暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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32.砕かれたヒーロー

 

 

 

 その後、私はカイザーとエドさんと合流して、小高い丘の下で交代しながら十代さんの看病をしています。

 

十代

 「ウワァァァ!」

 

 叫び声を上げながら起き上がる十代さん。ようやく起きましたか。

 

十代

 「ジムは……ジムはどうしたんだ!」

 

透子

 「分かりません。ただ、デュエルディスクがあの城の前に落ちてたのでもう……」

 

十代

 「そうだ……俺は……俺はこの手で……ジムを……皆を!」

 

エド

 「落ち着け十代。全ては覇王の力がそうさせた」

 

 エドさんが励まそうと口にしますが、十代さんは首を振って聞く耳を持ちません。

 

十代

 「俺は……これから何をすればいいんだ。死んだみんなはもう戻らない。せめて……鏡子を倒して……償わないと……」

 

 そう言って気を失った十代さん。エドさんが慌てて介護に入ります。

 

 きっと十代さんは今までの行いを引きずっているのでしょう。

 

 十代さんは……焦り過ぎたのでしょう。ヨハンさんを助けたい。その事で頭がいっぱいになって、万丈目さん達の事を忘れてしまった。だから鏡子によって心を砕かれて覇王へと堕ちた。

 

透子

 (鏡子……どうして十代さんの目の前でヨハンさんを殺すなんて事をしたんですか?)

 

 考えても仕方のない事を考えていると、どこからか地響きが聞こえてきました。

 音の方を向くと、そこには赤い牛の大群に追われるクロノス先生と旅人の様な服を着た女性が走ってきました。

 

 助けなきゃと思ったのも束の間、牛の大群の前に(サイバー·ドラゴン)と(D·HEROダイアモンドガイ)が現れて、彼らから放たれた光線によって牛の大群は吹き飛ばされました。

 

クロノス先生

 「たっ、助かったノーネ……」

 

 クロノス先生曰く、旅人の様な女性はエコーという人で偶々この世界に巻き込まれてしまったらしいのです。

 

 その後、クロノス先生とエコーさんは私達と合流して一夜を過ごしました。

 

 寝る前に、クロノス先生へもう一人の私が明日香さん達を生贄にしてしまった事、それが原因で十代さんが闇堕ちした話、闇堕ちした十代さんがジムさんを殺してしまった事を話しました。

 

 その時のクロノス先生の、焚き木越しに見せたやるせなさそうな顔は……しばらく忘れられそうにありません。

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「ふぅ……ふぅ……どうしてこうなったのでしょう?」

 

 私は今、砂漠の真ん中で十代さんがカイザーとデュエルする様子を見ています。

 

 ここまで来るのは結構長く説明する必要があるので、掻い摘んで説明します。

 

 まず、エドさんに起こされるとそこは薄暗い洞窟でした。エドさん曰く、突然白い霧で辺りが包まれて、気付けばここに飛ばされていたらしいです。

 

 状況確認を済ませた時、右腕が鱗質に変容したアモンさんがやって来ました。なんでも【王】になる為に異世界に自ら残っていたそうで、エコーさんを(エクゾディア)の生け贄にすべく連れて行こうとしました。

 

 そうはさせないとデュエルディスクを構えるエドさん。アモンは場所替えを要求し、中央に水溜りがあり奥に鎖で封印された大きな扉のある空間でアモンさんとエドさんがデュエルを始めました。

 

 結論を言うと、エドさんは負けました。エドさんは(D-HERO Bloo-D)を筆頭としたカードで応戦しましたが、アモンがエコーさんを生け贄にして出したエクゾディアを止めることが出来ずに消滅してしまいました。

 

 そして気づけば私達は高い崖上に飛ばされ、その後はただ十代さんに付いて行きました。

 

 そしてたどり着いたのは、巨大な砂漠地帯。砂塵の大竜巻に巻き込まれながら行き着いたのは、かつてセブンスターズの一人が使った(幻魔の扉)を思い出させる大きな扉。

 十代さんが導かれる様にその扉を潜ろうとすると、カイザーが首輪の様な物を投げて道を阻み、デュエルを仕掛けて今に至ります。

 

十代

 「お、俺のターン……ドロー」

 

十代 手札5→6

 

 それにしても……十代さんは大丈夫でしょうか。まるで……戦う意思を感じられません。

 

十代

 「くっ……(E·HEROクレイマン)を召喚……カードを3枚セットしてターンエンド」

 

