遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
SOLテクノロジー社、幹部室。
ビショップの前に二人の人物が立っていた。
財前晃と、ビショップの秘書、八神零那である。
「先日のイベントはご苦労だった」
二人に労いの言葉を贈ると、彼らは一様に頭を下げた。
「さて、君達のおかげでLINK VRAINSのアクティブユーザー数は回復した。新規の登録者も増加傾向にある。財前君」
「はっ!」
ビショップに呼ばれて、晃は一歩前に出る。
「ユーザーが増えたということは、サーバーの強化も必要になる」
「はい。既に準備を進めております」
「よろしい。今度海外の仮想空間サービスとも提携することとなった。それに伴って保守体制の見直しも行いたい」
「かしこまりました」
「以上だ。では、仕事に戻ってくれ」
「失礼します」
業務連絡を済んだところで、晃は部屋を出て行った・
「八神君。君には鴻上レポートの捜索を頼んでいたな」
「はい。現在、LINK VRAINSへのスキャンを続けていますが、中々見つからず……」
八神は申し訳なさそうに、頭を下げる。
「構わん。レポートはあくまでサブプラン、イグニスそのものが手に入れば必要はない」
「そういえば、差し支えなければ教えていただきたいのですが、以前サイバース世界から回収したレポートナンバー7には何が書かれていたのですか?」
それを聞かれて、ビショップは神妙な面持ちとなる。
「そうだな。プロメテウスの神話を知っているか?」
突然ビショップはそんな話を振ってきた。
「あー、ギリシャ神話の神様ですよね。確かゼウスの忠告を無視してヘパイストスの炉から火を盗み、人類に火を与えたとかいう」
「ヘリオスの馬車からなど、火の出処には諸説あるがそれはともかく、火を与えられたことで人類は発展した。だが、同時に武器を作ることを覚え、争うようになった。身に余る力はその身を滅ぼすということだな」
八神はビショップが何を言いたいのかピンと来ていない様子だ。
「イグニスとはまさに、プロメテウスの与えた火だと、彼のレポートにはそう綴られていた」
「はぁ……」
八神はよくわかっていなかったので、それ以上聞くのは止めた。
「さて、君はレポートの捜索と並行して、イグニスの動きを監視してくれ」
「かしこまりました」
◆
八神が幹部室を出ると、部屋の前に一人の男が立っていた。
190センチはある長身にダークブルーのコートを羽織り、口元はマフラー、瞳はサングラスで隠している。
「道順さん、どうかなさったのですか?」
すると、道順は右掌を返して、そこにどこからか飛んできた小型のドローンを着地させた。
「鴻上レポートとはなんだ?」
「なるほど、それで盗聴していたと」
八神は質問には答えずに、うんうんと納得したように頷く。
すると、道順は彼女に一歩近付く。
「答えろ」
「……かつて、SOLテクノロジーに勤めていた優秀な科学者がいました。彼は意思を持つAI、イグニスを生み出した。彼らの生み出した莫大なデータマテリアルを独占した我が社はこの十年で大きく成長した」
「その科学者というのが鴻上か」
「はい。我々は彼の遺したレポートを探しています。彼は天才でしたから。その英知は誰もが欲しがるでしょう」
すると、彼女は腰をぐっと曲げてかがみ、彼の顔を覗き込む。
「しかし意外ですね。あなたは仕事に余計な興味や感情は抱かないタイプだと思っていましたが」
「別に。ただ鴻上という名前には憶えがあっただけだ」
用は済んだとばかりに、道順は八神に背を向ける。
「ちなみにもう一つ耳寄りな情報が、プレイメーカー達はレポートを探しています」
「そうか」
「彼をおびき出すなら協力してあげますよ? 部下が仕事しやすいように環境を整えるのも、上司の役目ですから」
「俺はお前の下についた覚えはない」
道順は彼女の方を向き、サングラスの奥から睨みつける。
「AIに与する者に、俺は従う気はない」
その瞳は、黒面越しでも分かるほどに憎悪に燃えていた。
◆
「よう藤木!」
朝、教室に入るといつになく上機嫌な島が遊作に声をかけてきた。
「昨日のイベント凄かったよな」
「そうだな」
イベントの話をすると、近くの席に座っていた葵が露骨に不機嫌そうな顔をする。
「(財前のやつ、まだ引き摺ってたのか)」
