遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
草薙のキッチンカーにて、遊作と草薙はモニターに向き合って、とあるプログラムの構築に勤しんでいた。
「これが仁と融合した時の、ライトニングのプログラムか」
草薙は画面に表示されたそれを見て、感心したように呟く。
「デュエル中に、啓がデータを取ってくれたらしい。完璧ではないが」
「十分だ。これだけ分かれば仁とライトニングを分離するプログラムを作り出せる」
ライトニングの居場所が分かっても、無策で向かったところで前回と同じだ。
ならばと、啓に頼まれて彼らはライトニングを分離するプログラムを作成することになったのだ。
「必ず、 仁を取り戻そう」
「ああ」
二人は頷き合い、パソコンに向き合った。
◆
同刻、啓の家には尊と美海が集まっていた。
「啓、これは?」
美海が指差すモニターには、ソースコードが表示されている。ソースコードはところどころ文字化けを起こしており、
「ウィンディが消滅する寸前に、あいつのソースコードを取ったんだよ」
啓はウィンディの自爆プログラムを解除するために、データを解析していた。その時に取得できた部分にソースコードとして落としていたのだ。
「こ、これがソースコード」
尊には意味不明な文字列にしか見えないそれらは、ところどころが抜けていたり、文字化けを起こしていたりして、プログラムに詳しい美海でも読めたものではない。
「こんな虫食いみたいなコード、読めるんですか?」
「いや、読めない」
啓は首を振り、別のモニターに開発ツールを立ち上げる。
「け、けど、使われてる言語は分かるし、ある程度文法はあるから、復元は不可能じゃない、かも」
話していくうちに徐々に自信がなくなってきたのか、啓の声が小さくなっていく。
「クリスタルハートのカードからもデータが取れたから、それも併せればまあ、何とかなるかな」
「す、すごい」
感心する二人をよそに、啓はキーボードをたたき、何やら開発ツールの画面にコードを打ち込んでいく。
「と、とりあえず、まずはこの虫食いコードを解析するAIを作る」
「AI、って解析するために、わざわざAIを作るの?」
尊の疑問に対して、啓はため息を吐く。
「解析って言っても、基本は総当たりだ。そんなもん、人の手でやろうとすれば一生かかったってできやしない」
「そ、そうなんだ」
「尊は、AIと聞けば、それこそイグニスみたいな喋って動き回る奴らを想像するかもしれないけど、本来AI、人工知能っていうのは、与えられた命令に対して、最適な方法、最適な答えを自ら考えて導き出すプログラムのことだ。簡単なので言えば、モンテカルロ法、あれも先の手をシミュレートしてそこから最善手を導き出す……」
「啓、その辺で」
自分の得意分野で途端に饒舌になった啓を宥める。
見ると、尊の方はチンプンカンプンといった顔で、目を回している。
「ああ。ごめん」
啓はパソコンに向き直り、プログラムの構築を再開する。
「クリスタルハートのカードからデータも抜いてあるし、それを元に学習させれば、大体五日くらいで出来上がると思う」
「そんなに早く……」
「学校サボって五徹すればすぐだよ」
啓のそのセリフに、二人の表情が感心から呆れに変わった。
「あの、啓、あなた出席日数足りませんよね? このままだと留年ですよ?」
「……」
以前の啓なら、留年しても構わないと言いそうなところだったが、さすがに啓もみんなと一緒に進級したいのだろう。少し迷うような素振りを見せた。
「AIの構築なら私も手伝えますし、二人でやればすぐに……」
「いや、ソース管理面倒だから一人でやりたい」
美海はかわいらしく頬を膨らませて、不機嫌そうに顔をしかめた。
「え、えーっと、僕はよく分かんないけど、きっとみんなでやった方が……」
「素人は黙ってろ!」
見かねて助け舟を出した尊を一蹴する。
「そうやってここぞとばかりにマウントを取る様は見苦しいですよ」
「俺はこういう時しかこいつの優位に立てないんだよ!」
「何と戦ってるんですか?」
美海は呆れてため息を吐いた。
「大体な、複数人でソースを弄ったら、誰がどこ修正したのか分かんなくなるだろ」
「あらかじめルールを決めておけばいいでしょう。作業内容も修正対象のソース毎に分担すれば問題ないはずです」
「記述の微妙な差異で、結合した時……」
「最初に仕様を固めておけばいいじゃないですか。そもそも仕様も確定せずに見切り発車で作り始めることが────」
あれこれ言い合う二人、尊は完全に蚊帳の外となった。
(どうしよう、二人が何を言ってるのかさっぱり分からない)
「ていうか、美海に手伝ってもらうために余計なタスク増えたら、作業効率上がんないだろ」
