遊戯王VRAINS Re:Construction   作:師走F

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第70話:Circuits that lead to the future

 

 その頃、ブルーエンジェルはLINK VRAINS内で鴻上に操られた者達を正気に戻すため、デュエルを行っていた。

 

「ホーリーエンジェルでアタック!」

 

 次々と敵を打ち倒すが、暴徒の人数が多すぎて、彼女一人では対処しきれない。

 

「はぁはぁ……」

 

 疲弊し、膝をつく彼女のことなどお構いなしに、敵は次々と迫ってくる。

 その間に、塔から伸びる根が正気のアバターを取り込み、また洗脳して尖兵として嗾ける。

 

「このままじゃ……」

「剛鬼サンダー・オーガでアタック!」

 

 その時、雷鳴と共に、洗脳されたアバター数名が吹き飛ばされる。

 

「電影忍者ウラギリ!」

「閃刀姫カガリ!」

 

 驚く間もなく、見覚えのあるモンスター達が敵を蹴散らしていく。

 

「ブルーエンジェル、待たせたな」

「あなた達は……」

 

 そこにいたのは、Go鬼塚、ミネルヴァ、カゲロウ、LINK VRAINSのランキングデュエルで鎬を削り合うプロデュエリスト達だった。

 

「LINK VRAINSは俺達が守る」

「あなた一人に無理はさせません」

「くくくっ」

 

 三人の加勢により持ち直すものの、敵はそれよりも多く、四人係でも抑えるので手一杯だ。

 

 そこへ、

 

「っ……鬼塚!」

 

 カゲロウが叫ぶのとほぼ同時に、根がGo鬼塚の元へ加速しながら迫る。

 

「くっ……」

「幻刻龍アルスグラフ・ドラグェント」

 

 直後、白銀の龍が天よりかけて、根に激突する。

 

「ハハハハハッ!どうだ見たか!この僕、アーサーの力を!」

 

 その龍の使い手は、崩れかけたビルの屋上で高笑いする。

 騎士のようなプレートアーマーにマント、まるでファンタジーVRゲームから飛び出したようなアバターの少年だ。

 

「誰だあいつは?」

「アーサー……確かLINK VRAINSランキング90位台にそんな名前の人がいたような……」

 

 そんなやり取りなど気にも止めず、アーサーは満足気に自分の活躍を語る。

 

「ランキング1位のGo鬼塚を救った英雄、アーサー。これをSNSに投稿すればバズり間違いなし。デュアルモンスターの強さが世にしれ渡り、僕の評判もうなぎ登り……」

「おい!そんなとこにいつまでもいたら────」

 

 Go鬼塚が彼に注意を促したのも束の間、彼が立っていたビルの足場が崩れ去る。

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

 

 落下する彼に向けて、群がるように根が伸びる。

 

「儀式召喚、月下尾人(げっかびじん) 天日孤(あまひこ)!」

 

 その時、どこからか和服を着たキツネが飛び出し、彼を救出すると共に、指先から火を放ち、足元で蠢く根を焼き尽くす。

 

「全く。相変わらずの目立ちたがり屋さんですね」

 

 そのモンスターの使い手は狐面の少女だった。

 彼女は溜め息を吐き、召喚したモンスターを消してお姫様抱っこ状態のアーサーを地面に落とす。

 

「おい、もう少し丁寧に……」

「お疲れ様です。ミネルヴァ先輩」

 

 抗議するアーサーを無視して、少女はミネルヴァにお辞儀をする。

 

「ツクヨミ、あなたも来ていたのですね」

 

 見知った顔らしく、ミネルヴァも軽く会釈をする。

 

「こちらはツクヨミ、私と同じ事務所です」

「おいツクヨミ、さっきの動画に撮ってないだろうな。撮ってたとしてもネットにあげるなよ」

「あげませんよ。興味ありませんし」

 

 そんな二人のやり取りを他所に、ブルーエンジェルは敵に向き直る。

 

「これだけLINK VRAINSのランカーが集まれば、必ず食い止められるわ」

「おい、あれは何だ?」

 

 カゲロウが神の塔の方を指差す。

 塔の頂上には、ここからでもよく見えるほどの巨大なモンスターが出現していた。

 

「プレイメーカー達が戦っているのよ」

「そういうことか」

「手分けして倒すわよ」

 

