暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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お久しぶりです。本来ならそのままボンボンと連続投稿すればいいのですが、読み直していると手札枚数ミスとかがちょくちょく見つかったりするので投稿が不定期になります。ご了承ください。


第二次異世界編
24.相棒の名前と新たな力


 

〜〜〜

 

鏡子

 『ここは……アカデミア……か?』

 

 実体のない身体を起こして立ち上がると、目の前に海が広がっていた。どうやら俺達は元の世界に帰ってこれたらしい。

 

ブラウ

 『主!』

 

ベージ3人衆

 『旦那ぁ!』

 

 寄ってくる4体のモンスター。敵意は無さそうだがなんでだろう、見ていて胸が痛む。

 

ブラウ

 『主。我々の事。覚えていますか?』

 

鏡子

 『いいや。でも、お前らを見ていると、苦しくて……悲しくて……もう少しで、何かが思い出せそうなんだ』

 

 俺がそう言うと、ブラウはどこからか本を取り出して開いた。すると、特徴的なドラゴンのビジョンが姿を現した。

 

鏡子

 『お前は……(グラファ)!十代が使ってたエースじゃねぇか!』

 

グラファ

 『あの似非闇のデュエリスト以来だな。だが、その言い方。どうやら余の事は覚えていないのか。余は悲しいぞ』

 

 なんだ。まるで頭が掻き回されている様なこの感覚は。(グラファ)の言葉一つ一つが、ボンヤリとした物が少しずつ鮮明にさせていく……もう少しで……あと少しで何かが思い出せそうな……

 

グラファ

 『別に余は捨てられた事は怒っていない。デュエルしていればいつもの事だからな。だが、忘れられるのは流石に悲しいぞ。我々が、何か悪い事をしたのか?』

 

 蘇る一筋の記憶。その言葉が脳裏で木霊する。

 

 最近、主は我々をあまり使っていない。そんなに、我々が頼りないか?

 

鏡子

 『うっ……ッ……ゥア……』

 

 全部……思い出した。鮫島に暗黒界を解体させられた事。それに絶望して、身勝手な理由で暗黒界を崩した事。そして色んなデッキで暴力を振るい、しまいには三幻魔に手を出して暗黒界の皆を傷つけた事。

 

鏡子

 『ごめんな……ごめんな……全部思い出したんだ。こんな……こんな身勝手な主人でごめんよ!俺なんか……俺にお前らを扱う資格なんて!』

 

 気づけば、俺は膝を突いて涙を流していた。俺はあんなにも酷い事をした。罵倒されて、縁を切られても文句は言えない。あんなにも……愛していたのに……

 

ブラウ

 『顔を上げて下さい主。我々は今までも、そしてこれからも主の側に居続けます。例え、主が嫌と言ったとしても』

 

鏡子

 『ありがとう……それでも俺はやっぱり、1つのデッキだけを愛する事はできないんだ。それでも……俺についてきてくれるのか?』

 

 どんなに暗黒界を愛していたとしても、やっぱり除外が怖い。除外をメタるには、どうしても他のデッキが必要なんだ。

 

 それに俺は……OCG次元のデュエリストだ。面白そうなカードやデッキを見つけたら、真似してそのデッキを組んでしまう浮気者だ。この世界の住民みたいに、1つのデッキに魂を注ぐことなんか出来やしない。

 

ブラウ

 『ええ、例え我々が他のデッキのオマケであったとしても、我々を使ってくれる。それだけで我々は十分です。それが、カードの精霊というものなのですから』

 

 前にいる(ブラウ)を見上げると、普段見せない不格好な笑顔を見せていた。

 

鏡子

 『お前ら……お前らあぁぁ!俺はもうお前らの事を忘れない!忘れてなるもんか!』

 

 気づけば俺は、(ブラウ)に抱きついて涙を滝のように流していた。

 

 

 

鏡子

 『ふぅ……本当にありがとうな。これでまたお前ら暗黒界と共に戦う事が出来るようになった。でも、デュエルする前にやらなければならない事がある』

 

ブラウ

 『やる事……なるほど鮫島校長に我々を使える様にする許可を得るのですね?』

 

鏡子

 『あってるにはあっている。だが正解は三幻魔を盾に脅す事だ』

 

 早速俺は透子の元へ合流する為に、自室へ向かう。借りパクしてしまった三幻魔のカードを手にしながら。

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「凄い物を見てしまいました」

 

