暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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20.毒蛇を喰らう幻竜達

 

 

鏡子

 「ハァ……ハァ……」

 

 目が覚めた俺は扉を開け、なんか立ちふさがってきた精霊ハンターを(バジェバーン)でぶち転がし、覚束ない足取りで一本道を進んでいる。

 

 キツイ……足が本当に重い。一歩一歩踏みしめて動くのがやっとだ。でも……

 

鏡子

 『俺はまだ……満足していない!』

 

 佐藤先生とのデュエルは中々楽しかった。でも、足りない。暗黒界を回していた時にはまだ及ばなかった。

 だから俺は満足する為にコブラを叩き潰す。

 

 ッ……駄目だ……足がもう限界だ。もうしばらくは歩けない……でもあと少し!

 

 持てる全ての力を込めて地面を蹴ると、まるでここでデュエルをしろと言わんばかりの広い空間に出た。

 

鏡子

 「ッハァ!ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 力を使い尽くした俺は、大の字になって寝転がる。しばらく動けそうにないわ。早く体力を回復する為に……寝るか。

 

 俺は重い目を閉じて、眠りについた。

 

 

〜〜〜

 

??

 「子……透子……しっかりしろ透子!」

 

 目を開けると、そこには必死な表情の十代がいた。視界にはヨハンや剣山、明日香や翔にジムも映っている。

 

鏡子

 「おう十代。久しぶりだな。お前らどうしてそんなに焦ってるんだ?」

 

ヨハン

 「そんな事を言っている場合か!とにかく走るぞ!」

 

 あっという間にお姫様抱っこされる俺。ヨハンの胸の鼓動を微かに感じる。ヨハンをよく見ると結構美青年だし、もし俺が前世女だったら惚れてたのかな。まぁ俺にはそんな趣味ないけど。

 

 ヨハン達が走る方を向くと、そこには扉がゆっくりと降りてきて閉まろうとしていた。なるほど、ヨハン達が焦っていたのはそういうことか。

 

 てかあれ間に合わなくね?俺らここから出られるのかな。

 

 そんな事を考えていると、上のガラス床が砕けてオブライエンが華麗に着地。よく分からない紐付きの道具を二組投擲して扉の閉鎖を妨害した。

 

鏡子

 「オ、オブライエン!助けに来てくれたのか!」

 

オブライエン

 「いいから行け!コブラを止めろ!このロープも長くは持たないぞ!」

 

 

 オブライエンは扉に近づき、扉の間に入り持ち上げようとしている。少しでも時間を稼ごうとしているのか。

 次々に扉を潜る一同。剣山が手伝おうとしたが断られ、渋々扉を潜っていった。

 

ヨハン

 「透子。動けるか?」

 

鏡子

 「おう、問題無いぜ。さっきまでありがとうなヨハン」

 

 俺はヨハンに降ろしてもらい、さっさと扉を潜った。

 

十代

 「オブライエン!お前は俺達の敵じゃなかったのか!?」

 

オブライエン

 「世の中には、間違った出会いもある」

 

 十代とオブライエンが短い会話を交わしていると、奥の扉も閉まり始めた。これ十代間に合うのか?

 

鏡子

 「早くこい十代!間に合わなくなるぞ!」

 

十代

 「クソォ!恩に着るぜオブライエン!」

 

 オブライエンが抑えていた扉は土煙と共に完全に閉じた。十代は華麗なスライディングで、俺らのいる扉へぎりぎり滑り込んだ。

 

ヨハン

 「十代!大丈夫か?」

 

鏡子

 「クッ、まさかデスクローザーデュエルで二人も死者を見ることになるなんて!」

 

十代

 「許さねぇ、許さねぇぜコブラ!」

 

 目の前で生徒が死んだんだ。そりゃあ十代だって怒るわな。

 

明日香

 「そういえば……透子。さっき貴方死者は二人目って言ってたわよね?一人目は誰なの?それになんで一人でこの研究所に来てたの?」

 

鏡子

 「逆順処理で答えるぜ。俺がここに来たのは、暗黒界と愉快な仲間達がここにエネルギーが集まっているのを察知したからだ。ここに来るまでに2回デスデュエルしてさ。精根尽き果ててたからあそこで寝てたのさ」

 

 「に、2回も!?透子さんは大丈夫なの!?」

 

