遊戯王VRAINS Re:Construction   作:師走F

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第32話:VISION DEROID

 LINK VRAINS、元進入禁止エリアだった場所が一般向けに解禁され、現在は多くの人で賑わっていた。

 

「本日は、お集まりいただきありがとうございます」

 

 八神がエリア中央に設置された巨大な扉の前で、集まった人達に対して説明を行う。

 

「いよいよ、ガンズレッドファクトリー社の運営する仮想空間サービス、VISION(ヴィジョン)DEROID(デロイド)との連携が開始されます。皆さん、用意はいいですかー!」

 

 すると、扉の上に、巨大なデジタル数字で『5』と表示される。

 

「「「「5! 4! 3!」」」」

 

 ギャラリーのカウントダウンに合わせて、数字は一つずつ減っていき、扉の奥に光が収束する。

 

「「「「2!1!」」」」」

 

 カウントが減るごとに、光は強くなる。そして、

 

「「「「0!」」」」

 

 扉の奥から光が弾けた。

 

 開いた扉へと、興奮する多くの人々が一斉に新たな仮想空間へと流れ込む。

 

「本当にスゲー人だな!」

 

 ロンリーブレイヴこと島直樹は、一緒に来ていた遊作と葵に言う。

 

「俺達も早く行こうぜ!」

「……いや、お前は先に行っててくれ」

 

 遊作に言われて、ロンリーブレイヴは不満そうにするが、逸る気持ちを抑えられない彼は、仕方なく扉の奥へと向かう。

 

「藤木くん、どうかしたの?」

「あの扉、スキャンされてる」

 

 遊作はVISION(ヴィジョン)DEROID(デロイド)へと通じる扉を指さす。

 

「俺が扉をくぐれば、Aiの存在がバレるかもしれない」

「そっか。でも、それならどうして島くんの誘いを断らなかったの?」

 

 遊作は扉の横で、別の空間へと旅立つ人を見送る彼女、八神零那の方へ視線を向ける。

 前回のデュエルで、ナイトこと八神は、結局Aiに手出しはせずに、そのまま帰ってしまった。

その真意は測りかねないが、それよりも気になるのは、VISION(ヴィジョン)DEROID(デロイド)を運営しているガンズレッドファクトリー社のことだ。

 

「これを見てくれ」

 

 遊作はガンズレッドファクトリー社のホームページを開き、葵に見せる。

 

「通称GRF(ジルフ)。表向きは重機や列車など、大型の機械を取り扱う企業で、以前からSOLテクノロジーと共同で事業を行っていた。だが……」

 

 ページは切り替わり、今度はニュースサイトへ飛ぶ。

 そこでは、ガンズレッドファクトリー社の社長であるメイソン氏に対するいくつもの疑惑について記事にしている。

 

「裏で軍事産業に携わっているという疑惑もある。しかも、最近はAIの軍事利用にも手を出しているらしい」

「じゃあ、GRFについて調べるの?」

「ああ。というわけで、Aiを預かっといてくれ」

 

 デュエルディスクを操作して、葵にAiを転送する。

 

「お前は留守番だ」

「気を付けろよ~」

 

 Aiが目玉だけを出して、遊作を見送った。

 

 ◆

 

 SOLテクノロジー、セキュリティ室。

 晃の元へ、八神から通信が来た。

 

「ゲートの通過者の中に、イグニスアルゴリズムの反応はありましたか?」

「今のところは……」

 

 モニターには、今まさにゲートを通り抜けているユーザーや、その他、データの情報がリアルタイムで映し出されている。

 

「プレイメーカーを見つけるのはともかく、問題は他の、特に光のイグニスの動向ですね」

 

 ライトニングがVISION(ヴィジョン) DEROID(デロイド)の情報を欲していたということは、必ず何か仕掛けてくるはずだと、八神は踏んでいた。

 

「警戒してきていないのでは?」

「そうだといいのですが……」

 

 前回も結局後手に回ってしまい、ライトニングにしてやられた。

 今回こそは逃がすわけには行かないと、八神は考えを巡らせる。

 

「すみません。我々の力不足で」

「財前部長が謝ることではありませんよ。皆さん頑張っていますから」

 

 不安な顔をする晃を労い、八神は気持ちを切り替える。

 

「引き続き監視を続けてください。私も手伝いたいところですが、生憎、クイーンから呼ばれていまして」

「分かりました。こちらはお任せください」

「えぇ。お任せしましたよ。財前部長」

 

 頼もしい部下に笑いかけ、八神は通信を切った。

 

 ◆

 

 その頃、遊作は島と合流し、仮想空間内を探索していた。

 エリアの風景は、会社のイメージなのか、スチームパンク風の街並みが広がり、いくつものパイプが複雑に絡み合った地形や、工場のような建物がいくつも立ち並ぶ。

 

「ここがVISION(ヴィジョン) DEROID(デロイド)! LINK VRAINSとはまた違った雰囲気でいいな!」

「あぁ」

 

 造形に特色はあるが、至って普通のVR空間だ。

 設備に関しても、特別おかしなところはない。

 

「あれは……」

 

 しばらく進むと、ひと際目立つ建物が見えた。

 