 LINK VRAINSのヒーロー達が、押し寄せる暴走アバターに立ち向かう。

 

 ◆

 

 同刻、光の塔にて。

 

「現われろ。未来を描くサーキット!」

 

 仁が手を空へかざすと、その先に稲妻が駆け抜け、天上にアローヘッドを出現させる。

 

「リンク召喚!天装騎兵マグヌス・ドゥクス!」

 

 アローヘッドより手綱を引いて進軍するのは、象の座す黄金の鎧を纏うの重装兵だ。

 

「マグヌス・ドゥクスの効果発動!」

 

 象が嘶く。

 その瞬間、鴻上の場のモンスター4体が手札に戻される。

 

「これで終わりだ!」

 

 マグヌス・ドゥクスの突撃で、鴻上分身のライフをアバターごと吹き飛ばした。

 

「ふぅ……」

 

 デュエルが終わり、一息を吐いたのも束の間、突如眩い光が空に広がる。

 

「なんだ?」

 

 それはプレイメーカーのいる神の塔の方から放たれており、その中心には巨大な蛇のような下半身を持つモンスターがいる。

 

「遊作兄ちゃん……」

 

 ◆

 

 神の塔の頂上にて、

 現れた巨大なモンスターを前に、さしものプレイメーカーもたじろいでいた。

 

 

「これが、あんたの本当のエースモンスターか」

「エースモンスター? そんなちゃちなものではない」

 

 鴻上がその手を広げると、その体は光に包まれ、彼の背後にいるKOUGAMIに吸い込まれる。

 

「「コレ ハ ワタシ自身、ワタシ コソガ"神"ダ!」」

 

 鴻上改めKOUGAMIは咆哮する。

 

「ワタシ ノ 効果発動!」

 

 

極幻電脳神KOUGAMI

リンク・効果モンスター

神属性/サイバース族/攻 ?/LINK 8

リンクモンスター8体

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカード及び除外状態のリンクモンスターは他のカードの効果を受けず、「電脳神創生(ジェネレート・オブ・サイバーロード)」の効果で特殊召喚されたこのカードの攻撃力は10000アップし、相手はこのカード以外のモンスターを攻撃できない。

(2)自分の除外状態のリンクモンスター1体を対象として発動できる。自分は対象のモンスターの元々の攻撃力分LPを回復し、その数値分、このカードの攻撃力をアップする。その後、相手フィールドの表側表示のカード全てを墓地へ送り、対象のカードを裏側表示にする。

(3)このデュエル中に、このカード名の(2)の効果で炎・水・風・地・光・闇のモンスターを1体ずつ対象にしている場合に発動できる。自分はデュエルに勝利する。

 

 

電脳神創生(ジェネレート・オブ・サイバーロード)ノ効果デ特殊召喚サレタワタシハ、攻撃力ヲ10000アップスル!」

 

 極幻電脳神KOUGAMI:ATK?→100000

 

「サラニ効果発動!」

 

 今度はその背後にダークナイト@イグニスターの幻影が現れる。

 

「ダークナイトノ攻撃力ヲ吸収シ、ライフト攻撃力二変換スル!」

 

 KOUGAMIの6つある目の内一つに紫の光が灯る。

 

 鴻上:LP9500→11800

 KOUGAMI:ATK10000→12300

 

「サラニ、貴様ノ フィールド ノ 表側表示ノ カード ヲ墓地へ送ル!」

 

 KOUGAMIから七色の光が解き放たれ、プレイメーカーのフィールドのモンスターを全て消滅させる。

 

「くっ……」

「バトルダ!ダイレクトアタック!」

 

 再びの咆哮。

 七色の光線がプレイメーカーを襲う。

 

「俺は手札のロックアウト・ガードナーの効果発動!相手のダイレクトアタック宣言時にこのカードを特殊召喚!」

 

 プレイメーカーの前にモンスターが出現し、光線を受け止める。

 

「さらにこのターン、戦闘で破壊されない!」

 

 攻撃を受け切り、プレイメーカーへのダメージをゼロに抑えた。

 

「マダ コラエルカ……ワタシ ハ カード ヲ 一枚伏セテ ターンエンド」

 

ターン5

 

「俺のターン!」

 

 ドローしたカードを見て、プレイメーカーは苦い顔をする。

 

「ドウシタ?イイカード デモ引ケタカ?」

 

 KOUGAMIの挑発を無視して、プレイメーカーは思考する。

 