鏡子

 「逆順処理中に効果は挟めない。後で説明するからな。さっきの話とも繋がるが、俺はここに来るまでに佐藤先生とデュエルをした。中々良いデュエルだったけどデュエルが終わったら佐藤先生が気を失って奈落の底に落ちちまってさ。間違いなく彼は助からないだろう」

 

 さて、逆順処理も終わったし翔の疑問を解決するとしよう。

 

鏡子

 「翔の疑問に答えるが、正直大丈夫じゃなかった。足がすげー重くてさ、歩くのがしんどくてしんどくて。気力振り絞って、さっき扉が閉まったあの部屋に入って、体力回復の為に寝たんだ。まぁ今は問題なく動けるぜ」

 

 そんな事を話していると、近くのエレベーターが動き出した。そこから、コブラがデュエルディスクを付けて上へ登っていった。

 

ヨハン

 「どうやらコブラは、俺達を誘っているらしい。いくぞ!」

 

 俺はヨハン達についていく為に、足を早くした。

 

 

〜〜〜

 

 長い長い階段を登ると、そこはヘリポートだった。

 

コブラ

 「よく来たな。遊城十代」

 

ヨハン

 「貴様!何を企んでいる!デスデュエルを即刻中止しろ!」

 

 ヨハンを筆頭に明日香達はデスデュエルを中止するように求めたが、コブラは含み笑いをして一蹴した。

 

コブラ

 「今頃デスデュエルを止めても無駄な事。デスデュエル計画は最終段階に入ったのだ!ここで中止しようとしまいとこの学園に未来はない!」

 

 コブラがスイッチを押すと、ヘリポートがせり上がり始めた。

 

 ヘリポートはぐんぐん登り、天井まで届こうかというタイミングで天井が開き、ついに廃研究所の天井も開いてアカデミアのてっぺんと同じぐらいの高さまで上がってしまった。なんだこのロマン装置。

 

コブラ

 「これなら誰にも邪魔されまい。さぁ十代、俺とデュエ……」

 

鏡子

 「その前に俺とデュエルしてもらおうか。一度はデスクローザーデュエルの開催者とデュエルしたいと思っていたんだ」

 

コブラ

 「ふぅん。確かに透子のデュエルエナジーは劣悪だが、量だけは十代にも勝る……良いだろう。前座には丁度いい」

 

 「む、無茶ッスよ!さっきまで動けなかったのに!」

 

 翔はそんな事を言って俺を止めようとする。だが、俺は止まるつもりは毛頭ない。俺はとにかく満たされたいんだ!

 

鏡子

 「関係ないね!さぁコブラ!デュエルの始まりだ!」

 

鏡子·コブラ

 「デュエル!」

 

 おっ、掴んだデッキはこれか。少し楽しくなりそうだな。

 

鏡子

 「先攻は俺か。ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズに入る!俺は(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲り、その中から1枚サーチして残りをデッキに戻す。そして俺はこのターン特殊召喚出来ない」

 

捲られたカード

奇采のプルフィネス

メタファイズ·タイラント·ドラゴン

封印の黄金櫃

 

鏡子

 「良いカードばかりで悩むぜ。俺は(奇采のプルフィネス)をサーチして通常召喚して効果発動!コストでカードを除外してレベルを1つ上げる。俺は(メタファイズ·アセンション)を除外してレベルを上げる!」

 

鏡子 手札6→5→6→5

 

奇采のプルフィネス レベル4→5

 

鏡子

 「除外された(アセンション)の効果発動!デッキからメタファイズカードをサーチ出来るので永続魔法(アシン·メタファイズ)を手札に加えて発動!1ターンに1度メインフェイズに発動出来て、手札のメタファイズカードを除外して1枚ドロー出来る。よって俺は手札の(メタファイズ·ダイダロス)を除外して1枚ドロー」

 

 上空に薄い膜が張られ、そこに(ダイダロス)が飛び込んでいき俺は1枚ドローする。

 

鏡子 手札5→6→5→4→5

 

鏡子

 「(アシン·メタファイズ)の強制効果発動。お互いのフィールドのメタファイズ以外のモンスターは攻守が500下がる。俺はさっき引いた(魂吸収)を発動。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ1

 

奇采のプルフィネス 攻1800→1300

 

魂吸収

アシン·メタファイズ

 

