遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
それはあったかもしれない、あるいは起こるかもしれない未来の話。
デンシティに、人々の悲鳴が鳴り響く。
上空を埋め尽くすのは、AI搭載の無人兵器。それらが激しくぶつかり合い、戦いの余波が人々の日常を壊していく。
その光景を前に一人、Aiは立ち尽くしていた。
「こいつは……」
それは人間同士の意志を持ったAIを巡る戦争。
イグニスの存在を知った各国が、それを手に入れるために争い合っていた。
混沌とした戦況に、空より閃光が瞬く。
瞬間、無人兵器の内一機が爆裂した。
「あれは?」
見上げると、神の鉄槌の如く、光が次々と無人兵器目掛けて降り注ぐ。
「ライトニングか……」
それはライトニングが操る衛星兵器による攻撃だと、Aiはすぐに理解した。
◆
「ライトニングとの戦いが終わった後、俺がSOLからレポートを奪ったって話は知ってるな?」
プレイメーカーは頷く。
「七つ目のレポートには、イグニスが人間にどんな影響を与えるのか。そのシミュレート結果が事細かに書いてあった。イグニスを巡って、人間同士が争い、その果てにイグニスも人間を敵視し、人とAIの戦争になる」
「レポートにそう書かれていただけだろ。シミュレートが間違っている可能性だってある」
「ああ。だから俺はサイバース世界に戻った。誰もいないサイバース世界で、俺はシミュレートしたんだ。鴻上博士が一体どんな未来を見たのか。そのレポートと、今の俺達のデータを使ってな」
Aiは悲観したような顔で空を見上げる。
「シミュレートの世界で、俺は何度も見たんだ。デンシティが、お前達の町が壊れていく様子をな。未来を変えるために、俺はあらゆる可能性を試したが、どう足掻いても未来は変えられなかった」
「シミュレートがそれ通りになるとは限らない!それはただのデータだ!」
「そうは言うけどな。俺だってただのデータなんだぜ?」
「それは……」
プレイメーカーは口ごもる。
「俺達AIにとって、リアルなシミュレート現実そのものなんだ」
その言に、プレイメーカーは反論することができず、黙り込んでしまった。
「さぁ、デュエルを続けるぞ」
Aiのフィールドには、ダークナイト、ファイアフェニックス、ウォーターリヴァイアサン、アースゴーレム、ウィンドペガサス、ライトドラゴンと6体6属性の@イグニスターが揃っている。
対してプレイメーカーのフィールドには、サイバース・クロック・ドラゴンと、サイバース・クアンタム・ドラゴン。クロック・ドラゴンはこのターンの終わりまで攻撃力10500。クアンタム・ドラゴンも戦闘を行った相手モンスターを手札に戻す効果がある。
「俺のターン!」
「俺は相手ターン開始時に、墓地のリコーデット・アライブの効果発動!」
Aiがドローすると同時に、プレイメーカーのフィールドに罠カードが出現する。
「除外されているデコード・トーカーを特殊召喚する!」
次元の穴が開き、その奥からデコード・トーカーが帰還した。
「ここでデコード・トーカーを呼び戻したか」
「リンクモンスターがいることで、サイバース・クロック・ドラゴン、サイバース・クアンタム・ドラゴンの効果が適用される」
2体のモンスターには同じ効果があり、リンクモンスターがいる時、それぞれ自身以外を攻撃と効果の対象にできない。つまり、2体揃ったことで、Aiは攻撃と対象に取る効果が封じられた。
「さすが、抜かりないな。ならいくぜ!俺のとってきおきを見せてやる!俺は永続魔法、Ai-タイする魂を発動!」
Ai-タイする魂
永続魔法
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のメインフェイズに発動できる。リンク召喚を行う。この効果でリンク召喚されたモンスターはリンク素材となった属性が異なる攻撃力2300のサイバース族モンスターの数に応じて以下の効果を得る。
●1体以上:このカードのリンク召喚は無効化されない。
●2体以上:このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。相手のフィールドのカード1枚を選んてま破壊する。
●3体以上:このカードの攻撃力は、このカード以外の自分フィールドのカード1枚に付き、1000アップする。
●4体以上:このカード以外の自分フィールドのモンスターは攻撃対象にならない。
●5体以上:このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
●6体以上:自分のデッキからサイバース族モンスター1体を手札に加える。
「Ai-タイする魂の効果発動!リンク召喚を行う!現れろ、闇を導くサーキット!」
Aiは掌を天に掲げると、その手から黒い軌跡が駆け、上空にアローヘッドを出現させる。