 え?これだけですか?しかも攻撃力800の(クレイマン)を攻撃表示って……十代さんの様子が変です。

 

ヘルカイザー

 「いいのか?壁モンスターである(クレイマン)を攻撃表示で出して。その行動には、何か理由があるんだろうな?」

 

 ヘルカイザーに言われてハッとする十代さん。あの十代さんが手札事故を起こす筈がありませんし、攻撃表示で出すというミスもした事を見たことがありません。一体どうしたのでしょうか……

 

十代 LP4000 手札2 伏せ3

 

E·HEROクレイマン 攻800

 

ヘルカイザー LP4000 手札5 伏せ0

 

ヘルカイザー

 「俺のターンドロー!」

 

ヘルカイザー 手札5→6

 

ヘルカイザー

 「貴様からは戦う意志が見えん。ここで叩き潰してくれる!俺は手札の(サイバードラゴン·ネクステア)の効果発動!このカード以外のモンスター(サイバードラゴン·ヘルツ)を捨てて手札から特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札6→5→4

 

ヘルカイザー

 「そして(ヘルツ)の効果発動!(ヘルツ)は墓地へ送られた場合、デッキ·墓地からこのカード以外のサイバードラゴンモンスターを選んで手札に加える!俺が加えるのは(サイバードラゴン·コア)!」

 

ヘルカイザー 手札4→5→4

 

 墓地と手札から湧いてきた機械龍。そのどれもがテレビで見た(サイバードラゴン)よりも小柄です。

 

ヘルカイザー

 「ここで攻撃力が500以下の(ネクステア)を対象に(機械複製術)を発動!デッキから(サイバードラゴン)を2体まで攻撃表示で特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札4→3

 

 突然場に躍り出る2体の(サイバードラゴン)。(ネクステア)はフィールドで(サイバードラゴン)として扱える効果があるのでしょうね。

 

ヘルカイザー

 「(パワー·ボンド)発動!フィールドの(ヘルツ)、(ネクステア)、(サイバードラゴン)で融合!見せてやる!これが俺の新たな力だ!(キメラテック・ランページ・ドラゴン)!」

 

 現れたのは、身体の中央に金属塊を据え、3頭のサイバードラゴンの頭が出ているモンスター。

 そのモンスターを見て、十代さんは気圧されているようです。

 

ヘルカイザー 手札3→2

 

ヘルカイザー

 「(パワー·ボンド)の効果により(ランページ)の攻撃力は倍の4200!そして(ランページ)の効果発動!融合素材のモンスターの数だけ魔法·罠カードを破壊!融合素材は3体!よってセットカードを3枚破壊!」

 

 3頭の機械龍の口から放たれた光線によって(威嚇する咆哮)、(E-エマージェンシーコール)、そして(融合)が破壊されました。

 

ヘルカイザー

 「(威嚇する咆哮)を発動さえしていればこのターンは凌げた。(エマージェンシーコール)を使えば何らかの通常モンスターを手札に加えて、(クレイマン)と(融合)していれば最低限(ワイアーム)を守備で出せたはずだ」

 

 場には4200のモンスターに、(サイバードラゴン)が2体。勝負はつき、十代さんは力なく膝を突きました。

 そもそもヘルカイザーは召喚権を使ってません。こんなに展開出来るんですねサイバー流。

 

ヘルカイザー

 「なんだその腑抜けたデュエルは!戦う意志の無い貴様に鏡子を倒す事など出来ん!」

 

十代

 「……俺は沢山の罪を犯して来た。(融合)のカードで沢山の人を傷つけた……それなのに、俺は心の奥で見ているしか出来なかった。俺は……消えるべきなんだ」

 

 ボソリと溢す様に口にする十代さん。なるほど、どうやら十代さんはかつて覇王だった自分の行いが枷になって、融合を自身で封じているといったところでしょうか。

 

ヘルカイザー

 「この……消えろ十代イィィィ!」

 

 怒りがピークに達して叫ぶヘルカイザー。次の瞬間。突然ヘルカイザーが膝を突き、苦悶の声を漏らし始めました。

 

透子

 「大丈夫ですか!?」

 

 慌てて駆け寄ると、彼は苦しげに胸を鷲掴みにして押さえていました。昔見たテレビの情報だと、確か胸を強く押さえていると内側で何か問題が起きている筈……つまり心臓が異変を起こしているって事!