 それは空に浮かぶ巨大な円柱が互い違いに重なったようなオブジェだった。

 

「なんだあれは?」

「ん? スゲーデケーな!」

 

 よく分からないオブジェだが、単なる雰囲気づくりのための飾りでもなさそうだ。

 現に、あの中を行き来するドローン型の警備AIが何機か見える。

 

「お、藤木、あっちでデュエルやってるぜ」

「……悪い島、少し用事を思い出した」

「なんだよ。財前といいお前といい」

「すまん。また今度来よう」

 

 不満そうにする彼に謝って、遊作は近くの物陰に隠れてアバターをプレイメーカーに切り替える。

 

 そして、Dボードを出して、空に浮かぶオブジェの方へ飛ぶ。

 SOLが運営するLINK VRAINSに比べてデータマテリアルが少ないせいか、いつもよりスピードは出なかったが、無事にオブジェの中に侵入できた。

 

 中はまるでSF映画に出てくる宇宙船のようで、金属の壁に囲まれた大きな通路を、たくさんのドローンが行き来している。

 

 プレイメーカーは草薙からもらったステルスプログラムを使い、見つからないように先へ進む。

 

「単なるAIの統制装置か?」

 

 怪しいと思ったのは外れだったか。

 そう思ったその時、プレイメーカーは一つの大きな扉に出くわした。

 

「ロックは……さすがに掛かってるか」

 

 プレイメーカーは扉に手をかざし、解析を行う。 

 

「ん?」

 

 その時、扉の奥に、彼のリンクセンスが何かを感じ取る。

 

「……開いた」

 

 扉を解錠して奥へ進む。

 そこは、真っ黒い空間が広がる広い部屋だった。

仲には無数のホログラムモニターが設置されており、様々な場所を映した映像が映っている。

 

「ただの管制室か……ん?」

 

 ふと、映像のうち一つに目を向ける。

 一見すると何の変哲もない映像だが、よく見るとそれはVISION(ヴィジョン) DEROID(デロイド)どころか、仮想空間の映像でもなかった。

 

「これは、衛星カメラか?」

 

 映っているのは、どれも現実世界の様々な場所を上空から映した映像だった。

 

「なんでこんなものが……」

「おや、先客がいたようだな」

 

 その時、プレイメーカーの後ろから声がする。

 

 振り返ると、一人の金のフードと口元まで隠れるコートで顔を隠した少年と、その肩の上に乗る黄色いイグニスが立っていた。

 

「お前は……」

「君と会うのは初めてだな。プレイメーカー。私の名はライトニング。イグニスを束ねる者だ」

「ライトニング、光のイグニスか」

 

 すると、プレイメーカーの視線が、彼を肩に乗せた少年の方へ向く。

 その背格好、フードの隙間から除く髪型、そして彼のリンクセンスが告げる気配、それらには憶えがあった。

 

「彼が気になるか?」

 

 プレイメーカーの視線に気づいたのか、ライトニングはニヤリと笑う。

 すると、少年はおもむろにフードを外し、その素顔を晒した。

 

「じ、仁!!」

 

 そう。彼こそが、プレイメーカーこと遊作が同じ孤児院で過ごし、そして共に草薙の元へ引き取られた少年だった。

 

「ライトニング!仁に何をした!?」

「これは人聞きが悪い。私は彼の破損した意識データをここまで修復してやったのだ」

「破損だと?」

「君も知っているだろう。実験の影響で彼は既に廃人となっている。それをこうして、ここまで使えるようにしたのだ。その対価として、こうして私に協力してもらっているがね」

 

 仁のその瞳には光は灯っておらず、とても正気の状態とは思えない。

 

「仁を離せ!」

「断る。彼はまだ必要だ。私の目的を果たすためにも」

「くっ……ならば」

 

 プレイメーカーはデュエルディスクを構える。

 

「いいだろう。少し戯れに付き合ってやろう」

 

 ライトニングが手を払うと、仁はそれに合わせてデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

ターン1 プレイメーカー

 

「俺はサイバース・ウィザードを召喚」

 

 青く光るラインの入った白い衣装をまとう魔術師が現れる。

 

「自分フィールドにレベル4のサイバース族モンスターが存在する時、手札のサイバース・マジガールを特殊召喚できる!」

 

 その隣に、サイバース・ウィザードに似た衣装をまとう青髪の少女が現れる。

 

サイバース・マジガール

効果モンスター

星3/光属性/サイバース族/攻 1300/守 600

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、(3)の効果はデュエル中、1度しか使用できない。

(1)自分フィールドにレベル4のサイバース族モンスターが存在する場合、このカードを手札から特殊召喚できる。

(2)1ターンに1度、相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの守備表力を半分にし、その数値分、自分フィールドに他のサイバース族モンスター1体の攻撃力をアップする。

(3)このカードがリンク素材となって墓地に送られた場合、自分の墓地のそのリンク召喚の素材とした「サイバース・ウィザード」1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚できる。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 プレイメーカーの手を伸ばす先に、光が走り、アローヘッドを出現させる。

 そこへ二体の電脳の魔術師が飛び込む。

 

「リンク召喚!スプラッシュ・メイジ!」

 

 アローヘッドより現れたのは、水を象った白いローブを纏う電脳の魔術師だ。

 

