遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
その頃、美海がたどり着いた場所は、岩でできた小島だった。
周りは海に囲まれており、時折強い波が押し寄せ、今にも海に飲み込まれそうなほどに足場は頼りない。
振り返ると、孤島の真ん中に自分がくぐった白い扉だけが不自然に設置されている。
「なるほど、私の相手はあなたでしたか」
気配を感じて、前を向き直右る。
美海はの目の前には、等身大のマネキンのような白い人形と、その肩の上に乗るアクアの姿があった。
「えぇ。オリジンを倒すことで、イグニスの優位を証明するというのが、ライトニングの考えです」
「ということは、ゴッドバードの相手はウィンディですか?」
アクアはこくりと頷く。
「それでは、始めましょうか。あちらでも、そろそろウィンディがデュエルを始めている頃でしょう」
アクアの乗る人形がデュエルディスクを構えた。
「「デュエル!」」
ターン1 アクア
「私は
フィールドに、ピンク色の髪をなびかせ、白と桃の艶やかな衣装をまとった女性が現れる。
「パスカルスの召喚・特殊召喚成功時、手札から
額よりウミウシのような触角を生やした藍色の髪の少女が現れた。
「ブルースラッグの効果で、墓地からブルータンを手札に戻す。リンク素材となったブルータンの効果発動。デッキの上から3枚をめくり、その中からマリンセスカード1枚を手札に加える。さらにパスカルスを素材にリンク召喚。
現れたのは、触手のような白い髪を持つ童女だった。
「シーエンジェルの効果で、デッキからマリンセス魔法カードを手札に加える。私は手札に加えた
その瞬間、二人の乗る孤島が海の中に沈む。
「きゃっ……」
VRだと分かっていながらも思わず目をつむる。
「っ……!?」
目を開けると、そこは海の中に作られた闘技場だった。海面から流れ落ちる水柱が、まるで天井を支える柱のようになっており、先程まで島だった足場も、岩が綺麗に成形され、円形のステージになっている。
「続けますよ。私は墓地のマンダリンの効果を発動。自分フィールドにマリンセスが2体以上存在する場合、手札か墓地のこのカードを自分の水属性リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる。そして現れろ、大いなる海のサーキット!」
水流が巻き起こり、そこに出現したアローヘッドに、ブルースラッグとシーエンジェルが飛び込む。
「リンク召喚!
現れたのは、蒼いハート型の水晶に水流が絡みついたようなモンスターだった。
「現れろ、大いなる海のサーキット!」
さらにクリスタルハートとマンダリンがリンクマーカーに吸い込まれる。
「リンク召喚!リンク3、
現れたのは、逆立った青い髪、魚を模した衣装をまとった女性だった。
「マーブルド・ロック、あの時、ビットとブートが使用していたカード」
「元は私のカードですから。私はマーブルド・ロックの効果発動!墓地のパスカルスを手札に戻す。そして
ブルースラッグ、シーエンジェル、クリスタルハートの魂が水面より落ちてきて、マーブルド・ロックに宿る。
「
マーブルド・ロック:攻撃力2500→4500
「さらに
ターン2 美海
「私は原初海祈シーライブラを召喚」
海の中を泳ぎ、胴体が半透明のデータとなった魚が現れる。
効果モンスター
星4/水属性/サイバース族/攻 1000/守 1600
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードの召喚·特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「原初海祈シーライブラ」以外の「オリジンブルー」カード1枚を手札に加える。
(2)このカードが他のモンスターゾーンに移動した場合に発動できる。手札から「原初海祈シーライブラ」以外の「オリジンブルー」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
「デッキからメガロガーを手札に加え、シーライブラを移動させることでそれを特殊召喚」
シーライブラがフィールド内を泳ぎ、横へ移動する。
すると、下から胴体部分がデータ化したサメ型のモンスターが浮上した。
効果モンスター
星3/水属性/サイバース族/攻 1300/守 500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、発動するターン、自分はサイバース族モンスターしか特殊召喚できない。
(1)自分フィールドの水属性モンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターを隣のメインモンスターゾーンに移動させ、手札からこのカードを特殊召喚する。
(2)このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの「オリジンブルー」モンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターを隣のメインモンスターゾーンに移動させ、このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドを離れた場合、除外される。
