暗黒と光道   作:必殺雷撃人

20 / 67
19.貪欲なる遊戯、責任無き力

〜 森 〜

 

 私は今(ライコウ)さん、(ライニャン)さん、(ガロス)さんといった(ライトロード)の皆さん。そして(ブラウ)さん、(ベージ)3人衆の皆さんの誘導の元、デュエリストのエネルギーが集まると言われている場所に向かっています。本来なら授業があるのですが……事態が事態なのでおサボりです。ちょっと罪悪感が……

 

透子

 「ここは……研究所?」

 

ガロス

 『ええ、ここにエネルギーが入っているのを確認している。間違いない』

 

 目の前に見えるのは、所々塗装が剥がれている緑色の研究所。ここに……エネルギーが集められているのでしょうか……

 

 それにしても、入口が見当たらないのですが……

 

ガロス

 『こういう時は、(ライニャン)の出番だ』

 

 (ガロス)さんがそう言うと、(ガロス)さんが抱えていた(ライニャン)さんがあっという間に入口を見つけて扉を開けてしまいました。

 

 何が起きたのか全く分かりません……何をどうやったら扉を一瞬で開けられるのでしょうか。

 

ガロス

 『(ライニャン)は今までに数々のミッションをこなした、とても優れた偵察員だ。ロックのかかった扉を開けることなど造作もない。ただ、猫だからか魚に目がないのが玉に瑕だがな』

 

 中に入りながら、(ライニャン)さんの活躍を語る(ガロス)さん。ところで……ここから地道に探すしかないのでしょうか。

 

ライコウ

 『この研究所の1階部分は我々(ライトロード)が捜索を完了させている。こっちだ』

 

 先頭の(ライコウ)さんについていきます。

 

透子

 「それにしても……皆さん仕事が早いですね……エネルギーが集まる場所を特定したばかりか構造まで把握してしまうなんて……」

 

ガロス

 『戦いのプロは伊達ではない。これくらい出来なくては、強力な精霊の鎮圧なんて出来ない』

 

 そんな会話を交わしていると、エレベーターの前で(ライコウ)さんが立ち止まりました。

 

ライコウ

 『この先は広大なジャングルになっている。ここから先は(ベージ)達に案内してもらう』

 

ベージ

 『へいへい、任されましたよぉ〜』

 

 やる気がなさそうな(ベージ)さん。スイッチを押してエレベーターの扉が開きました。

 私達は何も言うことなくエレベーターで下へと降りていきます。

 

 

〜 廃研究所 地下 〜

 

 エレベーターを降りると、そこは鳥が囀り木が鬱蒼と生え茂るジャングルがありました。

 

透子

 「それでは(ベージ)さん。案内よろしくお願いします」

 

ベージ

 『その件なんだが……怪しい所は見つけたが、ここ余りにも広すぎてさ……大まかな道しか分かってねぇんだ』

 

ガロス

 『なんだと!?……ふん!所詮は暗黒界!どうやら我々ライトロードの足元にも及ばない能力しかないようだな!』

 

ブラウ

 『な、何を言うか!こっちは一階よりも遥かに広いジャングルを夜通し!4人で捜索したのだぞ!』

 

 火花を散らす(ガロス)さんと(ベージ)さんと(ブラウ)さん。あの、立ち止まっていないで早く進みたいのですが……

 

ライコウ

 『(ガロス)!今はそんな事を言っている場合か!すまない暗黒界諸君。(ガロス)に替わってお詫びしよう』

 

ブラウ

 『確かに……我々はこのデスクローザーデュエルを終わらせる為にここに来たのであってライトロードと戦争する為ではない。そろそろ行こうか』

 

 ようやく終わった口論。(ベージ)さんを筆頭に、先へ進んでいきます。

 

 

〜〜〜

 

 鬱蒼と茂る草木をのけながら進んでいると、私は(ライラ)さんのお願いを思い出しました。

 

透子

 「そういえば、暗黒界の皆さん。確か皆さんは“12個ある世界を1つにしてしまう恐ろしい魔法カード”を開発しているって聞いたのですが……それは本当ですか?」

 

