遊戯王VRAINS Re:Construction   作:師走F

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第61話:Ambition

 鴻上聖、彼の予想外の登場に、その場にいた全員が固まっていた。

 

「どうした? 再会を喜ばないのか?」

 

 彼は手を広げて微笑を浮かべるが、喜べるはずもない。

 彼がこの場にいるということは、遊作達の仮説が正しいということが証明されたということなのだから。

 

「鴻上……」

 

 そんな中、ジャックナイフはゆっくりと彼に近付く。

 

「ようやく、ようやくだ。お前をこの手で殺せる!」

 

 ジャックナイフが手を空に掲げると、再び風が吹き上げる。

 

「ぐっ……」

 

 そのあまりの勢いに、鴻上以外の他の者達は、地面に踏ん張るのがやっとだ。

 

 そして、その風は彼女を中心に一つに集まっていき、巨大なデータストームへと変化した。

 

「死ねっ!」

 

 投球のようなモーションと共に、データストームが鴻上博士に向けて突撃する。

 

 しかし、彼が手をかざすだけで、データストームはかき消されてしまった。

 

「やれやれ。子供の世話にはいつも苦労するな」

 

 ジャックナイフは苛立ちのあまり、頭をかきむしって地団駄を踏む。

 

「先生」

 

 すると、美海がおぼろげな足取りで鴻上博士に近付く。

 

「その、嘘ですよね? 私達を騙してたって、だって、そんなの……私達、家族だったはずですよね?」

 

 震えた声で尋ねてる彼女に、鴻上博士はとぼけたように首をかしげる。

 

「美海、君はカエルを解剖したことはあるか?」

「へ?」

 

 突然、意味不明な話題を振られて、美海は

 

「理科の実験とかでやるだろう? 君はあのカエルに感情移入するか?」

「あ、あの……何を言って」

「それと同じだよ。私にとって君達は手術台の上のカエルだ」

「あ……あぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 父のように慕っていた鴻上博士の下衆な笑顔に、美海は発狂した。

 

「君達はよくやってくれたよ。私の意識データを変換したレポートをせっせと集めてくれたのだからな。これも全てシミュレート通り────」

「おい」

 

 鴻上の言葉を遮り、ジャックナイフはデュエルディスクを構える。

 

「血気盛んだな。まあいい」

 

 鴻上が左腕を胸の前で横に向けると、その腕にデュエルディスクが装着される。

 

「子供の戯れに付き合ってやろう」

 

「「デュエルディスク!」」

 

ターン1 ジャックナイフ

 

「ボクはアニマイール・トリックランタンを召喚」

 

 フィールドにオバケカボチャを被った三頭身の子供が現れた。

 

アニマイール・トリックランタン

効果モンスター

星3/光属性/アンデット族/攻 800/守 800

このカード名の(2)(3)の効果はいずれか1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキ・墓地から「アンデットワールド」、または「アニマイール・ポルターガイスト」1枚を手札に加える。

(2)自分フィールドのアンデット族モンスターを素材として、「アニマイール」リンクモンスターをリンク召喚する場合、墓地のこのカードをリンク素材としてデッキの下に置ける。リンク召喚後、ターン終了時まで、自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。

(3)このカードが墓地に存在する場合、自分の手札・フィールドの「アニマイール」カード1枚を墓地に送って発動できる。このカードを墓地から手札に加える。

 

「デッキからアンデットワールドを手札に加え、そのまま発動!」

 

 フィールドにどす黒い濃霧が立ち込める。

 

「現れろ、ボクだけの未来(みち)を拓く未来回路!リンク召喚!リンク1、アニマイール・フウロ!」 

 

 アローヘッドより現れたのは、紫の大きな瞳を怪しく光らせる、煙の翼を持ったフクロウだ。

 

アニマイール・フウロ

リンク・効果モンスター

光属性/アンデット族/攻 0/LINK1

【リンクマーカー:下】

リンクモンスター以外の「アニマイール」モンスター1体

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードがリンク召喚に成功した場合、手札から「アニマイール」カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「アニマイール・ポルターガイスト」1枚を墓地に送る。自分のフィールドゾーンに「アンデットワールド」があれば、墓地に送るかわりに手札に加える。

(2)自分が融合召喚に成功したターンのエンドフェイズに、自分のフィールドゾーンに「アンデットワールド」があれば、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「手札1枚を捨て、デッキからポルターガイストを手札に加える。さらに魔法カード。アニマイール・ベリアルを発動」

 

アニマイール・ベリアル

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1)手札1枚を捨てて発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地に送る。自分の墓地に「アニマイール」モンスターが4種類以上あれば、自分はデッキから1枚ドローする。

 

