暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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27.悪魔の力と決意

 

 

 無数の穴が空いている空間から1つの穴へ飛び込むと、そこには巨大な闘技場があった。

 

鏡子

 「うわっとと!ここがアリーナか」

 

スノウ

 「うむ。本来ならここで兵士が訓練する様を見れる場所なのじゃが……今は(ブロン)がここで(超融合)を作っておる」

 

 (スノウ)が恨めしそうに吐き捨てた。

 

鏡子

 「あっそうだ。(スノウ)、俺って魔法の才能とかあったりしないか?」

 

スノウ

 「あの世界に才能を持つ人間はそう多くは……む?お主意外と素質あるぞ?簡単な魔法ならちょっと教えれば出来そうじゃ」

 

 う、嘘!?まじでぇ!?

 

鏡子

 「じゃあ俺(マインド·クラッシュ)やりたい!」

 

スノウ

 「流石に精神破壊はかなりの練習が必要じゃが……1分ぐらい気絶させる程度なら道中で教えられるじゃろう」

 

 その後俺達は(マインド·クラッシュ)の練習をしながらアリーナの門を潜った。そこには観客席に暗黒界のモンスターを含む多くの悪魔族モンスターがやんやんやと騒ぎ立て、台座のような場所に座る(ブロン)の姿があった。

 

鏡子

 「俺の名は古神鏡子!(グラファ)の勅命を受け、(ブロン)の野郎を転がし、(暗黒界の洗脳)を破壊する為に来た!臆病者じゃないならば、デュエルで決着つけようぜ!」

 

ブロン

 「ほぅ?この俺に用とな?デュエルを売られたら、買うのが俺の信念。良いだろう。そのデュエルを買おう」

 

鏡子·ブロン

 「デュエル!」

 

ブロン

 「先攻は俺だ。ドロー!」

 

 デュエル吹っかけたのは良いが……暗黒界ミラーか……地獄だな。後攻で安心したぜ。なおウイルスと墓穴。

 

ブロン

 「俺は(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる」

 

ブロン 手札6→5→6→5

鏡子 手札5→6→5

 

ブロン

 「捨てられた(ゴルド)の効果発動!墓地から特殊召喚!」

 

鏡子

 「相手にハンデスされた(ブラウ)の効果発動!合計2枚ドロー!」 

 

鏡子 手札5→7

 

ブロン

 「な、貴様も暗黒界か……いや、確か貴様は(グラファ)の命令を受けてきたとか言ってたな?」

 

鏡子

 「ああ、(ブロン)!なぜ(暗黒界の洗脳)を使って軍を掌握してこんな侵略をしている!」

 

 俺がそう尋ねると、(ブロン)はゲス声で笑い声を上げて話し始めた。

 

ブロン

 「戦争をする為だ。(グラファ)の政権になってから戦争する機会が全くなくなった。それが嫌で嫌でたまらなくてなぁ。(超融合)を作るという口実をでっち上げて、楽しく戦争してるんだよぉ!」

 

 戦争を……楽しむ?資源を浪費し、多くの傷を生み出す戦争を遊びだと?

 

鏡子

 「(ブロン)……貴様だけは……貴様だけは絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛!」

 

ブロン

 「ふっ、そうだ!殺気をぶつけてこい。殺気だっている相手を潰すのが面白いんだからな!」

 

ブロン

 「俺は(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる。捨てられた(ブラウ)、(シルバ)の効果発動!(シルバ)を特殊召喚し、(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

ブロン 手札5→4→7→5→6

 

ブロン

 「俺はモンスターをセット。フィールド魔法(ダーク·ゾーン)を発動してカードを1枚セット。ターンエンドだ」

 

ブロン LP4000 手札4 伏せ1

フィールド (ダークゾーン)

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300→2800

暗黒界の軍神シルバ 攻2300→2800

セットモンスター

 

鏡子 LP4000 手札7 伏せ0

 

 え?ショボ。こんだけかよ。セットモンスターは(メタポ)だろうし効果破壊してやればいい。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札7→8

 