ジム

 「なんてbeautifulなモンスターなんだ!」

 

明日香

 「透子が使うデッキはメタファイズデッキのようね。彼女が持つデッキで最も持久力に優れたデッキよ。再利用が困難な除外を利用して、自分は少しずつアドバンテージを稼ぎながら相手の盤面を荒らす。相手するととてつもなく厄介なデッキよ」

 

 「うぅ……僕はあのデッキとはもうデュエルしたくないッス」

 

剣山

 「そういうデッキなのはわかっているドンが……やっぱり毎ターンカードが除外されるのはキツすぎるドン」

 

 観客はメタファイズデッキを見て思い思いの事を語る。まぁデュエルしたことが無い転入生組以外良い印象はなさそうだな。

 

コブラ

 「私のターンドロー」

 

コブラ 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイフェイズに前のターンに除外されている(ダイダロス)の効果発動!除外された次のスタンバイフェイズにコストでこのカードをデッキに戻して、メタファイズカード(メタファイズ·ネフティス)を除外!そして(魂吸収)の効果が発動してLPを500回復する!そして(アシン·メタファイズ)の強制効果発動!相手ターンに発動したのでメタファイズモンスター以外のモンスターの表示形式を変更する」

 

鏡子 LP4000→4500

 

奇采のプルフィネス 守0

 

コブラ

 「私のターンなのだが……まぁいい。私は(ヴェノム·スネーク)を召喚!1ターンに1度相手に毒を植え付ける……のだが守備力0では関係ないな。バトル!(ヴェノム·スネーク)で(奇采のプルフィネス)を攻撃!」

 

コブラ 手札6→5

 

 (ヴェノム·スネーク)が毒液の塊を吐き出すと、(奇采のプルフィネス)に着弾。(プルフィネス)は瞬く間に破壊された。

 

鏡子

 「(奇采のプルフィネス)の効果発動!相手によって破壊された場合に発動して除外されている罠カード(メタファイズ·アセンション)をセット出来る」

 

コブラ

 「まぁ良いだろう。私はカードを2枚セットしてフィールド魔法(ヴェノム·スワンプ)を発動!」

 

 (ヴェノム·スワンプ)が発動された瞬間。ヘリポートは真っ赤な血の池地獄の様な物へ姿を変えた。

 

コブラ

 「この沼に立つ限りは、(ヴェノム)モンスター以外は互いのエンドフェイズに毒を受ける。そして毒を受けたモンスターは毒を受けた箇所につき500ポイント攻撃力が下がり、この効果で攻撃力が0になると破壊される。私はこれでターンエンド」

 

コブラ 手札5→3→2

 

コブラ LP4000 手札2枚 伏せ2

フィールド(ヴェノム·スワンプ)

 

ヴェノム·スネーク 攻1200

 

 なるほど、フィールドに長い間モンスターは居られないってわけか。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!スタンバイフェイズに除外された(ネフティス)の効果発動!自身をデッキに戻してメタファイズカード(ダイダロス)をサーチ!」

 

鏡子 手札3→4→5

 

鏡子

 「メインフェイズ!俺は(アシン)の効果発動!手札の(ダイダロス)を除外して1枚ドロー!そして(魂吸収)で500回復」

 

鏡子 手札5→4→5

   LP4500→5000

 

 おっ、良いカードだ。

 

鏡子

 「手札から(封印の黄金櫃)を発動!デッキからカードを除外して2ターン後のスタンバイフェイズに手札に加える。俺は(ネクロフェイス)を除外する。そして除外された(ネクロフェイス)の効果発動!除外された場合に発動してお互いにデッキを5枚除外する。そして(魂吸収)の効果で500と2500×2で5500回復」

 

 (ネクロフェイス)が黄金櫃に納まると櫃から禍々しい空気が漏れてディスクから5枚のカードが排出される。

 

 除外されたのは(マクロコスモス)2枚、(強謙)、(魂吸収)そして(ダイダロス)。うん、これはひどい。

 

鏡子 LP5000→5500→8000→10500

   手札 5→4

ジム

 「What!?LPが10000を超えた!?」

 

 「まだまだこれからッス。デュエルが長引くと2万に届く事もあるッス」

 

剣山

 「ここまで行くと、サイバー流でもないと中々削りきれないドン」

 