「(まああんな負け方をすりゃあな)」
遊作とAiは島に聞こえないようにそう呟くと、自分の席に着く。
「カリスマデュアリスト四人にプレイメーカーとゴッドバードまで!見に行ってよかったぜ。ありがとな財前」
「え、えぇ……」
複雑な心境の葵は、島に苦笑いを返す。
「つーか、財前も藤木も、イベントの間どこ行ってたんだよ」
「見やすいところで見てたんだ。なあ?」
「うん」
遊作が適当な言い訳をして、葵もそれに乗っかる。
「何だよ。特等席があんなら教えてくれてもよかっただろ。まあいいや、それよりこいつを見ろ」
島はタブレットの画面を二人に向ける。
映っていたのはネットの掲示板だ。
「LINK VRAINS都市伝説まとめ?」
どうやらネットの噂について集めた板らしい。
「これがどうしたの?」
「最近流行ってるんだよ。聞いたことねぇか? LINK VRAINSに彷徨う科学者の亡霊とか、プレイメーカー複数人説とか」
「ないな……」
自分が妙な噂のネタになっていることに、遊作は眉をひそめた。
「他にもブルーエンジェル偽乳疑惑とか」
「……」
「それで、本題は?」
この話題を掘り下げると自分も葵もやばそうだと判断した遊作は、島に話を進めるよう促す。
「ここで一番ホットな話題、聞いたことないか? LINK VRAINSに眠るお宝」
二人は首を振る。
「じゃあ俺が解説して……」
「なになに何の話~?」
すると、ちょうど登校してきた切花、島に見せつけるように胸を揺らしながら近付いてきた。
「き、切花ちゃん。今LINK VRAINSの都市伝説の話をしてたんだよ」
「面白そう!ボクにも教えて!」
切花に興味を持たれたことで、島は興奮で鼻息が荒くなる。
「よーし、んじゃ話すぞ。LINK VRAINS、つーか仮想空間はいくつかのレイヤーでできてるってのは知ってるよな?」
「ああ」
仮想空間はいくつかのレイヤーと呼ばれる層で構成されている。
アバターのいるレイヤー、建物のレイヤー、背景など、様々なレイヤーが重なって、まるで本物のような世界を作り上げている。
「その通常のレイヤーの下に、隠されている秘密のデータがあるらしい」
「隠しレイヤーか……」
「その隠しレイヤーにはなにがあるの?」
「噂じゃSOLテクノロジーに買収された企業が遺したLINK VRAINSの自爆装置とか、SOLテクノロジーの過酷な労働環境で過労死した社員の遺書だとか、はたまたNASAの機密文書だとか、色々言われてるな」
その中身についての考察は無茶苦茶だが、しかし全く根も葉もない噂というわけではない。
現に遊作達は、隠しレイヤーに眠っている鴻上博士のレポートを見つけている。
「何か場所についての情報はないか?」
「お、珍しく食い付いたな。スレだと、ビジネスエリアが怪しいとか言われてるな。なんかSOLの警備AIの巡回が増えたとかなんとか」
それを聞いて遊作と葵は顔を見合わせた。
◆
そして放課後、プレイメーカーとブルーエンジェルは二人でLINK VRAINSのビジネスエリアにやってきた。
企業向けに貸し出されているエリアで、主に仮想オフィスや企業説明会の会場として利用されている。
「プレイメーカー、何か感じる?」
「……あぁ」
Dボードに乗って、ビルの立ち並ぶエリア上空を飛び、彼らはある場所に到着した。
それはビル群のうち、一番高いものの屋上だ。
「Ai、この辺りだ」
「オッケー」
Aiがデュエルディスクから飛び出し、そこら辺に腕を伸ばす。
「おっ!」
すると、Aiの手元で木枯しのような小さなデータストームが起こる。
風の中から、カードの形をした一枚のデータが現れた。
「よっしゃ、んじゃ早速……」
「待て!Ai!」
Aiが手を伸ばそうとしたその時、プレイメーカーは咄嗟に後ろに飛ぶ。
次の瞬間、データのあった場所で爆発が起こる。
「あぁ、鴻上レポートが……」
「誰だっ!」
落ち込むAiをよそに、攻撃が来た方を向く。
「見つけたぞ。プレイメーカー」
斜め上空に、Dボードに乗った一人の男がいた。
紫のテンガロンハットを被り、鋼鉄の右手を銃のように地上のプレイメーカー達に突きつけている。
「お、お前は!」
「知ってるのか?」
「あぁ。前に美海とレポートを探してた時に会ったぜ。SOLの傭兵デュエリスト、ブラッドシェパードだ」
「あいつが?」