ブロン

 「貴様に絶望をくれてやる!永続トラップ発動!(暗黒界の洗脳)!」

 

 早速来たか(洗脳)。効果は俺も知っている。あのカードは手札が3枚以下だと発動出来ないし、フィールドに暗黒界がいないと発動出来ない。

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ。俺は手札の(未界域のビッグフット)の効果発動!手札を選んで、そいつが(ビッグフット)ならそのまま墓地へ、外れれば特殊召喚して1枚ドロー!」

 

ブロン

 「(洗脳)の効果発動!(シルバ)を手札に戻し、俺の手札をランダムに捨てる!捨てられたのは(暗黒界の策士グリン)!魔法罠を破壊できるが破壊するものが無い」

 

ブロン 手札4→5→4

 

 

鏡子

 「さて、キリがないからそろそろ動こうか。(天使の施し)発動!3枚ドローして2枚捨てる!捨てられた(グラファ)をチェーン1対象は(洗脳)、(ベージ)をチェーン2で組む!」

 

鏡子 手札8→7→10→8

 

ブロン

 「ならば(洗脳)を発動!(ゴルド)を戻して効果を書き換える!」

 

鏡子

 「逆順処理に入る。まずは(洗脳)で(ベージ)の効果が書き換わる。チェーン2の(ベージ)でランダムハンデス。そしてチェーン1の(グラファ)で(洗脳)を破壊!」

 

 墓地から黒い瘴気が勢いよく吹き出し、(洗脳)を破壊した。

 

ブロン

 「な!何故だ!何故(グラファ)の効果を書き換えられぬ!」

 

鏡子

 「俺は(施し)で同時にモンスターを2体落とした。同時に発動タイミングが同じ効果を発動した場合、ターンプレイヤーは好きな順番でチェーンを組める。(洗脳)は前のチェーンの効果しか書き換えられない。よって俺は(ベージ)を盾にして(グラファ)の効果を通したってわけだ。そろそろ(洗脳)でハンデスしたモンスター効果発動していいぞ」

 

ブロン

 「俺が捨てたのは(暗黒界の魔神レイン)!墓地から特殊召喚して効果を発動したいが……そっちにカードが無い」

 

 出てきたのは、三叉の槍を持った魔神。威厳たっぷりなモンスターだが、こいつは相手にハンデスされた時の効果しか持ってないから基本的に(セルリ)でハンデスしないと使えないんだよな。まぁ効果は(サンボル)か(羽根箒)選べるから悪くはないんだがな。

 

ブロン 手札4→5→4

 

 さて、邪魔もなくなったしソリティアするか。

 

鏡子

 「(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(スノウ)を除外。そして(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚。効果発動!手札·デッキからレベル3のモンスターを効果無効にして特殊召喚!来い!(魔サイの戦士)!」

 

鏡子 手札8→7→9→8→7

 

 現れたのは、左手に小さな旗を持ったバスガイド。彼女の背後でバスが到着し、中からサイの戦士が出てきた。

 

ブロン

 「何かと思えばレベル3の貧弱モンスターではないか。そんなモンスターで何が出来る!」

 

鏡子

 「こうするんだよ!俺はレベル3の(バスガイド)と(魔サイの戦士)でオーバーレイ!異次元の海蛇よ!今こそこの世界に舞い降りて、異次元の架け橋となれ!エクシーズ召喚!ランク3、(虚空海竜リヴァイエール)!」

 

 ガイドとサイの戦士が紫色の玉に変化して銀河の渦のような物へ入っていく。

 銀河の渦が爆発し、その中から、2つの玉を周囲で回転させている水色の海蛇が飛び出した。

 

ブロン

 「な、なんだこのモンスターは!」

 

鏡子

 「こいつはエクシーズモンスター。それ以上知る必要性はお前には無い!(リヴァイエール)の効果発動!素材である(魔サイの戦士)を墓地へ送り、除外されているレベル4以下のモンスター(スノウ)を特殊召喚!」

 

 周りに浮かぶ素材を取り込んだ(リヴァイエール)が異次元の裂け目を作り出すと、そこから(スノウ)が飛び出してきた。

 