 LPが1万超えて驚く転入組。まぁこのデッキだともっと上を行くんだけどな。

 

鏡子

 「流石にやることないか。俺はこれでターンエンド」

 

鏡子 LP10500 手札4 伏せ2

 

魂吸収

アシンメタファイズ

 

コブラ

 「まさかLPが1万を超えるとは……だが問題ない。私のターンドロー!」

 

コブラ 手札2→3

 

鏡子

 「前のスタンバイフェイズに除外された(ダイダロス)の効果発動!自身をデッキに戻して(ネフティス)を除外。(魂吸収)で500回復。もう一体の(ダイダロス)もデッキに戻して(ネフティス)を除外!(魂吸収)でまた500回復!」

 

鏡子 LP10500→11000→11500

 

コブラ

 「私は(スネーク·レイン)を発動!手札の(ヴェノム·ボア)を墓地へ送り、デッキから爬虫類族のモンスターを4枚。(ヴェノム·スネーク)、(ヴェノム·ボア)、(ヴェノム·サーペント)、そして(毒蛇王ヴェノミノン)を墓地に送る!」

 

コブラ 手札3→2→1

 

 出たな。強そうで最近まで強くなかったカード。よくよく考えると4倍おろ埋は頭おかしいよな。爬虫類族だから許されてた感あるな。

 

コブラ

 「私は永続トラップ(リミット·リバース)を発動!これにより、攻撃力1000以下の(毒蛇王ヴェノミノン)を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 毒沼から、両腕が無数の蛇で構成された毒蛇の王が姿を現した。

 

十代

 「これが切り札?攻撃力1000以下なら大したことないか?」

 

鏡子

 「低ステータスを軽視するのは3流デュエリスト以下だぞ十代。低ステータスはそれだけで利点になる。例えば(キラー·トマト)とかのリクルーターや(ダメージ·コンデンサー)で簡単に特殊召喚出来るし、今は禁止になっているが(クリッター)とか(黒き森のウィッチ)でサーチも出来る。それに、高レベルともなると採用されるに足る理由がある筈だ。例えば戦闘で破壊されない上に戦闘ダメージを0にして、(魔法の筒)するとかな」

 

コブラ

 「分かっているではないか透子。この(毒蛇王ヴェノミノン)の攻撃力は、自分の墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップする。墓地の爬虫類モンスターは4枚。よって攻撃力2000!」

 

毒蛇王ヴェノミノン 攻0→2000

 

コブラ

 「バトル!(毒蛇王ヴェノミノン)でダイレクトアタック!ヴェノムブロー!」

 

 毒蛇の王は両腕の蛇に毒の塊を吐かせて、俺に浴びせてくる。

 

 浴びせられた液が肌に触れ、焼けるような感触が襲いかかる。

 

鏡子

 「クッ!LP2000ぐらいくれてやる!」

 

鏡子 LP11500→9500

 

コブラ

 「私はカードを1枚セットして、これでターンエンド。(毒蛇王ヴェノミノン)は(ヴェノム·スワンプ)の効果を受けない。さぁ、貴様のターンだ」

 

コブラ LP4000 手札0 伏せ2

フィールド(ヴェノム·スワンプ)

 

毒蛇王ヴェノミノン 攻2000

 

リミット·リバース(毒蛇王ヴェノミノン)

 

鏡子

 「俺のターンド……」

 

ヨハン

 「待て!プロフェッサーコブラ、ターンを終える前に聞かせてくれ。お前の目的は何なんだ!俺には見える。コブラの背後に、ドス黒く恐ろしい精霊が取り付いているのが!」

 

 そうなのか。残念ながら、今の俺にはその気配すら感じない。どうやら今まで俺が精霊を見れたのは暗黒界の皆の力があったからなのかな。

 

コブラ

 「いや、私は何も企んではいない。ただ、私は奇跡を起こそうとしているだけだ。この御方の力でな」

 

 コブラはそういって左腕の袖を捲った。そこには、黒に近い紫の鱗で覆われた左腕があった。

 

 コブラが語るには、彼は元々某国の特殊部隊で、任務遂行中に事故にあって単独で作戦行動中に、生きた左腕を発見。

 その左腕が喋り、コブラの生き甲斐だったが事故で亡くした息子を蘇らせる代わりに力を貸せと言われて協力しているらしい。

 