 

透子

 「心臓マッサージに入ります!痛いですけど我慢して下さいね!」

 

 ヘルカイザーを優しく寝かせて、すぐに心臓マッサージへ移行。保健の授業でやった事を思い出しながら3回ほど胸骨圧迫を行うと、ヘルカイザーは呼吸を取り戻しました。

 

ヘルカイザー

 「……俺には分かっていた。地下での過酷なデュエルが、いつの間にか俺の身体を蝕んでいたようだ」

 

 カイザーさん……プロで低迷してた時にそんな事を……

 

クロノス先生

 「シニョール亮……十代を目覚めさせる為に……そんな身体で……」

 

ヘルカイザー

 「フン。俺はそんな善人じゃない」

 

透子

 「私は十代さんを追います。クロノス先生。ヘルカイザー亮をお願いします」

 

 私は踵を返して、いつの間にかかなり遠くに行ってしまった十代さんを追いかけました。

 

 

〜〜〜

 

 長い長い旅路の末に辿り着いたのは、かつて鏡子と戦った場所。そこで、十代さんは罪の償いを求めて叫び声を上げていました。

 

 その瞬間、小さな突風が吹き荒れ(ガーディアン·バオウ)が姿を現しました。

 

バオウ

 「お久しぶりです覇王様。いや、十代。貴様は俺が成り上がる為の生け贄になってもらう。デュエルだ!」

 

十代

 「そうか……それが万丈目達の答えか。やってやる!」

 

バオウ·十代

 「デュエル!」

 

バオウ

 「ドロー!」

 

バオウ 手札5→6

 

バオウ

 「(デビルスライム·モールド)を召喚。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

 召喚されたのは紫色のスライム。あまりにも静かな立ち上がりです。

 

バオウ LP4000 手札4 伏せ1

 

デビルスライム·モールド 攻500

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

デビルスライム·モールド(アニメオリカ)

レベル3/闇属性/水族/攻 500/守1000

自分のスタンバイフェイズ時、このカードが攻撃表示で自分フィールド上に存在する場合、500ポイントのライフを払う事でデッキから(デビルスライム・モールド)1体を特殊召喚する事ができる。

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

 十代さんは僅かに眉をひそめ、モンスターを場に出しました。

 

十代

 「(E·HEROバーストレディ)を召喚!バトルだ!(バーストレディ)で(デビルスライム・モールド)を攻撃!」

 

十代 手札6→5

 

バオウ

 「単調な攻撃だ、(融合)が使えないのは本当らしいな。永続トラップ(レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-)を発動!これにより、レベル4以下のモンスターは攻撃できない!」

 

 火球を放とうとする(バーストレディ)でしたが、場に現れた罠により、攻撃を中断せざるを得ませんでした。

 

バオウ

 「(融合)が使えなければ、貴様のデッキは雑魚モンスターばかりのクズデッキ!お前は攻撃すら出来ずに終わるのだ!」

 

十代

 「くっ……ターンエンド」

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

E·HEROバーストレディ 攻1200

 

バオウ LP4000 手札4 伏せ0

 

デビルスライム·モールド 攻500

 

 

レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-

 

レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-(アニメオリカ)

永続罠

このカードが表側表示で存在する限り、レベル4以下のモンスターは攻撃できない。

自分のターンのスタンバイフェイズ時に、自分フィールド上のモンスター1体をリリースする。

また、自分フィールド上のモンスター1体をリリースせずにこのカードを破壊する。

 

バオウ

 「ドロー!」

 

バオウ 手札4→5

 

バオウ

 「スタンバイフェイズに(デビルスライム·モールド)の効果発動!スタンバイフェイズに、500LPを払う事でデッキからもう一体(デビルスライム·モールド)を特殊召喚!更に500LPを払いもう一体!そして(グラビティ·ゲイン)の維持コストとして(デビルスライム·モールド)を一体生け贄にする!そして(デビルスライム·モールド)を1体生け贄に(ツインヘデッド・ビースト)を召喚!」

 

バオウ LP4000→3500→3000

    手札5→4

 

 増殖するスライム。それをリリースして出されたのは、たてがみが炎で出来た双頭の獅子。レベルは6。あの永続罠を超えて攻撃できます。

 

バオウ

 「バトルだ!(ツインヘデッド・ビースト)で(バーストレディ)を攻撃!ファイヤーバンキング!」

 

 炎の獅子が放つ火の玉が(バーストレディ)を焼き払い破壊しました。

 

十代

 LP4000→3500

 

バオウ

 「(ツインへデットビースト)は2回攻撃が出来る!ファイヤーバンキング!そして(デビルスライム·ホールド)の攻撃!」

 