「シーライブラが移動した時、手札からオリジンブルーモンスター1体を特殊召喚できる。私は手札よりホーンドシェルを特殊召喚」
シーライブラから、青いエフェクトが吐き出され、そこに槍のような貝殻から触手がいくつも伸びたモンスターが姿を現した。
効果モンスター
星5/水属性/サイバース族/攻 1200/守2200
(1)自分の「オリジンブルー」リンクモンスターが存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。
(2)このカードがサイバース族SモンスターのS素材となって墓地に送られた場合に発動できる。このカードを墓地からS召喚されたモンスターに装備カード扱いで装備する。装備モンスターは攻撃力1200アップし、戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで効果を発動できない。
「自分フィールドのモンスターが水属性のみの場合、手札の
現れたのは、水色の鉱石のような髪を持つ人魚だった。
リンク・効果モンスター
水属性/サイバース族/攻 0/LINK 1
【リンクマーカー:右】
リンクモンスター以外の水属性・サイバース族モンスター1体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「
(2)1ターンに1度、このカードを空いている自分のメインモンスターゾーンに移動させて発動できる。自分のリンクモンスターにバックログカウンター1つを置く。
「エルニーニャの効果でデッキから
フィールド魔法
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分の「オリジンブルー」リンクモンスターのリンク召喚に成功した場合に発動できる。そのモンスターに、このターン中にモンスターが移動した回数だけ、バックログカウンターを置く。その後、この効果で置かれたカウンターの数まで、墓地からレベル4以下の「オリジンブルー」モンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
(2)1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを隣のメインモンスターゾーンに移動させる。
「さらにエルニーニャの効果で、自身をメインモンスターゾーンに移動させることで、バックログカウンターを置く。来なさい、未来を繋ぐサーキット!」
エルニーニャ、シーライブラ、メガロガーの3体がアローヘッドに向かって泳ぐ。
「リンク召喚!リンク3、
現れたのは、ハート型の水晶に女性の上半身を模した青い像と鉱石でできた天使のような翼が取り付けられたオブジェだった。
リンク·チューナー·効果モンスター
水属性/サイバース族/攻 0/LINK3
【リンクマーカー:右下/下/左下】
水属性·効果モンスター2体以上
(1)リンク状態のこのカードは相手の効果を受けず、攻撃対象にならない。
(2)このカードのリンク先のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをチューナーとして扱う。その後、このカードのリンク先のモンスターのみを素材としてサイバース族Sモンスター1体をS召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。
(3)自分のモンスターの位置が移動する度に、このカードにバックログカウンターを1つ置く。
(4)自分フィールドのモンスターの攻撃力は、このカードのバックログカウンターの数×200アップする。
「
シーライブラとメガロガーが地面から顔を出し、再び海の中を自由に泳ぎ始める。
さらにそれに呼応して、タイタニーニャが歌を奏でると、その体の水晶の中に2つの光が灯る。
「タイタニーニャの効果発動!メガロガーをチューナーに変え、ホーンドシェルにチューニング!」
タイタニーニャの水晶からコードのような触手が伸びて、二体のモンスターに突き刺さり、その体をデータへと分解する。
「潮は満ちた。今こそ悠久の眠りから目覚めよ!シンクロ召喚!」
分解されたモンスターのデータは、八つのリングに変わり、それらが一つに重なる。
「出でよレベル8、
現れたのはワニのような口を持ち、その周囲に水の剣を6つ従える首長竜だ。
シンクロ・効果モンスター
星8/水属性/サイバース族/攻 2800/守 2000
水属性チューナー+チューナー以外のサイバース族モンスター1体以上
(1)このカードのS召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスター2体までを選んで手札に戻す。
(2)このカードが効果で隣のメインモンスターゾーンに移動する場合、かわりにリンクモンスターのリンク先となるメインモンスターゾーンに移動できる。
(3)1ターンに1度、発動できる。このカードを隣のメインモンスターゾーンに移動させる。この効果は相手ターンでも発動できる。
(4)このカードと同じ縦列の相手のモンスターゾーン及び魔法&罠ゾーンのカードの効果は無効化される。
「シンクロ素材として墓地へ送られたホーンドシェルの効果発動!このカードを装備カード扱いとして、シンクロ召喚されたリオ・プロトコロドンに装備」
リオ・プロトコロドンの額に、ホーンドシェルの殻が角のように装着される。
