はざまのくに   作:湯たぽん

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はざまのくにのNPC、ブライヴ。彼はなぜダリウィルに裏切られ、追い掛けることにしたのでしょうか。
その秘密は、ブライヴが佇む「霧の中の廃墟」に隠されていたのです…


霧の森のルーンくまさん

 

あるところに、ブライヴという男がいました。グレートソードを背負った、半狼の騎士でした。

 

「ブライヴは背が高いなあ」

 

そしてブライヴには、親友がいました。

 

「ダリウィルがいつもそんな姿勢で歩いているから、そう思うのではないか?」

 

ダリウィルと呼ばれた騎士は、いつも四つん這いで歩く、変わった男でした。頭が狼の騎士と、猟犬の歩みの騎士。二人は、いつも一緒にいました。

 

 

ある時、親友同士のブライヴとダリウィルは主の命令で霧の森という所に秘宝を探しに出かけました。霧の森は遠くからはごく普通の森に見えましたが、二人が足を一歩踏み入れた途端、あたりを霧が囲みました。

 

「む…ほとんど前が見えないな」

 

「はぐれないように気をつけよう」

 

森と言っても霧が無ければ地面まで太陽が照りつけるくらいの樹間はあったはず。しかし、霧のために陽の光がほとんどささない真っ白な世界になってしまいました。そんな森の中でしたが、動物がたくさん住んでいました。リス、シカ、そして、くま。大柄なブライヴよりもさらに大きなくまでしたが、二人を見てもちょこんとお辞儀をするような仕草をするだけで通り過ぎていくのでした。

 

「大きい…が襲ってこないな」

 

ブライヴが不思議そうに言うと、横を四つん這いで歩くダリウィルは少しだけ、考え込むように下を向きました。

 

「…俺から離れないように気をつけてくれ、ブライヴ」

 

「…?あぁ、そうだな」

 

 

 

そうしてしばらく霧の森を歩き回りましたが、秘宝の手掛かりは見つかりません。そうこうしている間に、結局二人ははぐれてしまいました。

 

「おぅいダリウィル」

 

親友とはぐれたブライヴは、しかし生来の真面目さのゆえに霧で真っ白な森の中で、秘宝の探索を続けていました。

 

 

 

 

ところで。

 

霧の森には大きな大きなヌシがいました。ブライヴ達が探している秘宝が隠された、永遠の都ノクローンから漏れ出る魔力により強大なルーンと知能を授かった、「森のルーンくまさん」です。

 

ルーンくまさんは彼が支配する霧の森を愛していました。森に充満するルーンの霧が、あまりにも早く植物を成長させてしまうため、他のくまたちに命じて爪研ぎついでの間伐をして、わずかでも陽の光を地面の苔達に分けてあげたりしていました。

 

また、ルーンくまさんは自然の中でのマナーに関してとても厳しい、いわゆる「ハイキングベア」でもありました。ハイキングマナーの「一礼」を忘れる人間を許せないルーンくまさんは、今日霧の森に足を踏み入れた二人の騎士を、はかりかねていました。

一人はふんぞり返るような姿勢でのしのし歩く半狼の騎士だったので、ルーンくまさんは「一礼」マナーを叩き込んでやろうかと思いましたが、もう一人の騎士がとても低姿勢な猟犬騎士でした。地面に生えた苔にまで挨拶をしているかのような見事な四つん這いの騎士に、ルーンくまさんは見とれてしまいました。

 

ルーンくまさんが迷っているうちに、二人の騎士は霧のためにはぐれてしまいました。自然に対する敬意が見られないほうの騎士、ブライヴは一人になってもなお、ふんぞり返って森の中をのしのし歩くので…

 

 

 

 

…ぐるるる…ガァウッ!!

 

「…!?ぬぅ!」

 

突然、先程まで大人しかったくまが、ブライヴに襲いかかってきました。

 

「く…!一人になったところを狙ってきたか!」

 

一人になったから、という点では当たっていますが。

 

「仕方ない…倒すしかないか!」

 

ブライヴは背負っていた自慢の王家のグレートソードを両手で握りしめ、くまと対峙しました。大曲剣を提げたダリウィルが足元にいないことがなんとも心許ない様子ではありましたが、さすがは半狼の騎士。くまの突進を真正面から受けとめ、弾き返すと渾身の大上段を振り下ろしました。

 

ガツッ…!

 

鈍い音が、くまの頭部から響きました。

 

…グガ…グルルゥ…

 

さすがのくまも、特大剣の一撃を脳天に喰らい怯みましたが、倒すには至りません。それどころか、

 

 

 

ガアアッ!

 

「うおおっ!?」

 

もう一頭、さらに大きなくまが両手を振りかぶり飛びかかってきました。見かねたルーンくまさんです。

ブライヴはかろうじて回避しましたが、取り巻きを従えたルーンくまさんに敵うはずはありません。あっという間にルーンくまさんの強烈なベアハッグを喰らい、失神してしまいました。

 

「ブライヴ!」

 

ちょうどそこへ、ようやく親友を再発見した猟犬騎士、ダリウィルが駆け付けましたが時既に遅し。他のくまたちに阻まれブライヴを助けに行くことはできませんでした。

親友の一大事にも、相変わらず四つん這いで駆けるダリウィルにルーンくまさんは自然への敬意を感じとり、失神しているブライヴのみに説教をしはじめました。

 

 

 

グァウッ!グォウゥッ!

 

 

 

動物の言葉でハイキングマナーについて説教するルーンくまさんでしたが、ダリウィルにはなんとなく意図がつかめていました。周囲を囲むくま達も襲いかかる気配がないので、ダリウィルは親友ブライヴに呼びかけ続けます。

 

「ブライヴ!起きてちゃんと説教を聞くんだ!」

 

 

 

「君が悪いんだぞ!」

 

ダリウィルが、そう叫んだ時。ブライヴが目を覚ましました。同時にルーンくまさんの説教が終わり、ブライヴはルーンくまさんの腕に抱え上げられました。

 

「ダリウィル…?俺が悪…い…?」

 

未だ朦朧としているブライヴには、親友のダリウィルが霧の中、くまに囲まれてこちらに向けて叫んでいるのが見えました。

 

 

 

それはまるで、霧の封牢に囚われた真っ白な姿で、こちらにくまをけしかけてきている裏切りの猟犬騎士でした。

 

 

 

 

 

次にブライヴが目を覚ましたとき、彼は霧の森の廃墟の上に居ました。ルーンくまさんは説教が終わると、反省房である廃墟の屋根上に無礼な人間を放り投げるのです。

 

「ダリウィル…お前ほどの男が何故裏切りって…!」

 

ブライヴは、廃墟の上に登れず誤解を解くことが出来なかったダリウィルを裏切り者として追い掛けることに決め、廃墟の上から遠吠えを繰り返すのでした。

 

 

 




今回も何故か、ラニイベントよりのお話でした。
ブライヴさん、主に対して忠実ではありますが頑な過ぎる一面もあるようで…。封牢の猟犬騎士、ダリウィルに対しても何かしら事情があったのではないかと思いお話にしてみました。
結局、しょ〜もない誤解とルーンくまさんの謎の生態が原因でしたね。



…あ、そうそう。エルデンリングで霧の森のルーンくまさん達にジェスチャーで「一礼」してもやっぱり殴られますのでご注意を。強いですよね彼ら。
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