「リンク素材となったサイバース・マジガールの効果!このカードと共にリンク素材となったサイバース・ウィザードを墓地から特殊召喚!さらにスプラッシュ・メイジの効果で、墓地からサイバース・マジガールを特殊召喚!」

 

 先程リンク素材となったモンスター二体がフィールドに蘇る。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!召喚条件は、モンスター2体以上!リンク召喚!サイバース・エンチャンター!」

 

 スプラッシュ・メイジと共にアローヘッドへと飛び込んだサイバース・ウィザードが、新たな装いとなってフィールドに舞い降りた。

 

「さらに俺は魔法カード、死者蘇生を発動!墓地からスプラッシュ・メイジを特殊召喚。さらにバックアップ・セクレタリーを特殊召喚!現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 三度現れたアローヘッドに、スプラッシュ・メイジ、サイバース・マジガール、バックアップ・セクレタリーの3体が飛び込み、そこから風を巻き起こす。

 

「唸れ嵐!虚構に渦巻く旋風は、万物を振るわす竜の雄叫びとなる!リンク召喚!」

 

 風は竜巻となってフィールドに降りる。

 

「出でよリンク4!ファイアウォール・ドラゴン!」

 

 竜巻の中から、白い機械の翼を広げ、紫電を瞬かせながら雄叫びを上げる電脳の竜が現れた。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

ターン2 ライトニング

 

「私は天装騎兵グラディウスを召喚!」

 

 フィールドに石の台座に置かれた短剣を持った石像が現れる。

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)グラディウス

効果モンスター

星2/光属性/サイバース族/攻 0/守 800

(1)このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「天装の闘技場(アルマートス・コロッセオ)」1枚を手札に加える。

(2)このカードとリンク状態の自分の「アルマートス・レギオー」リンクモンスターの攻撃力は500アップする。

 

「その効果でデッキからフィールド魔法、天装の闘技場(アルマートス・コロッセオ)を手札に加える」

「させるか!俺はサイバース・エンチャンターの効果発動!」

 

 サイバース・エンチャンターが杖を掲げ、空に複雑な模様を描く。

 

「このカードがサイバース・ウィザードをリンク素材としているなら、相手モンスター1体の表示形式を変更し、その効果を無効にする!」

 

 模様から雷撃が飛び、グラディウスへと降り注ぐ。

 その力でグラディウスは守備表示となり、効果は不発となった。

 

「なら私は天装の顕現(アルマートス・エンゲージ)を発動!」

 

天装の顕現(アルマートス・エンゲージ)

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1)自分のデッキから「アルマートス・レギオー」モンスター1体を手札に加える。自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札に加えるかわりに特殊召喚できる。この効果発動後、ターン終了時まで、自分はサイバース族モンスターしか特殊召喚できない。

 

「デッキから天装騎兵(アルマートス・レギオー)ソルフェルムを手札に加える。このカードは自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない、もしくはアルマートス・レギオーのみの場合、手札から特殊召喚できる」

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)ソルフェルム

効果モンスター

星3/光属性/サイバース族/攻 0/守 1200

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、特殊召喚するターン、自分は「アルマートス・レギオー」モンスターしか特殊召喚できない。

(1)自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、または「アルマートス・レギオー」モンスターのみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2)このカードとリンク状態の自分の「アルマートス・レギオー」リンクモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力が攻撃力を超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「現れろ、光を導くサーキット!リンク召喚!天装騎兵(アルマートス・レギオー)デクリオン!」

 

 アローヘッドの向こうから地鳴りが響く。

 大量の兵士を引き連れて現れたのは、金属の兜を被った上裸の戦士だった。

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)デクリオン

リンク・効果モンスター

光属性/サイバース族/攻 1000/LINK 1

【リンクマーカー:下】

レベル4以下の光属性・サイバース族モンスター1体

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードのリンク召喚に成功した場合に発動できる。デッキからリンク魔法カード1枚をセットする。このターン、このカード及びこの効果でセットしたカードは相手の効果で破壊されない。

(2)このカード以外の自分の「アルマートス・レギオー」リンクモンスター、または魔法&罠ゾーンの表側表示のカードが相手の効果でフィールドを離れる場合、かわりにフィールドのこのカードを墓地へ送ることができる。

 

「その効果で、デッキからリンク魔法(マジック)をセット」

「来たか……」

 

 セットされたカード、既にその脅威を知っているリンク魔法を見て、プレイメーカーの表情は険しくなる。

 

「現れろ、光を導くサーキット!」

 

 2体のモンスターが、光となり螺旋を巻きながらアローヘッドへと吸い込まれる。

 

「リンク召喚!天装騎兵(アルマートス・レギオー)ケントゥリオン」

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)ケントゥリオン

リンク・効果モンスター

光属性/サイバース族/攻 1700/LINK 2

【リンクマーカー:右/左】

光属性・効果モンスター2体

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。墓地から「アルマートス・レギオー」モンスター1体を手札に加える。この効果発動後、ターン終了時まで、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果を発動できない。

(2)1ターンに1度、自分フィールドの「アルマートス・レギオー」モンスターが攻撃対象に選択された場合に発動できる。その攻撃を無効にする。

 

