枚伏せて、バトルだ!スープレックスで、インヴァリッド・ドルメンを攻撃!」
明らかにかなわない巨体に対して、スープレックスは果敢に向かう。
「行け!スープレックス!」
スープレックスのラリアットで、インヴァリッド・ドルメンの体はあっさりと崩れ去った。
ブート:ライフ4000→3400
「図体がデカいわりに大したことないな。俺はこれでターンエンド」
ターン3
「ここからが本番だ。私は墓地の
「さっき手札から捨てたやつか」
「パズブロックはドロー以外で手札に加わった時、特殊召喚できる」
三角形のブロックが集まり、浮遊するオブジェを形作る。
「パズブロックの効果発動!」
効果モンスター
星1/地属性/サイバース族/攻 0/守 0
(1)このカードがドロー以外の方法で手札に加わった場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2)このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のサイバース族リンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと同じ属性の
「墓地のインヴァリッド・ドルメンと同じ属性のトークンを生成。現れろ、我がサーキット!リンク召喚!
ブロックで出来たマジックハンドがアローヘッドより現れた。
リンク・効果モンスター
地属性/サイバース族/攻 1000/LINK 2
【リンクマーカー:右/下】
サイバース族モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)墓地の「Lジェネレーター」モンスター以外のサイバース族リンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードとリンク状態となるように特殊召喚する。
(2)このカードがサイバース族リンクモンスターと相互リンク状態の場合に発動できる。墓地からレベル4以下の「Lジェネレーター」モンスター1体を特殊召喚する。
「その効果で、墓地からインヴァリッド・ドルメンを特殊召喚!」
空中に穴が開き、インヴァリッド・ドルメンが浮上する。
「さらにこのカードは相互リンク状態の時、墓地からレベル4以下のLジェネレーター・パズブロックを特殊召喚。さらにもう1体のパズブロックを特殊召喚。リンク召喚!」
二体のパズブロックが、アローヘッドの中で混ざり二体目のアームズハンドが、インヴァリッド・ドルメンの左隣に現れる。
「スキル発動!マーカーズポータル!」
すると、上空より矢が弧を描いて、スピードデュエルを繰り広げる二人の元へ降り注ぐ。
「何だ!?」
「デッキからリンク
リンク魔法
【リンクマーカー:左上/上/右上】
リンク魔法は自分のリンクモンスターのリンク先となる魔法&罠ゾーンにのみ発動できる。
(1)「
(2)このカードのリンク先のリンクモンスターが戦闘を行う場合に発動できる。そのモンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ倍になる。
(3)このカードがフィールドを離れた場合、このカードのリンク先のモンスターは墓地へ送られる。
「リンクマーカーを持つ
「バトルだ。インヴァリッド・ドルメンで、スープレックスを攻撃!この瞬間、
攻撃力5600となったインヴァリッド・ドルメンが、その拳をスープレックスへ飛ばす。
二つの拳に挟まれ、その体はあっけなく押しつぶされた。
Go鬼塚:ライフ4000→200
「スープレックスの効果で、デッキから剛鬼カードを手札。そして俺はスキル、闘魂を発動!墓地から破壊されたスープレックスを特殊召喚」
スープレックスがフィールドに守備表示で舞い戻る。
「だが、こちらにはまだ二体のモンスターがいる。これで終わりだ。アームズハンドでスープレックスを攻撃!」
この攻撃が通れば鬼塚の負けだ。
「俺は手札から剛鬼アイアン・クローを墓地へ送り、効果発動!このターン、スープレックスの攻撃力は500アップする!」
攻撃力2300となったスープレックスが、アームズハンドをわきで挟み、そのままへし折った。
ブート:ライフ3400→3100
「我はこれでターンエンド」
ターン4
「決めるぞ!俺は剛鬼再戦を発動!墓地からツイストコブラとアイアン・クローを特殊召喚。現れろ、俺様のサーキット!」
アローヘッドに、3体の剛鬼が飛び込む。
「リンク召喚!リンク3、剛鬼ザ・グレート・オーガ!」
アローヘッドから大斧を携えて、黒い衣装を身にまとった剛筋の男が姿を現した。
「俺は墓地に送られた剛鬼の効果で、デッキから剛鬼カードをサーチ。そして手札の剛鬼ヘッドバットの効果!手札から剛鬼カード1枚を墓地へ送り、このカードを手札から特殊召喚!」
紫のコウモリを模した衣装を着たレスラーが、グレート・オーガのリンク先に現れる。
「これでグレート・オーガの攻撃力は800アップだ!」