その時の話は彼らも聞いている。
ゴッドバードの師匠であり、ファウストとゲノムを一人で相手取り、ワンターンキルを決めた男。
「イグニスを渡せ」
再び右手から光弾が放たれる。
「くっ、ブルーエンジェル!」
プレイメーカーは急いでレポートを回収し、ブルーエンジェルに投げる。
「それを持って逃げろ」
「え、でも……」
「早く!」
「わ、分かった」
プレイメーカーに促され、ブルーエンジェルはDボードでその場から逃走する。
それを見て彼もDボードに乗り、ブルーエンジェルとは逆方向に飛ぶと、ブラッドシェパードはプレイメーカーの方を追いかける。
「気をつけろ。こいつとんでもなく強いぞ」
「あぁ。だがやるしかない」
お互いにデュエルディスクを構える。
「「スピードデュエル!」」
ブラッドシェパードとプレイメーカーのデュエルが始まると、その様子をさらに上からDボードに乗って見物する人物がいた。
濃い赤とオレンジが交じり合ったような髪色に紫紺の瞳、胸元の大きく開いたワインレッドスーツを着た女性。
「お手並み拝見ですね。道順さん」
その女性、ナイトは静かにデュエルを見守った。
ターン1 ブラッドシェパード
「ドローン・ポーンを召喚」
ドローン・ポーン
効果モンスター
星1/風属性/機械族/攻 600/守 600
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ドローン」魔法・罠カード1枚をセットする。
(2)このカードの戦闘によって自分がダメージを受けた場合に発動できる。そのバトルフェイズ終了時、ダメージの数値分だけLPを回復する。
「このカードが召喚に成功した時、デッキからドローン罠カード1枚を手札に加える。俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド」
ターン2 プレイメーカー
「俺は自分フィールドにモンスターが存在しない時、リンクスレイヤーを特殊召喚」
ヤマネコを象った黄色い鎧を着た戦士がフィールドに現れる。
「自分フィールドにサイバース族モンスターが存在する時、手札のバックアップ・セクレタリーを特殊召喚」
バイザーを装着した少女が、その隣に現れる。
「さらにコード・ジェネレーターを通常召喚。現れろ、未来を導くサーキット!」
プレイメーカーが手を伸ばす先に光が駆け、空にアローヘッドを作り出す。
「召喚条件はサイバース族2体!リンク召喚!リンク2、スプラッシュ・メイジ!」
白いローブを纏った電脳の魔術師が現れ、その杖を振るう。
「効果で、墓地からバックアップ・セクレタリーを特殊召喚。現れろ、未来を導くサーキット!召喚条件は効果モンスター2体以上!俺はリンク2のスプラッシュ・メイジと、コード・ジェネレーターをリンクマーカーにセット!」
再び現れたアローヘッドに、スプラッシュ・メイジとコード・ジェネレーターが赤い光となって飛び込み、そこに矢印を描く。
「リンク召喚!リンク3、トランスコード・トーカー!」
アローヘッドからオレンジの角ばった鎧をまとった、電脳の戦士が姿を現した。
「リンク素材となったコード・ジェネレーターの効果で、デッキから攻撃力1200以下のサイバース族モンスター1枚を手札に加える。そしてトランスコード・トーカーの────」
「そこまでだ。俺は永続
トランスコード・トーカーの周りに、棒の先端に円形のプロペラがついたようなドローンが三機、出現した。
「相手のリンクモンスター1体の効果を無効にする」
ドローンが金属の粉を撒くと、トランスコード・トーカーの動きが鈍くなり、やがてその目から光は消えて動かなくなる。
「さらにこのカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、そいつはリリースできず、リンク素材にもできない」
キャプチャー・ドローン
永続罠
自分フィールドに「ドローン」モンスターが存在する場合、相手フィールドのリンクモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、対象のモンスターの効果は無効化され、リリースできず、リンク素材にもできない。対象のモンスターがフィールドを離れた場合、このカードは破壊される。