「召喚条件は属性が異なるモンスター3体以上!俺は6体の@イグニスターをリンクマーカーにセット!」
「なに!?」
6体のモンスターが赤、青、緑、茶、黄、紫の光の螺旋となり、うねりながらアローヘッド外周に吸い込まれ、リンクマーカーを描く。
「六つの輝き、今一つとなる!熱血!」
下向きのリンクマーカーが赤く輝く。
「豪快!叡知!」
右向き、右下向きのリンクマーカーがそれぞれ青と茶色に煌めく。
「軽快!エレガント!」
左向き、左下向きのリンクマーカーが緑、黄に瞬く。
「そして、ウルトラスーパー!これで六つ!」
上向きのリンクマーカーが紫に光る。
同時に、アローヘッドより爆風が吹き荒れ、風の奥より一体のモンスターが降臨する。
「これが俺達の終着点!ジ・アライバル・サイバース@イグニスター!」
それは円形のパーツが複雑に組合わさった体、巨大な鎌を携えたヒト型のモンスターだ。
「リンク6のモンスターだと……」
「ジ・アライバル・サイバース@イグニスターの効果!素材となったモンスターの数×1000ポイントが元々の攻撃力となる!」
ジ・アライバル・サイバース@イグニスター
ATK?→6000
「そしてジ・アライバルは他のカードの効果を受けない。さらにAi-タイする魂の効果で、素材となった属性が異なる攻撃力2300のサイバース族の数に応じた効果を得る!リンク召喚時にデッキから2枚ドロー!さらにデッキからサイバース族を手札に加える!」
Aiの手札に一気に3枚ものカードが加わる。
「さらに自身以外の自分フィールドのカードの数×1000ポイント、攻撃力がアップする!」
現在、AiのフィールドにはAi-タイする魂、イグニスターAiランドの3枚がある。よってジ・アライバル・サイバース@イグニスターの攻撃力は8000まで上昇する。
「さらにさらに!相手フィールドのカード1枚を破壊する!デコード・トーカーには消えてもらうぜ!」
ジ・アライバルが鎌を振り上げると、デコード・トーカーの体にノイズが走る。
カコンッ
鎌の先を地面に突き立てると、デコード・トーカーの体はデータの破片へと砕けて消滅した。
「これで攻撃のロックは外れた。さらに俺はジ・アライバルの効果!フィールドのモンスター1体を対象に破壊する!サイバース・クロック・ドラゴンを破壊!」
続けてジ・アライバルが両手を広げ、その目が怪しく光る。
それに捉えられたサイバース・クロック・ドラゴンは絶叫しながら消滅した。
「破壊した後、このカードのリンク先に@イグニスタートークンを特殊召喚する。カードが増えたからさらに1000アップだ」
ジ・アライバル・サイバース@イグニスター
ATK8000→9000
「クロック・ドラゴンが破壊された時、デッキから魔法カード1枚を手札に加える」
「現れろ、闇を導くサーキット!来い!リングリボー!」
呼び出された@イグニスタートークンは直後にアローヘッドに飛び込み、リングリボーへと変換される。
「バトルだ!ジ・アライバルで、サイバース・クアンタム・ドラゴンを攻撃!」
ジ・アライバルが大鎌を振り上げて、クアンタムに接近する。
「ジ・アライバルはクアンタムのバウンス効果を受けない!これで終わりだ!」
「俺は墓地のアドラ・ブロッカーの効果発動!」
アドラ・ブロッカー
効果モンスター
星2/水属性/サイバース族/攻 300/守 1500
(1)自分のリンクモンスターのリンク先に、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に墓地のこのカードを除外し、フィールドのサイバース族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはこのターンに1度だけ戦闘では破壊されず、このターンそのモンスターのコントローラーが受ける戦闘ダメージは1度だけ0になる。
蛇がバリアを作り出して止める。
「俺はカードを2枚伏せてターンエンド。フィールドのカードが増えたことで、ジ・アライバルの攻撃力はさらにアップする!」
ジ・アライバル・サイバース@イグニスター
ATK9000→11000
ターン5
「俺は墓地のCYプロセッサー・ガールズの効果発動」
CYプロセッサー・ガールズ
チューナー・シンクロ・効果モンスター
星6/光属性/サイバース族/攻 2000/守 1000
サイバース族のチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードをS召喚する場合、自分の「バックアップ・セクレタリー」または「サイバース・マジガール」をチューナーとして扱える。
このカード名のカードは1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1)このカードはS素材としたモンスターによって以下の効果を得る。