 異世界から帰ってきたのに気づいた直後に鏡子の声が聞こえたので盗み見していたら、ドラマのワンシーンにありそうな感動的な会話を聞くことが出来ました。

 

 もし私がライトロードの皆さんを意のままに呼び出せたなら、(オルクス)さんに録画してもらいたかったぐらいに感動的でした。

 

 ッ!こっちに来てる!まさか聞かれているのがバレたのでしょうか?早く遠くへ……

 

鏡子

 『よぅ透子!さっきぶりだな!所で少し身体貸してくんねぇかな?鮫島校長に用があるんだ。大丈夫だってすぐ終わる』

 

透子

 「アッハイ」

 

 鏡子の殺意に満ちた表情にビビってつい2つ返事で返してしまいました。

 

 一瞬意識が飛び、身体の主導権を奪われてしまいました。

 

 

 

〜 校長室 〜

 

 俺は扉を乱雑に開け開き、中に入った。

 

鏡子

 「鮫島ぁ!俺の用件は唯一つぅ!俺の暗黒界と未界域返せぇ!」

 

鮫島校長

 「と、透子さんノックしないのはまぁ良いとして、そんな事をしたら生徒達が」

 

鏡子

 「実際俺は多くのデュエリストを引退に追いやった!だがそれだけの為に1人の満足を奪うのがお前の“リスペクト”かぁ!」

 

 リスペクトに触れられたのか、鮫島の眉が動く。

 

鮫島校長

 「リスペクトとは、如何に相手の全力を……相手の妨害を含めた上で、それを乗り越える事。別にバーンやコントロール奪取、ロック効果を否定するものではありません。しかし透子さん、貴方の場合その妨害する力があまりにも強すぎた。相手に文字通り何もさせない。デュエルモンスターズを根底から否定し得るそれを可能にする貴方を、黙って見ている訳には行かなかったのです」

 

 なるほどねぇ、ただ強い奴を杭叩きする為じゃなかった訳ね。だが俺が求めるのは未界域暗黒界の復活。そんなものは関係ないしどうでもいい。

 

鏡子 

 「なるほど、今までただサイバー流だけが満足するためだけのクソみたいなルールだと思っていたが、これが真意か。確かにそれができたら楽しいよなぁ。だが関係ない!」

 

 俺は3枚のカードを鮫島校長に見せる

 

鮫島校長

 「それは三幻魔のカード!いったい何故!」

 

鏡子

 「紆余曲折あって借りたんだが借りパクしてしまってね。まぁそれはいい、選択肢は2つに1つ。1つ、大人しく制限を解除する。2つ、拒否してここで三幻魔を3体召喚するか。さぁ選べ!」

 

鮫島校長

 「三幻魔を出したらどうなるかわかっているのですか!?」

 

鏡子

 「あぁ痛いほど理解しているさ!さぁ!早く俺の暗黒界を解放しろ!そうすれば、俺は2度とこの脅しをしない!」

 

 鮫島校長が苦悶の表情をしている。校長は俯き、重々しく口を開いた

 

鮫島校長

 「……分かりました。私が今まで貴方に課した制限を全て解除します。ただし、授業や月一テストでは別の、妨害能力がそこまで高くないデッキでデュエルして下さい。これ以上は妥協出来ません」

 

鏡子

 「取引成立だ。これで俺は今までのデュエルが出来るんだ。三幻魔はこちらできっちり持ち主に返しておくよ」

 

 俺は三幻魔をポッケにしまい、校長室を後にした。本来ならここで返したかったけど、これは(ユベル)からの借り物。又貸しは良くないからな。

 

 

〜 廊下 〜

 

鏡子

 「よぉ〜し暗黒界も復活したし、もう満足だぜ〜」

 

 俺が職員室前を歩いていると、1つの張り紙が目についた。

 

 新弾発売!ワクワクエクシーズパック!新たな召喚法“エクシーズ召喚”実装!エクシーズ召喚をサポートするカードも多数収録!これでみんなもエクシーズ使いだ!