(2)このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手のリンクモンスターは攻撃できない。
(3)自分のメインフェイズに発動できる。対象のモンスターのリンクマーカーの数までの任意の数だけ、自分フィールドに「ドローントークン」(機械族・風・星1・攻/守0)を特殊召喚する。
「そしてこいつがフィールドにある限り、相手のリンクモンスターは攻撃できない」
「くっ、なら俺はアドラ・ブロッカーを特殊召喚」
フィールドに首が二又に分かれた蛇のようなモンスターが出現する。
「こいつは自分のリンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる。現れろ、未来を導くサーキット!リンク召喚!リンク2、ペンテスタッグ!そのままリンクマーカーにセット!リンク召喚!セキュア・ガードナー!」
両肩に盾を装備したロボットが出現した。
「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
ターン3
「俺はキャプチャー・ドローンの効果発動。発動時に対象としたリンクモンスター、つまりトランスコード・トーカーのリンクマーカーの数だけ、ドローントークンを特殊召喚」
ブラッドシェパードのフィールドに、竹とんぼのような小型のドローンが三機出現する。
「現れろ、勝利を導くサーキット!」
ブラッドシェパードが右手をピストルの形にして構えると、その指差す先にアローヘッドが二つ出現する。
「リンク召喚!バトルドローン・サージェント、バトルドローン・ウォラント!」
ドローンはアローヘッドをくぐって改修され、二機の戦闘機へと姿を変えて発進した。
「さらにリンク召喚!ウォラントとサージェントをリンクマーカーにセット!」
そのまま二機は前方に現れたアローヘッドに突入し、一機の黒い戦闘機へと姿を変える。
「出撃せよ、リンク3!バトルドローン・ジェネラル!」
バトルドローン・ジェネラル
リンク・効果モンスター
風属性/機械族/攻 2400/LINK 3
【リンクマーカー:左/右/下】
「ドローン」モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のメインフェイズに発動できる。墓地から元々の攻撃力が2000以下の「ドローン」モンスター1体を特殊召喚する。
(2)自分のレベル4以下の攻撃力1000以下の「ドローン」モンスター1体を対象として発動できる。このターン、そのカードは直接攻撃できる。
(3)自分の「ドローン」モンスターが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合、そのモンスターをリリースして発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果を3回以上適用したターン、このカードは直接攻撃できる。
「俺は墓地のウォラントの効果発動」
バトルドローン・ウォラント
リンク・効果モンスター
風属性/機械族/攻 1200/LINK 2
【リンクマーカー:左/下】
「ドローン」モンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のリンク1の「ドローン」モンスターが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動できる。このターン、このカードは直接攻撃できる。
(2)このカードが墓地に存在し、自分のモンスターがEXモンスターゾーンの「ドローン」リンクモンスターのみの場合に発動できる。このカードを墓地からそのモンスターのリンク先に特殊召喚する。この効果発動後、ターン終了時まで、自分は「ドローン」モンスターしか特殊召喚できない。
「自身を特殊召喚。さらにサージェントの効果発動!」
バトルドローン・サージェント
リンク・効果モンスター
風属性/機械族/攻 800/LINK 1
【リンクマーカー:下】
レベル4以下の「ドローン」モンスター1体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のリンクモンスター以外の「ドローン」モンスターが相手に直接攻撃で戦闘ダメージを与えた場合に発動できる。このターン、このカードは直接攻撃できる。