「デッキからアンデット族を墓地へ送る。さらに墓地にアニマイールが4種類以上ある時、1枚ドローする。そして、これでボクの墓地に4体のモンスターが揃った。現れろ、ボクだけの未来(みち)を拓く未来回路!」

 

 地の底から四つの霊魂が飛び出し、フウロと共にアローヘッドに飛び込んだ。

 

「地に潜み、竜すら呑む悪逆の(アギト)!リンク召喚!リンク5!アニマイール・ドラグバイト!」

 

 長い胴体でアローヘッドより這い出たのは、腐った龍の屍。

 裂けた巨大な大口を開けて、地の底まで響くような声で吠えた。

 

アニマイール・ドラグバイト

リンク・効果モンスター

闇属性/サイバース族/攻 3000/LINK 5

【リンクマーカー:左上/上/右上/左下/右下】

アンデット族モンスター3体以上

このカードはルール上、アンデット族としても扱う。

このカードをリンク召喚する場合、相手フィールドのリンクモンスター1体までもリンク素材にできる。

(1)このカードのリンク先の相手フィールドのモンスターが効果を発動した時に発動する。その効果を無効にする。

(2)1ターンに1度、自分のフィールド及びこのカードのリンク先の相手フィールドから「アニマイール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスターを可能な限りこのカードのリンク先に融合召喚する。その後、自分・相手の墓地のその融合素材としたモンスター好きな数選び、攻撃力1000アップの装備カード扱いで融合召喚したモンスターに装備できる。この効果は相手ターンでも発動できる。

(3)自分のエンドフェイズに発動できる。自分の墓地から「アニマイール・ポルターガイスト」または「超融合」1枚をセットする。

 

「ボクはカードを2枚を伏せてターンエンド」

 

ターン2 鴻上博士

 

「……そうだな」

 

 鴻上博士は数秒ほど、己の手札を睨んで考えるようなポーズを取る。

 

「私はこれでターンエンド」

「は?」

 

 その行動に、対戦相手であるジャックナイフはおろか、ギャラリーであるプレイメーカー達も唖然とした。

 

「お前、ふざけてんのか……?」

「言った通りだ。私はこれでターンエンドだ。さぁ、さっさと攻撃してこい」

 

 その挑発に、ジャックナイフは歯ぎしりをする。

 

「じゃあ望み通りぶっ殺してやるよ!ボクのターン!ボクは魔法カード、アニマイール・フュージョンを発動!」

 

アニマイール・フュージョン

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1)自分の手札・フィールドから「アニマイール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、そのモンスター1体を融合召喚する。自分のEXモンスターゾーンに「アニマイール」リンクモンスターが存在する場合、自分のデッキのモンスターも3体まで融合素材にできる。この効果を発動するターン、自分はアンデット族以外のモンスターの効果を発動できず、融合モンスター及び「アニマイール」リンクモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「デッキから融合素材モンスターを墓地へ送り、融合召喚する!融合召喚!出でよレベル7!アニマイール・デュアラブルハウンド!」

 

 現れたのはドロドロに腐った毛並み、双頭の片側は骨が露出した骸の猟犬だ。

 

アニマイール・デュアラブルハウンド

融合・効果モンスター

星7/闇属性/サイバース族/攻 2400/守 2000

「アニマイール」モンスター+アンデット族モンスター×2体

このカードはルール上、アンデット族としても扱う。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードの攻撃力は、お互いの墓地のアンデット族モンスターの数×100アップする。

(2)このカードは融合素材とした相手モンスターの数だけ、1度のバトルフェイズ中に追加でモンスターに攻撃できる。

(3)このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動できる。墓地・EXデッキからレベル6以下のアンデット族融合モンスター1体を特殊召喚する。

 

「さらにアニマイール・ガジェットを召喚!」

 

 黒い人の姿をした影を、機械で補強したような見た目のモンスターが現れた。

 

アニマイール・ガジェット

効果モンスター

星4/闇属性/アンデット族/攻 1400/守 300

このカード名の(4)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードが召喚に成功した場合、自分・相手の墓地のレベル3以下のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして、守備表示で特殊召喚する。

(2)自分のフィールドゾーンに「アンデットワールド」が存在しない場合、このカードは墓地へ送られる。

(3)このカードをリンク素材とする場合、リンク素材となるモンスター全てをサイバース族としても扱える。

(4)このカードがこのカードの効果以外でフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「アニマイール・トークン」(アンデット族・闇・星2・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

「その効果で、墓地からアニマイール・デッドザックを特殊召喚!」

 

 アニマイール・ガジェットが右腕についた長方形のデバイスからコードを地面に向けて伸ばす。すると、地面からナイフをニ本持った不気味な顔をした人形が吊り上げられた。

 