(駄目だ。今の手札で奴を突破することはできない。下手にモンスターを出しても消耗するだけだ。ここは……) 

「俺は裏守備表示でモンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 それを見て、KOUGAMIはニヤッと笑う。

 

「賢イ手ダ。ワタシ ノ 能力ハ "表側表示"ノ カード ニ シカ効果ガ ナイ。シカシ、ソレデ イツマデモ時間稼ギ ガ デキル ト 思ワナイ コトダ」

 

ターン6

 

「ワタシ ノ能力発動!」

 

 インヴァリット・ドルメンを吸収し、KOUGAMIの目にオレンジの光が灯る。

 

 鴻上:LP11800→14600

 KOUGAMI:ATK12300→15100

 

 

「イイ忘レテイタ ガ、コノ能力デ六属性スベテ ヲ 選択スレバ ソノ瞬間、デュエル ニ勝利スル」

「なんだとっ!?」

 

 KOUGAMIは現在、闇と地属性、二つの属性を吸収している。

 残り四属性。つまりこのまま攻撃を耐え続けても、このターンを含めて五ターンで敗北する。

 

「永続(トラップ)、"デイ・オブ・ニューワールド"ヲ発動。サラニ、ワタシ ハ スキル!マスタースキル ノ効果ニ ヨリ、LINK VRAINS内ノスベテ ノ スキルカラ"一刀両断"ヲ発動!」

「ミネルヴァのスキルか!?」

 

 全てのモンスターに貫通効果を与えるスキル。これにより、KOUGAMIは裏守備モンスターを貫通してそのままダメージを与えられる。

 

「セットモンスターヨ、消エ去レェッ!」

「俺は(トラップ)カード、スリーフェイト・バリアを発動!」

 

スリーフェイト・バリア

通常罠

(1) 以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このターン、自分のモンスターは戦闘・効果で破壊されない。

●このターン、自分はダメージを受けない。

●このターン、自分のモンスター1体は1度だけ戦闘で破壊されず、その戦闘によって戦闘ダメージを受けるかわりに、その数値分、自分のライフを回復する。

(2)自分がダメージを受けた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。

 

 KOUGAMIの光線がセットカードへ放たれる。

 現れたのは三角形の物体が三つ重なった飛行物体、トライアル・スリー。当然、KOUGAMIの攻撃を止められるほどの数値は持たないが、スリーフェイト・バリアが生み出した赤の防壁がドットスケーパーを守る。

 

「これで俺のモンスターは1度だけ戦闘で破壊されず、さらに受けるはずだった戦闘ダメージの数値分、俺のライフを回復する」

 

プレイメーカー:LP3500→3500

 

「何故だ!?」

「"デイ・オブ・ニューワールド"ノ効果ダ」

 

 

デイ・オブ・ニューワールド

永続罠

自分フィールドにリンク7以上のモンスターが存在する場合にこのカードを発動できる。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)相手はLPを回復する時、その数値は0となり、相手のモンスターの攻撃力は元々の攻撃力から変化しない。

(2)相手はEXデッキから融合・S・X・リンクモンスターを1ターンにそれぞれ1体ずつしか特殊召喚できない。

(3)相手が魔法カードを発動した時に発動できる。その効果を無効にして破壊する。

 

 

「君ハ ライフ ヲ回復デキナイ」

「くっ……だが、戦闘を行ったトライアル・スリーの効果発動!」

 

トライアル・スリー

リバース・効果モンスター

星3/風属性/攻 900/守 1300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードがリバースした場合に発動できる。デッキの上から3枚をめくり、その中から「トライアル・スリー」以外のサイバース族モンスター、「サイバネット」魔法カード、「サイバネット」罠カードを1枚ずつまで手札に加え、残りを裏側で除外する。この効果で3枚手札に加えた場合、さらに墓地のリンク3のリンクモンスター1体を特殊召喚できる。

(2)フィールド・墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「スリーフェイト・バリア」1枚をセットする。

 

 

「デッキの上から三枚をめくり、その中から三種類のカードを手札に加える」

 

 プレイメーカーがデッキからオープンしたのは、パラレルエクシード、サイバネット・ドロー、マイクロ・コーダー。

 

「俺はパラレルエクシードとサイバネット・ドローを手札に加える」

「ターンエンド」

 

 

ターン7

 

