遊戯王VRAINS Re:Construction 作:師走F
ゴッドバードがスペクターとデュエルしている間、プレイメーカーとリボルバーも、スピードデュエルを始めていた。
ターン1 リボルバー
「私のターン、私はフィールド魔法、リボルブート・セクターを発動。1ターンに1度、手札から「ヴァレット」モンスター2体を守備表示で特殊召喚できる。出でよ、アネスヴァレット・ドラゴン、メタルヴァレット・ドラゴン」
リボルブート・セクターの弾倉が回転し、二体のドラゴンが射出される。
「私はカードを1枚伏せてターンエンド」
ターン2 プレイメーカー
プレイメーカーはデコード・トーカーとそのリンク先にペンテスタッグを出してバトルフェイズに入る。
「デコード・トーカーで、アネスヴァレット・ドラゴンを攻撃!さらにペンテスタッグでメタルヴァレット・ドラゴンを攻撃!」
デコード・トーカーとペンテスタッグ、ペンテスタッグの効果で貫通効果を持っている。
二体のモンスターの攻撃が、リボルバーのモンスターを打ち砕き、さらにライフを削る。
リボルバー:ライフ4000→3200
「俺はこれでターンエンド」
「ではエンドフェイズに、破壊された二体のヴァレットモンスターの効果を発動」
「何?」
「弾丸の補充だ。ヴァレットモンスターは破壊されたターンのエンドフェイズに、デッキから自身と同名カード以外のヴァレットモンスターを特殊召喚できる。アネスヴァレット・ドラゴンの効果で、メタルヴァレット・ドラゴン、メタルヴァレット・ドラゴンの効果でマグナヴァレット・ドラゴンを特殊召喚!」
虚空から二発の弾丸が発射される。
弾丸が変形して、新たなドラゴンとなる。
ターン3
「現れろ!我が道を照らす未来回路!召喚条件はヴァレットモンスター2体!リンク召喚!ブースター・ドラゴン!」
アローヘッドより発射された弾丸が、ドラゴンに変形する。
「続けてリボルブート・セクターの効果。相手フィールドのモンスターが自分より多い場合、その差の数だけ墓地のヴァレットモンスターを特殊召喚」
リボルブート・セクターからアネスヴァレット・ドラゴンが発射される。
「さらにドラゴン族モンスターが特殊召喚されたことで、手札のノクトヴィジョン・ドラゴンを特殊召喚できる。現れよ。我が道を照らす未来回路!」
コース上にアローヘッドが出現する。
「召喚条件は効果モンスター3体以上!私はノクトヴィジョン・ドラゴン、アネスヴァレット・ドラゴン、そしてリンク2のブースター・ドラゴンをリンクマーカーにセット!」
アローヘッドに、3体のモンスターが光になって吸い込まれる。
「リンク召喚!閉ざされた世界を貫く我が新風!リンク4!ヴァレルロード・ドラゴン!」
現れたのは赤き竜。
銅にリボルバー式の弾倉、両腕を銃器で武装した巨大なドラゴンだった。
「リンク4!?」
「攻撃力3000かよ!」
「続けて私はセットされた速攻魔法、クイック・リボルブを発動!デッキからマグナヴァレット・ドラゴンを特殊召喚!そしてヴァレルロード・ドラゴンの効果発動!フィールドのモンスター1体を対象に、対象のモンスターの攻撃力を500ダウンさせる」
「こっちのモンスターの攻撃力を下げるつもりか」
「いや、私が選ぶのはマグナヴァレット・ドラゴン!」
マグナヴァレット・ドラゴンが弾丸となってヴァレルロード・ドラゴンの体の弾層に装填される。
「リンクモンスターの効果の対象となったことで、マグナヴァレット・ドラゴンの効果発動!このカードを破壊し、相手のモンスター1体を選んで墓地に送る!消えろ!ペンテスタッグ!」
ヴァレルロードの口から大砲が飛び出し、弾丸が発射される。
ペンテスタッグの体が撃ち抜かれ、破壊された。
「バトルだ!ヴァレルロード・ドラゴン!デコード・トーカーを攻撃!この瞬間、ヴァレルロード・ドラゴンの効果発動!」
ヴァレルロード・ドラゴンから赤い弾丸が発射される。それがデコード・トーカーの体に触れた途端、その像がノイズのように揺れて、消滅する。
「バトルした相手モンスターのコントロールを得る。我が軍門に下れ!デコード・トーカー!」