 

 この張り紙を見た瞬間、身体中の血が一瞬にして湧き上がり爆発した。

 

鏡子

 「キッッタゼエェェ!」

 

ブラウ

 『主!一体どうしたのですか!』

 

鏡子

 「ブラウ!パック5枚ぐらい買いに行くぞ!透子の為になぁ!俺は神になる!いや、神を超えるぅぅ!」

 

ブラウ 

 『お労しや主……』 

 

 なんか(ブラウ)がなんか言ってんなぁ。そんな事は気にも止めずに俺はパックを求めて購買へ走る。

 

 

〜 自室 〜

 

透子

 「ハァ……ハァ……どうして走らなければ行けなかったんですか?」

 

鏡子

 『済まねぇな。つい気が昂り過ぎてな。なんでか知らねぇが購買には誰もいなかったな。早速パック剥こうぜ』

 

使えそうなモンスター一覧

·交響魔人マエストローク

·ジェムナイト·パール

·竜巻竜

·恐牙狼ダイヤウルフ

·始祖の守護者ティラス

·EMトリック·クラウン

 

 他にも(ゴブリンドバーグ)や(ブリキンギョ)などのレベル4を展開できるモンスターが多く当たりました。

 

透子

 「……強いカードがいっぱいですね」

 

鏡子

 「当たりとしては(サイクロン)内蔵した(竜巻竜)、エクシーズ版(スクラップ·ドラゴン)の(ダイヤウルフ)。墓地に行くと1000バーン受けて自己蘇生する(トリッククラウン)だな。大目に見てそこそこ場持ちのいい(ティラス)。」

 

 け、結構厳しめですね……(マエストローク)と(パール)には目もくれません。

 

鏡子

 「(ティラス)以外のカードは透子にやるよ。ライトロードはレベル4が並びやすいからな」

 

透子

 「本当に……いいんですか?」

 

鏡子

 「良いんだよ。俺は後でカードを調達するからさ。ささ、走って疲れただろ?早く寝てくれよ」

 

 な、なんだか急かされている気がしますが……確かに疲れたので眠りましょうか。

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「寝たな?」

 

ブラウ

 『ええ。深い眠りを確認しました』

 

 俺は早速スマホを開き、カードを購入していく。透子は結構良いエクシーズ引いてたけど、追加で(彼岸の旅人ダンテ)、(ガガガガンマン)を入れてやろう。あと(サウザンドブレード)と(ゾンビキャリアー)と(ジェット·シンクロン)も入れてやろう。

 

ブラウ

 『主、やたらレベル……いやランク8が多いですね?ここは出しやすいランク4を選ぶのでは?』

 

鏡子

 「フッフッフ……ここで問題だ。我らがエースである(グラファ)のレベルはいくつだ?」

 

ブラウ

 『れ、レベル8……まさか!』

 

鏡子

 「そう!沢山ランク8が作れる!そして効果を発動する為に使う素材は墓地に行くから(グラファ)が自己蘇生出来る!そして一部の未界域モンスターはレベル8!こいつらも素材に使える!(宝札)を絡めれば60枚全部引ききる事だって不可能じゃない!」

 

ブラウ

 『た、確かにこれは……凄まじい事です。もしかしたら、(ブロン)の野望も打ち砕けるかもしれません!』

 

鏡子

 「(ブロン)?誰だそいつ」

 

ブラウ

 『(暗黒界の狂王ブロン)です。彼は今(暗黒界の洗脳)を用いて暗黒界軍をほぼ全てを掌握し、(超融合)を作ろうとしているのです』

 

 (超融合)。それはストーリーに関わる重要なカード。(暗黒界の洗脳)はわりと最近のカードだし、もしかしたらそのせいで十代が負けるかもしれない。何かしらの介入が必要だ。

 

鏡子

 「(超融合)だって!?とにかく困っているなら主である俺も協力するぞ!お前らに恩返しをしなければならない!」

 

ブラウ

 『ありがとうございます。その為には、我々の故郷である異世界へ行く必要があります。そこへのルートはもう確保してありいつでも行けます』

 

 早速乗り込もうと思った瞬間。腹の音が激しくなった。

 

鏡子

 「……腹減ったな。まずは昼飯にしてからだな。そういえば、ヨハンは見なかったか?」

 

俺の問いに対して、(ブラウ)は首を横に振った。

 

鏡子

 「十代達はきっとヨハンを助けに行くだろうな。あいつらのデッキで異世界に耐えられると思うか?」

 

ブラウ

 『彼等はきっと大丈夫です。何故ならもう異世界を生き抜いたのですから』

 

鏡子

 「杞憂だったか。それじゃあ早速飯に行くか」

 

 俺は自室から出て、食堂へ向かった。

 

 そして、俺は部屋に戻ったあとに荷物を纏めて異世界へ足を踏み入れた。十代の部屋の前にカードを入れた手紙を置きながら。

 

〜〜〜

 

 

