私は折原美優。高校二年生だ。親の仕事の都合で今日から桜ヶ丘高校に通うことになったしがない女子高校生。
そして今、学校に向かう途中の道で美優は不良に囲まれていた。
「そこの姉ちゃん、お金持ってる~?」
「いえ、1円も持ってません。それじゃあ。」
面倒くさそうなので美優はそう言ってさっさと逃げようとするが、男の一人にガシッと肩を掴まれてしまう。
「おいおい無視しちゃだめだろ、待ってんだろう?少しぐらい金かしてくれよ?」
男は下卑た笑いを浮かべながら仲間たちと顔を見合わせている。
そんな奴らを見て美優はくだらない奴らだ、と思った。
群れて弱者に金をたかる。こんなやつらが多いから、きっとこの世は生きづらいんだろうな。
「姉ちゃん痛い目にあいたくないだろう?今のうちに渡しとけば無傷で返してやるぜ?」
もう一人の男も近づきながら言い始める。
ーもううるさいなあ…。持ってねーつってんのになんなんだよこいつら。しつこいな……
美優はしつこく絡んでくるウザい男たちに怒りを覚える。が、なんとか怒りを抑える。
そして、
「私に絡むのやめてくれない?金なんて持ってないって言ってるでしょ。しつこいのよ。邪魔、どいて。日本語もわからないなんて死んだ方がいいんじゃない?」
と、きっぱり男たちに言った。
美優は男たちを怒らせないように頑張って言葉を選んだつもりだった。しかし、美優のイラつきは言葉に出てしまったらしい。男たちの頭に血が上り始める。
「姉ちゃん俺たちが誰だかわかってそんな口聞いてんのかよ。」
「ふん…。あなた達が誰かなんて、そんなこと私には全く関係ないわ。まあ、ただ一つ分かるのはあなた達が猿以下の馬鹿ってことだけね。」
美優はやれやれと肩をすくめる。
そして、それを聞いた不良たち。プッツンしてしまう…。
「このアマッ!」
怒りに我を忘れた屈強な男3人。美優に向かって一斉に殴りかかってくる。
ーこれぐらいで怒るなんてヤカンみたいなやつらだ…。しかも女1人に3人がかり。まあ、こんなのなれっこだしいいけど。
美優は3人の攻撃を軽々と避ける。
そして、殴る標的を失った3人はお互いにぶつかり、道路に倒れこんだ。
「てめえ、避けやがって…。」
男は道路から起き上がりながら美優のことを睨んでくる。
「何で避けちゃダメなの?殴られそうになったら避けるのが普通でしょ。」
美優は口元に笑みを浮かべながら言う。
そんな美優の飄々とした態度が男達の怒りの炎ににガソリンを注ぎ込んだのか、男たちは再び向かってくる。
しかし、それらの蹴りや拳は誰にもあたらない。
美優によって全て避けられる。
ーただ殴りかかって来るだけ…つまらない。
「ねえねえ、もう終わり?さっきから攻撃一個も当たらないね。もしかして君たち雑魚?」
不良たちを煽りに煽る。
せっかくだから、この街を少しきれいにしてやろうと考えたのだ。
それを聞き、額の青筋が深くなる3人。再び美優のもとに向かってくる。
今度の攻撃は怒りに任せた単純な動きではなく、統制の取れた攻撃だ。
「佐藤お前は後ろからそいつを抑えろ。山田は俺と横から挟み撃ちだ。」
「ああ!」
「おう!絶っ対潰す。」
ーへえ。がむしゃらに向かって来るだけじゃ避けられるって学習したのかな?でもどれだけやっても勝てないってこの時点で分からないようじゃ、猿には勝てないだろうな。
美優は、そんなことを思いながら、不良3人との距離を測る。
ーそろそろかな。
不良3人が前、後ろ横の三方から一斉に拳が振り上げる。
その瞬間、美優はしゃがんだ。そして足を払い二人を転倒させる。
もう一人後ろから向かってきていた男は頭突きでノックアウト。
顎に頭が当たり、気絶したようだ。
残りの二人は仲間1人がやられたのを見て一瞬ためらったが起き上がり、再び拳を振り上げる。
「ウオオオオオ。」
ーそんな攻撃じゃあ、あたらないって。
美優は二人の急所に拳を叩き込んだ。
倒れる二人の体。美優はもう一人の男と一緒に道路の端に寄せる。
「これでこいつらも少しおとなしくなる。いやー、それにしてもいいことをした。これでこの町は少しは良くなるかも。」
街のゴミを片付けられてスッキリした美優。軽い足取りで学校に向かう。
「今度は友達ができるようにしたいな。前の学校では子分はいたけど友達はいなかったからね。」
美優はそんな浮かれたことを考えていた。そのため、影に潜む2つの人影に気がつかなかったのであった…。