「装備モンスターの攻撃力は1200アップする。さらにタイタニーニャは、バックログカウンターの数×200、自分のモンスターの攻撃力をアップさせる」
リオ・プロトコロドン:攻撃力2800→4400
「ですが、それではまだ、攻撃力が足りませんよ」
「えぇ。なのでもう1体、私は墓地のメガロガーの効果発動!リオ・プロトコロドンを移動させることで、自身を墓地から特殊召喚。モンスターが移動したことで、タイタニーニャにバックログカウンターを置く!」
バックログカウンター:2→3
「そして、タイタニーニャの効果で、シーライブラをチューナーに変え、メガロガーにチューニング!」
メガロガーとシーライブラがデータに分解され、粒子となった二体のモンスターが七つのリングのエフェクトへと形を変える。
「シンクロ召喚!レベル7、
シンクロ·効果モンスター
星7/水属性/サイバース族/攻 2300/守 2000
水属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1)このカードが効果で隣のメインモンスターゾーンに移動する場合、かわりにリンクモンスターのリンク先となるメインモンスターゾーンに移動できる。
(2)1ターンに1度、自分フィールドのバックログカウンター1つを取り除いて発動できる。このカードと同じ縦列の相手のカードを全て手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。
(3)1ターンに1度発動できる。このカードを隣のメインモンスターゾーンに移動させる。
「プレシオルタの効果発動。このカードを隣のメインモンスターゾーンに移動させる」
プレシオルタが相手のエクストラモンスターゾーンの正面へ移動する。
バックログカウンター:3→4
「プレシオルタの効果発動!バックログカウンター1つを使うことで、このカードと同じ縦列の相手のカードを全て手札に戻す。マーブルド・ロックは効果を受けませんが、装備カードは別。あなたの装備カードを手札に戻す!」
プレシオルタが嘶くと、マーブルド・ロックに宿っていた魂が、弾き飛ばされるように消える。
「装備カードが減ったことで、マーブルド・ロックの攻撃力は下がる」
マーブルド・ロック:攻撃力4500→3900
「バトル!私はリオ・プロトコロドンで、マーブルド・ロックを攻撃!」
「マーブルド・ロックの効果発動!手札のマリンセス1体を墓地へ送ることで、バトルによる破壊とダメージを無効にできる」
「装備されたホーンドシェルの効果で、装備モンスターの攻撃時、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない!」
リオ・プロトコロドンが水の剣を飛ばし、マーブルド・ロックの体を貫き、その剣がアクアにも降り注ぐ。
アクア:LP4000→3900
「続けて、プレシオルタでダイレクトアタック!」
アクア:LP3900→1600
「メイン2に、私はリオ・プロトコロドンと
バックログカウンター:3→5
「私はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン3
「さすがに、この程度は簡単に破れますか」
アクアは何ともないようにふるまう。
実際、なんともないのだろう。なぜなら、彼女の手札は、前のターンから1枚たりとも減っておらず、このターンのドローで6枚となった。それだけあれば、美海の盤面を突破するなど、容易いことだろう。
「私は魔法カード、サイバネット・リロードコードを発動」
サイバネット・リロードコード
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分の墓地のサイバース族リンクモンスターを対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
(2)自分がEXモンスターゾーンにリンク4以上のサイバース族リンクモンスターをリンク召喚に成功したターンのエンドフェイズに、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の墓地からそのリンクモンスターと同じ属性のサイバース族モンスター1体を手札に加える。
「墓地からマーブルド・ロックを特殊召喚。そして手札から発動」
アクアの動きに合わせて、人形が指を捻って手札のカードを美海に見せる。
「リンク
マーブルド・ロックのリンク先に、リンクマーカーの描かれた魔法カードが出現した。
リンク魔法
【リンクマーカー:左上/上/右上】
リンク魔法は自分のリンクモンスターのリンク先となる魔法&罠ゾーンにのみ発動できる。
(1)「
(2)このカードのリンク先のリンクモンスターが戦闘を行う場合に発動できる。そのモンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ倍になる。
(3)このカードがフィールドを離れた場合に発動する。このカードのリンク先のモンスターは墓地へ送られる。
「来ましたね。私はリオ・プロトコロドンの効果発動!1ターンに1度、このカードを隣のメインモンスターゾーンに移動させる!リオ・プロトコロドン自身の効果で、移動先を自分のリンクモンスターのリンク先に置き換えることができる!