「じゃあ人数を増やしましょうよ」
「誰に頼むんだよ。遊作と草薙さんは、分離プログラム作んないといけないから無理だぞ?」
「それこそお師匠さんに頼めばいいのでは?」
ブラッドシェパードの存在を思い出して提案するが、啓は右手を振って否定する。
「あいつ頑固だから、こういう時絶対に手伝ってくれないんだよ」
「なら、樹はどうですか? 啓は連絡取れるんですよね?」
「ハノイにあんまし情報を渡したくない。行方不明のAiのことだってあるし」
ハノイの騎士は、今も生き残った最後のイグニスであるAiのことを探している。そのハノイと積極的にコンタクトを取ることに、啓は反対だった。
「ですが、前回リボルバーは協力してくれましたよ?」
「それは利害の一致だろ。樹はまあ、説得の余地はあるかもしれないけど……」
それでも基本的にはリボルバー優先の樹に、リボルバーに黙って協力しろとは頼みづらい。
「他は……あ」
そこで啓は、思い出したように声を漏らした。
「どうしたんですか?」
「……一人いる。けどなー」
なぜか啓は嫌そうな顔をして、少し考え込むように唸る。
「……まあ。うん。頼んでみる」
啓のリアクションはよく分からなかったが、とりあえず協力者が一人見つかったようなので、美海は安堵した。
「ところで、啓はどうして自爆プログラムを調べようと?」
「ん……ああ。ちょっと気になることがあって」
そう言って、啓は画面上の虫食いコードの方へ視線を下ろした。
◆
翌日、遊作と啓が戻ってきたことで、デュエル部は活気が戻っていた。
「藤木、ようやく来たな」
島もなんだかんだ心配していたようで、どこか安心したような顔をして、遊作の肩をポンと叩いた。
「ねぇねぇ、藤木君はどーして学校休んでたの?」
すると、横から現れた切花が二人の間に割り込み、遊作の顔を覗き込む。
「それは……」
「夢乃さん、詮索はあまりよくありませんよ」
美海が彼女を諭したことで、切花は不満そうにしつつも、身を引いた。
「ねぇ、みんなで帰りに草薙さんのお店に寄っていかない?」
「いいですね。遊作と啓も復帰したことですし」
「ちょっとしたお祝いだね」
葵の提案に、美海と尊も乗る。
「大げさすぎだろ……」
「いいんじゃないのか?」
珍しく乗り気な遊作に、啓は少し意外そうな顔を見せた。
「例のプログラムは大丈夫なのか?」
「順調だ。お前こそ、ウィンディから取り出したコードの解析はできそうなのか?」
「解析用のAIを絶賛制作中、まあ解析できても、どの程度役立つかは分からないけど」
「そもそも、気になっていることってのは何なんだ?」
「あー、それはだな……」
「藤木、何の話だ?」
言いかけたところで、島が話に入ってきた。
「帰りに草薙さんの店に寄るって話だ。お前も来るか?」
「快気祝いだとよ」
啓が冗談めかして言うと、島はなんだかよく分からないという顔をしたが、ついてくることになった。
「夢乃さん」
すると、葵が教室の隅に移動していた切花の元へ歩く。
「ん?」
「あなたも、一緒に来ない?」
「え?」
葵に誘われて、切花は一瞬真顔になるが、すぐに元の張り付いた笑顔に戻る。
「財前さん、ボクのこと嫌いじゃなかったの~?」
「嫌いなわけないじゃない。友達でしょ」
何気ないその言葉に、切花は目を丸くした。
「どうしたの?」
「……ううん。なんでもないよ~」
切花は立ち上がって、スキップして彼女の横を通り過ぎる。
「ごめんね。ボクは今日用事あるから」
そう言って、切花は手を振って教室を出て行った。
◆
教室を出た切花は中庭の隅で花壇に八つ当たりするように何でも踏みつけていた。
「切花」
声をかけられたことで足を止め、切花はイライラした顔を隠さずに振り返る。
「な~んだ。響子先生か」
見知った顔に、切花はため息を吐く。
「……機嫌が悪いようだけど、何かあったの?」
「別に。君には関係ないでしょ」
ため口で吐き捨てるように言う。
普段であれば、形だけでも敬語を使っていたのだが、今日の切花の様子はとにかく何かに当たり散らしていないと気が済まないといった感じだ。
「で、何の用?」
「……リボルバー様が呼んでいるわ。闇のイグニスの居場所を掴んだ」
「へぇ、意外だね。まだボクを仲間扱いしてくれるんだぁ」
下卑た笑みを浮かべ、響子の顔を覗き込む。
「……私として、あなたにこれ以上、ハノイとして活動して欲しく────」
「は? 何勝手にボクに指図してんの?」
睨みつられると、響子は黙り込んでしまった。
「はぁ……まあいいや。ボクは忙しいから、闇のイグニスのことは任せるよ。ていうかもうどうでもいいし」
そう言って、切花は響子の横を通り過ぎて校門の方へと向かう。