鏡子

 「素材として墓地へ送られた(魔サイの戦士)の効果発動!墓地へ送られた場合、デッキから悪魔族モンスター(グラファ)を墓地へ送る!そして(スノウ)を手札に戻して来い!暗黒界の頂点に立つものよ!(暗黒界の龍神グラファ)!」

 

 (スノウ)が天高く飛び上がると、地面から(グラファ)が咆哮を上げ飛び出してきた。

 

鏡子 手札7→8

 

グラファ

 「(ブロン)。さっきの話は聞かせてもらった。自身の娯楽の為だけに軍を動かすなど言語道断!私がこの手で裁きを下す!」

 

 珍しく怒ってんな。そりゃそうか。勝手に国の一部を動かしたんだもんな。

 

鏡子

 「ああ、俺も同じ気持ちだ(グラファ)!だが少し辛抱してくれ、俺は今から全力でデッキをぶん回す!手札の(ビッグフット)の効果発動!さぁ手札を選べ!」

 

ブロン

 「1番左だ!」

 

鏡子

 「選ばれたのは(未界域のモスマン)!(モスマン)捨てて(ビッグフット)特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(モスマン)の効果発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!」

 

鏡子 手札8→7→6→7→8→7

ブロン 手札4→5→4

 

ブロン

 「ならば俺は(カーキ)を捨てる!捨てられた(カーキ)の効果発動!(グラファ)を破壊する!やれ(カーキ)!腰抜けの首を掻き切れ!」

 

 墓地から飛び出して来た(カーキ)は一瞬で(グラファ)の背後に回り、うなじをその手の短剣で切断して(グラファ)を破壊した。

 

鏡子

 「無駄だ!(ベージ)を戻して(グラファ)蘇生!(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(ブラウ)を除外!よし来た(生還の宝札)を発動!そして(暗黒界の門)発動!墓地の(魔サイの戦士)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果発動!(暗黒界の門)をサーチ!」

 

鏡子 手札7→8→7→9→8→7→6→5→6→7

 

鏡子

 「(門)を張り替え!効果発動!(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)を蘇生!(宝札)でドロー!戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札7→6→5→6→7→8

 

鏡子

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!効果は(ビッグフット)と同じだ!」

 

ブロン

 「ならば右から2番目だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(セルリ)!(サンダーバード)を特殊召喚して1枚ドロー!そして(セルリ)の効果発動!相手フィールドに特殊召喚して強制効果発動!俺は手札を1枚捨てる!捨てるのは(ゴルド)だ!」

 

 相手フィールドに降り立つ(セルリ)は、不気味な魔法を放ち、俺の手札にある(ゴルド)を撃ち抜いた。

 

鏡子 手札8→7→6→7→6

 

鏡子 

 「相手にハンデスされた(ゴルド)の効果発動!蘇生して相手のカードを2枚対象に破壊!俺は(レイン)と(ゴルド)を破壊!こいつは一連の効果処理なので(宝札)でドロー出来ない!」

 

 墓地から飛び出してくた(ゴルド)はその大斧を振るい豪快に2体のモンスターを両断してみせた。

 

鏡子

 「(ゴルド)戻して(グラファ)!(宝札)でドロー!俺はレベル8の(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!真なる騎士よ、その神秘なる力を以て我を守護する盾となれ!エクシーズ召喚!ランク8(真竜騎士フェルグラント)!」

 

 大猿と(グラファ)は紫色の玉となって銀河の渦へ飛び込んでいく。そして渦は爆発し、長剣を握る騎士が姿を現した。

 

鏡子 手札6→7

 

鏡子

 「まだだ!俺は(サンダーバード)と(グラファ)でオーバーレイ!大いなる龍よ、その身に聖なる力を刻み込み、我に盾突く愚者を焼け!エクシーズ召喚!ランク8(聖刻神竜エネアード)!」

 

 銀河の爆発により生まれたのは淡い赤色をした、神秘的な雰囲気を纏うドラゴン。

 