十代 LP3500→1800→1300

 

バオウ

 「ターンエンドだ!」

 

バオウ LP3000 手札4 伏せ0

 

ツインへデットビースト 攻1700

デビルスライム·ホールド 攻500

 

レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-

 

十代 LP1300 手札5 伏せ0

 

 (融合)が使えなければ、十代さんのデッキの能力は大幅に低下します。しかも(グラビティ·ゲイン)のせいで攻撃すらままなりません。この状況を突破できる手段はあるのでしょうか。最悪介入も視野に……

 

三沢

 「透子」

 

透子

 「ひゃ!み、三沢さん。それに……タニヤさん……でしたっけ?」

 

 肩に手を置かれたので、肩を震わせて振り向くと、そこには三沢さんとかつてセブンスターとして立ち塞がったアマゾネス。タニヤさんがいました。

 

三沢

 「覇王の噂は聞いたよ。でも、今の十代にはそんな激しさは感じない」

 

タニヤ

 「ああ、まるで昔戦ったあいつと同じ人間だとはとても思えない」

 

 タニヤさんはセブンスターズ戦で十代さんとデュエルしていました。だからこそ、その違いに気づく事が出来るのでしょう。

 

透子

 「覇王は私が倒しました。今の十代さんはここで明日香さん達を、自らの過ちで犠牲にしてしまった事と、覇王として自ら犯した罪の呵責に苛まれて(融合)を使う事が出来ないんです」

 

タニヤ

 「もしそれが本当なら、十代はこの状況を突破出来ずに死ぬ」

 

 あっ、私が倒した所はスルーするんですかそうですか……まぁいいんですけど。

 

三沢

 「十代!(融合)を使うんだ!責任を取らなきゃならないなら、こんな形じゃない!お前にしか出来ない、本当の敵を倒すことだ!」

 

十代

 「本当の……敵。鏡子……お前だけは……お前だけは絶対に゛倒す゛!」

 

 背中から湧き出る異常な闘気。この雰囲気……もしかしたらもしかするかもしれません。

 

三沢

 「これが……覇王の覇気か。こんなのと対峙したのか透子は……」

 

透子

 「ええ……ターン数は多くありませんでしたが、激闘でした」

 

十代

 「俺のターンドロー!俺は手札の(融合)を発動!手札の(フェザーマン)と(ワイルドマン)で融合!(E・HERO ワイルド・ウィングマン)!」

 

 融合によって現れたのは、緑の翼を生やした筋骨隆々な褐色戦士。プロレスラーにこういう人いそうです。レベルも8なので(グラビティ·ゲイン)効果外ですね。

 

 十代 手札5→6→4→2

 

十代

 「バトルだ!(ワイルド・ウィングマン)で(ツインへデットビースト)を攻撃!ウィング·インパルス!」

 

 翼を駆使した加速による水平突進によって炎の獅子を粉砕しました。

 

バオウ LP3000→2800

 

 

十代

「手札を1枚(融合破棄)を捨てる!絶対無敵!究極の力を解き放て!発動せよ!(超融合)!」

 

 やっぱり(超融合)でしたか。覇王の意志を消しきれなかったのでしょうか……まぁこちらに敵意を向けるようでしたら再び鎮圧しましょう。

 

十代 手札2→1→0

 

バオウ

 「ちょ、(超融合)だと!融合を使えないのではないのか!?」

 

十代

 「そんな事はどうでもいい。俺はお前のフィールドの(デビルスライム·モールド)と俺の(ワイルド·ウィングマン)で融合。来い、(E·HEROエスクリダオ)!」

 

 強烈な風圧を撒き散らしながら現れたのは、全身が真っ黒な細身なヒーロー。

 

十代

 「(エスクリダオ)は墓地のE·HEROの数×100攻撃力が上がる。墓地のヒーローは4体。よって攻撃力は2900となる。ダークコンセントレイション!」

 

 細身な黒いヒーローに黒い闇の様な何かが纏わりつき、僅かに肉付けされました。

 

十代

 「バトルフェイズ中に特殊召喚されたモンスターは攻撃出来る!(エスクリダオ)でダイレクトアタック!Dark diffusion!」

 

 細身のヒーローは右腕から無数の黒い礫を広範囲に射出して、バオウを打ち抜き吹き飛ばしました。

 

バオウ LP2800→-100

 

バオウ

 「フハハハ……震える子羊のフリをしても……貴様の本性は覇王のまま。むしろ覇王そのものだ!」

 

 倒れ、笑いながら消えてゆくバオウ。これで命の危機はさりました。

 