ブラウ

 『我々は……(グラファ)様と共に暗黒世界から逃げてきた身です。詳しい事はよく分かりませんが、(ブロン)がその様な融合魔法を作る様に指示を出していたと、他の(ベージ)達が言っておりました』

 

ライコウ

 『(グラファ)は3年前まで暗黒界の指導者だった。嘘は言ってないだろう』

 

 どうやら暗黒界の皆さんには訳アリの事情があるようです。でも上の人が逃げるって……相当な事が起きたのでしょうね。

 

ベージ

 『よし、後はここを真っ直ぐ進めば石橋がある。そこに何かあるかもな。俺らは他の探してない場所を見てくる。行くぞ(ブラウ)』

 

 (ベージ)さんと(ブラウ)さんはそう言って森の中へ消えていきました。

 

 言われた通りに進むと、そこには人が……更に近づくと、その人物は佐藤先生である事が分かりました。

 

 佐藤先生の背には扉が、でもとても固そうです。私では開けそうにありません。

 

ライコウ

 『どうやら(ライニャン)でも開けられない扉らしい。あの扉は相当に強力だぞ』

 

 つまり私は佐藤先生に扉を開けさせる必要がありそうですね。話しかけてみましょう。

 

透子

 「佐藤先生。どうしてこんな所にいるんですか?」

 

佐藤

 「透子さん。私はここで色々と研究をしていてね。丁度帰ろうと思っていたところなんだ」

 

 佐藤先生はフッと笑みを浮かべて答えを返します。では話を変えてみましょう。

 

透子

 「話を変えましょう。私はプロフェッサーコブラを探しています。佐藤先生はどこにいるか知りませんか?」

 

 私がそう言うと、佐藤先生は僅かに眉を顰めました。

 

佐藤

 「えぇ、確かにプロフェッサーコブラはこの扉の先にいます。ですが、この扉は特別でね。私にデュエルで勝たないと開かないのですよ」

 

透子

 「そうなんですか……ところで佐藤さん。どうしてプロフェッサーコブラに手を貸しているのですか?」

 

佐藤

 「私は……生徒の皆さんに失望したのですよ。やる気のない態度、適当なデュエルっぷり、勝負への甘さ。貴方はそこには該当しませんでしたが……貴方は模範にするには余りにも異質過ぎました。だから責任を取ってもらいます」

 

透子

 「よく分かりませんが、分かりました。デュエルで決着をつけて……」

 

 私が言葉を言い切ろうとした瞬間。私の意識は途切れました。

 

 

 

鏡子

 「デュエルか……俺を満足させろ!」

 

 目の前を見ると、そこにはデュエルディスクを構えた佐藤先生の姿があった。

 

 佐藤先生。彼は俺から見てもデュエルに熱心な人だった。だが、授業はあまり面白いものではなかった。教科書に書かれた事をただ読み上げる授業。

 

 そのせいか授業を真面目に受ける生徒は日に日に減ってゆき、ついにはサボる生徒が出てきて、どんどんとサボりが増えていった。

 

 同情はする。だがそれだけの先生だった。

 

 適当なデュエルケースからデッキを取り出しディスクにセットして構える。

 

鏡子·佐藤

 「デュエル!」

 

 おっ、このデッキを引いたか。それにしても後攻か。まぁ別にいいや。

 

佐藤

 「私のターンドロー」

 

佐藤 手札5→6

 

佐藤

 「私は(スカブ·スカーナイト)を通常召喚。カードを1枚……いや2枚セットしてターンエンド」

 

佐藤 手札6→4→3

 

佐藤 LP4000 手札3 伏せ2

 

スカブ·スカーナイト 攻0

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 出てきたのは某機械っぽい生物が、変な使徒と戦うアニメに出てきそうなモンスター。それにしても攻撃力0……何かあるかもな。

 

鏡子

 「俺のターン。ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は手札から(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲ってその中から1枚サーチ。残りはデッキへ。そして俺はこれを使ったターン特殊召喚出来ない」

 

捲られたカード

八咫烏の骸

荒魂

帝王の烈旋

 

鏡子

 「う〜ん。俺は(荒魂)を手札に加えて通常召喚。効果を発動してスピリットモンスター(和霊)をサーチ。」

 