(2)このカードが墓地に存在する状態で、自分のリンク2以上の「ドローン」リンクモンスターが効果で特殊召喚された場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードはリンク素材にできず、エンドフェイズに除外される。
「カード効果でドローンリンクモンスターが特殊召喚された時、自身を墓地から特殊召喚!さらにジェネラルの効果で墓地のドローン・ポーンを特殊召喚」
ブラッドシェパードのフィールドが一気に、四機のドローンで埋まった。
「ドローン・ポーンの効果で、デッキからドローン・カタパルトを手札に加えて、発動」
ドローン・カタパルト
永続魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれフェイズ毎に1度しか使用できない。
(1)自分のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。手札から「ドローン」モンスター1体を特殊召喚する。
(2)自分の「ドローン」モンスターが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合、このカードを墓地へ送って発動できる。相手に1000ダメージを与える。
「ジェネラルの効果発動。ドローン・ポーンはこのターン、ダイレクトアタックができる」
「来るぞ!プレイメーカー!」
「バトルだ!ドローン・ポーンでダイレクトアタック!」
ドローン・ポーンが飛翔して、プレイメーカーに迫る。
「
スリーフェイト・バリア
通常罠
(1)以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このターン、自分のモンスターは戦闘・効果で破壊されない。
●このターン、自分はダメージを受けない。
●このターン、自分のモンスター1体は1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘によって戦闘ダメージを受けるかわりに、その数値分、自分のライフを回復する。
(2)自分がダメージを受けた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。
「このターン、俺はダメージを受けない!」
プレイメーカーの前に、黄色いバリアが展開される。
「そうは行くか!俺は手札のドローン・チャフの効果発動!」
ドローン・チャフ
効果モンスター
星1/風属性/機械族/攻 600/守 100
このカード名の(2)の効果は同一チェーン上で1度しか発動できない。
(1)以下の効果を含む相手の効果が発動した時、手札からこのカードを捨てて発動できる。その効果を無効にする。
●「ダメージを受けない」効果
●ダメージを減らす効果
●バトルフェイズを終了させる効果
●「攻撃できない」効果
(2)自分の「ドローン」モンスターが相手に直接攻撃で戦闘ダメージを与えた場合に発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードは、このターン、直接攻撃ができ、フィールドを離れた場合、除外される。
「このカードを手札から捨てることで、その効果を無効にする!」
しかし、バリアはノイズを吐きながら消滅。
ドローン・ポーンによるダイレクトアタックをもろに喰らってしまう。
プレイメーカー:LP4000→3400
「バトルドローン・ジェネラルの効果発動!自分のドローンがダイレクトアタックでダメージを与えた時、リリースすることで、その元々の攻撃力分のダメージを与える!」
「墓地のスリーフェイト・バリアの効果発動!自分がダメージを受けた時、このカードを除外することで、このターン、俺が受ける効果ダメージは0になる!」
ドローン・ポーンが警告音を吐きながらプレイメーカーに迫るが、爆発する直前に球体状のバリアが展開され、プレイメーカーを守った。
「なら墓地のドローン・チャフの効果発動!ドローンがダイレクトアタックで戦闘ダメージを与えた時、自身を墓地から特殊召喚。サージェントで攻撃!サージェントは自分のリンクモンスター以外のドローンがダイレクトアタックで戦闘ダメージを与えた時、ダイレクトアタックできる!」