ヨハン

 「貴方の気持ちはよく分かる。でもそんな事の為に学園の生徒を巻き込む理由にはならないし、死者が蘇る訳がない!」

 

 ヨハンの声に便乗する翔達。剣山は翔を連れて裏側に回ろうとするが、剣山達の周りに紫色の蔦が生えて剣山と翔の足を絡め取り、更に赤い毒沼から無数の蛇が這い出てきた。

 

 ソリッドビジョンだから問題ないと言い張る剣山。しかしジムがそれを否定してワニを投下。蛇を追い払った。

 しかし、気づけばヨハン達の周りにも蔦が生えていて見動きは取れそうにない。

 

コブラ

 「ふふふ……言っただろう。あの御方の力は奇跡を起こすとね」

 

鏡子

 「これほぼ闇のデュエルじゃねぇか。俺のターンドロー」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ。除外された(ネフティス)2体をデッキに戻して効果発動。1体目で(タイラント)を、2体目で(メタファイズ·ファクター)をサーチ。そして(アシン)の効果を発動して、手札の(タイラント)を除外して1枚ドロー」

 

鏡子 手札 5→6→7→6→7

 

鏡子

 「うぅん……メインフェイズに伏せていた(アセンション)を発動。手札のメタファイズカード(アシン)を捨てて1枚ドロー。そしてデッキから(ダイダロス)を除外。モンスターとカードを1枚ずつセットして(メタファイズ·ファクター)を発動!ターンエンド!」

 

 血の池地獄の様な風景は消え去り、現れたのは、雷が轟く暗雲の中。俺の背後に亀裂が生じ、中からメタファイズモンスター唯一のバニラ。(メタファイズ·アームドドラゴン)がその姿を覗かせている。

 

鏡子 LP9500 手札4 伏せ3

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

セットモンスター

 

アシン·メタファイズ

魂吸収

 

明日香

 「透子大丈夫かしら。いくらあまり展開しない(メタファイズ)デッキでも流石にそろそろ(ディメンション)で1枚ぐらい除外しそうなものだけど……」

 

鏡子

 「(ディメンション)?あぁ、そもそも鮫島校長から禁止食らってるから入ってねぇよ」

 

 明日香の問いに俺がそう答えると、ヨハンが明日香に尋ねた。

 

ヨハン

 「(ディメンション)?それってどんなカードなんだ?」

 

明日香

 「(メタファイズ)カードが除外されると発動して、1ターンに1度相手のカードを除外するカードよ。永続トラップだから相手ターンにも発動出来るから、メタファイズデッキを最も厄介たらしめるカードね。(メタファイズ·ネフティス)で簡単に手札に加えられるし、このカードが発動されると毎ターンこちらのカードが除外されるから、ジリ貧な戦いを強いられるわ」

 

ジム

 「毎ターンの除外……そんな事をされるならかなりhardだ……by the way tomorrow girl。その(ディメンション)以外に透子ガールのデッキに除去カードはあるのかい?」

 

 ジムの英語交じりな問いに、明日香は首を横に振った。

 

明日香

 「見ている限りは無いわ。(ディメンション)は強力なカードだけど、(メタファイズ)デッキは除去をそれに頼っているから、それがないとなると……かなり苦しいと思うわ」

 

 実際にすげー苦しい。だが俺のコンボは完成直前。それがブッパ出来ればほぼ勝てる。

 そういえば、(毒蛇王ヴェノミノン)には進化体があったような……なんだっけ?

 

コブラ

 「私のターンドロー!」

 

コブラ 手札0→1

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!除外されている(ダイダロス)をデッキに戻して、(ネフティス)を除外!そして(アシン)の強制効果!相手の表示形式を変更!」

 

 上空の膜から光が放たれると、(ヴェノミノン)は防御の姿勢をとり爆散した。

 

コブラ

 「この瞬間を待っていた!トラップカード(蛇神降臨)を発動!(毒蛇王ヴェノミノン)が効果で破壊された時に発動!手札·デッキから(毒蛇神ヴェノミナーガ)を特殊召喚する!」

 

 (毒蛇神ヴェノミナーガ)!?お、思い出した!やべー奴出しちまった!