「効果で墓地からグラディウスを手札に加える。そしてそのグラディウスを墓地へ送り、手札から天装騎兵(アルマートス・レギオー)スペクラータを特殊召喚」

 

 仁がグラディウスのカードを指で弾き、地面へ投げ捨てると、新たな石像が競り上がってくる。

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)スペクラータ

効果モンスター

星5/光属性/サイバース族/攻 0/守 1800

(1)手札からこのカード以外の「アルマートス・レギオー」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2)このカードとリンク状態の自分の「アルマートス・レギオー」リンクモンスターが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスター効果・魔法・罠カードを発動できない。

 

「現れろ、光を導くサーキット!召喚条件は光属性効果モンスター2体以上!リンク召喚!天装騎兵(アルマートス・レギオー)レガトゥス・レギオニス」

 

 アローヘッドの奥に、荒野の景色が浮かぶ。

 その荒れた大地より、騎馬に乗った重戦士が駆けてきた。

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)レガトゥス・レギオニス

リンク・効果モンスター

光属性/サイバース族/攻 2400/LINK 3

【リンクマーカー:左/下/右】

光属性・効果モンスター2体以上

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカード以外の自分フィールドの「アルマートス・レギオー」モンスター1体と、墓地の通常召喚可能な「アルマートス・レギオー」モンスター1体を対象として発動できる。対象のフィールドのモンスターを破壊し、対象の墓地のモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2)このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、自分フィールドに「アルマートス・レギオー」モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。このターン、このカードは相手の効果を受けない。

 

「俺はファイアウォール・ドラゴンの効果発動!」

 

 ファイアウォール・ドラゴンの翼エネルギーが集まり、その背に光の輪が現れる。

 

「このカードと相互リンク状態のモンスターの数だけ、フィールド・墓地のカードを手札に戻す!」

「私は速攻魔法!天装の決闘(アルマートス・ドゥエロ)を発動!」

 

天装の決闘(アルマートス・ドゥエロ)

速攻魔法

(1)自分の墓地から「アルマートス・レギオー」モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。その後、相手の墓地からモンスター1体を効果を無効にして、攻撃表示で相手フィールドに特殊召喚する。

(2)自分の「アルマートス・レギオー」リンクモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の墓地からそのモンスターより少ないリンクマーカーを持つ「アルマートス・レギオー」リンクモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚する。

 

「墓地からデクリオンを特殊召喚!」

 

 地面に穴が開き、デクリオンが飛び出す。

 

「そして君の墓地から、サイバース・マジガールを効果を無効にして特殊召喚」

 

 プレイメーカーのフィールドにもモンスターが復活する。

 

「だがファイアウォールの効果は止まらない。行け!エマージェンシーエスケープ!」

 

 輪が収束し、ファイアウォール・ドラゴンの口から光線が放たれる。

 

「デクリオンの効果!自分のアルマートス1体の身代わりとなる!」

 

 レガトゥス・レギオニスの盾となるように、デクリオンが飛び出し、光線を受け止める。

 

「くっ……」

「私はさらに、手札から天装騎兵(アルマートス・レギオー)シーカを特殊召喚。そのままリンク召喚!」

 

 石像がアローヘッドに吸い込まれ、デクリオンへと生まれ変わる。

 

「そして発動!世界を裁きし三本の矢!リンク魔法(マジック)裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)!」

 

 デクリオンのリンク先に、リンクマーカーの描かれた魔法カードがその姿を現した。

 

裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)

リンク魔法

【リンクマーカー:左上/上/右上】

リンク魔法は自分のリンクモンスターのリンク先となる魔法&罠ゾーンにのみ発動できる。

(1)「裁きの矢」は自分フィールドに表側表示で1枚しか存在できない。

(2)このカードのリンク先のリンクモンスターが戦闘を行う場合に発動できる。そのモンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ倍になる。

(3)このカードがフィールドを離れた場合に発動する。このカードのリンク先のモンスターは墓地へ送られる。

 

「バトルだ。まずはデクリオンで、サイバース・マジガールを攻撃!この瞬間、裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)の効果で攻撃力は倍となる!」

「俺は(トラップ)カード、サイバネット・エマージェンスを発動!」

 

サイバネット・エマージェンス

通常罠

(1)自分のサイバース族モンスター1体を対象として発動できる(ダメージステップでも発動可能)。そのモンスターはこのターン、1ターンに1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘によって発生する戦闘ダメージはお互いが受け、半分になる。その後、受けたダメージの数値分、戦闘を行った相手モンスターの攻撃力をダウンさせ、デッキからその数値以下の攻撃力または守備力を持つサイバース族モンスター1体を手札に加える。

 

「サイバース・マジガールはこのターン、1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘ダメージは半分となり、互いに受ける!」

 

 サイバース・マジガールの前に赤い障壁が現れ、デクリオンから守る。

 そして、プレイメーカーとライトニング、それぞれにレーザーが伸びて、ダメージを与える。

 

 ライトニング:LP4000→3650

 プレイメーカー:LP4000→3650

 

