ブラック・ブレット -黒のヒーロー-   作:めしお

6 / 7
出会いと決闘

「・・・・・・ったくめンどくせェ。」

 

彼---一方通行《アクセラレーター》は、右手で頭を掻きながら愚痴をこぼしていた。

 

「そういわないでくださいよ・・・・・・。あの人いわく東京エリアの危機らしいんですから。」

 

そういって彼の機嫌を直そうとしながら隣を歩く小さな女の子---佐奈。しかし彼は愚痴を続ける。

 

「ゾディアックガストレアが来るとかなんとか言ってやがったが、そもそもそいつらはなンで人類が全滅するまで攻撃しねェンだ?そいつら自身は今どこにいやがンだ?」

 

蓮太郎の話を聞いたときからそれを疑問に思っていた。

 

しかも固体には全て名前とどんな力を有していたかが分かっている。にもかかわらずそいつらは突然姿を消したのだという。

 

「あの-------どこに向かってるんですか?」

 

そう尋ねる佐奈に彼は辺りを眺めると「少し待ってろ」というと大きくジャンプをした。

 

彼の視界には、一面の夜空と月明かりを反射する水面、さらに地上から離陸する軍用ヘリを見つけた。

 

地面に着地すると、少し離れたところにいた佐奈が駆け寄ってきた。

 

「どうでした・・・・?」

 

「あいつらもようやく到着したらしい。・・・・・こっちだ。」

 

そういうとヘリが飛び立った方向とは別方向へと歩き始めた。

 

「合流はしないんですか?」

 

かけられた声に足を止める。

 

そうして佐奈の方を振り向かずに

 

「いちいち行かなくても目的が同じなら会うことになンだろォが。」

 

そっか。と小さく頷いた佐奈は先へと進む一方通行《アクセラレーター》の横へと小走りでついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少したち、一方通行《アクセラレーター》が向かってくるガストレアを触ることで無力化している時だった。

 

離れたところで爆発がありその音と煙は離れた場所にいた彼らにも見えていた。

 

「オイオイ、民警ってのはバカなンじゃねェか?」

 

爆破物など使ったらここにいると宣言しているよなものだ。そして何より睡眠中のガストレアを刺激するには十分だった。

 

瞬く間にあちこちで木々の倒れる音や不気味な鳴き声が聞こえ始めた。

 

そして、彼らの後ろにも大きな影が忍び寄っていた。一方通行《アクセラレーター》が振り返ると其処には全長10mは超える巨体を持つトカゲのような頭を持つガストレアが二本足で立っていた。

 

それを見た佐奈は「ひっ・・・」と悲鳴を上げそうになりながらも何とか押さえたらしく一方通行《アクセラレーター》の後ろへと隠れた。

 

対して、彼のとった行動は単純。その巨体を眺めて呆れるように呟いた。

 

「・・・・でかい奴ばっかりだな。」

 

気色の悪い泣き声をあげながら突進してくるそれに対して彼は左手を突き出した。

 

彼の左手に食らいつこうとした顎は一瞬で使い物にならなくなり、ついで放たれた蹴りにより触れた瞬間に真横へと血を噴出しながら飛んでいった。

 

後ろでパチパチと手を叩いて佐奈は目を輝かせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

港に着いていた蛭子影胤は笑っていた。

 

彼は戦いが好きだ。戦争が大好きだ。今まで彼は人にまったく興味を示さなかった。

 

しかし、最近二人も面白い人間を見つけた。一人は何故だか分からないが心の奥底で興味を引かれ続ける少年。

 

もう一人は完全なイレギュラー。赤い目を持つ白髪の少年。

 

彼の力は一度戦っただけでも判るほどに強力。自分では勝てないと思ってしまうほどの力。その力を彼は持っていた。

 

「パパ?なんで笑ってるの?」

 

隣から発せられる愛娘の声におどけてみせる。どうやら気づかぬ内に笑っていたらしい。

 

「この前のことを思い出してしまったよ。実に面白い少年たちのことを。」

 

「ふーん。」

 

愛娘---蛭子小比奈はどうやら、蓮太郎と白髪の少年には興味があまりないらしい。

 

その代わり

 

「延珠くるかな~♪斬りたいな♪」

 

とご機嫌だった。あのモデルラビットの蓮太郎のイニシエーターを気に入っているらしい。

 

すでに周りには数人のイニシエーターの死体が転がっていた。もちろんプロモーターの死体も転がっている。しかしそれらには一切興味を抱いていなかった。

 

影胤は蓮太郎たちは絶対に来るだろうと分かっていたが、赤目の少年が来るかが分からなかった。

 

彼は赤目の少年がプロモーターでは無いと思ったからである。

 

できれば再戦を挑みたかったが・・・・と考えていたとき。

 

彼らの後ろから声がした。

 

 

 

 

「ここが今回の会場ってことで大丈夫かァ?」

 

一度会っただけではあるが、その特徴的なしゃべり方を忘れる影胤ではない。仮面の下で満面の笑みを浮かべながら振り返る。

 

「ようこそ!ここが東京エリアの最後の防衛ラインだ!君が先に来てくれるとは嬉しいねぇ!」

 

「大分遅れちまったみてェだが・・・・。」

 

「大丈夫だよ。メインは君と里見蓮太郎君だからね。そういえば君の名前を聞いていなかったね。」

 

「学園都市第一位 一方通行《アクセラレーター》」

 