すると、
「……っ!」
楽し気な話声が聞こえて、切花は立ち止まる。
彼女の視線の先、ちょうど一緒に下校する遊作達の姿があった。
「……楽しそうだね。君ら」
聞こえない距離から、遊作達に対して呟いた。
◆
その夜、LINK VRAINS内ではブルーエンジェルの
「トリックスターバンド
多くのファンの声援を受けて、ブルーエンジェルは華麗にフィニッシュした。
「みんなー!応援ありがとう!」
観客達に手を振りながらDボードを旋回させて、地上で待っていた美海の元へ駆け寄る。
「お疲れ様です」
Dボードを降りたブルーエンジェルを労う。
「ここ最近は絶好調ですね」
「えぇ。藤木くんも元気になったしね……」
そこで、ブルーエンジェルの顔が少し暗くなる。
「Aiも仁君も、まだ取り戻せてないのよね」
「……心配いりませんよ」
美海はブルーエンジェルの手を握り、微笑みかける。
「遊作も啓も、頑張ってくれています。葵様はご自分のデュエルに集中してください」
「……えぇ。そうね」
ブルーエンジェルの表情に光が戻り、Dボードに飛び乗る。
「それじゃあ、次の試合、行ってくるわ」
連戦で次の試合へ向かう主の背中を見送ると、美海はふと、視線を感じて振り返る。
「あれは……」
Dボードの上に仁王立ちして、彼女を見下ろしていたのは、美海のよく知る自分物だった。
ポンチョ型のハノイの騎士の制服を纏い、赤と紫が混ざり合ったようなショートヘアに中性的な顔立ちの少年。
「ジャックナイフ」
ジャックナイフはフッと笑い、美海に背を向けてDボードを走らせる。
まるでついて来いと言わんばかりの態度に、美海も自分のDボードを出現させ、彼を追うことにした。
しばらくDボードを走らせたところで、突如ジャックナイフは空中で急ブレーキをかけた。
「……こんな場所に誘い出して、何が目的ですか?」
ジャックナイフは振り返ると、ニヤッと笑う。
「別に。ただちょっと、君にちょっかいかけたくなっただけだよ」
彼はそう言ってデュエルディスクを構える。
「今私と戦って何の意味があるのですか?」
「意味なんてないよ。ボクはただ、ボクが気に入らないものをぶっ飛ばしたいだけだ」
「……仕方ない」
「「デュエル!」」
◆
美海とジャックナイフのデュエル、美海は先攻1ターン目でタイタニーニャを呼び出し、2体のリオ・プロトコロドンをシンクロ召喚した。
「リオ・プロトコロドンの効果で、このカードと同じ縦列すなわち、EXモンスターゾーンの効果は封じられる」
シンクロ・効果モンスター
星8/水属性/サイバース族/攻 2800/守 2000
水属性チューナー+チューナー以外のサイバース族モンスター1体以上
(1)このカードのS召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスター2体までを選んで手札に戻す。
(2)このカードが効果で隣のメインモンスターゾーンに移動する場合、かわりにリンクモンスターのリンク先となるメインモンスターゾーンに移動できる。
(3)1ターンに1度、発動できる。このカードを隣のメインモンスターゾーンに移動させる。この効果は相手ターンでも発動できる。
(4)このカードと同じ縦列の相手のモンスターゾーン及び魔法&罠ゾーンのカードの効果は無効化される。
「私はカードを2枚伏せてターンエンド」
ターン2
「それでボクの融合召喚を封じたつもり? 確かにオルトバイトの効果は使えないけど、それは同じ縦列にいればの話でしょ?」
ジャックナイフにはモンスターの位置を入れ換えるアニマイール・ポルターガイスト、さらに切り札の超融合もある。
これだけでは、ジャックナイフの手を封じたとは言えない。
「えぇ。ですから私はこれを使います」
美海の場に伏せられたカードのうち、1枚が開かれる。
「永続
「それは……」
「このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、お互い魔法カードは1度セットしなければ発動できず、セットした魔法カードは次の自分のターンが来るまで発動できない」
「メタカードか」
モンスターの位置関係が重要な美海のデッキは、ジャックナイフのデッキとは相性が悪い。
ポルターガイストと超融合を同時に封じられるこのカードはうってつけのカードだと、以前から目をつけていた。
「チッ……ボクはアニマイール・カラカライトを召喚」
三頭身の骨の怪人が飛び出す。
アニマイール・カラカライト
効果モンスター