 突如現れた真っ赤な人魂。その人魂は火の玉を1つ生み出し、火の玉はカードとなって俺の手札に加わった。

 

鏡子 手札6→5→6→5→6

 

鏡子

 「俺はメインフェイズ2に入って……あれ?なんでバトルフェイズに入って……」

 

 突然(荒魂)が荒ぶり、(スカブ·スカーナイト)に突撃。(スカーナイト)の身体の一部を欠けさせた。そして、欠片が(荒魂)にくっつき佐藤先生のフィールドへ移った。

 

佐藤

 「ふふふ……(スカブ·スカーナイト)は攻撃表示の時戦闘では破壊されない。そして攻撃表示で存在する相手モンスターは、このカードに攻撃しなければならない。更に攻撃表示のこのカードと戦闘を行ったモンスターにスカブカウンターを1つ乗せ、バトルフェイズ終了時、スカブカウンターの乗ったモンスターのコントロールを得る事ができる……尤もスピリットモンスターはエンドフェイズに手札に戻ってしまうので、私とのデッキ相性は最悪ですけどね」

 

佐藤 LP4000→3200

 

 なるほど、先生はこの(スカブ·スカーナイト)で永続的なコントロール奪取を行い、奪ったモンスターで戦うデッキといったところか。いい趣味してるじゃねぇか。それなら(トーチ·ゴーレム)や(和睦の使者)とかにも注意しないとな。

 

鏡子

 「しょうがねぇな。カードを2枚セットして、エンドフェイズに佐藤先生のフィールドにある(荒魂)は俺の手札に戻ってターンエンド」

 

鏡子 手札6→4→5

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ2

 

佐藤 LP3200 手札3 伏せ2

 

スカブ·スカーナイト 攻0

 

佐藤

 「ふふ、先攻で大量展開をするあなたらしくない展開ですね?まぁいいでしょう。ところで透子さん。貴方にとって、デュエルとはなんですか?」

 

 随分と哲学的な質問だな。俺の語録の中に、この質問にぴったりな言葉がある。ちょっとアレンジすれば、俺の心情とマッチするしな。

 

鏡子

 「遊びだよ。本気でやれるわけないじゃん。俺の攻撃と制圧に耐えられるデュエリストが少なすぎる。だから俺にとって、相手はハンティングゲームの獲物でしかないんだよ!」

 

 俺の迫真の言葉に、佐藤先生がクツクツと笑った。

 

佐藤

 「やはり貴方も十代と同じく背負うものの無い人間でしたか。ならば私は負けません。私は私の為に、デュエルをしたことが無いのだから」

 

 その後、佐藤先生は先生の過去を語った。彼は貧しい家に生まれて、どうにかプロのデュエリストになり、ファイトマネーの殆どを実家に仕送りして身を切る様な生活をしていたらしい。

 

鏡子

 「なるほど、確かに負ける事が出来ない重圧ならば、自身を磨かざるを得ない。それはまぁ分からなくはない。だがな、デュエルモンスターズはどんなに進んでも所詮はカードゲーム。楽しむ為に作られた物だ。俺はプロの世界で生きてないから分からないが、“楽しい”と思えなければ続ける事が出来ないんじゃないか?」

 

佐藤

 「ふふふ……どうやら話は平行線のようですね。私がその考えを正してあげます!私のターンドロー!」

 

佐藤 手札3→4

 

佐藤

 「私は(リマンドマン)を召喚。バトル。(リマンドマン)でダイレクトアタック」

 

リマンドマン(アニメオリジナル)

レベル3/炎属性/戦士族/攻撃800/守備0

相手のフィールドの守備表示のモンスターの表示を攻撃表示にする事が出来る。

 

 呼び出されたトカゲは高く跳躍し、俺の体に体当たりをかました。

 

鏡子 LP4000→3200

 

佐藤

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

佐藤 LP3200 手札2 伏せ3

 

リマンドマン 攻800

スカブスカーナイト 攻0

 

鏡子 LP3200 手札5 伏せ2

 