●「バックアップ・セクレタリー」:このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。自分の墓地のサイバース族モンスター1体を選んで、手札に加える。この効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターはこのターン、召喚・特殊召喚できない。
●「サイバース・マジガール」:1ターンに1度、相手フィールドの攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分、このカード以外の自分フィールドのサイバース族モンスターの攻撃力をアップする。
(2)このカードが墓地に存在し、自分フィールドにS召喚されたチューナー以外のサイバース族のSモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを特殊召喚する。この効果発動後、ターン終了時まで、自分はサイバース族モンスターしか特殊召喚できない。
「サイバース・クアンタム・ドラゴンのレベルを1つ下げ、このカードを特殊召喚する!」
クアンタムの隣にスポットライトが当たり、二人組の少女がフィールドに戻ってくる。
「いくぞ!俺はレベル6となったサイバース・クアンタム・ドラゴンに、レベル6のCYプロセッサー・ガールズをチューニング!」
クアンタム・ドラゴンの周りを、CYプロセッサー・ガールズが飛び回り、二人と一体がデータへと分解される。
「未知なる力、空を穿つ!その翼は、未来へ翔る光となる!シンクロ召喚!」
データの粒子は12の輪へと再構築され、その中心を光が貫く。
「出でよ、レベル12!サイバース・リアクター・ドラゴン!」
サイバース・リアクター・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
星12/光属性/サイバース族/攻 4000/守 4000
Sモンスターのチューナー+チューナー以外のSモンスター1体以上
(1)自分・相手ターン中に、フィールドのこのカードを除外して発動できる。相手フィールドのカード1枚を選んで手札に戻す。このカードが除外されている限り、この効果で手札に戻したカード及びその同名カードを相手は召喚・特殊召喚・発動できず、その効果は無効になる。
(2)このカードの(1)の効果でこのカードが除外されたターンの次のスタンバイフェイズに発動する。除外されているこのカードを特殊召喚し、ターン終了時まで、以下の効果を適用する。
●このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
●このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、このカード以外の自分フィールドのカードは、相手の攻撃・効果の対象にならない。
「ここに来てクアンタムを進化させてきたか。けど、そいつの攻撃力じゃ、俺のジ・アライバルは超えられない。そして、Ai-タイする魂の効果で、ジ・アライバル以外は攻撃対象にできない」
「くっ……俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン6
「墓地のレインボーイ@イグニスターを除外して効果発動!」
レインボーイ@イグニスター
効果モンスター
星4/光属性/サイバース族/攻 1500/守 800
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果発動後、ターン終了時まで、自分はサイバース族モンスターしか特殊召喚できない。
(2)自分のEXデッキから攻撃力2300のサイバース族モンスター1体と手札の「@イグニスター」モンスターを公開して発動できる。このターンのエンドフェイズまで、公開した手札のカードを公開し続け、その属性を公開したEXデッキのカードと同じにする。
(3)自分のメインフェイズに、墓地のこのカードを除外して発動できる。手札からレベル4以下の「@イグニスター」モンスター1体を特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「このカードを除外し、手札からレベル4以下の@イグニスターを特殊召喚する。来い!アチチ」
フィールドに小さな火が灯り、炎の中から赤色のスライム状の生命体が顔を出した。
「アチチの効果でデッキからヒヤリを手札に。そしてアチチの効果を無効にし、手札からガッチリ@イグニスターを特殊召喚」
身の丈より大きな大盾を構えた1つ目の巨人が、ダークインファイトと隣に現れる。