 

 毒沼から出てきたのは、下半身が蛇な邪神。その威圧感は、(ラーの翼神竜)にも引けをとらない。

 

十代

 「な、なんで(毒蛇王ヴェノミノン)が破壊されたんだ!?」

 

明日香

 「(リミットリバース)の効果ね。この効果で特殊召喚したモンスターは守備表示になると破壊される。まるで(アシン·メタファイズ)の効果を知っていたかの様なコンボね」

 

 困惑する十代と、それを冷静に分析して回答する明日香。いや多分コブラはメインフェイズに守備表示にして自壊させるつもりだったぞ多分。

 

鏡子

 「(毒蛇神ヴェノミナーガ)。こいつは(毒蛇王ヴェノミノン)と同じ打点強化能力に、破壊された時に墓地の爬虫類除外して自己蘇生する上に、他のカードの効果の対象にならないし、効果を受けない。更にオマケであいつに3回殴られると、コブラはデュエルに勝利する効果モリモリモンスターだ」

 

十代

 「そ、そんな!そんな無敵なモンスター突破出来るのか!?」

 

コブラ

 「本当によく知っているな。だが少し訂正だ。このカードが戦闘ダメージを与えたプレイヤーは毒を注入され、3ターン後に貴様はデュエルに敗北する」

 

 まじかよ。戦闘したらすぐに決着つけないといけないじゃねぇか。低速デッキなメタファイズにはキッツイぞ。

 

コブラ

 「(ヴェノミナーガ)の攻撃力は2500!バトルだ!そのセットモンスターに攻撃!アブソリュート·ヴェノム!」

 

(ヴェノミナーガ)の下半身の蛇の口から単眼の蛇が伸びて、セットモンスター(奇采のプルフィネス)に食らいつき爆散した。

 

コブラ

 「私はこれでターンエンド。さぁ、この蛇神を倒せるなら倒してみるがいい」

 

コブラ LP4000 手札1 伏せ0

 

毒蛇神ヴェノミナーガ 攻2500

 

鏡子 LP9500 手札4 伏せ3

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

アシン·メタファイズ

魂吸収

 

十代

 「透子!負けるな!もしお前が負けたら俺達は、学園の皆はどうなる!諦めなければデッキは必ず応えてくれる!」

 

透子

 「とても十代らしい応援だな。だがデュエルは水物。負けるときもある。その時は十代が頑張りな!俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5 黄金櫃0→1

 

 ……良いカードだ!

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!除外された(タイラント)と(ダイダロス)をデッキに戻して効果発動!(タイラント)で手札の(メタファイズ·ラグナロク)を特殊召喚!(ラグナロク)の効果発動!デッキトップを3枚除外!幻界勧誘!」

 

除外されたカード

封印の黄金櫃

左腕の代償

メタファイズ·ファクター

 

 まぁ……うん。ここまで展開すれば十分だから問題ないな。 

 

鏡子

 「(魂吸収)で1500回復!(ダイダロス)は(ネフティス)を除外!そして(アシンメタファイズ)の強制効果でメタファイズ以外のモンスターの攻守が500下がるが関係ない。更に(魂吸収)の効果が発動して500回復!」

 

鏡子 LP9500→11000→11500

   手札5→4

 

鏡子

 「俺は(金満で謙虚な壺)を発動!融合デッキから3枚又は6枚除外して除外した枚数分だけデッキを捲り、その中から1枚を手札に加えて残りをデッキの下に戻す!俺は6枚除外!」

 

捲られたカード

ネクロフェイス

諸刃の剣

次元の裂け目

次元の裂け目

ヘル・テンペスト

トーチ·ゴーレム

 

鏡子

 「俺は(トーチ·ゴーレム)手札に加える。そしてこのターン。俺はカードの効果でドローが出来なくなり、相手に与えるダメージは半分になる。そしてカードが6枚除外されたので3000回復!」

 

鏡子 LP11500→14500 

   手札4→3→4

 

鏡子

 「俺はフィールドにトーチトークンを2体生成して、コブラのフィールドに(トーチ·ゴーレム)を特殊召喚!」

 

鏡子 手札4→3

 

 俺のフィールドに2体の小型のロボットが生まれ、コブラのフィールドで大型ロボットが大地を踏みしめた。

 

 「と、透子さん!?どうしてコブラに攻撃力3000のモンスターを送りつけたんスか!当然そのトークンで上級モンスターを召喚するんスよね!」

 