「魔法カード、サイバネット・ドローを発動!」

「"デイ・オブ・ニューワールド"ノ効果デ、無効ニスル!」

 

 起死回生のドロー魔法は、KOUGAMIの永続(トラップ)によって無惨にデータの塵と化す。

 

「だったら、裏守備表示でモンスターをセット。さらにトライアル・スリーの効果発動。このカードを除外し、デッキからスリーフェイト・バリアをセットする」

「ソレデェ?」

「……俺はこれで、ターンエンド」

 

 

ターン8

 

「ソロソロ飽キテキタナ。ワタシ ハ "マスタースキル"ノ効果ニヨリ、スキル、"エターナルロック"ヲ発動スル。カード名 ヲ 一つ宣言スル。手札一枚ヲ公開シ、公開シタ カード ト 宣言シタ カード ノ 効果ヲ、コノデュエル中、無効ニスル。ワタシ ガ 選ブノハ、"スリーフェイト・バリア"」

 

 プレイメーカーの伏せカードが黄金の鎖のようなもので封じ込まれる。

 

「ワタシ ノ 効果発動!」

 

 バハムートボマー、風属性の力を吸収し、ライフは17400、攻撃力は17900まで上昇する。

 その圧倒的力の前に、セットモンスターはなすすべもなく粉砕される。

 

「ターンエンド」

 

 続く第9ターンでも、プレイメーカーはセットモンスターと伏せカードだけでターンを終える。

 そして第10ターンを開始する。

 

「ワタシ ハ "マスタースキル"ニ ヨリ、スキル、"一刀両断"ヲ 発動スル」

 

 再び貫通効果を得たKOUGAMIがセットモンスターに狙いを定める。

 

「オット、ソノ前ニ」

 

 KOUGAMIは再び自身の効果を発動させ、アクア・アルゴノートを吸収して、ライフ19700、攻撃力20200となる。

 

「バトルダ、セットモンスター ヲ攻撃!」

 

 KOUGAMIの目から放たれる七色の光線。

 対するセットモンスターはドットスケーパー。守備力2100と、下級モンスターとしては高い数値を持つものの、既に攻撃力二万を超えるKOUGAMIを止めることはできない。

 

「手札のパネル・ガードナーの効果発動!」

 

 プレイメーカーの手札より、無数の正方形がモザイクのように合わさって出来たモンスターが現れる。

 

パネル・ガードナー

効果モンスター

星3/地属性/サイバース族/攻 1000/守 1400

(1)相手モンスターが攻撃して戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは半分になる。

(2)1ターンに1度、このカードは戦闘で破壊されない。

(3)このカードをリンク素材にしたサイバース族リンクモンスターは、1ターンに1度、戦闘で破壊されない。

 

「戦闘ダメージを半分にする!」

「悪足掻キヲ、防ゲンゾ!」

 

 光線はドットスケーパーを貫き、そのままプレイメーカーを襲う。

 

 激しい閃光と爆発に包まれる。

 

 だが、

 

「ン?」

 

 爆風の中でまだプレイメーカーは立っていた。

 

 プレイメーカー:LP3500→50

 

「俺は(トラップ)カード、サイバネット・リンクバリアを発動していた」

 

サイバネット・リンクバリア

通常罠

(1)以下の効果から1つを選んで発動できる。

●フィールドのリンクモンスター1体を対象として発動できる(ダメージステップでも発動可能)。このターン、自分が受ける戦闘ダメージをそのモンスターのリンクマーカーの数×700ダウンする。

●自分フィールドのリンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと相互リンク状態のカードの数だけ、相手フィールドの表側表示のカードの効果を無効にする。

 

「あんたのリンクマーカーの数×700、戦闘ダメージを軽減したんだ。そしてドットスケーパーは墓地へ送られた時、自身を特殊召喚できる」

 

 砕けたブロック片が一つに寄り集まり、再びドットスケーパーの姿を形成した。

 

「ヨク耐エタナ、ダガ、ドノ道、君ノ命ハ 後二ターン ダ」

 

 KOUGAMIはターンを終えた。

 

 神の塔を取り囲む六つの塔、地上で戦うブルーエンジェル達、彼らに見守られ、プレイメーカーは運命のターンを迎える。

 

 残されたライフはわずかに50、彼のフィールドにはドットスケーパーとパネル・ガードナー。

 

(これ以上、凌ぐのは無理だ。なら手は一つしかない)

