聖女の拳は異世界を征する   作:真鳥

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先ずは小手調べだぜっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 産まれましたボク。

 

 スヤスヤと揺り籠に揺られ眠るおくるみに包まれたオレ。

 

 ママンは優しい眼差しで見つめて優しくなでなでしてくる。

 

「ふふ……よく眠ってるわね、愛しい子ラウア」

 

 しばらくしたらオレが眠っているのを確認したのかそっと離れて洗濯物を干しに丸太小屋の家の外に出て行った。

 

 クワッ! 

 

 瞬間、眼を見開きオレはいつものようにトレーニングを開始する。

 

 アレだあれ。

 

 転生者が赤ん坊からリスタートしたら必ずやるアレ。

 

 魔力トレーニングっ!! 

 

 最初は半信半疑だったが、いざやってみるとあら不思議。

 

 体内に流れる魔力? 的な何かの力を入れたり出したりコントロール出来るのだ。

 

 ちなみに『ラウア』が今生のオレの名前。

 

 古の森の女神アウラウアからとったそうな。

 

 女の子の名前なんてむず痒いが、親から貰ったありがたい名前だ。それには本当に女の子なのは、オシメを替えるたびに自覚している。

 

 ただこの魔力? トレーニング。これが結構疲れる。

 

 ちっちゃいお手手をにぎにぎ。

 

 ぐっぱぐっぱ。開いたり閉じたり。

 

 構えてシャドーボクシングっ、打つべし打つべしっ! ワンツーッ! ワンツーッ! 

 

 何回かやってると体内の魔力? がごっそりと抜け落ちる感覚があり、繰り返すと疲労からぐったりぐっすりと深い眠りに落ちてしまうのだ。

 

 やり過ぎて汗だくクタクタになるとママンが血相変えて心配するから程々にしているがな。

 

 だが確かに翌朝には前よりも少しだが、体内の魔力? が僅かに上昇しているのが理解出来た。おかげで体力も食欲もバリバリだぜっ!

 

 やはり異世界転生者はスゲエなっ! 

 

 だからオレはママンの隙を見計らい、日々トレーニングに励んだ。

 

 あと気になってたんだが、オレの父親、ダディの姿がずっと見えない。

 

 これは、もしかしたらもしかしてママンはシングルマザー? 

 

 あ〜なんか聞いちゃダメそうなヤツだな? これは。

 

 まあ、仕方ない。家庭の事情は世界共通か。

 

 いずれ理由を知るときが来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の名はアストレア。

 

 姓は捨て、故郷も捨てた森人エルフの一族。

 

 夫はすでにこの世にいない。

 

 でもあの人との掛け替えないのない愛の結晶がここにある。

 

 私たちの愛しい宝物。

 

 可愛い娘。

 

 この子の為なら生命だって惜しくない。

 

 それぐらい大切な我が子。

 

 でも心配なのだ。

 

 最近、毎日のように汗をぐっしょりかいてぐったりとしている。

 

 体内の魔力の流れが乱れているのだ。

 

 これは魔力欠乏症だ。

 

 我々エルフは特に魔力に敏感だから落ち入りやすい病だ。

 

 だけどこの子の消耗の仕方は異常だ。

 

 まるでヒビ割れた陶器の水のように魔力が漏れているように感じる。

 

 それを補うように母乳はたくさん飲んでくれるけど。

 

 森人の里の赤子たちにもこんな酷い発症は無かった。

 

 この子は先天的な体質なのだろうか。

 

 だとしたら生きていくのは厳しいかもしれない。

 

 それともあの人との子供だから? やっぱり里の言い伝えの通り、人間とエルフの子は禁忌…………ううん、決してそんなことはない。

 

 あんなに元気に産まれて来てくれたのに。

 

 ゴメンね。ダメなお母さんで。丈夫に産んであげれなくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

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