鏡子

 「残念ながら(トーチ·ゴーレム)を特殊召喚したターン、俺は通常召喚出来ない。いくぜバトルフェイズ!トーチトークンで(トーチゴーレム)に攻撃!」

 

 ヨタヨタした動きで突撃するトーチトークンだが、あっという間に(トーチ·ゴーレム)の鋸によって粉砕された。

 

鏡子 LP14500→11500

 

コブラ

 「ふん、貴様はこれで3000の戦闘ダメージを……うん?3000ダメージ……まさか!」

 

鏡子

 「そう!そのまさかだよ!伏せていた速攻魔法(ヘル·テンペスト)発動!このカードは3000以上の戦闘ダメージを受けた時に発動出来る!お互いのデッキ·墓地からモンスターを全て除外する!」

 

ヨハン

 「デッキ·墓地のモンスターを全て除外!?なるほど、その為の(トーチ·ゴーレム)か!」

 

明日香

 「3000ものLPの消費も(魂吸収)で簡単に賄えるし、(メタファイズ)モンスターは除外されて効果を発揮するモンスターばかり。無駄がない本当にキレイなコンボね!」

 

 目をキラキラさせている明日香。俺もこのデッキを見つけた時は、どうして思いつかなかったんだと感嘆したものだ。

 

 俺の頭上から超巨大な隕石が飛来してデュエルフィールドの中心に落下。猛烈な衝撃波がデッキと墓地のカードを吹き飛ばした。

 

鏡子

 「俺が除外されたモンスターは12枚。コブラが除外されたモンスターは……18枚。そして除外された2体の(ネクロフェイス)がチェーンを組んで発動!お互いに5枚ずつが2回。合計10枚除外してもらう!そして(魂吸収)の効果をチェーン組んで発動!30枚と10枚が2回。合計で……17000LPの回復だ!」

 

鏡子 LP11500→28500

 

ジム

 「wonderful!まさかLPが2万まで回復するなんて!」

 

コブラ 残デッキ38枚→10枚

 

コブラ

 「クッ……墓地の爬虫類が全て除外されたら……」

 

毒蛇神ヴェノミナーガ 攻2500→0

 

十代

 「そうか!(毒蛇神ヴェノミナーガ)は墓地の爬虫類モンスターで攻撃力が決まるから、全部除外すれば攻撃力は0だし自己蘇生も出来ない!」

 

鏡子

 「そういう事だ!バトルフェイズ!(ラグナロク)で(ヴェノミナーガ)に攻撃!攻撃力はメタファイズカードが1枚除外されたから1800だ!」

 

 (ラグナロク)の放つ光のブレスが蛇神を呑み込み、いとも容易く粉砕した。

 

コブラ LP4000→3200

 

鏡子

 「戦闘ダメージを与えた(ラグナロク)の効果で、デッキからレベル7以上のメタファイズモンスターを特殊召喚……出来るんだが全部除外されているから発動出来ない。俺はこれでターンエンドだ」

 

 

鏡子 LP28500 手札3枚 伏せ2枚

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

メタファイズ·ラグナロク 攻1800→1500

トーチ·トークン 攻0

 

魂吸収

アシン·メタファイズ

 

コブラ LP3200 手札1 伏せ0

 

トーチ·ゴーレム 攻3000

 

コブラ

 「私は負けん!愛するリックの為にも!私のターンドロー!」

 

 コブラは右腕のデスベルトを爛々と輝かせ、カードをドローした。

 

コブラ 手札1→2

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!除外されているメタファイズモンスター6枚の効果発動!(タイラント)を戻して手札の(ラグナロク)特殊召喚。効果で3枚除外する」

 

除外されたカード

諸刃の剣

次元の裂け目

マクロコスモス

 

鏡子

 「(魂吸収)で1500回復。(ネフティス)1体をデッキに戻して(アセンション)をサーチ。(ダイダロス)を戻して(ネフティス)除外。そして500回復。もう1枚の(ネフティス)を戻して(ダイダロス)をサーチ。もう1枚の(ダイダロス)で(タイラント)を除外。500回復。最後の(タイラント)をデッキに戻して手札の(ダイダロス)を特殊召喚。このカードは次のターンのエンドフェイズに除外される」

 

鏡子 LP28500→30000→30500→31000

   手札3→5→4

 