ヴァレルロード・ドラゴンの背後に、デコード・トーカーが出現した。
「デコード・トーカーが!」
「確かデコード・トーカーは、リンク先のモンスターの数×500、攻撃力がアップするのだったな。パワーインテグレーション!」
デコード・トーカーがヴァレルロードの力を得て、攻撃力が2800までアップする。
「バトルだ!デコード・トーカーでダイレクトアタック!」
プレイメーカー:4000→1200
「この効果でコントロールを得たモンスターはエンドフェイズに墓地に送られる。そして破壊されたマグナヴァレット・ドラゴンの効果で、デッキからアネスヴァレット・ドラゴンを特殊召喚。これで私はターンエンド」
ターン4
「攻撃力3000で、しかもあんな強力な効果まで持ってやがるとはな」
Aiはヴァレルロードを見つめて唸る。
「それだけじゃない。奴のフィールドにはさっきとは別のヴァレットモンスターがある」
「さっきみたいに、弾丸として飛ばしてくるだろうな。でもやるしかない」
「ああ。俺は装備魔法!コード・リコンパイルを発動!」
コード・リコンパイル
装備魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はサイバース族モンスターしか特殊召喚できない。
(1)ライフを500払い、自分の墓地の「コード・トーカー」モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールドを離れた時に装備モンスターは墓地に送られる。
(2)装備モンスターの効果は無効化され、攻撃力は0になる。
(3)装備モンスターをリンク召喚の素材にする時、このカードを装備モンスターと同じ種族・属性の通常モンスター1体分としてリンク召喚の素材にできる。
「ライフを500払うことで、墓地からデコード・トーカーを特殊召喚し、このカードを装備。そしてビットロンを通常召喚。現れろ!未来を導くサーキット!召喚条件は通常モンスター1体!リンク召喚!来いリンク1、リンク・スパイダー」
黒い電子の蜘蛛が姿を現す。
「さらに現れろ!未来を導くサーキット!召喚条件はモンスター2体以上!コード・リコンパイルは装備モンスターをリンク素材にする時、自身をモンスター扱いでリンク素材にできる!俺はコード・リコンパイルと、リンク3のデコード・トーカーをリンクマーカーにセット!」
アローヘッドより竜巻が吹き荒れる。
「唸れ嵐!虚構に渦巻く旋風は、万物を震わす竜の雄叫びとなる!リンク召喚!」
竜巻の中に光が灯る。
「リンク4!ファイアウォール・ドラゴン!」
プレイメーカーのエースモンスター、ファイアウォール・ドラゴンが竜巻より姿を現した。
「ファウストを倒した、サイバースのドラゴンか」
「リボルバー、ハノイの騎士の目的はなんだ?」
「人類のためだ。貴様が手にしたそのAIは、いずれ人類を滅ぼす」
「何?」
「我々はサイバースと、それを生み出したイグニスを殲滅する。どんな手を使ってでもな」
「……ファイアウォール・ドラゴンの効果!このカードと相互リンク状態のカードの数まで、フィールドのカードを手札に戻す!ヴァレルロード・ドラゴンを手札に!」
ファイアウォール・ドラゴンの背中にエネルギーが集まる。
「私はヴァレルロードの効果を、アネスヴァレットを対象に発動!攻撃力を500ダウンさせる。そしてアネスヴァレットの効果!」
ヴァレルロードの体に、アネスヴァレットが装填され、ヴァレルロードの口から大砲が飛び出す。
「相手モンスター1体の効果を無効にし、さらに攻撃もできない」
ファイアウォール・ドラゴンの放ったエネルギー弾を、ヴァレルロードの弾丸が打ち消し、さらにファイアウォール・ドラゴンの体に入り込み、その力を奪う。
「くっ……」
「まだだ。見ろ!プレイメーカー!」
Aiの視線の先には、エリア中央を吹き荒れるデータストームがあった。
「ゴッドバードが作り出したデータストーム!」
「あの大きさなら、きっと強力なモンスターが眠ってる。飛び込め!」
「ああ!」
Dボードを加速させ、データストームの中に飛び込む。
あまりの風速に、ボードから振り落とされそうになるも、どうにか踏ん張って、データストームに触れる。