鏡子

 「ここが……異世界か」

 

 異世界の裂け目を抜けると、穴の開いた岩山が四方に立ち並ぶ薄暗い世界。そして暗黒界達の世界でもある。

 

ブラウ

 「主。我々の拠点へ案内します。少し長くなるのでお覚悟を」

 

 まじかぁ……しゃあない。腹くくって行こう。

 

 先頭を(ブラウ)が歩き、俺はそれについていく。実体化していた足で大地を踏みしめながら

 

 

 

〜 オシリスレッド寮 〜

 

ハネクリボー

 『クリクリィ〜クリクリィ!』

 

 俺がベッドで寝ていると、(ハネクリボー)が騒いでいた。なんでも異世界の扉が開いたみたいだ。

 

十代

 「それは本当か!よし!すぐに行く!待ってろよヨハン!」

 

 俺はすぐに荷物を纏めて部屋を出ると、足元にカードが入った手紙が落ちていた。

 

 十代へ。

 この手紙を読んでいるということは、俺はもう異世界へ行った頃だろう。俺は紆余曲折あって暗黒界達と共に、遺跡に存在する次元の裂け目から異世界へ飛んだ。多分裂け目が残っているから十代も行けるだろう。

 だが、異世界に行く時に考えて欲しい事がある。それは力を持つものには責任が伴うと言うことだ。

 十代が異世界に行ったら周りはどう動くか。冷静に考えて行動する事を勧める。

 

十代

 「鏡子も異世界に……力ある者には責任が伴う?と、とにかく異世界に行ける機会があるんだ!考えてる暇はない!一刻も早くヨハンを助けないと!」

 

 俺はカードを素早く抜き取って手紙を投げ捨てて、遺跡へ走る。デッキの調整は時間があったらやろう。

 

 

〜 ジャスティス·ワールド 〜

 

 西洋風の建物の真ん中で、私は目を覚ましました。周りには、(ライトロード)の皆さんの姿がありました。

 

透子

 「ここは……ジャスティス·ワールドですか?」

 

ルミナス

 「そうだよ。僕が君を呼んだんだ」

 

 起き上がると、少し顔色が悪そうな(ルミナス)さんが手を差し伸べてきました。私は手をとって立ち上がります。

 

透子

 「どうして私を呼んだのですか?」

 

ルミナス

 「ライトロードデッキの主として、今後の事を話さないと行けないからね」

 

 (ルミナス)さんは激しく咳き込むと、話を始めました。

 

ルミナス

 「単刀直入にいうと、とうとう暗黒界との衝突が避けられない領域に突入した。(超融合)の物と思われるエネルギーは留まる事を知らず、完成は時間の問題だろう。だからこそ暗黒界と遅延戦闘を行い、それと平行して(超融合)を破壊する!」

 

ライラ

 「作戦は分かったわ。でも、魔力はどうするの?異世界の時に(裁きの龍)を実体化させたから、作戦の大規模な縮小は避けられないわよ?」

 

 (裁きの龍)ってあれ実体化してたんですね……あの存在感なら納得です。

 

ルミナス

 「そうなんだよ……本来なら僕達ライトロードが戦闘を行い、期を見計らって(裁きの龍)を投入して短期間で殲滅。引導を渡す所なんだけど……介入が長引くと(裁きの龍)を投入出来ない可能性、いや最悪強制撤収する可能性すら出てきたんだよね。(ソーラー·エクスチェンジ)で太陽光から魔力を抽出しているとはいえども、流石に暗黒界相手に(裁きの龍)無しではかなり苦しい」

 

 ま、魔力ってそうやって抽出してたのですね。あと(ルミナス)さんがふらついているのはなんででしょう。

 

ガロス

 「かといって介入しなかった場合、(超融合)が完成し世界が滅ぶ可能性が高まる。それだけは避けないといけないが……」

 

 (ガロス)さんが悩ましそうに口にすると、(オルクス)さんが駆け込んで来ました。

 

オルクス

 「報告!遺跡に存在する次元の裂け目が拡張!暗黒界のしわざである事が確認出来ました!更に十代君が遺跡に近づいています!」

 

ルミナス

 「それはつまり、鏡子を異世界に入れようとしているということ!透子!異世界に乗り込んで!鏡子が暗黒界の指揮をとったら……もう僕達だけじゃ手がつけられなくなるかもしれない!」

 

透子

 「わ、わかりました。ところで(ミネルバ)さんがいませんけど、どうしたんですか?」

 