アニマイール・デッドザック

効果モンスター

星2/地属性/アンデット族/攻 500/守 100

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「アニマイール」モンスター1体を墓地に送る。

(2)自分フィールドのアンデット族モンスターを素材として、「アニマイール」リンクモンスターをリンク召喚する場合、墓地のこのカードをリンク素材としてデッキの下に置ける。リンク召喚後、ターン終了時まで、自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。

 

「デッキからアニマイールを墓地へ送る。ドラグバイトの効果発動!デッドザックとガジェットを融合!レベル6!アニマイール・バーサーカー!」

 

 

 地面から砕け錆びた鎧を着た、屍の戦士が這い出てきた。

 

アニマイール・バーサーカー

融合・効果モンスター

星6/闇属性/アンデット族/攻 2500/守 0

アンデット族モンスター×2

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手の守備表示モンスター1体を破壊する。そのモンスターがアンデット族なら、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2)このカードは、「アニマイール」リンクモンスターの効果で装備したモンスターのモンスター効果を得る。

(3)墓地のこのカード及び自分・相手の墓地のアンデッド族モンスター1体を除外して発動できる。自分の墓地から「アニマイール」融合モンスター1体を特殊召喚する。

 

「バトルだ!アニマイール・デュアラブルハウンドで攻撃!」

 

 デュアラブルハウンドが鴻上博士に噛み付こうと襲い掛かる。

 

「私は手札から発動」

 

 その瞬間、モンスターが全て光に飲まれて消える。

 

「なっ!?」

「特殊召喚。出でよ。極限電神ARAGAMI!」

 

 光の中から、出現したのは一基の塔。

 上部にはそれぞれ赤、青、緑、茶、黄、紫の六つの輪が浮いており、その両脇に六つの腕が浮かんでいる。

 

「なんだよこいつ……何でボクのターンに……」

「くくくっ……気は済んだか?」

「ぐっ、あぁぁぁぁっ!」

 

 ジャックナイフは苛立ちで頭をかきむしる。

 

「では、私のターンだな。ARAGAMIでダイレクトアタックだ」

 

 ARAGAMIの六つの腕を結ぶように六角形の紋章が展開される。

 

 紋章の頂点から6色の光がかけて、その中心で交わり、解き放たれる。七色の光が彼女を飲み込み、後方へ吹き飛ばした。

 

「がぁっ!」

 

 地面を転がり、ジャックナイフは伏して倒れた。

 

「さて、どうやらパーツが少し足りないらしい」

 

 鴻上博士は自身の右手を開いたり閉じたりして、その感覚を確かめる。

 そこで、何かを思い付いたように口元を歪めた。

 

「君のデータをいただこう」

 

 鴻上博士が手を伸ばす。

 その途端、ジャックナイフの体が赤く淡い光に包まれる。

 

「これは……」

「君はIGS-000のオリジンだったな。奴が余計なことをしたせいで、パーツが不足している。それを君に補ってもらうよ」

「ぐっ、あぁぁぁ……」

「ではな。切花くん」

 

 ジャックナイフの体に徐々にヒビが入り、その破片が砕けて、鴻上博士の方へ吸い込まれていく。

 

「鴻上ぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

 ガラスが砕けるような音と共に、ジャックナイフは消滅した。

 

「さて、これで後はライトニングだけだな」

「鴻上博士、あんたは何が目的なんだ!」

 

 プレイメーカーに問い詰められると、鴻上博士はため息をつく。

 

「この地球という星はいずれ限界がくる。増えすぎた人口、開発による環境の破壊。それを防ぐには、すぐれたAIが頂点に立ち、人間を支配する必要がある。そして」

 

 鴻上博士はニヤッと笑う。

 

「私こそが、それにふさわしい。私が究極のAI、すなわち神となるのだ」

「そんなことのために、あんたは夢乃や、俺達を……」

 

 プレイメーカーの瞳に、怒りが灯る。

 

「君達はこれまで、私が行ったシミュレート通りに動いてくれた。一部シミュレートになかった展開もあったが、まあ概ね問題ない。君達は私の言葉を信じてレポートを七つ集め、それに変換された私の意志を復元してくれた。そしてイグニス達を倒し、仕込まれたプログラムを起動させ、私の中に吸収させた」

「吸収、だと……」

「啓、君はあれを自爆プログラムだと思ったようだが、まだコードの読み方が甘いな。あのプログラムはレポートが5つ以上集まった時に起動する仕組みになっている。レポートが近くにある状態でデュエルに倒されると、そのデータを分解して私の中に吸収するのだ」

 

 鴻上博士の語った真実に、誰もが驚愕していた。

 

「さて、そろそろ行くとしようか。こんなところで時間を無駄にするわけにもいかないからな」

 

 鴻上博士が右手を上げると、その後ろに黒いゲートが開く。

 

「待て!」

 

 プレイメーカーは追いかけようとするが、鴻上はそのゲートの中に消えてしまった。

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