「どうせスリーフェイト・バリアを伏せてるんだろうが俺のリングリボーで無効にできる。ジ・アライバルの効果発動!サイバース・リアクター・ドラゴンを破壊だ!」
ジ・アライバルが大鎌を振るうと、紫の光の刃がリアクターに向けて放たれる。
「サイバース・リアクター・ドラゴンの効果発動!このカードを除外し、相手フィールドのカード1枚を手札に戻す!俺はリングリボーを手札に!」
しかし、その攻撃はリアクターが消滅したことによって透かされ、同時にリングリボーも消滅した。
「そしてリアクターが除外されている間、手札に戻したカードと同名カードを召喚・特殊召喚・発動できず、効果も無効となる。これでリンク召喚して新たなリングリボーを呼ぶこともできない」
「だがこれでフィールドはがら空きだ。俺はさらにヒヤリ@イグニスターを特殊召喚。効果発動!アチチをリリースして、デッキからレベル5以上の@イグニスターを手札に加える。バトルだ!ジ・アライバルでダイレクトアタック!」
「
スリーフェイト・バリア
通常罠
(1)以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このターン、自分のモンスターは戦闘・効果で破壊されない。
●このターン、自分はダメージを受けない。
●このターン、自分のモンスター1体は1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘によって戦闘ダメージを受けるかわりに、その数値分、自分のライフを回復する。
(2)自分がダメージを受けた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。
「このターン、俺はダメージを受けない!」
「やっぱり持ってやがったか。俺はこれでターンエンド」
ターン7
「スタンバイフェイズに、自身の効果で除外されたリアクター・ドラゴンはフィールドに戻る」
空間が鏡のように割れて、その奥からリアクター・ドラゴンが現れる。
「そして特殊召喚後、効果を適用する。このターン、サイバース・リアクター・ドラゴンは2回攻撃でき、このカード以外の自分フィールドのモンスターは攻撃と効果の対象にならない」
「けど、リアクターにはジ・アライバルを突破できない。どうする気だ?」
「くっ……」
プレイメーカーは己の手札を確認する。
(駄目だ。俺のデッキのモンスターでは、ジ・アライバルを突破できない。どうすれば……)
絶望的な状況に、顔を歪ませるプレイメーカーに対してAiは苛立ったように口を開いた。
「どうした? お前はこんなもんじゃないだろ?」
その言葉は、まるでプレイメーカーへの、遊作へのエールのようにも受け取れる。ますますAiの真意が分からなくなり、プレイメーカーは頭を抱える。
(俺はどうすれば、俺にどうして欲しいんだ……Ai)
その時、不意に一陣の風が彼の頬を凪いだ。
「!?」
顔を上げると、いつの間にか周囲は白い空間に変わっており、目の前には見慣れたドラゴンの姿があった。
「ファイアウォール・ドラゴン!?」
ファイアウォールは雄叫びを上げて、プレイメーカーをジッと見つめる。
「俺達が最初に掴んだモンスター……か。お前は俺をいつも助けてくれたな」
プレイメーカーはファイアウォールに向けて手を伸ばす。
「もう一度、俺に力を貸してくれ」
ファイアウォールが静かに頷く。
すると、データストームが吹き、プレイメーカーとファイアウォールを飲み込んだ。
「!?」
そして目を開けると、先程デュエルしていた場所に戻っていた。
「どうした?」
「……俺は魔法カード、リンクコンバインを発動!」
リンクコンバイン
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1)自分の墓地の同じ種族のリンクモンスターを、リンクマーカーの合計が5になるようにEXデッキに戻して発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。その後、ドローしたカードを相手に見せ、それがEXデッキに戻したリンクモンスターと同じ種族のモンスターなら、さらに自分はデッキから1枚ドローする。
(2)このカードの(1)の効果を発動したターンの自分のメインフェイズに自分がリンク召喚を行う場合、このカードを除外して発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
「墓地のリンクモンスターをリンクマーカーの合計が5になるようにEXデッキに戻し、1枚ドローする。そして、それを相手に見せる」
見せたカードはファイアウォール・ディフェンサー、サイバース族のモンスターだ。
「戻したリンクモンスターと同じ種族のモンスターだったのでさらに1枚ドローだ!サイバース・リアクター・ドラゴンの効果発動!自身を除外して、ヒヤリを手札に戻す」