 

 確証はないが、プレイメーカーにはこの状況を打開できるかもしれない(・・・・・・・・)秘策があった。既に猶予はない今、その策を試すしかない。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 ドットスケーパーとパネル・ガードナーがアローヘッドに吸い込まれる。

 

「リンク召喚!サイバース・ウィキッド!」

 

 現れたのは黒いローブの緑髪の少年だ。

 

「今サラ リンク召喚カ。ダガ、“デイ・オブ・ニューワールド“ノ 効果デ、君ハ コレ以上ノ リンク召喚ハ デキンゾ!」

「それでも俺は、いや、俺達は諦めない!」

 

 彼の気持ちに答えるように、一陣の風が頬を撫でた。

 

「俺達は必ず、あんたを倒して未来を掴む。俺は、手札のパラレルエクシードの効果発動!リンク召喚に成功した時、手札のこのカードを特殊召喚!その効果で、さらにデッキからパラレルエクシードを特殊召喚!」

 

 エックス字のゲートが開き、二体の機竜が現れる。

 

「俺はパラレルエクシード二体でオーバーレイネットワークを構築!」

 

 二体のモンスターはデータへと分解され、赤と青の螺旋を描いて空に吸い込まれる。

 

「行くぞ啓!」

『……しゃあねぇな』

「『惰弱なる世界を穿て!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!敵性機兵(エリミネーター)コンパイル・ブラスター!』」

 

 現れたのは、胴に無理やりレールガンを接合したような機械のワイバーン、ゴッドバードこと啓のエースモンスターだ。

 

「サイバース・ウィキッドの効果発動!リンク先にモンスターが特殊召喚された時、デッキからサイバース族のチューナーを手札に加える。俺は手札に加えたリキッドールを召喚」

 

リキッドール

チューナー・効果モンスター

星3/水属性/サイバース族/攻 800/守 1500

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードが召喚に成功した場合に発動できる。手札からレベル4・5のサイバース族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはリンク素材にできない。

(2)このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキからサイバース族の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

「その効果で手札からリンクスレイヤーを特殊召喚!」

 

 水の体の少女が手を広げると、その中で水泡が広がり、リンクスレイヤーが飛び出した。

 

「リンクスレイヤーの効果発動!手札一枚を捨てる!」

 

 プレイメーカーが手札を投げると、それが砕けてリンクスレイヤーの持つ大剣に集まる。

 

「相手の魔法(マジック)(トラップ)カードを破壊する!」

 

 リンクスレイヤーが大剣を振り下ろすと、KOUGAMIのフィールドにあるデイ・オブ・ニューワールドを吹き飛ばす。

 

「現れろ、未来を"変える"サーキット!」

 

 プレイメーカーが空に手を掲げると、光がかけて、その先にアローヘッドが現れる。

 

「俺は手札のコード・ウェイブとリンク2のサイバース・ウィキッドをリンクマーカーにセット!行くぞ尊!」

『おう!』

「『二つの魂、一つの闘志の元に燃え上がれ!リンク召喚!』」

 

 アローヘッドから炎が噴き上げる。

 

「現れろリンク3!デコード・トーカー・ヒートソウル!」

 

 現れたのはヒートライオの意匠を持つ鎧を纏ったデコード・トーカーだ。

 

「コード・ウェイブの効果でデッキの一番上のサイバース族を手札に加える。さらにレベル5のリンクスレイヤーに、レベル3のリキッドールをチューニング!」

 

 二体のモンスターがデータの粒子へと分解され、八つのリングへと形を変える。

 

「行くぞ美海!」

『はい!』

「『潮は満ちた。今こそ悠久の眠りから目覚めよ!シンクロ召喚!』」

 

 リングの中心を光が貫く。

 

「『出でよレベル8、原初海祈(オリジンブルー)リオ・プロトコロドン!』」

 

 現れたのはワニのような口を持ち、その周囲に水の剣を6つ従える首長竜だ。

 

「リオ・プロトコロドンの効果発動!イヴリースを手札に戻す」

 

 大口を開けて嘶くと、鴻上のフィールドに送りつけられていたイヴリースが彼に手を振って消滅する。

 

「リキッドールの効果で、デッキからビットロンを特殊召喚。現れろ、俺達の未来(みち)を照らす未来回路!」

 