「そして、ダメージの数値分、デクリオンの攻撃力をダウンさせ、その数値以下の攻撃力か守備力を持つサイバース族モンスター1体をデッキから手札に加える」

「レガトゥス・レギオニスの効果発動!私のデクリオンを破壊し、墓地から通常召喚可能なアルマートス・レギオー1体を特殊召喚!蘇れ、グラディウス!」

 

 デクリオンが地面に沈み、代わりに短剣を持った石像が現れる。

 

「レガトゥス・レギオニスで、ファイアウォール・ドラゴンを攻撃!グラディウスの効果で、このカードとリンク状態のアルマートス・レギオーは攻撃力を500アップする!」

 

 攻撃力2900となったレガトゥス・レギオニスにより、ファイアウォール・ドラゴンは粉砕される。

 

 プレイメーカー:LP3650→3250

 

「墓地の天装の決闘(アルマートス・ドゥエロ)の効果!自分のアルマートス・レギオーリンクモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、墓地からそのリンクマーカーの数以下のアルマートス・レギオーリンクモンスター1体を特殊召喚する。甦れ、ケントゥリオン!」

 

 ケントゥリオンが地面から飛び出し、その槍をサイバース・エンチャンターへと向ける。

 

「ケントゥリオンで、サイバース・エンチャンターを攻撃!グラディウスとリンク状態であることで、攻撃力は500アップ、さらに裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)の効果で、攻撃力は倍となる!」

 

 ケントゥリオンがその槍を投擲し、サイバース・エンチャンターの体を貫き、そのままプレイメーカーを突き刺した。

 

 プレイメーカー:3250→1250

 

「破壊されたサイバース・エンチャンターの効果発動!墓地からサイバース・ウィザードを特殊召喚する!」

 

 サイバース・エンチャンターの体を魔法陣が包み込み、サイバース・ウィザードへと変化させた。

 

「メインフェイズ2に、私は手札から天装騎兵(アルマートス・レギオー)スクトゥムを特殊召喚」

 

 ケントゥリオンの右隣に、盾を構えた石像が出現した。

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)スクトゥム

効果モンスター

星3/光属性/サイバース族/攻 0/守 1800

(1)このカードは自分の「アルマートス・レギオー」リンクモンスターのリンク先に手札から特殊召喚できる。

(2)このカードが「アルマートス・レギオー」リンクモンスターとリンク状態の場合、このカード及びこのカードとリンク状態の「アルマートス・レギオー」リンクモンスターは1ターンに1度だけ戦闘で破壊さず、1ターンに1度だけ、効果で破壊されない。

(3)このカードが「アルマートス・レギオー」リンクモンスターとリンク状態の場合、相手はその「アルマートス・レギオー」リンクモンスターしか攻撃対象に選択できない。

 

「現れろ、光を導くサーキット!」

 

 二体の石像がアローヘッドに吸い込まれる。

 

「リンク召喚!リンク2、天装騎兵(アルマートス・レギオー)プリミ・オルディネス」

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)プリミ・オルディネス

リンク・効果モンスター

光属性/サイバース族/攻 1800/LINK 2

【リンクマーカー:上/左下】

「アルマートス・レギオー」モンスターを含む光属性・効果モンスター2体

(1)このカードがリンク召喚に成功したターンの自分のメインフェイズに、自分の墓地のレベル4以下の「アルマートス・レギオー」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは特殊召喚成功時に効果を発動できない。

(2)このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分が受ける戦闘ダメージは、自分フィールドの相互リンク状態のカードの数×500ダウンする。

 

「効果で墓地からスクトゥムを、ケントゥリオンのリンク先に特殊召喚。そして天装聖典(アルマートス・リブロ)を発動!」

 

天装聖典(アルマートス・リブロ)

速攻魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか発動できない。

(1)このターンのエンドフェイズに、このターンに手札・フィールドから墓地へ送られたリンクモンスター以外の「アルマートス・レギオー」モンスター2体に付き、デッキから1枚ドローする。

(2)自分のメインフェイズに、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「アルマートス・レギオー」モンスター5体を対象として発動できる。そのカードをデッキに戻し、自分はデッキから1枚ドローする。

 

「エンドフェイズに、このターンに墓地へ送られたリンクモンスター以外のアルマートス・レギオー2体に付き、1枚ドローする。墓地へ送られたモンスターは6体、よって3枚ドローする。これでターンエンドだ」

 

ターン3

 

「俺は魔法カード、サイバネット・ドローを発動!」

 

サイバネット・ドロー

通常魔法

自分フィールドにリンク3以上の「コード・トーカー」モンスターが存在する場合、このカードの発動と効果は無効化されない。

(1)自分のフィールド・墓地・除外されているサイバース族リンクモンスターのリンクマーカーの合計が8以上の場合、自分のメインフェイズ1開始時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。この効果発動後ターン終了時まで、自分はデッキからカードを手札に加えられない。

 

「デッキから2枚ドロー。さらに魔法カード、死者蘇生を発動!墓地からスプラッシュ・メイジを特殊召喚!効果発動!墓地からバックアップ・セクレタリーを特殊召喚」

 

 スプラッシュ・メイジが杖を一回転させると、杖の先に沿って虚空に穴が開き、奥からバイザーをつけた少女が現れる。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!召喚条件は、効果モンスター2体以上!俺はバックアップ・セクレタリーと、リンク2のスプラッシュ・メイジをリンクマーカーにセット!リンク召喚!デコード・トーカー!」