メタファイズ·ダイダロス 攻2600

 

鏡子

 「メタファイズモンスターの効果で特殊召喚された(ダイダロス)の効果発動!相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て除外!タイダルウェイブ!」

 

 (ダイダロス)が放つ光り輝く奔流に呑まれた(トーチ·ゴーレム)は光り輝く粒子となって崩壊した。

 

コブラ

 「むぅ……私は(異次元からの埋葬)を発動!除外されている(毒蛇王ヴェノミノン)、(ヴェノム·スネーク)、(ヴェノム·ボア)を墓地に戻す!そして(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる!」

 

コブラ 手札2→1→0→3→1

 

コブラ

 「くぅ……私は……カードを1枚セットして……ターンエンド!」

 

コブラ LP3100 伏せ1

 

鏡子 LP31000 手札4 伏せ2

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

メタファイズ·ダイダロス 攻2600

 

アシン·メタファイズ

魂吸収

 

 ……勝ったな。一応全力でぶん回すか。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5 黄金櫃1→2

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!まずは(黄金櫃)の効果で除外された(ネクロフェイス)を回収。(ネフティス)を戻して、(タイラント)をサーチ。除外された(タイラント)を戻して手札の(タイラント)を特殊召喚!」

 

鏡子 手札5→6→7→6

 

コブラ

 「トラップカード発動!(激流葬)!召喚·特殊召喚に成功した時に発動!お互いのフィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

 猛烈な濁流が幻竜達を飲み込むが、(タイラント)だけは平然と大地に立っていた。

 

コブラ

 「な、何故……」

 

鏡子

 「メタファイズモンスターの効果で特殊召喚された(タイラント)は、罠の効果を受けない。そして同じ条件で特殊召喚された(タイラント)はモンスターを攻撃した場合、2回攻撃が出来る。まぁモンスターいないから意味ないけどな」

 

コブラ

 「だ、だが(タイラント·ドラゴン)の攻撃力では私のLPは削りきれ……」

 

鏡子

 「さっき(黄金櫃)が回収した(ネクロフェイス)を通常召喚して効果発動。お互いの除外されたカードをデッキに戻し、戻したカード×100ポイント攻撃力を上げる。コブラが除外されたカードは33枚。俺の除外されたカードはさっきの(トーチ·ゴーレム)含めて14枚。合計4700ポイント攻撃力が上がる!」

 

 不気味な触手付き顔面が禍々しい光を放つと、除外されているカードがデッキに戻り、更に光を強めた。

 

鏡子 手札6→5

 

ネクロフェイス 1200→5900

 

十代

 「攻撃力5900!?」

 

鏡子

 「バトル!(ネクロフェイス)でダイレクトアタック!異次元タックル!」

 

 不気味な顔面の超高速体当たりを食らったコブラは派手に吹っ飛ばされ、ヘリポートぎりぎりまで後退した。

 

 未だにコブラが起き上がれていないなか、デスベルトが光り輝き、俺とコブラのデュエルエナジーを抜き取った。

 

 抜き取られたエナジーは足元の昇降機を伝い、ヘリポートが猛烈な光に包まれた。

 そして、ようやく立ち上がったコブラの前に、全身オレンジ色で右腕がコブラみたいになっている子供ぐらいの身長の人型が現れた。

 

 その物体は約束と称してコブラにドラゴンクローをかまし、ドラゴンクローから解放されたコブラはうわ言を言いながらヘリポートから転落した。

 

 俺の方も全く無事じゃない。身体に全く力が入らずヘリポートに倒れ込んだ。

 

十代

 「透子!」

 

???

 「十代。さぁ行こう。新しい世界へ!」

 

 オレンジ色の子供は猛烈な光を放ち、目の前が何も見えなかった。

 

鏡子

 「(グラファ)……」

 

 最後の光景は、3体並ぶ(グラファ)と暗黒界達だった。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「ッ………アッ……」

 

 目が覚めると、俺は十代に抱きかかえられていた。女だったら役得だったんだけどな。

 

 十代が俺を降ろすと、ヘリポートの端へ向かい、すぐ近くにあるアカデミアを眺めた。

 

十代

 「なんだ……ここは」

 

 俺も這々の体でアカデミアを眺めると、そこには砂漠の中にポツンと佇むアカデミアの姿があった。

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