星2/地属性/アンデット族/攻 500/守 500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、自分の手札・墓地からアンデット族モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。デッキから「アニマイール・カラカライト」1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターがフィールドに表側表示で存在する限り、自分は「アニマイール」モンスターしか特殊召喚できない。
(2) 自分フィールドのアンデット族モンスターを素材として、「アニマイール」リンクモンスターをリンク召喚する場合、墓地のこのカードをリンク素材としてデッキの下に置ける。リンク召喚後、ターン終了時まで、自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。
「ボクは手札1枚を捨てて、アニマイール・フレアソウルを特殊召喚」
どこからか火の粉が渦を巻きながら集まり、テニスボールくらいのサイズの人魂を形成した。
アニマイール・フレアソウル
効果モンスター
星1/炎属性/アンデッド族/攻 300/守 200
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分の手札からこのカード以外のアンデッド族モンスターを墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分はカードの効果以外で、モンスターを1度しか特殊召喚できない。
(2)自分フィールドのアンデッド族モンスターを「アニマイール」リンクモンスターのリンク素材とする場合、墓地のこのカードもリンク素材としてデッキの下に置ける。リンク召喚後、ターン終了時まで、自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。
「カラカライトの効果発動!手札か墓地からアンデット族が特殊召喚された時、デッキからもう1体のカラカライトを特殊召喚!」
カラカライトが手に持った骨を右に投げると、下から飛び出したカラカライトがその骨を掴みながら現れる。
「現れろ、ボクだけの
3体のモンスターがフィールド上に現れたアローヘッドへ飛び込む。
「リンク召喚!リンク3!アニマイール・ツインテールキャバイト!」
現れたのは、二又に分かれた尾を持つ黒猫で、その尾は縦に裂けるように口を開いている。
アニマイール・ツインテールキャバイト
リンク・効果モンスター
闇属性/アンデット族/攻 1800/LINK 3
【リンクマーカー:上/左下/右下】
「アニマイール」モンスターを含むアンデット族モンスター3体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のメインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールド及びこのカードのリンク先の相手のカードの中からアンデット族融合モンスターの融合素材となるモンスターを墓地へ送り、EXデッキからその融合モンスターを融合召喚する。このカードのリンク先のモンスターのみを素材として融合召喚されたモンスターは以下の効果を得る。
●このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し、墓地へ送った場合に発動できる。そのモンスターを攻撃力500アップの装備カード扱いでこのカードに装備する。
(2)自分の「アニマイール」リンクモンスターと同じ縦列の相手の魔法&罠ゾーンの表側表示のカードはこのカードのリンク先として扱う。
「リンクモンスターを出したところで、効果は使えませんよ」
「焦らないでよ。ボクはさらに、墓地の馬頭鬼の効果発動!このカードを墓地から除外し、カラカライトを特殊召喚!」
骨の怪人が蘇り、さらにその足元にアローヘッドが開く。
「現れろ!ボクだけの
カラカライトと墓地のフレアソウルとカラカライトがアローヘッドに吸い込まれる。
「リンク召喚!リンク3!アニマイール・ツインテールキャバイト!」
2体目の黒猫が現れ、ニャーと鳴き声を上げる。
「さぁ行くよぉ。ボクはメインモンスターゾーンのツインテールキャバイトの効果発動!手札・フィールド及びこのカードのリンク先の相手カードを素材に融合!ボクが融合素材にするのは、ツインテールキャバイトと君のフィールドの魔封じの芳香を融合!」
「なっ!」
魔封じの芳香はツインテールキャバイトのリンク先でもなければモンスターすらない。
「ツインテールキャバイトは、自分のアニマイールリンクモンスターと同じ縦列の表側表示の魔法・罠カードはこのカードのリンク先として扱う!そして、こいつの融合素材は罠カード!融合召喚!」