 

 アローヘッドより、デコード・トーカーが剣を振り下ろしながら、エクストラモンスターゾーンに降り立った。

 

「リンク召喚された時、手札のパラレルエクシードの効果発動!このカードを手札から特殊召喚!さらにその効果で、デッキからもう1体パラレルエクシードを特殊召喚!」

 

 額にエックスの文字を象った角のついたドラゴンが二体、フィールドに現れる。

 

「パラレルエクシードは、パラレルエクシードの効果で特殊召喚された時、攻撃力が半分となり、レベルは4となる。そしてサイバース・シンクロンを通常召喚。効果発動!」

 

 サイバース・シンクロンがその体を回転させると、サイバース・マジガールを囲むように、三つのリングのエフェクトが現れる。

 

「サイバース・マジガールのレベルを、その元々のレベル分上げる」

 

 リングは収束し、サイバース・マジガールの体に吸収される。

 

「俺はレベル6となったサイバース・マジガールに、レベル1のサイバース・シンクロンをチューニング!」

 

 二体のモンスターが粒子へと分解され、二つのリングのエフェクトを作り出す。

 

「紫電一閃、未知なる力が、飛竜乗雲となる!シンクロ召喚!」

 

 リングが七つに分裂し、また一つに重なる。

 

「レベル7、サイバース・クアンタム・ドラゴン!」

 

 リングを貫くように光が駆け、その光の中から白き翼を広げる電脳の竜が降臨した。

 

「さらに俺はレベル4のパラレルエクシード2体で、オーバーレイネットワークを構築!」

 

 パラレルエクシードの体がそれぞれ赤と青の光に分解され、天上に現れたエックス字のパネルに螺旋を描きながら吸い込まれる。

 

「万物を蹴散らす、力の壁よ。今竜の牙となり顕現せよ!エクシーズ召喚!」

 

 パネルから光が爆発する。

 

「現れろ、ランク4!ファイアウォール・X・ドラゴン!」

 

 光の中から現れたのは、蒼い光を放つ翼を、エックスを描くように広げる白いドラゴンだった。

 

「シンクロ召喚に、エクシーズ召喚か。よくもこれだけそろえたものだ」

「俺はファイアウォール・X・ドラゴンの効果発動!オーバーレイユニットを2つ使い、墓地からリンク4のサイバース族リンクモンスター1体をこのカードとリンク状態になるように特殊召喚する!蘇れ、ファイアウォール・ドラゴン!」

 

 ファイアウォール・X・ドラゴンの左隣に、ファイアウォール・ドラゴンが蘇る。

 

「私はここで、レガトゥス・レギオニスの効果発動!スクトゥムを破壊し、墓地からグラディウスを特殊召喚する」

 

 レガトゥス・レギオニスが剣を掲げると、スクトゥムが地面に沈んでいき、代わりにグラディウスが地面からせり上がってくる。

 

「レガトゥス・レギオニスの効果発動!アルマートス・レギオーが特殊召喚された時、このターン、このカードは相手の効果を受けない」

「ならバトルだ!ファイアウォール・X・ドラゴンで、レガトゥス・レギオニスを攻撃!」

 

 ファイアウォール・X・ドラゴンが翼を広げると、デコード・トーカーとファイアウォール・ドラゴンからデータの粒子がその翼へ流れ込む。

 

「ファイアウォール・X・ドラゴンは、自身とリンク状態のモンスターのリンクマーカーの数×500、攻撃力がアップする!」

 

 リンクマーカーの合計は7、つまり3500アップし、今のファイアウォール・X・ドラゴンの攻撃力は6000となっている。

 

「ライジング・クリプト・リミット!」

 

 翼からエックス字の青い炎が放たれる。

 

「私はケントゥリオンの効果発動!」

 

 すると、ケントゥリオンがレガトゥス・レギオニスの前に立ち、その槍で炎を受け止める。

 

「1ターンに1度、アルマートス・レギオーへの攻撃を無効にする!」

 

 槍に貫かれ、炎はかき消される。

 

「ならデコード・トーカーで、レガトゥス・レギオニスを攻撃!デコード・トーカーはリンク先のモンスターの数×500、攻撃力がアップする!パワーインテグレーション!」

 

 デコード・トーカーへ二体のドラゴンからデータが供給され、その攻撃力は3300まで上昇し、レガトゥス・レギオニスを両断する。

 

「プリミ・オルディネスの効果、自分フィールドの相互リンク状態のカードの数×500、戦闘ダメージをダウンさせる」

 

 プリミ・オルディネスが槍をくるくる回すと、デコード・トーカーの攻撃の余波はかき消されてしまった。

 

「これで私へのダメージは0だ」

「くっ、ならサイバース・クアンタム・ドラゴン、プリミ・オルディネスを攻撃!この瞬間、サイバース・クアンタム・ドラゴンの効果発動!」

 

 サイバース・クアンタム・ドラゴンの翼から、金属の粉が舞い、プリミ・オルディネスを包み込む。

 

「相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時、そのモンスターを手札に戻す!」

 