 私がそう言うと、(ライラ)さんが口を開きました。

 

ライラ

 「彼女は今守護天使になるために、試練の練習をしているわ。まだ始めたばかりだから上手くは行ってないけど……」

 

 試練……あんなに小さい子でも試練を受けるんですね……私も頑張らないと。

 

 それに、十代さんはとにかく無茶をする人です。止められるといいのですが……

 

ルミナス

 「頼むよ透子さん。鏡子を止められるのは君だ……うっ」

 

 突然(ルミナス)さんが大きくふらついて倒れてしまいました。慌てて近くにいた(ケルビム)さんが抱きかかえます。

 

透子

 「(ルミナス)さん!大丈夫ですか!?」

 

ルミナス

 「最近ちょっと働きすぎたかな……鏡子と戦ってからしばらくこの調子で……(ジェニス)にも止められたけど、隊長として欠席する訳にもいかなかったんだ。透子、僕の事は気にせずに行くんだ!」

 

透子

 「は、はい!(ウォルフ)さん!案内お願いします!」

 

ウォルフ

 「ほいほい。せっかくだし乗せていくよ」

 

 私は(ウォルフ)さんの肩に乗って人間世界への扉へ向かいます。

 

 それにしても、精霊にも過労ってあるんですね。(ルミナス)さんは多分(ベージ)さんと気が合うんじゃないでしょうか?

 

〜〜〜

 

 

 視界が一瞬霧に包まれたと思ったら気づけば夕暮れになっていました。

 

 なんとなく机を見ると、そこにはカードがおいてありました。

 

透子

 「これは……(H·Cサウザンド·ブレード)と(BF精鋭のゼピュロス)……(彼岸の旅人ダンテ)?」

 

 効果を読んでみると、(サウザンドブレード)はダメージを受けると墓地から蘇生出来るレベル4モンスター。(ダンテ)はコストでデッキトップからカードを3枚まで墓地に送れるランク3エクシーズモンスター。どれも強力なカードです。

 

 きっと鏡子が置いておいたのでしょう。墓地肥やしが捗りますし、(トリッククラウン)と(サウザンドブレード)でランク4が立てやすくなるのはいい事です。(ゼピュロス)は(ルミナス)さんを使いまわせますし闇属性なので、効果を使った後も(カオス·ルーラー)のコストに出来ます。

 

 後は……何か(ミネルバ)さんに何か手伝える事があればいいのですが……まぁ今考えても仕方ありません。一先ず異世界の裂け目がある遺跡に向かいましょう。

 

 

〜 遺跡 〜

 

 古代のロマン漂う夜の遺跡に行くと、そこには十代さんが裂け目に足を踏み入れようとしていました。

 

透子

 「本当に……行くんですね?」

 

十代

 「……ああ。俺はヨハンを助け出さないといけない。それが俺の責任だ」

 

 十代さんの表情は見えませんが、後ろ姿だけでも覚悟を感じる事ができます。止めることはできないでしょう。

 

透子

 「では行きましょうか。私も異世界に用があるのです」

 

 私は十代さんを抜いて、異世界へと飛び込みました。

 

 きっと明日香さん達も異世界に来ることでしょう。その時、十代さんはどう動くのでしょうか。彼女らを無視して、ヨハンさんを助けに行くのでしょうか。

 

 

 

 裂け目を潜ると、そこは薄暗くて不気味な岩山が点在する世界。どうやら砂漠の世界とは別の異世界に来た様ですね。

 

ライコウ

 『どうやら暗黒界の本拠地から遠いところに飛ばされたようだ。残念だが我々は案内は出来るが先導は出来ない』

 

 まぁ想定内ですけど……案内があるだけマシと思いましょう。でもやっぱり守ってくれる人が欲しいです。

 

ライコウ

 『そんな寂しそうな顔をするな。そうだな……まずは我々の代わりに透子を守る存在を確保しよう。確か透子は(霞の谷のファルコン)を持っていた筈。彼女はこの近くにある鳥獣族が支配する地域にいるだろうから連れて行くと良いだろう。こっちだ』

 

 私は(ライコウ)さんの案内を頼りに先へ進みます。まさか(ファルコン)をお供にするなんて……どんな人?なのでしょうか。

 

〜〜〜 

 

 地下なのに異常に明るくて、岩で出来た建物で構成される都市。私はその下層の方に降りてきました。

 

透子

 「ここが……鳥獣族の集落ですか……ッ!」

 