マーブルド・ロックの目の前に移動し、リオ・プロトコロドンがマーブルド・ロックと、その後ろにある
「リオ・プロトコロドンと同じ縦列の相手のカードの効果は無効化される。これで
「私は手札の
「手札からトラップ!?」
「このカードはリンク3以上のマリンセスが存在する場合、手札からも発動できる。相手フィールドのモンスター1体の効果を無効にする」
マーブルド・ロックが手を天に掲げると、そこから水が揺れ、波紋が広がり、それに揺られるようにプレシオルタはゆっくりと首を降ろし、眠りにつく。
「くっ……」
「私はさらに海晶乙女パスカルスを召喚。効果で手札からブルータンを特殊召喚。現れろ、大いなる海のサーキット!私はブルータンとパスカルスをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2、海晶乙女クリスタルハート!」
アローヘッドから水流が巻き起こり、再びクリスタルハートが姿を現した。
「私はリンク素材となったブルータンの効果で、デッキからマリンセスカード1枚を手札に加える。そしてクリスタルハートと、リンク3のマーブルド・ロックをリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク4、
アローヘッドより、巨大な二枚貝が出現し、その口が開く。
その中から長いツインテールの女性が、大鎌を携えて現れ、貝の上に腰を下ろした。
「
「ですが、その位置ではせっかく発動した
「問題ありません。墓地のマリンセス1枚を除外することで、手札から海晶乙女スプリンガールを特殊召喚。さらにリンクモンスターのリンク先に、海晶乙女シーホースは特殊召喚できる。現れろ、大いなる海のサーキット!」
スプリンガールとシーホースが、アローヘッドへ飛び込む。
「リンク召喚!リンク2、
現れたのは、両腕がカニのような鋏となった朱色の髪の女性だった。
リンク・効果モンスター
水属性/サイバース族/攻 1500/LINK 2
【リンクマーカー:上/左下】
サイバース族モンスター2体
(1)このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。墓地から通常召喚可能なサイバース族モンスター、またはリンク魔法1枚を手札に加える。このターン、この効果で手札に加えたカード、及びその同名カードは召喚・特殊召喚できない。
(2)このカードのリンク先は、このカードと相互リンク状態のリンク魔法のリンク先としても扱う。
(3)このカードと相互リンク状態のリンク魔法がフィールドを離れた場合に発動できる。このターン、そのリンク魔法のリンク先にあったモンスターは、そのリンク魔法の効果でフィールドを離れない。
「アローブ・スターのリンク先は、相互リンク状態のリンク
アクア・アルゴノート:攻撃力4300→8600
バックログカウンターが6つあることで、リオ・プロトコロドンの攻撃力は5200あるが、それでも
美海:LP4000→600
「エンドフェイズに墓地のサイバネット・リロードコードの効果発動。自分がサイバース族のリンク4のモンスターをリンク召喚に成功したターンのエンドフェイズに、墓地のこのカードを除外することで、召喚されたリンクモンスターと同じ属性のサイバース族モンスター1体を手札に戻す」
ターン4
「アクア、あなたはこのことに賛同しているのですか?」
美海はアクアに問いかける。
「この衛星兵器が起動すれば、デンシティに暮らす多くの人が犠牲になります。私には、あなたがそれをよしとしているとは思えない」
「……抑止力としての兵器は、その効力を知らしめることで初めて意味を成す。それ自体は必要な犠牲です」
しかし、彼女は冷酷にそう答える。
「とはいえ、ライトニング、彼は私怨でこのデンシティに狙いを定めているわけですから、その点については苦言を呈したいところですが。私も綺麗事で人間の統治できるとは思っていません」
「あなたは、やはり人間は管理すべきだと考えているのですか?」
以前戦った時に言っていた彼女の主張を思い出しそう尋ねる。