リアクター・ドラゴンと共にヒヤリ@イグニスターが消えて、場のカードが減ったことでジ・アライバルの攻撃力は11000に下がる。
「墓地のサイバネット・リチューアルの効果発動!墓地のこのカードとサイバース・マジシャンを除外して、トークン2体を特殊召喚!現れろ、未来を導くサーキット!」
2つのトークンがアローヘッドに吸い込まれる。
「リンク召喚!プロキシー・F・マジシャン!」
アローヘッドからマントを靡かせ、赤い装甲をまとった電脳の魔術師が現れた。
「さらにファイアウォール・ディフェンサーを通常召喚。現れろ、未来を導くサーキット!」
ファイアウォール・ディフェンサーがアローヘッドに吸い込まれ、右向きのリンクマーカーを描く。
「リンク召喚!リンク1、ネオリンクリボー!」
アローヘッドより、丸い体に短い足、前面のモニターに顔が浮かび上がったモンスターが出現した。
ネオリンクリボー
リンク・効果モンスター
闇属性/サイバース族/攻 400
【リンクマーカー:右】
通常召喚されたサイバース族モンスター1体
このカード名の(3)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1)自分のサイバース族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにフィールドのこのカードをリリースできる。
(2)このカードを素材としてリンク召喚されたサイバース族リンクモンスターが攻撃して戦闘を行う場合、ダメージ計算時のみ、そのモンスターの攻撃力は、そのモンスターのリンクマーカーの数×100アップする。
(3)自分が通常召喚できない「ファイアウォール」モンスター、またはリンク3以上の「コード・トーカー」モンスターの特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
「リンク素材となったファイアウォール・ディフェンサーの効果発動!デッキからファイアウォール・ファントムを特殊召喚。プロキシー・F・マジシャンの効果発動!フィールドのモンスターで融合する!俺はプロキシー・F・マジシャンとネオリンクリボーを融合!」
プロキシー・F・マジシャンが杖を回すと、その軌跡に合わせて赤と青の光が広がり、ネオリンクリボーと共にその中に吸い込まれる。
「融合召喚!現れろ、サイバース・ディセーブルム!」
光の渦より出でたのは、機械の体、強靭な両腕で這うサイバースのドラゴンだった。
「サイバース・ディセーブルムの効果発動!手札からサイバース族モンスター、リンクスレイヤーを特殊召喚」
ディセーブルムの後ろに、ヤマネコを象った黄色い鎧をまとった騎士が現れる。
「そしてこのカードのレベルを、リンクスレイヤーと同じにする。俺はレベル5となったディセーブルムと、リンクスレイヤー、ファイアウォール・ファントムの3体でオーバーレイネットワークを構築!」
三体のモンスターが赤と青の光の帯となって絡まり合いながら天に現れたエックス字のパネルへと吸い込まれる。
「万象を砕く竜の牙よ、新たなる風をまといて顕現せよ!」
光が爆ぜ、竜巻がフィールドに起こる。
「エクシーズ召喚!現れろ、ランク5!ファイアウォール・
竜巻を振り払い、現れたのは紫の光を放つ二対の翼を広げるドラゴンだった。
ファイアウォール・
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/サイバース族/攻 3000/守 2500
レベル5のモンスター×3体
(1)このカードがX召喚に成功した場合に発動できる。墓地からリンク4のサイバース族リンクモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはフィールドを離れた場合、除外される。
(2)「ファイアウォール・X・ドラゴン」を素材としてX召喚されたこのカードは以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのX素材1つを取り除き、フィールドのリンクモンスター1体を対象として発動できる。このターン、このカードの攻撃力は対象のモンスターのリンクマーカーの数×500アップする。その後、対象のモンスターを破壊できる。このターン、自分は直接攻撃できない。
●1ターンに1度、このカードのX素材1つを取り除き、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。
「エクサクロス、ランクアップを使わずに直接呼び出しやがったか。けど、エクシードを素材にしてなきゃ、そいつの効果はほとんど使えないはずだ」
「だがエクサクロスにはその効果の他にもう1つ、エクシーズ召喚成功時に、墓地のリンク4のサイバース族を特殊召喚する効果がある。甦れ、ファイアウォール・ドラゴン!」