鏡子

 「(フェルグラント)の効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送り、自身を対象にとる。(フェルグラント)はこのターン効果を無効にする代わりに完全耐性を得る!」

 

 (フェルグラント)は半透明な膜に覆われた。これで(フェルグラント)は効果で外部に干渉できないし、されないってわけか。

 

鏡子

 「(暗黒界の援軍)発動!墓地の(ベージ)を蘇生して1枚捨てる。捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー!すぐさま戻して(グラファ)!(宝札)でドロー!」

 

鏡子 手札7→6→5→6→7

 

鏡子

 「(聖刻神龍エネアード)の効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送り効果発動、手札を2枚リリースする。送った枚数分カードを対象に選んで破壊する!俺はセットモンスターと(セルリ)を破壊!」

 

鏡子 手札7→5

 

 龍は周囲の玉を取り込み、光輝くブレスをセットモンスターめがけて放った。

 

 対象だったセットモンスター(聖なる魔術師)と(セルリ)は抵抗することもなく破壊された。

 

鏡子

 「俺は最後の(暗黒界の門)を張り替え!効果発動!(セルリ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!(宝札)で1枚ドロー!(ベージ)戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札5→4→3→4→5→6

 

鏡子 LP4000 手札6 伏せ0

フィールド(暗黒界の門)

 

真竜騎士フェルグラント 攻2800

聖刻神龍エアネード 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

虚空海竜リヴァイエール 攻1800

 

ブロン

 「な、な、な……」

 

 どうやら攻撃力合計が8000超えの布陣にビビっているようだ。だが手札にはまだ未界域モンスターがあるし、手札交換カードも数枚あるから展開自体は出来る。だがもう十分だ。一思いに吹き飛ばしてやる。

 

鏡子

 「行くぜバトルフェイズ!(エアネード)で攻撃!ヒエラティックシュート!」

 

 (エアネード)の放つ光弾が、(ブロン)の身体を包み込む。

 

ブロン LP4000→1000

 

鏡子

 「おまたせ(グラファ)!ダイレクトアタック!暗黒の吐息!」

 

グラファ

 「覚悟しろ(ブロン)!これが私の冥府への土産だ!」

 

 普段より遥かに濃い黒い瘴気が(ブロン)を飲み込み、(ブロン)は力なく膝をついた。

 そして、青筋を立てて胎動する白紙のカードが(ブロン)の足元に落ちた。

 

ブロン LP1000→-2000

 

鏡子

 「どうだ!これが暗黒界の真の力だ!(超融合)なんて作らせないぞ!」

 

ブロン

 「クッカッカ!もう手遅れだ!今ここで完成間近の(超融合)を破壊すれば、ここら一帯が更地になる程のエネルギーがこのカードから解き放たれる!精々絶望するがいいわ!」

 

 ウッソ爆発!?ライトロードはもうすぐここに辿り着くだろうし、やべえ問題押し付けやがって!

 

 (ブロン)は甲高い笑い声を上げながら、粒子となって消えていった。

 

グラファ

 「未完成の(超融合)がこんなにも危険な物だとは……む、丁度今(ベージ)達が(超融合)の資料を発見した。どうやら最後の工程には、(怒)、(憎)、(苦)、(悲)、(疑)の感情を強く持つデュエリストが必要なのだそうだ。早速そのデュエリストを(ゴルド)と(シルバ)に探してきてもらう。幸い……心当たり自体はあるからな」

 

 そうか……そういえば(洗脳)のカードが(ブロン)の立っていた台座に刺さっているな。一先ず抜いておくか。

 

 俺が台座から(洗脳)を抜き取ると、紫色の波動のような物が広がり、俺が認識しきれない程遠くまで伝播していく。これで(暗黒界)にかかっていた洗脳がとけたな。観客席の(ベージ)達が困惑した様子だ。

 

グラファ

 「(暗黒界の洗脳)を解除出来たようだな。早速4神に連絡を取ってみる。彼らがおればライトロードも侵攻に相当手間取る事だろう」

 

 4神?あぁ(ゴルド)、(シルバ)、(ケルト)、(ラチナ)か。

 

 (ゴルド)と(シルバ)のゴルシコンビは良いんだが、(ケルト)と(ラチナ)はどれ程の実力なんだろうか?