「逆に聞きますが、この兵器を作ったのは誰でしょう?」
「……ガンズレッドファクトリー社、です」
「そう。人間ですね」
彼女の言う通り、イグニスはその兵器を利用しただけで、放っておいても、この兵器を利用した戦争は起きていたかもしれない。
「私達は優れた演算能力により、人間を正しく導くことができる。元よりそれが鴻上博士の願いなのですから」
「先生が?」
「はい。彼はシミュレートにより、そう遠くない未来に滅ぶ人間を救うために、人間を導く存在として、より高度なAIである私達を生み出しました」
思い返せば、リボルバーも似たようなことを言っていた。
人類の未来を憂いて、イグニスを作り出した。その研究を金儲けに利用しようとしたのがSOLテクノロジーであると。
「私達ならば、効率的に人類を発展させることができる。美海、今からでも遅くはありません。サレンダーしてください」
「どういうつもりですか?」
「あなたが私達の考えに賛同するなら、あなたとその家族、友達など、一部の人間を逃がすことを許可します。私も、自分のオリジンを失うのは少し惜しい」
アクアは美海の方へ手を差し出す。
「選んでください。共存か、死か」
「私は……」
◆
同刻、ゴッドバードが辿り着いたのは、飛行場だった。
周囲には壊れた飛行機が規則的に並んでいて、さながら飛行機の墓場ともいえる場所だ。
「やぁ、僕のオリジン」
振り向くと、そこには人形の上に乗ったウィンディの姿があった。
「……テメェか」
彼の姿を見た瞬間、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
その感覚こそが、自分が彼のオリジンである証拠だった。
「あーあ、この感覚ほんとウザいなー」
ウィンディは心底鬱陶しそうに、ゴッドバードの顔を見ながら頭を掻く。
「さっさと消してやるから、早く準備しろよ」
「上等だ。ぶっ飛ばしてやるよ」
「「デュエル!」」
ターン1 ゴッドバード
「俺は
長方形に四角い翼がついたような小型の飛行機が飛来する。
効果モンスター
星4/風属性/サイバース族/攻 1500/守 800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「エリミネーター」モンスター1枚を手札に加える。
(2)相手ターン中、自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しなければ、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「エリミネーション」罠カード1枚をセットする。この効果でセットしたカードは、セットしたターンでも発動できる。
「その効果で、俺はデッキから
早速彼のフィールドに、二体のレベル4のモンスターが並ぶ。
「来やがれ、未来を貫くサーキット!召喚条件はレベルが同じモンスター2体!」
手招きするようなポーズから、手首を返して空に手を掲げる。
その瞬間、上空に現れたアローヘッドに二体のエリミネーターが飛び込んでいく。
「リンク召喚!リンク2、
リンク·効果モンスター
風属性/サイバース族/攻 1000/LINK2
同じレベルのモンスター2体
(1)リンク召喚したこのカードは、リンク素材となったモンスターと同じレベルのモンスターとしてX召喚の素材にでき、このカードのリンクマーカーの数と同じ数のモンスターとしてX召喚の素材にできる。
(2)X素材となったこのカードが墓地に送られた場合に発動できる。除外されている「エリミネーター」モンスターを自分のXモンスターの下に重ねてX素材とする。
「そしてこいつはリンク素材となったモンスターと同じレベルのモンスター2体分のエクシーズ素材にできる。俺はローディング・チャージャーでオーバーレイ!」
赤と青の光が螺旋状に渦巻き、天に現れたエックス字のパネルへ吸い込まれる。
「エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!