 下に降りると、そこには(はにわ)を嬉々として鞭を振るい強制労働させている鳥獣族の姿がありました。

 

 思わず辞めさせようと飛び込みそうになりましたが、(ライコウ)さんの制止の後が頭に響きました。

 

ライコウ

 『よせ。心苦しいが今の我々には時間がない。急いで(ファルコン)を探すんだ』

 

 確かに私にはあまり時間が残されていません。でも虐げられている精霊を見殺しにするのはかなり心にきます。

 

 見ていられなくて目をそらしかけた瞬間に、周りと比較して鞭を多くは振るっていない(霞の谷のファルコン)を発見しました。

 

 慎重に建物の隙間を縫って近づくと、(ファルコン)さんの悲痛な声が聞こえてきました。

 

ファルコン

 「ごめんなさい……ごめんなさい……僕なんかが生きる為に……皆を傷つけてごめんなさい……」

 

 (ファルコン)さんの頬には微かに涙が浮かんでいました。そして身体の所々に打撲の痕が見えます。とにかく(ファルコン)さんを呼び出さないと……

 

 とりあえず、周りの鳥獣族に気づかれない様に慎重に声を絞りながら手招きすると、こっちに気付いて近寄って来ました。

 

ファルコン

 「貴方……人間?どうしてここにいるの?」

 

透子

 「私は透子って言います。ところで(ファルコン)さん。貴方はどうして泣いているのですか?」

 

 私がそう尋ねると、(ファルコン)さんは胸に手を当てて俯き、ポツリポツリと話し始めました。

 

 要約すると、1週間ほど前に彼女は別の世界からうっかり迷い込んでしまい、この都市に来てしまったそうです。

 そして彼女はレベルの低いモンスターを強制的に働かせる場所で暮らすことになってしまい、本来なら弱き物を守るための力を、虐げる為に使う自分に苦しんでいたそうです。

 身体の痣は、この仕事に抵抗した時に上司に付けられた物らしいです。

 

透子

 「なるほど……それじゃあ私の所に来てみませんか?私、デュエリストなので貴方のカードを持っているんです」

 

 私が(霞の谷のファルコン)を見せると、(ファルコン)さんはとても驚いた表情を浮かべました。

 

ファルコン

 「本当に……いいんですか?僕……他のカードを戻しちゃうんですよ?」

 

透子

 「戻すから良いんですよ。それに貴方の強さは私が1番知っています。貴方の力が、私には必要なんです」

 

ファルコン

 「……ありがとうございます!」

 

 私が手を差し伸べると、(ファルコン)さんは涙を拭い、手を取りました。

 

???

 「(霞の谷のファルコン)!こんな所で何をやっている!」

 

 どこからともなく響く羽ばたきの音。その正体が私の目の前に降り立ちました。

 

ファルコン

 「か、(カラス天狗)様!?」

 

 えっ……誰ですか?この和服を身に纏った鳥人は?

 

カラス天狗

 「(霞の谷のファルコン)。何故人間と共にいる。まさか儂の杖の味を忘れたとは言うまいなぁ?」

 

 手に持つ杖を手の上でポンポンさせる天狗。この人が(ファルコン)さんを傷をつけたのでしょうか。

 

カラス天狗

 「人間。何故お前はこの低レベルモンスターの区域にいる。今の内に逃げおおせれば生きて帰れるかもしれんぞ?」

 

透子

 「私は(ファルコン)を連れて帰りに来たんです!私は(ファルコン)さんと一緒に貴方を倒します!」

 

 私がデュエルディスクを起動して構えると、天狗が大きな声で笑い出しました。

 

カラス天狗

 「レベル5の儂にレベル4の(ファルコン)が勝てるとでも?だが良いだろう。その無謀なデュエルを受けてやろう!」

 

 天狗は暴風を生み出し、デュエルディスクを形作りました。

 この闘い。負ける訳にはいきません。

 

ファルコン

 「透子!僕の故郷の切り札!受け取って!」

 

 私の側にいた(ファルコン)さんは、1枚のカード(霞の谷の神風)を手渡してきました。

 

 私はこれをデッキに入れてデュエルディスクを構えます

 

カラス天狗·透子

 「デュエル!」




エクシーズ召喚実装。これにより、暗黒界·ライトロード共にパワーが爆上がりしました。

 また、デュエルターミナルでは霞の谷のファルコンが明らかな男声ですが、拙作ではボクっ娘女子として描きます。
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