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(和霊)を召喚!こいつはスピリットモンスターの召喚権を増やすので速攻魔法(帝王の烈旋)を発動!1ターンに1度だけ相手のモンスター1体をアドバンス召喚の素材としてリリース出来る!俺は(リマンドマン)と(和霊)をリリース!」

 

 俺のフィールドに突風が吹き荒れ、(和霊)と(リマンドマン)が巻き込まれて吹き飛ばされた。

 

鏡子

 「8つの尾を持つ大蛇よ!その巨体を以て大地を耕し、我に恵みを齎し給え!アドバンス召喚!現われろ!(八俣大蛇)!」

 

鏡子 手札6→5→4→3

 

 出てきたのは、周りの木を見下せるぐらいの大きさをした八首のドラゴン。

 

 召喚口上で言った割には小さいな。てっきり(ティエラ)ぐらいはあるのかと思っていたが……まぁいい。

 

 ちなみに、リリースを(リマンドマン)にした理由は単純にダメージとリソースを稼ぎたかったのと、そもそも奪われてもスピリットだから対して損害がないからだ。

 

鏡子

 「(和霊)の効果発動!墓地に送られて、自分フィールドにスピリットモンスターがいる場合に発動!カードを1枚ドローする!カードを1枚セットして……バトルフェイズ!(八俣大蛇)で(スカブ·スカーナイト)を攻撃!」

 

 巨体に相応しくない程の高速で(スカブ·スカーナイト)に接近し、それぞれの首で噛み付……こうとした時に薄い膜が勢いをいくらか削いだ。

 

 そして(スカブ·スカーナイト)から剥がれた大量の欠片が(八俣大蛇)にくっつき俺のフィールドから離れた。

 

佐藤

 「トラップカード(ダメージダイエット)!このターンに受ける私のダメージを全て半分にします!そして(スカブ·スカーナイト)の効果で(八俣大蛇)は私の元にやってきます」 

 

佐藤 LP3200→1900

 

 あれ?これ効果発動出来ない?まじかぁ……だったらこうだ!

 

鏡子

 「トラップ発動!(八咫烏の骸)!こいつは普段は1枚ドローするだけだが、相手フィールドにスピリットモンスターがいると2枚ドローになる!ドロー!」

 

鏡子 手札3→5

 

鏡子

 「カードを2枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに(八俣大蛇)は手札に戻る!」

 

 手札補充出来なかったのは少し痛いな……まぁ致命傷ではないけど。

 

鏡子 LP3200 手札4 伏せ3

 

佐藤 LP1900 手札2 伏せ3

スカブスカーナイト 攻0

 

佐藤

 「クッ……厳しいですね……ですが勝つのは私です!ドロー!」

 

佐藤 手札2→3

 

佐藤

 「来ましたね。私はトーチトークンを2体特殊召喚して透子さんのフィールドに(トーチ·ゴーレム)を特殊召喚!」

 

 佐藤先生のフィールドに小型のロボットを残して、俺のフィールドに大型なロボットが姿を現した。

 

トーチトークン×2 攻0

トーチゴーレム 攻3000

 

鏡子

 「このタイミングで出すって事は……(レインボー·ライフ)があるようだな。発動してトークン2体に自爆特攻させれば合計6000回復。更に(スカーナイト)で攻撃すればバーンデッキとかの相手でも高打点を確保しつつ更に3000回復。LP消費の激しい(スカーナイト)に合っているな」

 

佐藤

 「確かにその様なカードは伏せてあります。しかし(スカブ·スカーナイト)の瘡蓋は、周りの生命を枯れさせる。LPを回復する効果はお互いに無効になってしまいます。ですがその着眼点は評価に値しますね」

 

 佐藤先生のやつれた顔が、僅かに緩む。

 

佐藤

 「透子さん。貴方は本当に優れたデュエリストです。私がこのカードを出すと、他のデュエリストは舐められていると感じ罵声を浴びせてきました。このカードを真髄を見抜き、冷静な評価を下せる貴方は、この学園の模範になり得るデュエリストでした」

 

 その言い方だと、どうやら俺は模範にはなれなかったようだな。

 