三沢

 「十代。大丈夫か?」

 

十代

 「ああ、それで本当の敵はどこにいるんだ?鏡子はどこにいる!」

 

三沢

 「鏡子の場所は知らないが……別の敵を見つけたんだ。そしてこの世界についてもな」

 

 掻い摘んで説明すると、三沢さんはユベルが元々12個あった次元を無理やり1つにして支配しようとしている事を説明し、止められるのは特別な力を持つ十代のみだと締めました。

 

十代

 「確かに俺には少しだけど覇王の力が眠っている……でもまたみんなを傷つけでもしたら俺……」

 

 ……今の十代を見ていると無性に腹が立ってきます。

 

透子

 「ヨハンさんを助ける為に明日香さん達をほっぽりだして、そのせいで明日香さん達を犠牲にして、力の使い方を誤って覇王に堕ちて、今度はその力から逃げる。そんななりでよくヒーローなんて言えますよね」

 

三沢

 「と、透子……なにもそこまで言わなくても……」

 

 私の冷たい言葉にドン引きの三沢さん。正直自分にこんな声がだせるんだと驚いています。

 

透子

 「貴方は逃げずに償うべきなんです。自分の身を滅ぼすんじゃなく、みんなを傷つけ焼き払った覇王の力で世界を救うべきなんですよ」

 

十代

 「覇王の力……そんな闇の力なんて……やめてくれ!そんな……グァ!」

 

 尻もちをつきながらも、覇王と聞いて拒絶する十代さんの首根っこを、私は掴んで引き寄せました。

 

透子

 「力のない正義なんて戯言にすぎないんですよ?貴方には力がある。その力が怖いのなら、私が何千、何万回でも鎮圧してあげます。貴方は力を持つものとして、その力を正しく使って皆を導く責任と義務があるんですよ」

 

十代

 「……力のある者には責任が伴う……か。行こう透子。ユベルの所へ」

 

 私の手から離れた十代さんの目にはまだ決意は見えません。でもそこには、さっきまでの気弱な姿はどこにもありませんでした。

 

 

〜 砂漠 sideヘルカイザー 〜 

 

ヘルカイザー

 「俺には分かる。俺はもう長くはない」

 

クロノス先生

 「諦めちゃダメナノ〜ネ!人間は最後まで充実して生きなければない。それが人間の義務であり権利ナノ〜ネ!」

 

 権利……か。ならば、近い内に鏡子かユベルとデュエルがしたい物だ。2年前のリベンジか強大な精霊か。それで死ねるなら未練は無い。

 

 そんな事を考えていると、頭の中の何かが強く反応した。

 

ヘルカイザー

 「来る……奴が来る!」

 

 扉の方を向くと、音を立てながら扉が開いた。

 

鏡子

 「ふぅ〜!たまには外に出ないとな……あっ」

 

ヘルカイザー

 「お前は……透子!」

 

クロノス先生

 「シ、シニョーラ透子!その裏人格ナノーネ!」

 

 透子がクロノス教諭に話していた透子の裏人格。間違いなく2年前に俺を倒したデュエリスト。最後のデュエルに相応しい相手だ!

 

ヘルカイザー

 「教諭はここに居てくれ。俺はコイツと最高のデュエルをする!」

 

クロノス先生

 「シニョール亮!何を言い出すノーネ!」

 

ヘルカイザー

 「たとえ未来が無くとも、今この瞬間は充実して生きなければならない。そうだろ?」

 

クロノス先生

 「そ、それはそうだケード。未来が無いなンーて」

 

 どうやらクロノス先生は俺の身を案じて止めようとしているらしい。

 

ヘルカイザー

 「今でもクロノス教諭は最高の先生だよ。俺に生きる目的を思い出させてくれたんだからな」

 

鏡子

 「まじかぁ……俺のデッキ調整しようと思ってたんだが……カイザー。お前確か心臓がヤバいんだろ?待たせるのは無粋ってもんだ。良いデュエルをしようぜ!」

 

ヘルカイザー

 「クロノス教諭。離れて下さい。このデュエルはかなり激しくなるぞ」

 

 クロノス教諭が離れたのを確認して、俺はデュエルディスクを起動する。

 

鏡子

 「透子の裏人格なんて言うのも面倒だろうから自己紹介だ。俺の名は古神鏡子!お前と最期のデュエルをする者だ!」

 

鏡子·ヘルカイザー

 「デュエル!」

 




透子の説教シーンは結構難産でした。
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