現れたのは、体の中央にレールガンを無理やり接合された、歪な機械仕掛けの竜だった。
エクシーズ·効果モンスター
ランク4/風属性/サイバース族/攻 2300/守 2000
風属性·レベル4·効果モンスター×2体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードの攻撃力·守備力はこのカードがX素材として持つリンクモンスターのリンクマーカーの数×300アップする。
(2)相手の特殊召喚されたモンスターが効果を発動した時、このカードのX素材1つを取り除いて発動できる。その効果を無効にする。この効果発動のためにリンクモンスターを取り除いていた場合、かわりにその効果を無効にして破壊し、相手に500ダメージを与える。
(3)このカードが効果で破壊される場合、かわりにこのカードのX素材1つを取り除くことができる。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン2
「相手ターン開始時、俺は墓地のシークエンスコードとラントリクターの効果発動。相手ターン中に、自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、墓地から除外することで、デッキからエリミネーション魔法カードと罠カードをそれぞれセット」
ゴッドバードに伏せカードが2枚追加され、ウィンディを迎え撃つ準備は整った。
「じゃあ僕のターンだね。僕は手札の
効果モンスター
星4/風属性/サイバース族/攻 1200/守 800
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)相手のメインモンスターゾーンにモンスターが存在する場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
(2)このカードが手札に存在する場合に発動できる。相手の手札をランダムに1枚選んで確認する。そのカードが魔法・罠カードだった場合、それを相手のフィールドにセットして、このカードを特殊召喚する。
「相手の手札をランダムに1枚確認する。そいつを見せろ」
「チッ」
ゴッドバードは指さされた手札を相手に見せる。
選ばれたカードは。RUM-バックアップ・エリミネーション。
「それが
翼竜の翼を象った帆と、鳥の頭を模した船首の小型船が飛来した。
「そして、手札からヒッポグリフトを特殊召喚」
効果モンスター
星3/風属性/サイバース族/攻 800/守 1200
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)相手の魔法&罠ゾーンにカードが存在する場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
(2)相手の魔法&罠ゾーンにのみカードが存在し、このカードが「ストームライダー」リンクモンスターのリンク素材として墓地へ送られた場合、相手フィールドのセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。対象のカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠カードを発動できない。この効果発動後、ターン終了時まで、自分はフィールド魔法以外の魔法・罠カードを自分フィールドで発動・セットできない。
「現れろ、我が行く手に吹き荒れるサーキット!」
ウィンディが人差し指で空を指すと、その先にアローヘッドが出現する。
「召喚条件は風属性モンスター2体!僕はヒッポグリフトとグリフォールをリンクマーカーにセット!」
二隻の飛行船が、アローヘッドに吸い込まれ、暴風が吹く。
「そこまでだ!俺はセットされた
エリミネーション・インターセプト
カウンター罠
(1)自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。相手モンスター1体の特殊召喚を無効にして破壊する。
(2)墓地のこのカードと「エリミネーション」魔法・罠カード1枚を除外して発動できる。除外されている「エリミネーター」モンスター1体を墓地に戻す。
「そのリンク召喚を無効にする!」
アローヘッドに集まった風が破裂し、ウィンディのリンク召喚は失敗に終わる。
「ウザいな。なら僕はリンク素材になったヒッポグリフトの効果発動!相手にのみ魔法・罠ゾーンにカードが存在する場合、相手のセットされた魔法・罠カード1枚を破壊する!」
虚空から空気の弾丸が放たれ、さきほど手札からセットされたバックアップ・エリミネーションを破壊される。
「そして1枚ドロー。僕は嵐闘機モノケローンを召喚」
嵐闘機モノケローン
効果モンスター
星2/風属性/サイバース族/攻 800/守 600
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在せず、相手がデッキからカードを手札に加える効果を含む効果を発動した場合、手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。自分のデッキから「ストームライダー」カード2枚を手札に加える(同名カードは1枚まで)。この効果を発動後、次の自分のエンドフェイズまで、自分はフィールド魔法以外の魔法・罠カードを発動できない。
(2)このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「嵐闘機モノケローン」以外の「ストームライダー」モンスター1体を手札に加える。
「効果でデッキから嵐闘機ハルピュイアームを手札に加え、特殊召喚」
嵐闘機ハルピュイアーム
効果モンスター
星4/風属性/サイバース族/攻 1200/守 800
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。
(1)相手の魔法&罠ゾーンにカードが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在せず、このカードが表側攻撃表示で存在し、相手が魔法・罠カードを発動した場合に発動できる。その発動を無効にし、このカードを守備表示にする。
「現れろ、我が行くに吹き荒れるサーキット!」
再びのリンク召喚で、アローヘッドより竜巻が巻き起こる。
「リンク召喚!リンク2!