 プリミ・オルディネスは粉に包まれ、その姿を消した。

 

「この効果発動後、このカードはもう1度だけ攻撃できる!グラディウスを攻撃!」

 

 サイバース・クアンタム・ドラゴンが石像をなぎ倒す。

 

「これで、ケントゥリオンの攻撃力は元の1700に戻る」

「だが、裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)は健在だ。残りのファイアウォール・ドラゴンでは、攻撃力が2倍になったケントゥリオンには届かない」

「俺はセットされていた速攻魔法カード、クイックリンク・ブーストを発動!」

 

クイックリンク・ブースト

速攻魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)墓地のリンクモンスター1体を除外し、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターの攻撃力を、除外したカードのリンクマーカーの数×700アップさせる。

(2)墓地のこのカードを除外して発動できる。除外されているリンクモンスター1体を、自分のリンクモンスターのリンク先に特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「墓地のサイバース・エンチャンターを除外することで、そのリンクマーカーの数1つ700、攻撃力をアップさせる!」

 

 ファイアウォール・ドラゴンの攻撃力が一気に4600まで上昇する。

 

「ファイアウォール・ドラゴンで、ケントゥリオンを攻撃!テンペストアタック!」

 

 ライトニング:LP3650→2450

 

「俺はこれでターンエンド」

 

ターン4

 

「では、そろそろ終わりにしてやろう。私は魔法カード、天装の決闘(アルマートス・ドゥエロ)を発動。墓地からレガトゥス・レギオニスを特殊召喚」

 

レガトゥス・レギオニスが、今度は裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)のリンク先に現れる。

 

「そして君の墓地からサイバース・シンクロンを攻撃表示で特殊召喚。これでバトルだ。レガトゥス・レギオニスで、サイバース・シンクロンを攻撃!裁きの矢(ジャッジメント・アローズ)の効果で、攻撃力は倍となる!」

 

 攻撃力4800となったレガトゥス・レギオニスが、たった100しかないサイバース・シンクロンを容赦なく蹂躙した。

 

「とどめだ」

 

 そしてレガトゥス・レギオニスは、その剣をプレイメーカーに向ける。

 騎馬を駆り、その勢いのまま、彼の体を切り裂いた。

 

 ◆

 

 

 地に伏したプレイメーカーを一瞥し、ライトニングと仁は近くのモニターに手を触れる。

 

「さて、私は私の目的を果たすとしよう」

 

 ライトニングが作業を行う中、倒れたプレイメーカーはその体を重そうに持ち上げる。

 

「ライトニング、お前の目的はなんだ?」

「決まっているだろう」

 

 ライトニングと仁はまるで連動しているかのように振り向き、ギロッと彼を睨む。

 

「復讐だよ」

「……ハノイの騎士なら、既に壊滅した」

「ハノイか。やつらは所詮オマケだ。私が真に復讐すべきは我々の父でもあるあの男、鴻上博士だ」

 

 彼の口からその名前が出て、プレイメーカーは目を見開く。

 

「我々を裏切ったあの男を、絶対に許してはおかない」

「鴻上博士なら、既に亡くなっている。お前の復讐すべき相手はどこにもいない!」

「死んでいる……か。なるほど」

 

 特に驚くこともなく、ライトニングは話を続ける。

 

「奴の目論見通り、人類を進化させる。ただし、我々が人類に成り代わるという形でな」

「それがお前の復讐か……」

「話は以上だ。そろそろ退場願おうか」

 

 ライトニングが指を鳴らすと、プレイメーカーのいる床に穴が開く。

 

「!!」

「さらばだ」

 

 プレイメーカーは穴から落下し、オブジェの外、つまり上空へ投げ出される。

 

「くっ……!」

 

 Dボードを出現させて、どうにか地面に激突することは回避した。

 

「ライトニング……」

 

 ◆

 

 同刻、LINK VRAINSのランキングデュエル、

 

「さぁデュエルもいよいよ大詰め!ナンバーワンデュエリスト、Go鬼塚!初めて戦う相手にやや苦戦か!?」

 

 観衆が見守る中、Go鬼塚は苦い顔をする。

 

 その対戦相手は、半透明な体に水晶のような蒼い髪を持った少年の姿をしたAI、タイプγである。

 

「僕のターン、僕は3体のモンスターをリリースして、アドバンス召喚!」

 

 タイプγのフィールドから3体のモンスターが光となって天に吸い込まれる。

 

征令王(セントラルオーダーロード)メディクリア」

 

 天より機械の玉座が下りてくる。

 そこに腰かけるのは、両腕を機械に改造し、三本の槍を携えた巨人だ。

 

征令王(セントラルオーダーロード)メディクリア

効果モンスター

星10/闇属性/サイキック族/攻 3000/守 3000

このカードをアドバンス召喚する場合、モンスターを3体リリースしなければならない。

(1)このカードがアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。この効果を発動するターン、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(2)アドバンス召喚されたこのカードがフィールドに存在する場合、相手のフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。自分の手札から「セントラルオーダー」モンスター1枚を捨て、対象のカードの効果を無効にし、相手に200ダメージを与える。次の自分のスタンバイフェイズまで、自分は「征令王メディクリア」の効果で同名カードを対象にできない。この効果は同一チェーン上で1度しか発動できず、相手ターンでも発動できる。