 プレイメーカーの足元に、アローヘッドが出現し、出てきてすぐにビットロンがリンクマーカーにセットされる。

 

「行くぞ樹!」

『……ふっ』

「『芽吹け大地よ!母なる命を守りし巨人がここに顕現する!リンク召喚!聖蔓の巨兵(サンヴァイン・ゴーレム)!』」

 

 地面から樹木の巨人が這い上がってきた。

 

聖蔓の巨兵(サンヴァイン・ゴーレム)

リンク・効果モンスター

地属性/サイバース族/攻 2300/LINK 1

地属性の通常モンスター1体

このカードはルール上、植物族としても扱う。

(1)自分のEXモンスターゾーンのリンクモンスターが相手によってフィールドを離れた場合、このカードは破壊される。

(2)このカードはEXモンスターゾーンの自分のこのカードと同じ種族のリンク2以上のリンクモンスターとリンク状態でなければ攻撃できず、効果を発動できない。

(3)自分のEXモンスターゾーンのリンクモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのリンクマーカーの数だけ、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。その後、墓地へ送られた地属性モンスターの数×300LP回復する。

 

「さらに現れろ!未来を描くサーキット!」

 

 今度は呼び出した4体のモンスターが、それぞれリンクマーカーにセットされる。

 

「行くぞ仁!」

『うん!』

「『閃光よ迸れ!戦場をかける神速の剛毅!リンク召喚!リンク4!天装騎兵(アルマートス・レギオー)アウルム・チャリオット!』」

 

 金の鎧を纏う二体の馬に引かれ、戦車(チャリオット)を駆るのは黄金の騎士だ。

 

天装騎兵(アルマートス・レギオー)アウルム・チャリオット

リンク・効果モンスター

光属性/サイバース族/攻 2500/LINK 4

【リンクマーカー:上/左下/下/右下】

リンクモンスターを含む効果モンスター3体以上

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1)このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。自分の墓地から通常召喚できないサイバース族モンスターを可能な限り、このカードのリンク先に特殊召喚する。この効果発動後、ターン終了時まで、サイバース族のリンクモンスターしか特殊召喚できない。

(2)このカード及びこのカードとリンク状態のリンクモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力が攻撃力を超えた分だけの戦闘ダメージを相手に与える。

 

「墓地のデコード・トーカー・ヒートソウル、コンパイル・ブラスター、リオ・プロトコロドンを特殊召喚」

 

 先程リンク素材にされたモンスターのうち3体が甦る。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 そしてアウルム・チャリオットを含む4体がリンクマーカーにセットされる。

 

「リンク召喚!ジ・アライバル・サイバース@イグニスター!」

 

 それは円形のパーツが複雑に組合わさった体、巨大な鎌を携えたヒト型のモンスター、Ai より預かった彼の最後の切り札だ。

 

「ジ・アライバル・サイバース@イグニスターはリンク素材の数×1000が元々の攻撃力となる」

 

 ジ・アライバル・サイバース@イグニスター:ATK?→4000

 

「ソレデェ? ソノ攻撃力デハ到底ワタシ 二 叶ワンゾォ?」

「……」

 

 KOUGAMIの挑発を無視して、プレイメーカーは静かにKOUGAMI、正確にはその奥で眠るAiを見つめた。

 

 ◆

 

 KOUGAMIの体内、六体のイグニス達はそれぞれ肉壁のようなものに埋め込まれ、身動きが取れない状態にあった。

 

「遊作、やってくれたんだな」

 

 人間態のAiの視線の先、現実世界の距離にしてわずか数メートル先には、光のゲートが開いていた。

 

「けど、思ったより、身動きが取れない……」

 

 Ai は体をもぞもぞ動かすがゲートには届かない。

 

「何をやっているAi!」

 

 そこへライトニングが声をあらげる。

 

「プレイメーカーがあのモンスターを呼び出せば、やつを倒せるのではなかったのか!?」

「んのこと言ったって、しょうがねぇだろこれじゃ!」

「早くしろ!LINK VRAINSを巻き込もうが構わん!早くこの男を殺せ!」

「そもそもお前が鴻上博士に勝ってればこんなことにはならなかったんだろうが!」

「私のせいだと言いたいのか!」

 

 言い争う二人に、他のイグニス達は呆れたように溜め息を吐く。

 

「その辺にしないか」

「そうです。我々で争っている場合ではないでしょう」

「けど、これじゃあどうしようもないでしょ?」

「……」

 