エクサクロスの雄叫びを受けて、虚空よりファイアウォール・ドラゴンが再び現れた。
「さらに!墓地のネオリンクリボーの効果発動!通常召喚できないファイアウォールかコード・トーカーが特殊召喚された時、墓地のこのカードを特殊召喚!」
ファイアウォール・ドラゴンの真横に、ネオリンクリボーが並び立つ。
「ファイアウォール・ドラゴンの効果発動!相互リンク状態のカード1枚に付き、フィールド・墓地のカードを手札に戻す!ガッチリ@イグニスターを手札に!エマージェンシー・エスケープ!」
翼に集まったエネルギーを放出し、ガッチリ@イグニスターを吹き飛ばす。
「これでジ・アライバルの攻撃力はさらに下がる」
ジ・アライバル・サイバース@イグニスター
ATK11000→10000
「それで?そいつらじゃまだ俺のジ・アライバルは超えられない」
「まだ終わりじゃない!現れろ、未来を導くサーキット!」
プレイメーカーが天に手を伸ばす。
その先へ光が翔て、空で弾けた光の中からアローヘッドが現れる。
「アローヘッド確認!召喚条件は効果モンスター3体以上!俺はファイアウォール・XX・ドラゴン、ネオリンクリボー、そしてリンク4のファイアウォール・ドラゴンをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!」
三体のモンスターが光の螺旋となってアローヘッド外周に吸い込まれる。そこに描かれたリンクマーカーは、上三方向、左右、下向きの計六つ。
「世界を守護する力の壁よ!まだ見ぬ領域に到達せよ!リンク召喚!」
アローヘッドより爆風が吹き荒れ、風の中から一体のドラゴンが現れる。
「リンク6!ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ!」
白き機械の巨体を支える一対の翼、ファイアウォール・ドラゴンが進化したその姿に、Aiは思わず驚嘆の笑みを溢した。
「リンク6、土壇場で到達しやがったのか」
「これが俺達が最初に掴んだリンクモンスター、その究極の姿だ」
「ふっ、だがそいつの攻撃力はたったの3500、ジ・アライバルの攻撃力はまだ10000もある。手札も尽きた状態でどう巻き返す?」
「ああ。見せてやる!ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティの効果発動!自分のフィールド・墓地のリンク以外の召喚法の種類の数だけ、相手フィールドと墓地のカードを手札に戻す。俺の墓地には儀式のサイバース・マジシャンガール、融合のサイバース・クロック・ドラゴン、シンクロのサイバース・クアンタム・ドラゴン、エクシーズのファイアウォール・XX・ドラゴンがいる」
ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティの後ろに、4体のモンスターの幻影が現れる。
それらはファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティに力を注ぎ込み、それを受けて、シンギュラリティの翼が広がり、金色のエネルギーをまとう。
「お前の4枚のフィールドのカードを手札に戻す!カルマウルティバースト!」
シンギュラリティの翼からエネルギーが放たれ、ジ・アライバル以外のAiのフィールドのカードが全て手札に戻される。
ジ・アライバル・サイバース@イグニスター
ATK10000→6000
「そして戻したカード1枚に付き、自身の攻撃力を500アップする!」
ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ
ATK3500→5500
「バトルだ!ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティで、ジ・アライバルを攻撃!」
ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティが翼を羽ばたかせ、ジ・アライバルへ迫る。
「この瞬間!リンク素材となったネオリンクリボーの効果発動!自身をリンク素材としたリンクモンスターが戦闘を行う場合、ダメージ計算時のみそのリンクマーカーの数×100ポイント、攻撃力をアップする!」
ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ
ATK:5500→6100
「行け!ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ!ウルティマテンペスト!」
ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティが口を開き、大出力の爆風をジ・アライバルに向けて放つ。