「自分のライフが1000以下の時、データストームの中から、サイバース族モンスターをランダムにエクストラデッキに加える」
データストームより、巨大な気配を感じ取る。
それを掴むために、プレイメーカーは必死に手を伸ばす。
「ぐっ……あぁっ!」
しかし、その膨大なデータに耐え切れず、プレイメーカーはデータストームからはじき出されてしまった。
「どうやらストームアクセスは失敗のようだな。貴様にもう手は───」
その時、突然データストームが膨張する。
「なんだっ!?」
風はさらに加速して速度を上げ、デュエルする二人を飲み込まんとばかりに襲い掛かる。
「Ai!何が起こっている!?」
「データストームの中のモンスターが暴れてるんだ!ストームアクセスに失敗して、中途半端に目覚めさせちゃったから……」
そうこうしているうちに、データストームはどんどん膨張し、プレイメーカーとリボルバーのすぐそばまで迫る。
「チッ!勝負はお預けだ!」
リボルバーはログアウトする。
「待てリボルバー!」
「言ってる場合か!今は逃げるぞ!」
「くっ……」
プレイメーカーは急いでデュエルディスクを操作し、LINK VRAINSからログアウトした。
◆
翌日、学校に着くと、教室では昨日のリボルバーとプレイメーカーのデュエル、そしてデータストームから現れたサイバースカードの話題で持ちきりだった。
「島、お前はサイバースカードを手に入れたのか?」
「い、いや~、俺もLINK VRAINSには行ったんだけど、いいカードがなかったというか」
この様子では、未だにLINK VRAINSにログインすらしてないのだろう。
「ならこいつをやる」
すると、遊作は1枚のカードを取り出して、彼に手渡した。
「こ、これは……サイバース・マジシャン!」
「この前の礼だ」
「この前? 何の話だ?」
「なんでもない。それより、SOLテクノロジーについて、何か面白い話はないか?」
「ん? いや、強いて言うなら、昨日まで大量にいたドローンが大半引き上げられちまったってことくらいだな」
ドローン型の警備AIは、ログインしているユーザーのデッキ情報をスキャンしていた。
あれがもし、サイバースカードの持ち主、すなわちプレイメーカーを探していたのだとすれば、昨日サイバースがバラまかれたことで意味がなくなったのだろう。
おかげで遊作も動きやすくなったため、その点では結果的にゴッドバードに助けられた形になる。
「ということは、SOLはやはりイグニスを……」
電脳ウイルスを10年前に作り、イグニスについても知っている。
一度SOLテクノロジーについて、徹底的に調べる必要があるだろう。
「遊作」
すると、彼の元を、隣のクラスの美海が訪ねてきた。
「少し話があります」
彼女に呼び出されて、遊作は学校の屋上までやってきた。
「何の用だ? もうすぐ授業が……」
「あなたがプレイメーカー、ですよね」
「!!」
美海の発言に、遊作の顔が強張る。
「何故そう思う?」
「あなた風に言えば、理由は三つあります。一つ、プレイメーカーと同じ機種のデュエルディスクを付けている。二つ、プレイメーカーはこの学校の生徒である。三つ、プレイメーカーは10年前の事件の被害者である」
どうやら彼女はファウストの発言から、その事実にたどり着いたらしい。
「イグニスを渡してください」
美海は遊作に手を差し出す。
「お前は……いや、SOLテクノロジーはなぜイグニスを狙っている?」
「知る必要はありませんよ。あなたも、私も」
「……断る。俺にはやらなければならない事がある。一つ、10年前の事件の真相を突き止めること、二つ、仁を暗闇から救い出すこと、三つ、俺達を救ってくれたあいつに会うこと」
「あなたは、あんな声のことをまだ信じているんですか?」
二人は睨みあう。
すると、Aiが遊作のデュエルディスクの中から眼玉を飛び出させる。
「なあ、さっきからお前らの言ってる10年前の事件ってのは何なんだ?」
「……分かりました。あなたも知っておいた方がいいでしょう」
そして美海は話し始めた。
彼らにとっての、忌まわしい過去の出来事を。