続けて白い戦闘機がプレイメーカーへ突っ込む。
プレイメーカー:LP3400→2600
「サージェントをリリースして、貴様に攻撃力分のダメージ」
サージェントを自爆させるが、既にスリーフェイト・バリアの墓地効果は発動しているため、ダメージはない。
「ウォラントの効果発動!自分のリンク1のドローンがダイレクトアタックで戦闘ダメージを与えた時、このカードはダイレクトアタックできる!」
プレイメーカー:LP2600→1400
「ウォラントをリリースして、その元々の攻撃力分ダメージ」
ウォラントは自爆するが、ダメージはない。
だがブラッドシェパードの狙いはダメージではなかった。
「ジェネラルの効果発動!ジェネラルのリリースする効果を3回以上適用したターン、このカードはダイレクトアタックできる!終わりだ!ジェネラルでダイレクトアタック!」
最後にジェネラルの突撃。
これで終わったかに見えたが、
「俺は墓地のアドラ・ブロッカーの効果発動!」
ジェネラルの前に、リンク素材となっていた双頭の蛇が立ちふさがり、その二本の首を繋いでバリアを作り出す。
アドラ・ブロッカー
効果モンスター
星2/水属性/サイバース族/攻 300/守 1500
(1)自分のリンクモンスターのリンク先に、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に墓地のこのカードを除外し、フィールドのサイバース族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはこのターンに1度だけ戦闘では破壊されず、このターンそのモンスターのコントローラーが受ける戦闘ダメージは1度だけ0になる。
「トランスコードを対象に、このターン、対象のモンスターは1度だけ戦闘で破壊されず、そのコントローラーが受けるダメージも1度だけ0になる!」
ジェネラルの攻撃は、アドラ・ブロッカーが作り出した障壁に阻まれた。
「ならドローン・チャフでダイレクトアタック!」
プレイメーカー:LP1400→800
「ふぅ……どうにか凌いだな」
Aiが安堵の表情を浮かべると、ブラッドシェパードは鼻で笑う。
「誰が終わりだと言った。俺はドローン・カタパルトの効果発動!手札からドローン・コーポラルを特殊召喚!」
カタパルトから上部に大砲がついたドローンが射出される。
ドローン・コーポラル
効果モンスター
星4/地属性/機械族/攻撃 1600/守 1000
(1)このカードは直接攻撃できる。このカードが直接攻撃で相手に与える戦闘ダメージは半分になる。
(2)このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度、自分フィールドの「ドローン」モンスターが相手の効果の対象になった場合に発動できる。その効果を無効にする。このターン、自分フィールドの「ドローン」モンスターは相手の効果の対象にならない。
「バトルだ!ドローン・コーポラルで、ダイレクトアタック!」
ドローン・コーポラルの主砲がプレイメーカーに狙いを定める。
「俺はセキュア・ガードナーの効果!戦闘ダメージを0にする!」
コーポラルの放った砲撃は、セキュア・ガードナーが自身の肩に装着された盾を取り外し、その身を挺して防ぐ。
「なら俺はスキル、ファイナルミッションを発動!このターンに既に攻撃を行っている攻撃力1000以下のモンスター1体の再攻撃とダイレクトアタックを可能にする!行け、ドローン・コーポラル!」
ドローン・コーポラルの主砲に再度エネルギーがチャージされる。
「これで終わりだ!」
発射。
小さな機体から放たれた大エネルギーがプレイメーカーの体を撃ち抜いた。
「……何?」
プレイメーカー:LP800→400
「俺は手札のパネル・ガードナーの効果を発動していた」
パネル・ガードナー
効果モンスター
星3/地属性/サイバース族/攻 1000/守 1400
(1)相手モンスターが攻撃して戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは半分になる。
(2)1ターンに1度、このカードは戦闘で破壊されない。