ジャックナイフのフィールドへ移動した魔封じの芳香に、ツインテールキャバイトの霊魂が吸い込まれ、その容器が膨張して破裂する。
「出でよ、レベル8!アニマイール・デスメル・ドーラ」
全身真っ黒のシルエットの巨大な女性の霊、長い髪を揺らめかせ、白い光でおぞましい形相を描いている。
アニマイール・デスメル・ドーラ
融合・効果モンスター
星8/闇属性/アンデット族/攻 2700/守 2400
「アニマイール」モンスター+アンデット族モンスターまたは永続罠カード
(1)このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、フィールドのアンデット族以外のモンスターは召喚・特殊召喚されたターンには攻撃できない。このカードが罠カードを融合素材としている場合、さらにフィールドのアンデット族以外のモンスターは召喚・特殊召喚されたターンには効果が無効となる。
(2)自分フィールドに「アンデットワールド」1枚と自分・相手の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。対象のフィールドのカードを裏側表示にし、対象の墓地のモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果で裏側表示となったカードは次の自分のターンまで発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。
(3)このカードの攻撃力は、「アニマイール」リンクモンスターの効果で装備したカードのレベルの数×200アップする。
「私はリオ・プロトコロドンの効果発動!このカードを隣に移動させる!」
リオ・プロトコロドンがデスメル・ドーラの正面に移動する。
「これでデスメル・ドーラの効果は無効です」
「でも、これで魔封じの芳香がなくなって、ボクは魔法カードを自由に使えるようになったよ。速攻魔法カード、イーティング・ワンを発動!」
イーティング·ワン
速攻魔法
このカードはルール上「アニマイール」カードとして扱う。
(1)自分の「アニマイール」融合モンスター1体と、相手フィールドの表側表示のモンスター1体を対象として発動できる。対象の相手モンスターを対象の自分のモンスターに装備カード扱いで装備する。この効果はルール上「アニマイール」リンクモンスターの効果として扱う。
「君のリオ・プロトコロドンをボクのアニマイール融合モンスターに装備する!」
カードから黒い大顎が伸びて、リオ・プロトコロドンを噛み喰らう。
「くっ……」
「これでタイタニーニャのリンク先からモンスターは消えた。バトルだ!ツインテールキャバイトで、タイタニーニャを攻撃!」
ツインテールキャバイトが二本の尻尾を伸ばして、タイタニーニャの体をかみ砕く。
美海:LP4000→3400
「デスメル・ドーラで、リオ・プロトコロドンを攻撃!デスメル・ドーラは装備したモンスターのレベルの数×200、攻撃力がアップする!」
デスメル・ドーラ:攻撃力2700→4300
「やれ!」
デスメル・ドーラが絶叫し、髪を伸ばすと、リオ・プロトコロドンの首を締め上げて破壊する。
美海:LP3400→1900
「ボクはカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン3
「私は魔法カード、
通常魔法
(1)自分の墓地の「オリジンブルー」リンクモンスター1体を対象として発動できる。そのカードをEXデッキに戻し、EXデッキから対象のモンスターと同名のリンクモンスター1体を特殊召喚する。
(2)墓地のこのカードを除外し、自分のバックログカウンター1つを取り除いて発動できる。自分の墓地から水属性モンスター1体を手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「墓地のタイタニーニャをエクストラデッキに戻し、エクストラデッキからタイタニーニャを特殊召喚!」
エクストラモンスターゾーンに、水が渦を巻き、タイタニーニャが蘇る。
「さらに
「させないよ!デスメル・ドーラの効果!」
デスメル・ドーラの足元から影が伸びて、シーライブラに絡みつく。
「アンデット族以外のモンスターは特殊召喚されたターンには攻撃できない。さらに罠カードを融合素材としている場合、その効果も無効となる」
「なら永続罠、
永続罠
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分フィールドの水属性モンスター1体を隣のメインモンスターゾーンに移動させて発動できる。墓地からレベル5以下の「オリジンブルー」モンスター1体を特殊召喚する。