佐藤

 「透子さんは……余りにもデュエリストとして異質すぎました。先攻1ターン目の怒涛の展開、ここまでは問題ありません。問題は次の相手ターンに放たれる苛烈を極める妨害。まさに“相手に何もさせない”デュエル。勝利を突き詰めるとそれが正しいのでしょうが、それを模範にするわけにはいかないのです」

 

 そういえば、この時代に先攻制圧という概念はあるのだろうか。あるとしたら(お触れホルス)か(ジャマキャン)ぐらいだろうか。もし俺の真似して、みんな(ジャマキャン)と(お触れホルス)を握ったらアカデミアが地獄と化すな。

 

佐藤

 「私はアカデミアに惰性を撒き散らした十代と同じぐらいに、貴方を許す訳にはいかないのです!バトル!(スカブ·スカーナイト)で(トーチゴーレム)を攻撃!攻撃宣言時にトラップカード(和睦の使者)を発動!これで私のモンスターは戦闘で破壊されず、私が受けるダメージは0になります!そして(トーチゴーレム)は(スカブ·スカーナイト)の効果によりコントロールを得ます!」

 

 上手い。流石はプロデュエリスト。でもトークンはどう処理するんだろう。(トーチ·ゴーレム)の効果外テキストでもう通常召喚できないし。

 

佐藤

 「バトルフェイズはまだ続いています!(トーチ·ゴーレム)でダイレクトアタック!」

 

鏡子

 「流石に打点3000は食らいたくないな!トラップカード(くず鉄のかかし)を発動!これにより俺は(トーチ·ゴーレム)の攻撃を無効にしてそのままこのカードをセットし直す!」

 

 トーチゴーレムの右腕の鋸が俺を切り裂こうとするが、ボロボロな機械のカカシが突然起き上がりそれを防いだ。これリアルだったらスゲー怖いんだけど。

 

佐藤

 「防がれましたか……。私はこれでターンエンドです」

 

佐藤 LP1900 手札2 伏せ2

 

スカブ·スカーナイト 攻0

トーチ·ゴーレム 攻3000

トーチトークン×2 攻0

 

鏡子 LP3200 手札4 伏せ3

 

 トークン処理しなかったな。アカデミアの先生がそんなヘマするとは思えないが……いや待て、確か(スカブ·スカーナイト)は自身へ攻撃を強制させる効果があるって言ってたな?なら別にトーチトークンを残していても問題ないのか。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(荒魂)を召喚!効果を発動してデッキから(木花咲弥)をサーチ。(木花咲弥)はフィールドにスピリットモンスターがいる時特殊召喚出来る!そしてスピリットのお供(二重召喚)を発動!増えた召喚権で(荒魂)と(木花咲弥)をリリース!再び現れろ!(八俣大蛇)!」

 

鏡子 手札5→4→5→4→3→2

 

 最近の異世界ショップで入荷していたカードを生贄にして、再び地に降り立つ八首のドラゴン。こいつで(スカーナイト)を殴ればゲームエンドだが……伏せ2枚が怖いな……(ミラフォ)だったらやばいが……臆さず攻める!

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(八俣大蛇)で(スカブ·スカーナイト)を攻撃!」

 

佐藤

 「させない!トラップカード(スカブ·スクリーム)を発動!自分フィールド上の(スカブ・スカーナイト)が攻撃力2000以上の相手モンスターの攻撃対象になった時に発動する事ができ、自分が受ける戦闘ダメージは0にして攻撃モンスターを破壊する!」

 

 (スカブスカーナイト)は身に纏う殻をパージさせ、(八俣大蛇)を破壊した。(スカブスカーナイト)のいた場所には、(スカブスカーナイト)よりも遥かに小さく、武器にも鎧にも傷の入ったボロボロの戦士が立っていた。

 

クライングスカーナイト 攻0

 

佐藤

 「こいつは私と共に戦い続けたモンスターだ。負けないよ透子さん。君のような心の闇を……心に背負うものを持たないデュエリストには」

 

 心の闇?感情はデュエルに少なくない影響を与えるが、闇は関係ないと思うのだが……

 

鏡子

 「俺はこれでターンエンド。こんなに緊迫したデュエルは久々だな」

 

