IS インフィニット・ストラトス 金と銀の瞳が見据えるモノ リメイクversion 作:フレイムバースト
とある日の放課後。私は一夏くんに付きっ切りで指導をするはずだった。指導内容は銃器の扱い方。二人とも男子だからISのあれこれを教えようとしたのだが、シャルル君が本国から与えられたISはラファール・リヴァイヴのカスタム機で、銃撃戦を最も得意とするタイプのものだった。
「……じゃあ一夏、これ、使ってみようか」
そう言ってシャルル君は一夏くんにアサルトライフルを手渡しターゲットを指差していた。
私はというとシャルル君の的確なアドバイスに説明することを全て奪われてしまってとても付け入る隙がない。なんとも由々しき事態である。
私は手に持ったバスターライフルのトリガーを引き、一夏くんとは別に表示されたターゲットにビームを照射、その余波で一夏くんのターゲットを巻き込む形で消しとばしていた。
「……っ、あ、アーデルハイトさん?」
「ごめん、出力間違えちゃった」
「じゃあ次は気をつけてね?絶対だよ?」
「うん」
シャルル君に注意されて、私はバスターライフルを収納する。しかし妙なイラつきが先ほどからずっと私を覆っている。
このままだと一夏くんをシャルル君に奪われそうだ。頭の中ではそれを考えることでいっぱいだった。男同士なら奪われることもないと最初は安心していたが、いざ目の当たりにすると一夏くんとシャルル君はいいパートナーのようで、私の居場所をはじき出された気がしてならなかった。
一夏くんがアサルトライフルを撃っているのを眺めながら私はアリーナを飛び回っていたらサッちーが近寄ってきて隣についてきた
「らしくないじゃん。磨美りんが織斑君から離れるなんて」
「なんか、シャルル君に全部持ってかれちゃった感があってね。ムカムカするの」
「ふーん……つまり妬いてるんだ。」
サッちーは仰向けになって飛行しながら、そう言った
「妬いてる……?そんな馬鹿な話あるわけ……」
「……シャルル君に全部持ってかれそうで、それが嫌なんでしょ?つまり、シャルル君に対して自分の仕事を奪わないでと。自分を居場所から追い出さないでという感じでしょ。」
「まぁ、そうかもね。……シャルル君、私よりわかりやすい説明をするから、羨ましくて。」
「じゃあシャルル君には出来ないことを磨美りんがやればいいだけの話だよ」
「……うん」
そう言ってサッちーは私と共にのんびりとした飛行を楽しみはじめた
「ところでさ、磨美りん。あれラウラさんよね」
「うん?」
のんびりとした飛行をして5分ぐらい経った頃、サッちーに指差さす方向を見ればラウラさんがISを展開し、左肩に装備された実弾砲を一夏くんにむけていた
「ちょ……!」
私は急いで急降下して一夏くんとラウラさんの間に割り込み、左肩の実弾砲の射線を切った
「む、アーデルハイト。そこをどいてくれ。射線が確保できない」
「ごめん、ルームメイトでもその行動は看過できない。ラウラさんは一夏くんに何の因縁があって敵意を向けるの」
「……お前が知るようなことではないさ。いいからどいてくれ、でないとお前ごと撃つぞ。アーデルハイト」
「退かない。理由の分からない敵意を一夏くんに向けるわけにはいかないから」
「チッ……ならばお前ごと撃つ。退かなかった貴様の責任だ。悪く思うなよ」
左肩の実弾砲が火を噴く。私はそれをバスターライフルで迎撃し、放たれた砲弾を圧倒的な熱量で溶かす。
「ほう、素晴らしい火力だな。祖国で埃をかぶっているドーラを思い出す」
「このバスターライフルはドーラの火力を再現するために作られたものだからね。……今は引いてラウラさん」
「……ふむ。仕方あるまい。織斑一夏。貴様には何度でも戦いを仕掛けてやる。貴様が戦いを受け入れなければ、私はあらゆる手段を用いて貴様を戦わせるまでだ。覚えておけ」
ラウラさんは一夏くんにそう宣言した後、サッちーにつままれてアリーナを退場していった。
「大丈夫?一夏くん」
「あぁ、磨美が話をつけてくれたおかげで何とかなったよ。悪いな」
なんだか久しぶりに一夏くんと話す気がする。三人部屋でごちゃごちゃ騒ぎまくって時間感覚が狂ってしまったのだろうか。
久しぶりに聞いたような気がする一夏くんの声はやっぱり私にとって癒しであった。くすんだガラスが磨かれるように、私を覆っていたイライラが消え去っていくのがわかった。
「ううん、気にしないで。ラウラさんはたぶん気難しいだけだから」
「気難しいだけ、か。そうだといいな。ところでさ……さっきからシャルルの様子が変なんだが……」
「え?」
一夏くんがシャルル君を見るのに合わせて私もシャルル君を見ると、彼は目を輝かせて私のバスターライフルを見ていた
「ねぇ、アーデルハイトさん、そのバスターライフル、さっきドーラ砲の再現って言っていたけど本当?」
「あー、うん、二挺を横に合わせた状態で発射すればドーラ砲の火力の80%は再現できるよ?」
「ほんと!?ねえ、触らせてもらっていいかな!分解していいかな!このサイズにドーラを縮こめるこの超技術!すごいよイタリアは!」
「だーめ!分解して使えなくなったらどうするの!」
「弁償するよ!デュノア社負担で!」
バスターライフルがどうやらシャルル君のロマンに触れてしまったらしく、その後数分間、彼はマシンガントークを続けて私たちを呆れさせた。どうやら彼にとって、ドーラのような超火力はロマンの塊らしく、思わず語りたくなってしまう代物のようだ。マシンガントークの最中、銃火器に頬ずりをする彼の姿はどことなくかわいらしく思えた。
後半のシャルルの豹変。
彼の目はシイタケのように十字の輝きを放っていた。