「俺は手札のバッチリ@イグニスターの効果発動!」
バッチリ@イグニスター
星6/炎属性/サイバース族/攻 2200/守 800
(1)自分の「@イグニスター」モンスターが戦闘を行うダメージ計算時、手札のこのカードと「@イグニスター」モンスターか「Ai」魔法・罠カード1枚を捨てて発動できる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージを0にし、墓地のサイバース族モンスター1体を特殊召喚する。その後、戦闘を行った自分・相手モンスター1体をダメージステップ終了時に破壊する。
(2)墓地のこのカードとリンク6のサイバース族リンクモンスターを除外し、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。
「俺への戦闘ダメージを0にし、墓地からダークナイト@イグニスターを特殊召喚!」
ダークナイトが翼を広げ、空より降りてくる。
「そして戦闘した相手モンスターをダメージステップ終了時に破壊する!」
「墓地のファイアウォール・ディフェンサーの効果!自身を除外することで、破壊を無効にする!」
バッチリによる破壊は不発に終わり、ジ・アライバルはシンギュラリティの放った暴風に飲み込まれて破壊された。
「なら墓地のバッチリ@イグニスターの効果発動!このカードと墓地のリンク6のモンスターを除外することでモンスター1体を破壊する!」
倒されたジ・アライバルの亡霊が、炎の弾丸となってシンギュラリティに特攻。爆風を巻き起こし、シンギュラリティを道連れにした。
「これでモンスターを従えてるのは俺だけ……ん?」
だが、煙が晴れると、プレイメーカーのフィールドには一体のモンスターが立っていた。
「俺はシンギュラリティの効果を発動していた。リンク先のモンスター、すなわちジ・アライバルが戦闘で破壊されたか、墓地へ送られた時、墓地のサイバース族モンスターを特殊召喚できる」
「デコード・トーカーか……」
それは二人が初めて共に戦ったデュエルで、最初に召喚したリンクモンスターだった。
「ようやく思い出した。俺はサイバースのデッキを、このカードを知っていた。10年前の実験で、俺が使っていたのは、お前の渡してくれたこのモンスター達だった」
「ああ。俺達イグニスには、それぞれサイバースを生み出す力がある。お前達が実験で使っていたのは、お前達のリンクセンスと俺達生まれたてのイグニスが互いに共鳴して生まれたカードだ」
「……あの時から、お前に守られていたんだな」
プレイメーカーは自分の掌を見つめる。
「なあAi、俺達を励ましてくれたあの声は、お前なのか?」
「……いや、それは俺じゃない。まあ予想はついてるけどな」
「どういうことだ」
「デュエルを続けろ。お前は俺を倒さなくちゃならない。余計なことに気をとられるな」
「……バトルだ。デコード・トーカーで、ダークナイト@イグニスターを攻撃!」
デコード・トーカーとダークナイト、二人の電脳の騎士が、剣を交えてぶつかり合う。
その攻撃力は互角、拮抗する鍔迫り合いで、先に仕掛けたのはAiの方だ。
「俺は墓地のAi-ルビーバックの効果発動!」
Ai-ルビーバック
通常罠
(1)自分の「@イグニスター」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。相手フィールドのカード1枚を選んで破壊する。次の自分のスタンバイフェイズに、このカードの発動時に破壊されたモンスターを墓地から特殊召喚する。
(2)墓地のこのカードと手札1枚を除外して発動できる。墓地のカード及び除外されているカードの中から「Ai」魔法カード1枚を選んでセットする。この効果でセットされたカードはセットされたターンでも発動でき、フィールドを離れた場合、除外される。
「このカードと手札1枚を除外することで、墓地か除外されているカードの中から「Ai」魔法カード1枚をセットする。Ai打ちをセット。この効果でセットされたカードはセットされたターンでも発動できる!そして速攻魔法、Ai打ちを発動!これで戦闘破壊されたモンスターのコントローラーはその元々の攻撃力分のダメージを受ける!これで俺の勝ちだ!」
互いにダメージを受けるが、Aiのライフは3800残っており、対してプレイメーカーのライフは450。相打ちになれば決着はつく。
「忘れたか。俺がサイバネット・クロージャの効果で、除外されているカードを手札に加えている」
サイバネット・クロージャ
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1)デッキからカード1枚を選んで裏側表示で除外する。自分の攻撃力2300以上のサイバース族リンクモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、この効果で除外したカードを手札に加えるか、墓地に戻す。