「だが、インヴァリッド・ドルメンの効果で、攻撃可能なモンスターは、ドルメンを攻撃しなければならない」
攻撃力3400となったグレート・オーガでも突破できない。
「ならば、現れろ、俺様のサーキット!召喚条件は、剛鬼モンスター2体以上!リンク召喚!出でよ、剛鬼ザ・マスター・オーガ!」
アローヘッドより、黄金のマスクを被ったレスラーが華麗に登場した。
「俺はさらに、剛鬼フィニッシュホールドを発動!マスター・オーガの攻撃力を自身のリンクマーカーの数×1000アップする!」
「こ、攻撃力6800だと!?」
「バトルだ!マスター・オーガで、インヴァリッド・ドルメンを攻撃!」
マスター・オーガがドロップキックで、インヴァリッド・ドルメンを打ち砕く。
ブート:ライフ3100→1900
「そしてマスター・オーガは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる!」
「なに!?」
破壊されたインヴァリッド・ドルメンの破片を足場に、さらに高く跳ぶ。
「行け、マスター・オーガ!アームズハンドを攻撃!」
そして、アームズハンドへと狙いを定めて、上空から両足をそろえて急降下。
「マスタードロップ!」
彗星の如く勢いで放たれたドロップキックは、アームズハンドの体を貫通して、そのままアースの体も吹き飛ばした。
「ぐぁぁぁっ!」
アース:ライフ1900→0
「勝者!Go鬼塚!素敵なショーをどうもありがとう!」
「おぉぉぉっ!」
Go鬼塚の勝利に会場が湧く。
デュエルの終わりを合図に、コースターの動きは緩やかになり、ウィングランのようにゆっくりとスタート地点へと戻っていく。
「みんな!ありがとう!」
コースターの上で立ち上がり、大きく手を振る彼に、会場に集まった大勢のギャラリーから惜しみない拍手が送られる。
そして、ステージの上に戻ってきた鬼塚に、八神はマイクを向けた。
「では鬼塚さん、何か一言!」
「みんなの応援のおかげで、LINK VRAINSを守ることができた。これからも、この俺、ナンバーワンデュエリスト、Go鬼塚を応援してくれ!」
ヒーローインタビューにまた盛大な拍手が送られる。
「いやぁ、凄かったな!」
「LINK VRAINSオールスターをそろえてくるなんて、最高だな!」
観客たちは口々に感想を言い合う。
「なぁ、これ今までの内容が全部イベントだって思われてるよな」
「まあ、騒ぎになるよりはいいんじゃないか」
事情を知るプレイメーカー達は、とりあえず何事もなく終わったことにホッとしていた。
「以上を持ちまして、イベントを終了とさせていただきます。それではみなさん、これからもLINK VRAINSをどうぞよろしく!」
八神の一言で締めくくり、最後にひと際大きな拍手が会場を包んだ。
「そういえば、アースは結局何しに来たんだ?」
「さぁ?」
◆
その後、サイバース世界にて、
「アース。私は君になんと言ったかな?」
ライトニングの前で、アースは正座させられていた。
「私はSOLテクノロジーの社運を賭けたイベントを潰せと命じたはずだが、どうして率先してイベントに参加して、あろうことかイベント盛り上げているんだ!」
「す、すまない……」
アースはしょんぼりした顔で俯く。
「な、なぁライトニング、その辺にしといてやれよ」
「アースも反省していることですし」
アクアとウィンディに諭され、ライトニングはため息を吐く。
「まあいい。SOLを潰すのは余興に過ぎない。計画はここからが本番だ。次は失敗するなよ。アース」
そう言ってライトニングは消える。
アースはまだ落ち込んでいるのか、正座したまま動かない。
「な、なあいい加減元気出せよ」
「そうです。失敗は誰にでもあります」
「ありがとう。二人とも……」
優しい仲間達の言葉に、アースは涙を流したのだった。
◆
イベント終了後、人がまばらになった頃に、特設ステージの裏手で、八神はビショップと連絡を取っていた。
「地のイグニスの捕獲はよろしかったのですか?」
『構わん。無理にことを進めてイベントが失敗すれば元も子もない。今は会社の信用回復が優先だ』
「そうですね。イベントの成功は彼の功績といっても過言ではありません」
結果的にイベントは大いに盛り上がり、新エリアの宣伝としては大成功だろう。
「まあイベントデュエルは、一部デュエリストから不評だったようですが……」
終始文句を言っていたゴッドバードの顔を思い浮かべて、八神は苦い顔をする。
『アトラクションとして正式に実装するまでに、改善点を洗い出しておけ』
「かしこまりました」
電話越しに彼女は頭を下げた。
『ブラッドシェパード共々、君の働きには期待しているよ。これからも頑張りたまえ』
「もちろんです。私はビショップ様の"ナイト"ですから」
八神零那のアバターが一瞬だけ、ナイトのチェス駒に変化した。
原作では大した活躍もないまま退場したチェス駒三人衆(勝手に名付けた)の正体の二人目がついに判明
ナイトこと八神さんの活躍にご期待ください