 (ケルト)はハンデスされると暗黒界リクルートだから強いけど、(ラチナ)は悪魔族に500の単体強化だから弱いんだよなぁ……しかもターン終了時までだし。

 

 せめて永続か全体に付与してほしかった。いや、暗黒界全体にターン中の対象耐性+破壊耐性とかが欲しい(強欲)。

 

鏡子

 「そういえば、5つの感情を持つデュエリストの心当たりがあるって言ってたな?誰なんだ?」

 

グラファ

 「今丁度(ゴルド)と(シルバ)が5人の確保に成功した。正直苦しいとは思うが、心して見てほしい」

 

 (グラファ)が心苦しそうに口にすると、そこには

 

鏡子

 「う、嘘だろ!?」

 

 捕まって欲しくなかったメンツが揃っていた。

 

 

 

〜 収容所前 〜

 

剣山

 「これは……凄まじいドン」

 

万丈目

 「これを十代一人でやったのか?だとしたら無茶しすぎだ」

 

吹雪

 「確かに。でもこれじゃぁ十代の手掛かりが掴めそうに無いねぇ」

 

 明日香達は十代が向かったと言う収容所に来ていた。しかしその場所は酷く損壊しており、建物の8割が消し飛んでいた。

 

 「向こうには道があるッスけど相当長そうッス……」

 

明日香

 「十代はそこまで遠くには行けない筈だけど……苦しい道のりね」

 

 向こう側に見える遠い道。それを見た明日香がため息をつくと、崖の方から豪快な笑い声が響く。

 

ゴルド

 「そこの兄ちゃんと姉ちゃん達!お困りのようやなぁ!ワイ等が目的地に送り届けたるわ!」

 

万丈目

 「なに!暗黒界のモンスターだと!天上院君!下がるんだ!」

 

 崖から飛び降りてきた(ゴルド)と(シルバ)に、万丈目は勇敢にデュエルディスクを構える。

 

ゴルド

 「人の親切は受けるもんやでぇ?まぁデュエルをしたいのなら相手をしてやりたい所なんやが……生憎兄ちゃん達を生きて連れてくるのが仕事やからな。悪く思わないでくれや。行くでぇ(シルバ)!」

 

 (ゴルド)は一瞬で万丈目の背後に周り、手に持つ大斧の柄で万丈目の首を打ち据えた。

 

 その後、残る4人も為す術もなく(ゴルド)と(シルバ)に意識を奪われ地面に倒れ伏した。

 

ゴルド

 「張り合いがないのぅ。腕の立つデュエリストらしいからどんなもんかと思ったら……不完全燃焼や」

 

シルバ

 「兄者……それも仕方のない事だと思いますぜ?彼らが来た異世界はただのカードゲーム。我々がする死と隣り合わせで痛みを伴うデュエルとは無縁なのだからな」

 

ゴルド

 「ガッハハハ!それもそうか。仕方ない、一先ずこの5人を主の元へ運ぼう。おおそうだ、この玉をひっつけなあかんかったな」

 

 (ゴルド)は懐から5つの玉を取り出し、万丈目達にくっつける。玉はすぐに万丈目達の皮膚に溶け込み消えてなくなった。

 

 今度こそ(ゴルド)達は5人を抱えて駆け出していった。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「生贄って……万丈目達の事かよ……」

 

 (超融合)完成の生贄は、まさかの明日香達だった。仲間思いの十代の事だ、きっと烈火の如くキレるだろう。でも、(超融合)を今ここで破壊したら暗黒界は再起不能レベルでダメージを受けるだろう。

 

 もし、明日香達を生贄にしたら、きっとどこかで原作が崩壊してしまうだろう。でも(超融合)が完成してないと、ユベルと十代が超融合しないという特大の原作崩壊を起こしてしまう。オマケで暗黒界が物理的に破滅する。

 