(2)自分のバックログカウンター3つを取り除いて発動できる。デッキから「オリジンブルー」モンスター1体を手札に加える。
「シークラフトの効果で、シーライブラを移動させて、墓地からもう1体のシーライブラを特殊召喚。現れろ、未来を繋ぐサーキット!」
タイタニーニャを中心に、アローヘッドが展開され、そこへシーライブラが吸い込まれる。
「母なる海よ、巡る命よ。大いなる根源へと帰還せよ!リンク召喚!」
アローヘッドから水が渦を巻いてあふれ出る。
「現れろ、リンク4!
水の中から現れたのは、胸元にハート型のブローチをつけた
リンク・効果モンスター
水属性/サイバース族/攻 0/LINK 4
リンクモンスターを含む水属性モンスター2体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードがリンク召喚に成功した場合、墓地のリンク素材となった「原初海祈タイタニーニャ」1体を対象として発動できる。対象のモンスターの上に置かれていたバックログカウンターと同じ数のバックログカウンターをこのカードの上に置き、1個以上置かれたら、対象のモンスターと同じ効果を得る。
(2)自分のバックログカウンター1つを取り除き、墓地のサイバース族Sモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。
「タイタニーニャのバックログカウンターと効果はタイダヴェーラに引き継がれる。さらにフィールド魔法、
タイダヴェーラは、タイタニーニャの持つリンク先にモンスターがいる限り、相手の効果を受けない効果を引き継いでいるため、デスメル・ドーラの効果を受けない。
触手を伸ばして、虚空よりリオ・プロトコロドンを釣り上げた。
「タイダヴェーラの効果発動!リンク先のモンスターでシンクロ召喚を行う!」
「そうはいくか!ボクは速攻魔法!アニマイール・ポルターガイストを発動!」
アニマイール・ポルターガイスト
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードの発動に対して、相手はモンスター効果・魔法・罠カードを発動できない。
(1)以下の効果から1つを選択する。同一チェーン上に「アニマイール」リンクモンスターの効果がある場合、さらに、その効果以外の同一チェーン上の効果は全て無効になる。
●相手フィールドのモンスターを任意の数だけ対象にして発動できる。そのモンスターをそれぞれ別のメインモンスターゾーンに移動させる。
●相手のEXモンスターゾーンにモンスターが存在し、相手のメインモンスターゾーンにEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在する場合にそれら2体を対象として発動できる。そのモンスターの位置を入れ替える。
「シーライブラ2体の位置を、君の空いているメインモンスターゾーンへ移動させる!」
リンク先から移動したことで、タイダヴェーラの効果は不発。
シーライブラがチューナー化することも、シンクロ召喚を行うこともできなくなってしまった。
「さあ、これで君の手は尽きただろ? 大人しくターンエンドしろよ」
「……あなた、随分イライラしているようですが、何があったのですか?」
「は?」
突然尋ねられて、ジャックナイフは呆れたような声を返す。
「いつものような余裕が見えなかったので」
「……君がボクの何を知ってるって言うの?」
「何も知りませんよ。ただ、私の主はあなたのことを放っておけないそうなので、話くらいなら聞きますよ?」
その言葉に、さらに怒りを募らせる。
「知らないなら黙ってろよ!友達面すんじゃねぇ!」
怒鳴られても、美海は怯むことなく彼女を見つめる。
(やっぱり、彼のこの感情は、怒りだけじゃない)
「何もないならさっさとターンエンドしろ」
「誰が何もないなどと?」
「何?」
既にタイダヴェーラの効果は不発に終わっている。
彼女のデッキに純粋なチューナーは入っていないうえに、リンクモンスターもタイタニーニャのようなサポートカードのみ。
リオ・プロトコロドンは、デスメル・ドーラの効果で攻撃できず、効果も使えない。
「私はレベル4のシーライブラ2体で、オーバーレイネットワークを構築!」
「なっ!」
空にエックス字のパネルが現れ、そこへシーライブラが粒子となって吸い込まれる。
「時空さえ貫く牙で、未来へと航海せよ!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!