 四体のイグニスは頭を捻るが、この状況を打開できる策は浮かばない。

 

「手伝ってあげようか?」

 

 そこへ、一人の少女が顔を出した。

 

「お前、ジャックナイフか?」

「今は切花だよ。僕は多少自由に動けるみたいだし、君一人をそこに飛ばすくらいできると思うよ」

「……お前、俺達のこと嫌いじゃなかったのか?」

「……どうでもいいよ」

 

 そう答える彼女には、以前のような覇気が感じられない。

 

「ボクはどうなっても構わない。だから、こいつを……」

「違うだろ」

 

 そこで彼女の言葉を遮り、Ai は問いかける。

 

「お前の願いは、そんなことじゃないだろ?」

「……グスッ、……たく…ない」

 

 その言葉に、切花は涙を流す。

 

「やだ……死にたくない……もっと、みんなと一緒にいたい!」

 

 必死に訴えるそれは、嘘偽りのない夢乃切花としての本音だった。

 

「よし。合格だ」

 

 すると、Aiの体が肉壁から引き抜かれて浮かび上がる。

 

「……ほら、早く行けよ」

「ありがとな。そんじゃみんな!行ってくるわ!」

 

 Aiの体はゲートの向こうへと投げ出された。

 

 ◆

 

 そして神の塔、KOUGAMIの体が突然小さな光を放つ。

 

「ナ、ナンダ!?」

 

 狼狽えるKOUGAMIに対して、その意味を察したプレイメーカーは咄嗟に左手を伸ばす。

 

「こい!俺の元へ!」

 

 光はプレイメーカーのデュエルディスクへとかける。

 そして、

 

「……お?」

 

 デュエルディスクのディスプレイ部分には、黒い目玉が浮かび上がった。

 

「戻ってきたな。Ai」

「よく俺のメッセージに気付いたな」

「ただの勘だ」

 

 久しぶりの再開に、プレイメーカーの顔はわずかに綻んだ。

 

「ナゼ、闇ノ イグニス ガ……」

 

 一方KOUGAMIは、Aiの帰還に動揺を隠せない。

 

「ジ・アライバルは、俺とプレイメーカーを繋げる目印にしてあったんだよ。さぁこっからだぜ、プレイメーカー様よぉ」

「あぁ。どうすればいい?」

「んーそうだな……今のお前のデッキには、あれを倒せるモンスターはいないな」

「お前まさか」

 

 聞き覚えのあるフレーズの意味を察したと同時に、激しい風が神の塔へ吹き荒れる。

 

 振り返ると、そこには巨大な竜巻、データストームがあった。

 

「バカナ!? 何故ココニ、データストーム ガッ!?」

 

 驚くKOUGAMI、プレイメーカーにとっても予想外の出来事だったことで、Aiの方を見る。

 

「これは、お前がやったのか?」

「厳密には違うな。これを作ったのはLINK VRAINSのみんなだ」

 

 これまでにない特大のデータストームを前にAiは得意気に語る。

 

「お前を思うみんなの心が、ここまで風を運んでくれたんだ。俺はちょっとそいつを一つにまとめただけさ」

「みんなが……」

「さぁ準備はいいか?風を掴め!プレイメーカー!」

「ああ!」

 

 プレイメーカーは左手を空に掲げる。

 同時に竜巻が彼の体を、彼の立つフィールドごと包み込む。

 

「「スキル発動!ストォォムアクセスッ!」」

 

 風は吸い込まれるように、プレイメーカーの左手、そのデュエルディスクに集まり、収束する。

 

「まずは魔法カード、死者蘇生を発動!甦れ、ファイアウォール・ドラゴン!」

 

 ジ・アライバルの背後に、ファイアウォールが再びその姿を現した。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!」

 

 天へ舞い上がるファイアウォール・ドラゴン、その頭上のアローヘッドにジ・アライバルは吸い込まれる。

 

「運命に導く力の壁よ、闇を照らし、道を描き、その意を貫き絆を繋ぎ、その力を希望へ変え────」

 

 ジ・アライバルは鎧と変わり、ファイアウォール・ドラゴンへと装着される。

 

「────まだ見ぬ未来を切り拓け!」

 

 咆哮と爆風。

 電脳空間へとその飛竜は降り立った。

 

「リンク召喚!リンク7、ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペストッッ!」

 

ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペスト

リンク・効果モンスター

闇属性/サイバース族/攻 4000/LINK 7

「ファイアウォール・ドラゴン」を含むリンク4以上のサイバース族のリンクモンスター2体以上

(1)自分のバトルフェイズ中、自分のモンスターは戦闘で破壊されず、自分は戦闘ダメージを受けない。

(2)自分のバトルフェイズ中に、自分・相手の墓地の通常召喚できないサイバース族モンスター1体を対象として発動できる。そのカードを除外し、このカードはそのカードと同じ属性としても扱う。この効果をこのカードより攻撃力の高い相手モンスターと戦闘を行うこのカードの攻撃宣言時からダメージステップ終了時までに発動していた場合、このバトルフェイズ中、このカードの攻撃力は3000アップする。このターン、このカード名のこの効果で同じ属性のモンスターを対象にできない。

(3)このカードはこのカードの持つ属性と同じ数だけ1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

 

「バトルだ!ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペストで、KOUGAMIを攻撃!」

 

 ファイアウォールは空へ舞い、一気に急降下して敵へ突っ込む。

 

「バカメ、ワタシ ノ 攻撃力ハ 20200だ!」

「ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペストの効果発動!力を貸してくれ!デコード・トーカー・ヒートソウル!」

 

 ファイアウォールの翼が炎を纏う。

 

「ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペストは、墓地の通常召喚できないサイバース族モンスターを除外することで、その属性を得る。さらに自身より攻撃力の高い相手モンスターとのバトルでこの効果を使用した時、攻撃力を3000アップする!」

 

 ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペスト:ATK4000→7000

 

「そしてファイアウォールは自分のバトルフェイズ中、戦闘で破壊されず、戦闘ダメージは0になる」

 

 火炎の翼でKOUGAMIの体を切り裂き、空中で大きく円を描くように飛び、プレイメーカーの元へ戻ってくる。

 

「ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペストのさらなる効果!自身の持つ属性の数だけ、1度のバトルフェイズ中に攻撃できる!再攻撃!力を借りるぞ。リオ・プロトコロドン!」

 

 今度は水の刃がファイアウォールの翼に形成され、KOUGAMIへ向けて滑空する。

 

「ガァァッ!」

「再攻撃!コンパイル・ブラスター!」

 

 風を纏い、ファイアウォールは加速する。

 目に止まらぬ速さで、KOUGAMIを何度も翼で切りつける。

 

「再攻撃、聖蔓の巨兵(サンヴァイン・ゴーレム)!」

 

 そのままの勢いでKOUGAMIの真上、遥か高くまで飛ぶと、翼が岩に覆われ、重さを増した体で垂直に落下する。

 

「グァァッ!」

 

 大質量の物体をぶつけられ、その巨体を大きく揺らす。

 

「再攻撃、アウルム・チャリオット!」

 

 いつの間にか後方へ飛んでいたファイアウォールは、閃光を纏い、高速でKOUGAMIへ突撃する。

 

「ゴォッ!」

「再攻撃!ジ・アライバル!」

 

 そのまま闇を纏い、KOUGAMIの突撃したままさらに加速。

 その攻撃力は22000、KOUGAMIの攻撃力を上回った。

 

「「いけぇぇぇっ!」」

 

 プレイメーカーとAiが吠え、それに答えるようにファイアウォールはさらに出力を上げ、ついにKOUGAMIの巨体を貫いた。

 

「がはっ!」

 

 KOUGAMIが消滅し、中から鴻上のアバターが飛び出した。

 

 鴻上:LP19700→17900

 

「だが、これで六属性全て除外した。君の攻撃も終わりだ

「いや、最後の一つが残っている」

 

 鴻上のフィールドに一枚のカードが浮かび上がる。

 

「神属性、極幻電脳神KOUGAMI」

「よ、よせ!」

「除外!」

 

 プレイメーカーが拳を握ると同時に、KOUGAMIのカードは砕けて消える。

 

「終わりだ!ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペスト!」

 

 ファイアウォール・ドラゴン・オーバーテンペストが翼を広げると、その背には七色の光が集まる。

 

「オーバーテンペストアタックッッ!」

 

 咆哮する。

 七色の光線が鴻上のアバターへ放たれる。

 

「ば、バカな!この私が……っっ!」

 

 断末魔と共に、鴻上は消滅した。

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