「学園都市? ・・・研究機関の名前かい?」

 

「まぁ間違ってはいねェな。そンなことよりゾディアックガストレアを呼び出す装置ってのはどこだ?」

 

影胤の推測はある意味当たっていたので、否定する意味も無いと思った彼は頷き、質問を返した。

 

「教えると思うかい?」

 

「まぁ、無理だろうな。だったら喋りたくなるように半殺しにしてやるから嬉しく思え。」

 

「さぁ!君の力を見せてくれ!」

 

そういって影胤はいつのまに取り出したのか二丁の拳銃を構えていた。

 

だがこの前と違い狙う相手は脇に立っていた佐奈だった。

 

蛭子影胤は、改造された人間である。その筋力や反応速度は呪われた子供たちに及ばないものの人間のそれを遥かに超えている。

 

その反応速度を持ってして放たれた凶弾は佐奈を捉えた・・・・・・・・筈だった。

 

一方通行《アクセラレーター》は影胤の狙いを読んでおり彼が引き金を引く直前に佐奈の前へと飛び出した。

 

そのまま一方通行《アクセラレーター》に当たった銃弾はそのまま影胤に跳ね返ることはなく、彼を大きく迂回し後ろに立っていた小比奈へと向かった。

 

その光景に影胤は驚きを隠せなかった。それもそのはず彼は今まで、一方通行《アクセラレーター》の力を”反射”だと認識していたのだ。

 

幸い小比奈も臨戦態勢だったこともあり、銃弾を剣で叩き落していた。

 

 

 

「君の力は・・・・・・・。一体・・・・・。」

 

「さァてここで授業の時間だ。この世の物全てにはあるものが存在します。それはなンでしょうかァ?」

 

ここにいたり影胤は理解をした。一方通行《アクセラレーター》は力の向き、いや音や光などの向きを変えてしまうのだということに。

 

その力が、人体に及ぼす影響を考えたときに影胤は笑みを押さえきれなくなった。

 

「・・・・素晴らしいぃ! 戦いにおいてのみ!最大限活かせるその力!もっと生かしてみたいとは思わないかね!」

 

「私とともにこの国で戦争を起こそうじゃないか!そうすれば君は誰からも必要とされる!その力のせいで孤独を味わっただろう!?」

 

「さぁ!いまこそこの醜い世界に我々と呪われた子供たちによって破壊をもたらそうじゃないか!!」

 

一方通行《アクセラレーター》は黙って聞いていたが、影胤が喋り終えると同時に声を発した。

 

「くっだらねぇ。オレは別に今までのことはどォだっていい。この世界でオレは護ってやりてぇもンを見つけちまったからなァ。」

 

「お前が、そいつの周りを壊すっていうならよォ。」

 

「てめェを殺して止めればいい話だよなァ!!」

 

そういった一方通行《アクセラレーター》は両手を広げて演算を始めた。途端に周囲の風の向きが変わり突風と呼べるレベルの風速に変わり始めた。

 

佐奈は必死で彼の足へとしがみつき、小比奈は近くの鉄柱へ。影胤はしゃがむことにより風への抵抗を減らしていた。

 

一方通行《アクセラレーター》の方へ向くと彼の頭上には大きな電気の塊のようなものができていた。

 

「プラズマかい!? 君はほんとに厄介だね!!」

 

そう言いながら風を抑えるために展開した斥力フィールドを維持しながら小比奈のもとへと走り離脱を図ろうとした。

 

それを見た一方通行《アクセラレーター》はまだ不完全のプラズマの塊を影胤達に向きを変えて放出した。

 

辺りは、まばゆい光と轟音に包まれた・・・・・・・。

 

 

 

 

 

「なんだ!?」

 

夏世と延珠を含めた三人で港をがけの上から眺めていたときだった。

 

いきなり、周囲の風が強くなったと思いきや、空中に大きな光の塊ができているのだ。

 

次の瞬間それは一筋の光の線となって放たれた。辺りを轟音と光が埋め尽くした。

 

視界が明けると小さな小屋などは倒壊、もしくは吹き飛んでおり先ほどの光の線が通った周辺がその威力を物語っていた。

 

「・・・・・なんだ・・・・あれ。」

 

蓮太郎の搾り出した言葉で、呆けていた延珠は我に返って

 

「蓮太郎!!確かめにいこう!!」

 

と、少しあせった様子で口を開いた。

 

蓮太郎が「ああ」と短く肯定して走り出す直前。

 

後ろから、

 

「・・・私は、ここに残ります。・・・・・どのみち誰かがここで足止めをしなくてはいけないみたいですし。」

 

そういって後ろを振り向くと先ほどの音でガストレア達が集まってきていた。

 

「・・・・大丈夫です。危なくなったら逃げますから。」

 

蓮太郎の心配そうな顔を見つめて夏世はそういうと銃を構え、持っていたトランクを地面へと下ろした。

 

「行って下さい。・・・・はやく!」

 

蓮太郎が駆け出すのと、暗闇の中からガストレアが飛び出すのは同時だった。

 

 




はい。大変遅くなり申し訳ございません(土下座

お待ちいただいた皆様、長らくお待たせしました。

待たせた割りに短いですが、読んでいただければ幸いです。

次の更新も未定ですがなるべく早く、ふ今回の更新よりははやくしたいと思いますので

もうしばらくお付き合いいただければと思います。

感想などよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。