聖女の拳は異世界を征する   作:真鳥

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霊圧が……消えた?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1年経った。

 

 暇を探しては魔力トレーニング。

 

 そしてママンのオッパオでエネルギー補給。

 

 爆睡。

 

 赤ん坊ではやることは限られている。

 

 まだまだ身体に感じる魔力は微々たるものだが、それなりに良い傾向だと我ながら思う。

 

 しかし1歳になったオレは違う。

 

 ハイハイからゆっくりと立ち上がり、ヨチヨチと二足歩行をする。

 

「ママ〜〜〜〜」

 

「わぁ、凄いわねラウア。あんよが上手、あんよが上手」

 

 拙い歩き方でママンの元にテトテト歩くっ! 

 

 そして巨大なオパーイにドシーンとアタックッ! 天然マシュマロエアバックで衝撃を受け流し鷲掴んでドッキングッ! 

 

 う〜ん、この安心感。安らぐなぁ。

 

 

「ママはお庭のお野菜収穫してくるから遊んでいてね」

 

「あい〜〜」

 

 ママンが積み木で遊ぶオレに手を振り、庭の畑に向かって行った。

 

 キラリンッ! 

 

 オレは眼を光らせ、素早く行動に移す。

 

 ふふん、いつも怠惰に過ごしているわけではないのだよ。

 

 新たなるトレーニングを課しているのだ。

 

 すくっと立ち上がり、クラウチングスタートの態勢。

 

 そして、猛ダッシュッ! 

 

 目指すはあの止まり木にいるヘンテコなカメレオンモドキの魔物ペット。

 

 名前はバルバル。

 

 カクレミノ森トカゲとかいうらしい。性別はオスっぽい。

 

 幼児にあるまじき体感とスピードで駆け出し、高い止まり木にいるバルバル目掛けて大ジャンプっ! 

 

 配管工のオヤジもビックリの跳躍力だぜっ! 

 

 だが、オレがヤツに向けて放った拳は身体に触れる直前、スーッと背景に溶け込むようにヤツの身体の色がなくなり同化し透明化する。

 

 スカッと空を切るオレの小さなお手手。

 

「チッ! またステルス迷彩かっ! いつもそうだな、おまえっ!」

 

 何処からか、小馬鹿にしたような笑い声が聴こえるような気がする。

 

 ガ、ガイアッ! 

 

「くそっ! 何処にいった? 隠れてないで出てきて勝負しやがれっ!」

 

 オレはピョインピョインとジャンプし、ヤツを手探り探すが見つからない。

 

 あのトカゲ野郎はすぐに姿を透明化して隠れやがる。

 

 魔力トレーニングのおかげで体力、持久力はかなり身に付いたと自負していたが、まだヤツには届かないようだ。

 

 仕方ない。今日はこれぐらいで勘弁してやるぜ。

 

 じゃあ次のトレーニングだ。

 

 オレは気を取り直し、胡座をかいて瞑想する。

 

 体内に宿る魔力の流れを感じとる。

 

 吸って〜〜〜〜吐いて〜〜〜〜

 

 吸って〜〜〜〜吐いて〜〜〜〜

 

 身体の内側に溜まったそれらを集約し、手の先へと持ってくるよう意識する。

 

 そしてそれが最高潮に達した時。

 

 今だっ! 

 

「爆ぜろリアル! 弾けろシナプス! バニッシュメントディスワールドッ!!」

 

 

 し〜〜〜〜ん

 

 

 虚しく響くオレのエコー。

 

 まあ、出ないのは解っていたけどね。

 

 突き出した手を引っ込め再び瞑想タイムに戻る。

 

 魔法はイメージだ。想像力が大事なのだ。

 

 なろうでもアルカディアでもハーメルンでも魔法無双はイメージ力がものをいう。多分。そんな気がする。

 

 柔軟に思考しろ。心を研ぎ澄ませ。そう、無我の境地だ。

 

 ヒッヒッフウ〜〜〜〜

 

 ヒッヒッフウ〜〜〜〜

 

 

 オレの魔力が精神世界にすべからく満ち渡る。

 

 今だっ!! 

 

「我が名はラウア。我に許されし一撃は同胞の愛にも似た盲目を奏で、塑性を脆性へと葬り去る。強き鼓動を享受する! 哀れな獣よ、紅き黒煙と同調し、血潮となりて償いたまえっ! 穿てっ!! エクスプロージョンッッッ!!!」

 

 

 し〜〜〜〜〜〜〜〜ん

 

 

 虚しく響き渡るオレの詠唱の残滓。

 

 やっぱ、ダメだな。なんも出ねえ。

 

 何が悪いのかさっぱり分からん。

 

 体内の魔力的な力は感じるんだがなぁ。

 

「ん? いてて…………あれ、いつの間にかケガしてら」

 

 肘の所から鉤裂きに傷が出来て血が流れている。

 

 さっきのトカゲ野郎とタイマンしたときに止まり木に引っかけたらしい。

 

 このままだとママンが卒倒するからマズイ。

 

「慈愛の加護よ、傷を癒したまえ。ライトヒール」

 

 オレがかざした掌から柔らかな暖かい光が溢れる。

 

 すると、たちまち傷が塞がれ、あっという間に傷痕も残さずに修復された。

 

「う〜ん。回復魔法は簡単に出来るんだよな。適当なのに」

 

 オレはハナホジしながら、しげしげと治った腕を見る。

 

 だが、オレが求めているのはカッコいい攻撃魔法だ。

 

 オレはママンが戻ってくるまでひたすらに魔法の練習を繰り返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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