(3)このカードをリンク素材にしたサイバース族リンクモンスターは、1ターンに1度、戦闘で破壊されない。
「その効果でこいつを特殊召喚し、戦闘ダメージを半分にした」
「ほう……俺はこれでターンエンド」
ブラッドシェパードは感心したように呟き、ターンを終えた。
「俺の攻撃を1ターンでも凌いだのはお前で三人目だ。だが次はないぞ」
「……だろうな」
先程の怒涛の攻撃、それを次のターンも凌ぐ余力など、プレイメーカーには残っていなかった。そもそも
ターン4
「Ai、デュエル直前で俺のデッキを弄っただろ」
先程プレイメーカーが使用したアドラ・ブロッカー、パネル・ガードナー。これらは二枚とも彼がその存在を把握していないカードだった。
「ブラッドシェパードの戦術が分かってたからな。ダメージを防ぐカードを多めにしておいたんだよ。おかげで1ターン凌げただろ?」
「あぁ。だが状況はよくない」
現在彼のフィールドには、効果も使えず、リンク素材にもできないトランスコード・トーカーと、そのリンク先のセキュア・ガードナー、そして先程特殊召喚したパネル・ガードナー。
キャプチャー・ドローンの効果でリンクモンスターは攻撃できないうえに、EXモンスターゾーンとリンク先は埋まっているせいで、他のエクストラモンスターに頼ることもできない。
「早くしろ。お前のターンだぞ」
ブラッドシェパードにせかされて、プレイメーカーはデッキのカードに手をかける。
「くっ、俺のターン!」
引いたカードを見て、プレイメーカーは目を見開く。
「Ai、こんなものまで……」
「いいカードが引けたじゃねぇか」
「だが、俺のデッキにこのカードを使えるモンスターは……」
その時、プレイメーカーの前方に風が吹く。
見ると、データストームが轟音を上げながらこちらに迫っていた。
「引けばいい、ということか……」
プレイメーカーはDボードを加速させ、データストームの中に突っ込む。
「自分のライフが1000以下の時、データストームの中から、ランダムなサイバース族モンスター1体を手札に加える!風を掴め、プレイメーカー!」
「スキル発動!ストームアクセス!」
風の中から、プレイメーカーはそのカードを掴んだ。
「いくぞ!俺はまずはクロック・ワイバーンを召喚!」
紫の翼を輝かせる小型の飛竜が出現する。
「クロック・ワイバーンの効果!このカードの攻撃力を半分にし、クロックトークンを特殊召喚。現れろ、未来を導くサーキット!」
クロックトークンとパネル・ガードナーがアローヘッドに吸い込まれる。
「リンク召喚!リンク2、ハニーボット!」
トランスコード・トーカーのリンク先で、蜜蜂を模した衣装の女性が舞う。
「そして魔法カード、サイバネット・フュージョンを発動!」
「なに!?」
「手札とフィールドからモンスターを墓地へ送り、融合させる!俺はクロック・ワイバーン、トランスコード・トーカー、ハニーボット、セキュア・ガードナーの4体を融合!」
4体のモンスターが光の粒子となって渦巻き、眩い銀河の如く流転する。
「今、雄大なる翼のもとに集いしつわもの達よ、新たなる伝説となれ。融合召喚!」
光が爆ぜる。
「出でよ、レベル7!サイバース・クロック・ドラゴン!」
現れたのは光の翼を広げる、紫紺の水晶で覆われた体を持つ電子の竜だった。
「サイバース・クロック・ドラゴンの効果!このカードが融合召喚に成功した時、融合素材となったリンクマーカーの数だけデッキからカードを墓地へ送り、その枚数×1000攻撃力をアップする!」
リンクマーカーの合計は6、よって攻撃力は6000アップし、8500まで上昇する。
「バトルだ!サイバース・クロック・ドラゴンで、バトルドローン・ジェネラルを攻撃!」
サイバース・クロック・ドラゴンの口にエネルギーが集まる。
「パルスプレッシャー!」
◆
「逃げられてしまいましたね」
デュエルが終了し、プレイメーカーが去った後にナイトがブラッドシェパードに近付いてきた。
「見ていたのか」
「はい。いやー惜しかったですね。後ちょっとだったんですけど」
「次は仕留める」
ブラッドシェパードは彼女に背を向けてログアウトする。
「ビショップ様、いかがなさいますか?」
ナイトは右手の指を耳に当て、現実世界にいる上司へ連絡を取る。
「……えぇ、はい。かしこまりました」
ナイトは通信を終えると、ログアウトした。