(3)アドバンス召喚されたこのカードが戦闘・相手の効果で破壊されて墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、デッキ・墓地から「征令締結」1枚を手札に加える。

 

「アドバンス召喚に成功した時、デッキから2枚ドロー」

「だが、俺にはザ・グレート・オーガがいる。こいつがいる限り、フィールドの全てのモンスターの攻撃力は、その守備力分ダウンする!オーガプレッシャー!」

 

 グレート・オーガが吠えると、その震動が空気を揺らし、メディクリアの攻撃力を0にした。

 

「高い守備力が仇になったな」

「僕はメディクリアの効果発動」

 

 鬼塚の言葉を無視して、タイプγは淡々とデュエルを続ける。

 

「グレート・オーガを対象に発動。手札のセントラルオーダー1体を捨てることで、その効果を無効にする」

「なに!?」

 

 タイプγがカードを投げ捨てると、メディクリアが動き、その機械の腕をグレート・オーガへと伸ばす。

 

 手はグレート・オーガの体を透過し、グレート・オーガの体の表面に0と1の羅列が浮かび上がる。

 

「グレート・オーガ!」

 

 やがてそのデータは書き換えられ、効果は無効。

 グレート・オーガの効果が無効になったことで、メディクリアの攻撃力は元の3000に戻る。

 

「さらに相手に200ダメージ」

 

 Go鬼塚:LP1500→1300

 

「そして手札から墓地へ送られた征令リソースの効果発動」

 

征令リソース

効果モンスター

星3/闇属性/サイキック族/攻 900/守 1300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードを手札から公開して発動できる。このカード以外の手札の「セントラルオーダー」カード1枚を墓地へ送り、このカードを手札から特殊召喚する。

(2)このカードがアドバンス召喚のためにリリースされた、または「セントラルオーダー」カードの効果で手札から墓地へ送られた場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「1枚ドロー。そしてメディクリアの効果を再び発動。今度はツイストコブラの効果を無効にする」

 

 今度はツイストコブラへと手を伸ばし、そのデータを書き換え、鬼塚にダメージを与える。

 

 Go鬼塚:LP1300→1100

 

「さらにメディクリアの効果で、スープレックスの効果を無効」

 

 Go鬼塚:1100→900

 

「終わりだ。メディクリアで、スープレックスを攻撃」

 

 メディクリアがスープレックスの首を掴んで持ち上げ、絞め殺す。

 そのままGo鬼塚へと投げつけて、彼のライフもろとも破壊した。

 

「決まったぁぁ!勝者、タイプγ!SOLテクノロジーの新型AIが我らがGo鬼塚より白星をもぎ取ったぞ!」

 

 タイプγは無表情のまま、デュエルディスクを下ろし、そのままログアウトした。

 

「あれ? ちょっとインタビューは!? あ、え、次のデュエルもお楽しみに!!」

 

 実況の男は困惑しつつも、中継はそこで締められた。

 

 ◆

 

「見事ね」

 

 SOLテクノロジー社長室、そこに設置された巨大モニターで、Go鬼塚VSタイプγのデュエルを一人の女性が見ていた。

 

 青髪を緑で縁取ったような色の髪、サングラスをかけた女性、SOLテクノロジーの社長、クイーンである。

 

「ビショップ、ナイト、ルーク」

 

 彼女の前には、SOLテクノロジーの幹部三人が控えている。

 

「タイプγの強化学習プロジェクト、それと平行してそろそろ例のプロジェクトも進めておかないとね」

「例のプロジェクト?」

 

 ナイトこと八神は何のことか分からず首を傾げる。

 

「あなたには話していなかったわね。ガンズレッドファクトリーとの共同プロジェクトよ。AIを使った無人兵器開発のね」

「なっ!?」

 

 八神は目を見開く。

 

「待ってください!兵器ビジネスなど、どうして我が社がそんなことを……」

「これは決定事項だ」

 

 抗議する八神の前に、大柄なサングラスをかけた男、ルークが立ちふさがる。

 

「我が社のさらなる発展のためにも、このプロジェクトは必要だ」

「だからといって、AIを戦争の道具に使うのは……」

 

 食い下がる八神に、静観していたビショップが口を開く。

 

「……私は兵器開発に関しては中立の立場を取らせてもらいます」

「ビショップ様!」

「しかしクイーン。タイプγ、もといIGS-0シリーズをこれ以上進化させることは反対です」

「どうしてかしら?」

「タイプγの時点で、自我に近いものが目覚め始めています。既に性能は必要水準に達している。意思を持つAIという、あの男が自ら閉じたパンドラの箱を、再び開くというリスクは避けるべきでしょう」

 

 ビショップはイグニスが人類に敵意を示している現状を客観的に見たうえでの見解を述べている。

 だが、クイーンはそれを一蹴する。

 

「そんな抽象的な理由でプロジェクトを止めるわけにはいかないわ。反論するならエビデンスを用意しなさい」

「……では、私はなにも言いません」

 

 ビショップはあっさり引き下がった。

 

「話は以上よ」

 

 クイーンに促され、ナイトとビショップは不満を抱きながらも社長室を後にした。

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