IS インフィニット・ストラトス 金と銀の瞳が見据えるモノ リメイクversion 作:フレイムバースト
イタリアの北部、ミラノ、ジェノヴァ、トリノ。
鉄の三角地帯と呼ばれることもあるこの三都市のちょうど中心部に位置する街、アレッサンドリア。ISの登場以後、ISの研究開発、装備の製造などを行う工業エリアが建造され、歴史ある街並みは研究施設と工業地帯に呑まれつつある。その街で磨美は車に揺られていた。当時の未来に対する想像力を形にしたようなイタ車は古めかしいものの乗り心地は悪くはない。
「わざわざすまないね、臨海学校のための装備の受け取りにまた君を学園から引き離してしまった。前回は大半を無駄話で君の時間を奪ってしまっていたし、IS学園には二度も迷惑をかけた侘びの品も届けておこう」
「別に構いません。装備を受け取ったら私はそれと一緒にチャーター便で帰りますし…」
学園にいる時とは違い、クールビューティーを意識したような振舞いで磨美は会話を受け流していた。そうすれば早く話が終わり、織斑一夏のもとに戻れる。そうでなければこんな態度をする必要はない。はずだった
「その事なんだがね」
運転席でハンドルを握るサングラスをかけた女性。私のISの開発責任者であり、イタリアのIS研究主任、ラム・キャスバーは私に話しかける
「?」
「君の学友…具体的には、織斑一夏のことだ」
「…何が、気になるんですか?」
ぞくり、と嫌な感覚と気持ち悪い汗が背中を伝う。一夏くんの事を嗅ぎつけられるのは遅かれ早かれ来るだろうとは思っていた。
「君は確か、日本の学校で13歳…いや14歳までだったか、学んでいて、そこで織斑一夏と知り合っていたね?」
「ええ、はい。」
「率直に聞こう。…君は…織斑一夏のことをどう思っているのかね?」
「…答えなきゃいけませんか?」
私が一夏くんのことをどう思っているだなんて、話すまでもないし、特に周りの大人には話したくもない。私の感情は私だけのものだし、一夏くんに汚れた研究意欲を向けられて欲しくはない。
「…答えないのなら、当ててみせよう。…以前君を出向させた時にISから君のバイタルデータと音声データを回収していたからね。」
「……!」
「織斑一夏との会話の際に非常にリラックスしたり、脈が速くなっていた。また、君の声は織斑一夏に向けて話す時、何かしらのアピールをしていると判断できる声色だった」
「人のプライバシーを…」
「君はこの国の代表候補生であり、この国家に首輪をつけられている身だ。それ以上でもそれ以下でもない。だからこそ君にはこの国に役に立ってほしいのだよ。…君の胸にあるその恋心でね」
「やめてください。私はともかく、何故、一夏く…織斑一夏を巻き込むんですか」
「…気分を害させてすまないね。だが…君には君の役割がある。それを努々忘れないようにしてほしい。だから君を今日ここに連れてきたんだ…」
IS研究施設の裏口。その前で車のエンジンが止められ、ドアが開かれると同時に私の腕を2人の研究員が掴み、引き摺り出すように車から降ろされ、そのまま施設の中に連行されていく。暴れようとすれば強い力で締め上げられ、歩くことしか許されていない。
「やめ…嫌です!織斑一夏を、一夏くんをイタリアの都合に巻き込まないで!私が出来ることなら最善を尽くします、なんでもっ、しますから!!」
「…最善を尽くすだけでは、見つからない道もあるんだよ。チャオ、アーデルハイトくん。」
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【恋愛感情肥大化 対象 織斑一夏 完了】
【記憶改竄措置 完了】
【誘惑技能教習 修了】
【疲労回復剤 薬効確認】
【副作用確認 バスト115cmに増大】
コンソールの表示が切り替わり、completeの文字が浮かび上がると、暗室の椅子に安置された磨美の頭を覆う装置が取り外される。その表情は施設の内部に連れてこられた時とは打って変わり、とても晴れやかであった。
「ん、んぅ〜…新装備のマニュアルを覚えさせるための睡眠学習装置って事ですけどもう少しマシな見た目にできませんか…」
「ハハハ、すまないね。次があったらその時には君ぐらいの学友がつけていても違和感のないようにダウンサイジングに努めるよ。」
「お願いしますね?」
「さて…磨美・アーデルハイトくん。君は確か…好きな人がいるんだってね?」
「ええ、あ、はいっ!織斑一夏のことが好きですっ!私の全てを捧げたいぐらい、好きです!」
「…それはいい事だ。今度、私たちの元に会わせてくれると嬉しいよ。もしかしたら直接、会いに行くかもしれないけどね!…さあて、新装備の搬入も終わったらしいし、IS学園の臨海学校で存分に活かしてくれたまえ。…楽しめるように願っているよ」
そのような会話の後、磨美は豊かな胸を揺らし、より蠱惑的な表情で研究施設を後にする。磨美・アーデルハイトは積み込まれた新装備と共にイタリアから日本へと飛び立って行く。
上書きされた記憶、肉体に染みついた技能、そして隠すように、磨美の心の奥へと押し込まれた、偽りではない、本物の一夏への恋慕の情。
それらが複雑に絡み合った感情はまさに時限爆弾のように、弾けるその時を待っている
ラム・キャスバー
22歳 独身。
B 87 W 62 H 80
イタリアIS研究主任 イタリア代表候補生選抜担当 イタリア代表候補生専属ドライバー
イタリアで磨美のサポートを行いながらISの研究を行う女性。度々磨美をイタリアに出向させる事でIS学園教師陣の間では有名である。
IS研究の過程で感情がもたらすISの性能増幅を発見しており、磨美の恋愛感情を利用したネーブ・テンペスタの強化と織斑一夏の遺伝子採取を企む狂気の一面も有する。
22歳でIS研究主任に就くなど、天才的な頭脳を持つことは事実である。篠ノ之束の作ったものは理論がわかれば再現できるとはの本人の弁。
愛車はギブリ(1970モデル)
織斑一夏の遺伝子採取を目論んでいる。織斑一夏の存在はISの研究開発のための礎になると信じている。その為に磨美へ記憶改竄を施し、織斑一夏に対するアプローチをさらに過激なものにすることで織斑一夏への接触頻度を高めようとしている。
イタリア代表候補生に磨美を選抜した張本人。しかも織斑一夏の報道が出た直後にギリギリのタイミングで代表候補生を変更するという蛮行を働いている。
磨美以前の代表候補生関係者はその優秀な才能を織斑一夏との接点というただ一つの理由だけで否定されたため、彼女を嫌っている人は少なからず存在する。
磨美が織斑一夏との接点を持つ事を知っていた理由は候補生になる以前の磨美が「日本に住んでいた頃に織斑千冬の弟と交流があった」と話したため。