 あぁ……この1手間違えば敗北する様な緊張感。本当に久しぶりだ。

 

鏡子 LP3200 手札2枚 伏せ3

 

佐藤 LP1900 手札2 伏せ1

 

佐藤

 「私のターンドロー。私は(終末の騎士)を召喚して効果発動!デッキから2枚目の(スカブ·スカーナイト)を墓地へ送ります。そしてトラップカード(ナイトメア·デーモンズ)を発動!(終末の騎士)を生贄にして、透子さんのフィールドに攻守2000の(ナイトメアトークン)を3体攻撃表示で特殊召喚します。そして、このトークンが破壊されると、透子さんは800ポイントのダメージを受けます」

 

鏡子

 「もしかして……その(クライングスカーナイト)はフィールドのモンスターを全破壊してその枚数分ダメージを与えるカードだったりするのか?もしそうなら、トークンのダメージだけでも2400のバーン。大打撃だしダメージ倍率によるが俺は焼き殺される」

 

 手口が(ハネクリボーワンキル)と同じなんだが……というか(ナイトメア·デーモンズ)の使い道なんてそれくらいだろ。

 

佐藤

 「本当に優秀ですね透子さん。このコンボを見せたのは私がプロの時でも数回。アカデミアに来てからは1度も見せてないコンボを一瞬で見破ってしまうなんて。ですがもう遅いです。エンドフェイズに(クライングスカーナイト)の効果発……」

 

鏡子

 「待った!チェーンして速攻魔法(神秘の中華なべ)を発動!コストで(ナイトメアトークン)をリリースしてその攻撃力2000分のLPを回復!その後800のバーンを受ける!」

 

鏡子 LP3200→5200→4400

 

 まさか(血の代償)のコスト軽減用のカードがここで生きるなんてな。

 

血の代償

永続罠(制限カード)

500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。

この効果は自分のメインフェイズ時及び

相手のバトルフェイズ時にのみ発動できる。

 

佐藤

 「では(クライングスカーナイト)の効果により、お互いのフィールドのモンスターを全て破壊して、お互いのプレイヤーに破壊されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与えます。私は2000ポイント、透子さんは1000ポイントのダメージの後に合計1600ポイントのダメージです」

 

鏡子

 「そ、それじゃあ元々俺を道連れにする為にこのコンボを仕掛けたのか!」

 

佐藤

 「ええ、ですが防がれてしまいましたね。貴方の様な素晴らしいデュエリストと心中出来るなら本望だったのですけどね」

 

 佐藤先生の顔を見ると、中々に晴れやかな顔をしていた。後悔は無いという事なのだろうか。

 

鏡子

 「そうだ!先生は十代を憎んでいたな?何か伝言があれば、機会がある時に伝えようか?」

 

佐藤

 「そうですね……なら十代にこう伝えて下さい。“力には大きな責任を伴う。力を持っていながら責任を果たさない十代は愚か者だ”……とね」

 

鏡子

 「……了解。しっかり忘れずに伝えておきます」

 

 俺がそう口にしきった瞬間。お互いのフィールドで大爆発が起きた。

 

佐藤 LP1900→-100

鏡子 LP4400→3400→1800

 

 ゲホッゴホッ……痛え……背中を木にぶつけたから超痛いんだけど。

 

鏡子

 「そうだ!佐藤先生は!」

 

 目の前に目を向けると、佐藤先生は立っていた。しかし、石橋に落ちていた(クライングスカーナイト)を拾うと突然身体が燃え始め、意識を失い石橋から落ちて奈落の底へ落ちていった。

 

鏡子

 「先生!う……ぐあぁ!」

 

 俺の身体も燃え始めた。いや、これはデュエリストのエネルギーが漏れているのか、クッ……意識が……

 

鏡子

 「(グラファ)……俺はお前で……」

 

 再び脳裏に現れる(グラファ)。霞むと同時に、俺の意識は途切れた。




この話を書いていた時に、ちょうどパックに木花咲耶が登場したので上級スピリットデッキ組ませたいなと思い書いていたら、たまたま相手がコントロール奪取の佐藤先生だったのです。よってご都合主義ではない……筈。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。