鏡子

 「俺は……俺はどうしたらいいんだ。どちらかを選べば、どちらかが消えて戻らない。片方は世界。もう片方は……大切な友人が……」

 

グラファ

 「やはり……決められないか。それも仕方のない事だろう。主も人の子だ、我々がとやかく言う事は出来ぬ。主が決めると良い。その選択を、我々は尊重する」

 

 俺の意志で……か。俺は何をしたいんだ?なんの為にこの世界に来たんだ?友達を助ける事か?違う。名誉の為か?これも違う。暗黒界を……助ける為。

 

 そうだ。俺は(ブラウ)に頼まれて、(ブロン)によって洗脳された暗黒界を助ける為に来たんだ。その目的を忘れちゃいけない。

 

 俺は友人5人の命とこの世界の命運を天秤にかけた。結果は、世界の方に天秤が僅かに傾いた。

 

鏡子

 「(グラファ)、俺決めたよ。俺は……」

 

 俺が揺らぎかけている決意で口にしようとすると、(ベージ)が駆け込んできた。

 

ベージ

 「報告です!ライトロードと(ラチナ)と(ケルト)が小さな集落周辺で衝突!流れ弾で多くの死者が出ています!」

 

 映し出されるビジョン。そこには(パラディンジェイン)と(ケルビム)、(フェリス)の攻撃を捌く(ラチナ)と攻撃を放つも回避され有効打にならない(ケルト)の姿があった。

 

 (パラディンジェイン)の剣戟をいなしていた(ラチナ)は(ケルビム)の放つ光弾に気づかず直撃コースになってしまったが、(ケルト)が割り込み拳1つで弾き飛ばすと、側にあった小さな家をチリも残らず消し飛ばした。

 

 上級モンスターですらこれなんだ。きっと(ベージ)とかの下級しかいない場所では蹂躪が起きてるに違いない。

 

 この瞬間。俺の中の迷いはキレイに消え去った。

 

鏡子

 「(グラファ)!俺は決めた!必ず(超融合)を完成させて、暗黒界をライトロードの魔の手から守って見せる!」

 

グラファ

 「本当に……いいのだな?友を失う覚悟は出来たのだな?」

 

鏡子

 「ああ!俺は……おまえ達とデュエル出来るのなら、悪魔にでもなってやる!その為に(洗脳)を使う!デッキを新しく作るぞ!暗黒界の全ての力を使う新たな暗黒界デッキを!」 

 

 (洗脳)には暗黒界の皆を操れるだけの力があるんだ。俺の悲しみの感情を消すぐらいの力はあるだろう。てか無かったら涙でキャラを演じきれない。

 

 早速俺はスマホを起動して手元のデッキを見つつカードを揃えていく。今回は暗黒界全ての力を注ぐデッキにするから暗黒界モンスターは全種入れたい。(カーキ)とか(グリン)とかを有効活用する為の(洗脳)だ。尚(ブロン)は追放したからハブる。

 他にも(レンジ)や(ズール)が入っているが、これは結束を強める他に、十代が持つ(ワイアーム)を突破する為のカードでもある。

 

エクストラが中々埋まらねぇな……ランク8の殆どはナンバーズだからなぁ……ランク5もちょっと入れて埋めるか。

 

ベージ

 「旦那ぁ。戻りましたぜぇ」

 

鏡子

 「ご苦労さま。丁度デッキが仕上がった所なんだ。そうだ、ヨハンってここにいるか?もし居たらここに運んできて欲しいんだ」

 

ベージ

 「ここは戦士達を収容する場所。そりゃあいるでしょうけど……何するんです?」

 

 俺は(ベージ)が持ってきた服を着ながら、それに答える。

 

鏡子

 「(カラレス)様が言うには十代を絶望させる必要があるらしい。ならば、十代が探し求めていたそれを目の前で死んだ様に見せてやればいい」

 

 その時のことを考えると、俺は胸が張り裂けそうになる。それでも俺は暗黒界の皆の為に悪魔にもなるって言ったんだ。やってやる。伊達にヒールの練習はしてないぜ。

 

 俺は着替え終えて、十代が来るその時を待った。

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