現れたのは双頭の鳥を象った船だ。
リンク・効果モンスター
風属性/サイバース族/攻 2000/LINK 2
【リンクマーカー:上/下】
風属性・サイバース族モンスター2体
このカードの(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、発動するターン、自分は「ストームライダー」カード以外の魔法・罠カードを発動できない。
(1)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在せず、このカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。相手の魔法・罠カードを2枚まで選んで破壊する。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠カードを発動できない。
(2)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合、相手の墓地の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分・相手フィールドにセットできる。
「そして
星1/風属性/サイバース族/攻 0/守 0
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか発動できない。
(1)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在せず、以下のいずれかの効果を含む魔法・罠カードを相手が発動した場合、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。
●デッキからカードを手札に加える効果
●墓地からモンスターを特殊召喚する効果
(2)このカードが手札・墓地に存在し、自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードはフィールドを離れた場合、除外される。
「リンク先にモンスターが特殊召喚されたことで、ロックバスターの効果発動!」
ロックバスターの二つの口が開き、そこにエネルギーが充填される。
「自分の魔法&罠ゾーンにカードがない時、相手の魔法・罠カード2枚を選んで破壊する!」
「そうはいくか!俺はカウンター
「ざーんねーん!ロックバスターの効果に対して、相手は
「ならコンパイル・ブラスターの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使うことで、相手の特殊召喚されたモンスターの効果を無効にする!」
コンパイル・ブラスターの周囲を巡るオーバーレイユニットが、コンパイル・ブラスターの銃口に取り込まれ、弾丸として発射される。
「僕は手札の
効果モンスター
星1/風属性/サイバース族/攻 0/守 0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在せず、自分フィールドが「ストームライダー」リンクモンスターが存在し、相手がモンスター効果を発動した場合、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。
(2)このカードが手札・墓地に存在し、自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードはフィールドを離れた場合、除外される。
「このカードを手札から捨てることで、その効果を無効にする!」
コンパイル・ブラスターから放たれた弾丸を、虚空より飛来した白いU字型の羽を持つ飛行船が受け止め、ロックバスターを守った。
「やれ!ロックバスター!」
そしてロックバスターの口から光線が放たれ、彼のフィールドにセットされた残りの伏せカードが破壊される。
「ロックバスターのもう1つの効果!相手の墓地から魔法・罠カードを自分か相手のフィールドにセットする。ヒッポグリフトの効果で、僕はこのターン、フィールド魔法以外の魔法・罠カードを自分フィールドで発動・セットできないから、君のフィールドに置いてあげるよ」
先程破壊されたバックアップ・エリミネーションが再びゴッドバードのフィールドにセットされる。
「返してくれた、なわけねぇよな?」
ゴッドバードの発言に、ウィンディはニヤリと笑う。
「現れろ、我が行く手に吹き荒れるサーキット!」
ロックバスターとフライカイトの2体が、アローヘッドへと潜航する。
「リンク召喚!
アローヘッドから竜巻が起こり、その中から汽笛の音が鳴り響く。
そして風を突き破り現れたのは、黒い鯨のような姿をした巨大な戦艦型のモンスターだ。
リンク・効果モンスター
風属性/サイバース族/攻 2800/LINK 3
風属性モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、発動するターン、自分フィールドに魔法・罠カードをセットできない。
(1)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在せず、このカードがリンク召喚に成功した場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、相手に500ダメージを与える。この効果の発動に対して、相手はカードの効果を発動できない。
(2)自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。相手の魔法・罠カード1枚を選んで墓地へ送り、相手に500ダメージを与える。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠カードを発動できない。
「バハムートボマーの効果発動!リンク召喚に成功した時、相手フィールドのカード1枚を破壊する!コンパイル・ブラスターを破壊し、相手に500ダメージ!」
バハムートボマーの口が開き、そこから大砲が飛び出す。
既に妨害の手を使い切ったゴッドバードにこれを防ぐ手はなく、コンパイル・ブラスターは破壊され、さらに貫通した砲撃が自身にも襲い掛かる。
ゴッドバード:LP4000→3500
「さらにバハムートボマーのもう1つの効果!自分の魔法&罠ゾーンにカードがない時、相手の魔法・罠カード1枚を選んで破壊し、相手に500ダメージを与える!」
続く二射が、セットされたカードを貫き、さらにゴッドバードにもダメージを与える。
ゴッドバード:LP3500→3000
「なるほど。自分の魔法&罠ゾーンを封じる代わりに、相手の魔法・罠をメタるか。つくづくお前とは気が合いそうにねぇな」
「こっちだって、人間と馴れ合うなんてごめんだね。僕はフィールド魔法、
フィールド魔法
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分フィールドの「ストームライダー」モンスターの攻撃力は300アップする。
(2)自分フィールドに「ストームライダー」モンスター1体のみが存在し、相手がモンスターの特殊召喚に成功した場合に発動できる。そのモンスターの効果は次の相手のスタンバイフェイズまで無効化される。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠カードの効果を発動できない。
(3)フィールドゾーンのこのカードが破壊された場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「嵐闘機爆流」1枚を発動する。
「これで僕のストームライダーの攻撃力は300アップする。これで攻撃力は3100、君の残りライフは3000。これで終わりだ!バハムートボマーで、ダイレクトアタック!」
バハムートボマーがゴッドバードにトドメを刺すべく、主砲の照準を合わせる。
「くっ、俺は手札の
効果モンスター
星4/風属性/サイバース族/攻 1600/守 1200
(1)モンスターの攻撃宣言時、自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚する。その後、自分のEXモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、手札から「エリミネーター」モンスター1体までを特殊召喚するか、墓地へ送る。
(2)自分の魔法&罠ゾーンのカードが破壊される場合、かわりに自分のフィールド・墓地のこのカードを除外して発動できる。
「このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚!」
六角形の緑のパネルがいくつも合わさってできた物体がバハムートボマーの前に立ちふさがる。
「そして、俺のエクストラモンスターゾーンにモンスターが存在しなければ、手札からもう1体、エリミネーターを特殊召喚するか、墓地へ送ることができる。俺は手札か敵性機兵《エリミネーター》シークエンスコードを特殊召喚!」
その効果で、さらにデッキからカードを手札に加える。
「チッ、ならバハムートボマーでプロテクラフトを攻撃!」
バハムートボマーの砲撃が、射線上のプロテクラフトへと向く。
放たれた高エネルギーの弾丸がプロテクラフトを貫き、ゴッドバードのライフを奪う。
ゴッドバード:LP3000→1500
「僕はこれでターンエンド」
ターン3
ゴッドバードとウィンディのデッキコンセプトは全くの真逆。それ故に、大量の伏せカードを武器とするゴッドバードにとって、それらを一方的に破壊できるウィンディのデッキは相性最悪だ。
(けど、手は完全に潰れたわけじゃない)
ゴッドバードは自身に残された手札を確認して、次の一手を考える。
「お前さ」
すると、ウィンディは突然ゴッドバードに話しかけてきた。
「そんな格好してるけど、リアルじゃ引きこもりなんだろ?」
「あ?」
「ほら、そうやって虚勢を張って強がって、僕は知ってるんだよ。君がどうしてそうなったのかも」
ウィンディがニヤッと笑う。
「テメェ、何を……」
「僕らを作った例の実験、あれって途中からデュエルで負けた時のペナルティが変わったんだよね。それぞれの一番怖いものの幻覚を見せるってやつに。確か君の場合は……」
ウィンディはわざとらしく首を捻って、考える素振りを見せる。
「そうだ思い出した!君はお友達から無視され続けるんだ!」
「っ……!」
──── みんな、どうして?
その頃の記憶が蘇る。
ゴッドバードこと風間啓が見せられたものは、同じ孤児院で過ごした友達から無視され続け、陰で悪口を言われたり、時にはみんなが自分を取り囲んで罵声を浴びせ続けるといった内容だった。
元々活発な性格ではなかったが、この経験が彼の人格を大きく歪めたのは間違いない。
「そもそも君、なんのために戦ってるの? 友達に頼まれたから。そいつは君を利用しているだけじゃないの?」
「黙れ……」
──── うざい
──── 啓と遊んでもつまんない
動悸がする。
「あれは本当に幻覚だった? 彼らが君のことをどう思ってるかなんて、分かんないよね? 本当は鬱陶しがられていたんじゃない?」
「黙れ」
──── キモいから、近寄らないで
──── あー話しかけてくんなよ
鼓動が激しくなる。記憶が、彼に罵声を浴びせる。
吐き気がするほどのストレスに、アバターだというのに胃の底から何かがせり上がってくる感覚がある。
「君は本当は誰からも必要とされていない」
「黙れっつってんだよぉっ!」
──── 大丈夫
怒りに任せて手札のカードを切りかけたところで、頭の中に声が響いた。
「これは……」