現れたのは、長い口に鋭い牙、その体躯の周りに時計の文字盤のような目盛りが刻まれたリングをまとうモンスターだった。
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/サイバース族/攻 2300/守 2000
レベル4のサイバース族モンスター×2
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として、このカードのX素材、または自分のバックログカウンター1つを取り除いて発動できる。そのモンスターを手札に戻す。自分フィールドまたは自分のXモンスターのX素材にリンクモンスターが存在する限り、このカードは相手ターンでも発動できる。
(2)このカード以外の自分のメインモンスターゾーンのモンスター1体を対象として発動できる。そのカードを空いている隣のメインモンスターゾーンに移動させるか、このカードの下に重ねてX素材とする。この効果は相手ターンでも発動できる。
「私はこれでターンエンド」
ターン4
「ボクはアニマイール・トリックランタンを召喚」
かぼちゃの頭を被った三頭身のお化けが現れる。
アニマイール・トリックランタン
効果モンスター
星3/光属性/アンデット族/攻 800/守 800
このカード名の(2)(3)の効果はいずれか1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキ・墓地から「アンデットワールド」、または「アニマイール・ポルターガイスト」1枚を手札に加える。
(2)自分フィールドのアンデット族モンスターを素材として、「アニマイール」リンクモンスターをリンク召喚する場合、墓地のこのカードをリンク素材としてデッキの下に置ける。この効果発動後、ターン終了時まで、自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。
(3)このカードが墓地に存在する場合、自分の手札・フィールドの「アニマイール」カード1枚を墓地に送って発動できる。このカードを墓地から手札に加える。
「効果でデッキからフィールド魔法、アンデットワールドを手札に加えて発動!」
辺りに黒い霧と死臭が立ち込める。
「トリックランタンでリンク召喚!アニマイール・フウロ!」
アローヘッドより現れたのは、紫の大きな瞳を怪しく光らせる、煙の翼を持ったフクロウだ。
アニマイール・フウロ
リンク・効果モンスター
光属性/アンデット族/攻 0/LINK1
【リンクマーカー:下】
リンクモンスター以外の「アニマイール」モンスター1体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードがリンク召喚に成功した場合、手札から「アニマイール」カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「アニマイール・ポルターガイスト」1枚を墓地に送る。自分のフィールドゾーンに「アンデットワールド」があれば、墓地に送るかわりに手札に加える。
(2)自分が融合召喚に成功したターンのエンドフェイズに、自分のフィールドゾーンに「アンデットワールド」があれば、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
「デッキからポルターガイストを手札に加える。そしてツインテールキャバイトの効果で、ボクは手札のフレアソウルと、ツインテールキャバイト自身を融合!融合召喚!アニマイール・バニシングファング!」
現れたのは、無数の魂が寄り集まった、紫炎の蛇だった。
アニマイール・バニシングファング
融合・効果モンスター
星7/闇属性/アンデット族/攻 2300/守 2000
アンデット族モンスター+リンクモンスター
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1) このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの表側表示モンスター全ての効果をターン終了時まで無効にする。この効果の発動に対して、相手はアンデッド族モンスターの効果を発動できない。
(2)このカードは、「アニマイール」リンクモンスターの効果で装備したモンスターのモンスター効果を得る。
(3)このカードが戦闘・相手の効果でフィールドから墓地の送られた場合、自分及び相手の墓地のアンデット族モンスターをそれぞれ1体ずつ除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