「最初のターンに使ったカードか」
プレイメーカーは手札に残されたその最後の一枚をAiに見せる。
「俺は速攻魔法、パワーインテグレーションを発動」
パワーインテグレーション
速攻魔法
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できず、(2)の効果はデュエル中1度しか使用できない。
(1)自分の「コード・トーカー」リンクモンスターが戦闘を行うダメージ計算時に、自分の墓地のサイバース族リンクモンスター1体を対象として発動できる。自分の「コード・トーカー」モンスター1体の攻撃力を、ダメージ計算時のみ、そのモンスターのリンクマーカーの数×500アップする。
(2)自分の「デコード・トーカー」の特殊召喚に成功した場合に発動できる。墓地のこのカードを手札に加えるか、セットする。このターン、自分の「コード・トーカー」モンスターは相手モンスターの効果を受けない。この効果でセットされたこのカードはセットされたターンでも発動できる。
「墓地のサイバース族リンクモンスター1体を選び、そのリンクマーカーの数×500アップする!俺は墓地のファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティを選択!」
デコード・トーカーの背後に、ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティの幻影が浮かび、デコード・トーカーに力を与える。
デコード・トーカー:ATK2300→5300
「いくぞ!デコード・トーカー!」
デコード・トーカーが大剣を天にかざすと、ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティの幻影が竜巻となって剣を覆う。
「デコード・テンペスト・エンド!」
その一太刀は大気を割り、ダークナイト@イグニスターを真っ二つに切り裂く。
Ai:LP3800→800
「そして、Ai打ちの効果でダークナイトの攻撃力分のダメージを受ける!これで終わりだ!」
◆
デュエルが終わると、Aiは満足気にプレイメーカーを見つめる。
「これで、AI兵器は止めるんだな?」
「ああ約束通りな」
Aiはデュエルディスクを操作して、AI兵器を全て停止させた。
「そして、これでお別れだな」
すると、Aiの体にノイズが走り、その像が歪む。
「な!? どういうことだ!?」
「不霊夢達が消えたのを見ただろ? 俺達の中には自爆プログラムが組み込まれている。それはデュエルに負けると作動する」
Aiが自分の手を見る。
「Ai、まさかこうなることが分かって……」
「俺はここで消える。集めた鴻上レポートと一緒にな」
Aiは右掌の上に、七つのデータファイルを見せる。
「これでイグニスは消え、二度と生まれることはない」
「お前……」
Aiは一歩ずつ後ろに下がり、崖の際まで来る。
「最期に、俺からのアドバイスだ」
Aiは右手を握ってデータファイルを消し、代わりに一枚のカードを出現させる。
「自分の直感を信じろ」
そのカードをプレイメーカーに投げて、Aiは崖から飛び降りた。
「Ai!!」
崖の底に沈む前に、Aiの体はバラバラに砕けて消滅した。
◆
翌日、遊作は学校を休んでいた。
皆が心配して、彼と連絡を取ろうとするが、結局連絡がつかず、彼が学校にやって来たのはその翌日だった。
「藤木くん、その……」
一日ぶりに登校した遊作を、葵は心配そうに見つめる。
「財前」
しかし、遊作は落ち込んでいる様子はなく、むしろ何か強い決意がこもった目で彼女を見る。
「放課後、少し付き合ってくれるか?」
「へ?」
そうして放課後、葵が空き教室にやって来ると、彼女以外にも、尊、美海、啓、いつものメンバーが集まっていた。
「遊作、大丈夫なんですか?」
「俺のことはいい。それよりも、これを見てくれ」
遊作はデュエルディスクを操作して、みんなのデュエルディスクにデータを送信する。
「これ……鴻上レポートじゃねぇか!」
それはAiと共に消えたはずの鴻上レポートだった。
「Aiがバレないように俺に渡してくれたんだ。このカードに変換してな」
遊作がデュエルディスクから取り出した一枚のカードを見せる。
「ジ・アライバル……」
「俺は昨日丸一日使って、このカードを解析した。そうしたら、このレポートの存在が分かったんだ」
「ですが、何故今さらそんなこと……」
「Aiの最期の言葉を信じただけだ」
────自分の直感を信じろ
「みんなを集めたのはこれだけのためじゃない。俺達はもう一度考えるべきだ。10年前の本当の真実について」
そして始まる、答え合わせの時間が。