「続けて現れろ、ボクだけの
現れたのは、二つの頭を持つ犬、体は紫の炎のようなものでおおわれており、目は黒い革で隠されている。
アニマイール・オルトバイト
リンク・効果モンスター
闇属性/アンデット族/攻 2300/LINK3
【リンクマーカー:右上/左上/下】
「アニマイール」モンスターを含むアンデット族モンスター3体
このカードは自分のEXモンスターゾーンにのみ特殊召喚でき、このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のメインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールド及びこのカードのリンク先の相手モンスターの中から、アンデット族融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を融合召喚する。
(2)このカードのリンク先の自分・相手のモンスターを、それぞれ1体ずつを対象として発動できる。対象の相手モンスターを対象の自分のモンスターに装備カード扱いで装備する。装備モンスターは装備したカードの元々の攻撃力の半分、攻撃力がアップする。
「クロノエリミウスの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使うことで、相手の特殊召喚されたモンスター1体を手札に戻す!」
クロノエリミウスの周囲を回るオーバレイユニットが、その体に吸い込まれ、体から時計の針のエフェクトが現れる。
「オルトバイトを手札に!」
時計の針が回転すると、オルトバイトはまるで逆再生するようにアローヘッドに吸い込まれ、そのまま消滅してしまった。
「無駄なんだよ!ボクは速攻魔法、超融合を発動!君のリオ・プロトコロドンとクロノエリミウスを融合!融合召喚!アニマイール・バーサーカー!」
虚空から砕け錆びた鎧を着た、屍の戦士が這い出てきた。
アニマイール・バーサーカー
融合・効果モンスター
星6/闇属性/アンデット族/攻 2500/守 0
アンデット族モンスター×2
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手の守備表示モンスター1体を破壊する。そのモンスターがアンデット族なら、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
(2)このカードは、「アニマイール」リンクモンスターの効果で装備したモンスターのモンスター効果を得る。
(3)墓地のこのカード及び自分・相手の墓地のアンデッド族モンスター1体を除外して発動できる。自分の墓地から「アニマイール」融合モンスター1体を特殊召喚する。
「さらにデスメル・ドーラの効果発動!ボクのアンデットワールドを裏側表示にすることで、墓地からアンデット族モンスターを特殊召喚!蘇れ!バニシングファング!」
霧が晴れ、代わりにバニシングファングが闇の中から姿を現した。
「融合モンスター3体……」
「バニシングファングの効果で、このターン、君の表側表示のモンスターの効果は全て無効となる」
「その効果にチェーンして、タイダヴェーラの効果発動。バックログカウンター1つを使うことで、墓地からリオ・プロトコロドンを特殊召喚」
リオ・プロトコロドンを守備表示で壁として呼び出すが、デスメル・ドーラで効果は封じられている。
「悪あがきだね。バトルだ!やれ!」
3体の融合モンスターが美海に襲い掛かり、そのライフを奪い去った。
◆
その頃、デュエルを追えて戻ってきたブルーエンジェルは、美海の姿がないことに気付いてキョロキョロと辺りを見渡す。
「先にログアウトしたのかしら」
急用ができたのだとしても、美海なら一言くらい連絡を入れるはずだ。
心配になって、美海に音声通信を試みる。
「もしもーし」
しかし、通話に出てきたのは、美海の声ではなかった。
「あなたは……」
「ボクだよ。ジャックナイフ。覚えてるよね?」
「……美海はどうしたの?」
「彼女なら、ボクの傍で眠ってるよ。君もよく知ってるよね? 電脳ウイルス」
かつてハノイの騎士のファウストの手にかかり、ブルーエンジェル自身もそれで昏睡状態にさせられていた。
「何が目的なの?」
「さぁ」
すると、ブルーエンジェルの元に通知音が鳴る。
「今地図を送ったから、そこに一人で来てね。助けを呼ぶとか当然禁止」
「……分かったわ」