暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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2話連続投稿です。前の話を見ていない方はまずそちらをお願いします。


IF2.尖兵の観察記録(後編)

- IF2.尖兵の観察記録(後編) -

 

 

〜 アカデミア 〜

 

 レインは今、光学迷彩を用いて姿を消し、アカデミアの捜索をしていた。

 

 普段ならアカデミア生が談笑しながら通っている廊下には、代わりに死体の様な目つきのアカデミア生が徘徊していた。

 

レイン

 「……見つけた」

 

 ふと窓を見ると、そこにはピラミッドが立っていた。その頂上には、(神炎皇ウリア)がとぐろを巻いていた。

 

 本来なら過去に起きたことなのだから原因を直接監視すればいいのだが、未来のデータは異世界の出来事については極めて大雑把な事しか記録されておらず、手探り状態で調査するしかないのだ。

 

 レインは駆けだす。三幻魔を操るデュエリストを監視するために。

 

 

〜〜〜

 

レイン

 「…………」

 

 レインは今困惑していた。まさか透子が2人いて、そのうちの1人が三幻魔……(神炎皇ウリア)をフィールドに降臨させていた事に。その攻撃力は……11000。

 

 現在は透子のターン。あの真竜デッキならあるいはと思っていたが、しかしフィールドに並んでいるのはライトロード。(裁きの龍)では(失楽園)の影響下にある(ウリア)を突破できない。

 

透子

 「私はレベル4の(エイリン)さんとレベル4の(ライデン)さんでチューニング!光と闇が交わりし時、混沌の脅威が舞い降りる!シンクロ召喚!来て!混沌の支配者!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!」

 

レイン

 『シンクロ……召喚?』

 

 透子はここに来てシンクロ召喚。しかも、またデータベースに存在しないモンスター。

 その後透子は追加で(スクラップ·ドラゴン)をシンクロ召喚にようとしたが、未知の罠モンスターによって召喚自体を無効にされていた。

 

 続く十代のターン。彼が操っていたのはHEROではなく暗黒界。(魔法石の採掘)で暗黒界モンスターの効果を発動しようとしたりと、そこまでデッキが洗練されていない様に見えるが、それでも(暗黒界の龍神グラファ)と呼ばれる未知のモンスターを大量に並べ、(フォース)で強引に(神炎皇ウリア)を戦闘破壊してみせた。

 

 最後にヨハンのターン。彼はこれまた見たことのない魔法で宝玉を集め、彼の切り札(究極宝玉神 レインボー・ドラゴン)をたった1ターンで召喚してみせた。

 

 もう一人の透子のターン。彼女は歪んだ笑顔でさっき引いた魔法を発動した。

 

闇透子

 「(次元融合殺)を発動!手札·墓地の三幻魔を除外して融合召喚する!炎よ!雷よ!鉄拳よ!今こそここに交わりて、混沌の道を突き進め!次元融合殺!顕現せよ!(混沌幻魔アーミタイル)!」

 

レイン

 『三幻魔の融合モンスター!?でも……攻撃力は0』

 

 レインは攻撃力0の幻魔の融合体に最大限の警戒を向ける。

 

鏡子

 「(アーミタイル)の効果発動!相手に10000の戦闘ダメージを与える!対象はお前だヨハン!」

 

 1万の戦闘ダメージ。それは即ち並のモンスターでは為す術もなくオーバーキル出来るダメージ。しかもメインフェイズに発動するので、戦闘を無効にする効果でも止めることは出来ない。

 

 (アーミタイル)の攻撃を防ぐ事は出来ず、ヨハンは一瞬の元に吹き飛ばされた。

 

 その後、透子は己が背負う運命に怯えながらにドローしたカード(裁きの龍)を特殊召喚。十代の放った除去札により、耐性を失った(アーミタイル)と(裁きの龍)の効果がぶつかり合い、その膨大なエネルギーによってアカデミアは元の世界への帰還に成功した。

 

 

レイン

 「……元の世界へと帰還に成功。それよりも……もう一人の透子について聞き出す必要がある」

 

 レインは晴れた青空の下で、透子を探すべくアカデミアの玄関を潜った。

 

 

 

〜〜〜

 

レイン

 「居ない……」

 

 レインは聞き込みもしながら探したが透子を見つける事は出来ず、職員室の前を歩いていた。

 

レイン

 「あれは……人混み。なんで職員室に……」

 

 レインは人混みに近寄り、彼ら彼女らの視線の先を見ようとするが、どうも人の壁が厚く見ることは叶わなかった。仕方ないので、何で集まっているのか聞くために直ぐ側にいた生徒に話しかける。

 

レイン

 「ねぇ……この集まりは何?」

 

明るいブルー生

 「あっ、これですか。ついさっき発表と同時に実装された【エクシーズ召喚】について知りたいデュエリストがここに集まってるんですよ!私は気づくのに遅れたから……もうパックは買えないかなぁ……トホホ」

 

 ブルー生の話を聞いているなか、どんどんと人の壁は薄くなり、遂にその張り紙を見ることが出来た。

 

 そこには食堂にエクシーズ召喚と呼ばれる新たな召喚法で呼び出せるエクシーズモンスターとそれをサポートするカードが多数収録したパックが発売されたこと。その横の張り紙にはエクシーズ召喚の大まかな概要が記されていた。

 

レイン

 「同じレベルのモンスターを素材にしてEXデッキから特殊召喚されるエクシーズモンスター……こんなカードデータになかった……これは調査が必要」

 

 張り紙を確認したレインは、エクシーズモンスターを手に入れる為に購買へ走る。

 

 

〜 食堂 〜

 

 レインは息を整えながら購買がある食堂へ入り、購買に目を向ける。

 そこには我先にとパックを買おうと押し寄せているアカデミア生が屯していて、とてもパックが買える状況ではなかった。

 

 諦めて食事を取ろうと視線を動かすと、さっきまで探していた対象が座っていた。

 

レイン

 「古神……透子!」

 

 レインは声を押し殺し、透子に接触を試みる。

 

レイン

 「古神透子……少し話がしたい」

 

透子

 「えっ、あっ、はい。どうぞ」

 

 許しを得たレインは透子の隣の席に座り、視界に透子を納める。透子の手元には一人回ししていたと思われるカードが並べられていた。そしてその中に黒枠のカード、エクシーズモンスターの姿があった。

 

レイン

 「ライトロード……もうエクシーズモンスターを……」

 

透子

 「そうですね。なんとか何枚か手に入れる事が出来ました。(セイントミネルバ)さんの効果発動。素材の(ゼピュロス)を取り除き3枚墓地へ……これ以上は動けません。今日の運勢はそれなりですね……」

 

 一人回しを終えてデッキを片付ける透子。片付け終えた彼女はレインに向き直る。

 

透子

 「それで……お話とは一体なんでしょうか?」

 

レイン

 「単刀直入に言う。異世界で貴方が2人居たのはどういうこと?」

 

 そう聞かれた透子の目は必死に答えを探すべく右へ左へと泳ぎだす。しかし透子は、己の答えを話し出す。

 

透子

 「あれは……そうですね……私自身よく分かっていないんですけど、あれはデュエルに満足出来ていないせいで生まれたもう1人の私がやったんです。その時の私は鮫島校長に主要デッキの大半を構築不能なレベルで規制されていましたから……今もう一人の私がどこにいるのかは……知りません」

 

 透子の悲哀の交じる顔つきで語られた内容に、レインは同情の表情をしていた。やった事は褒められた事ではないが、それは明らかに鮫島が悪いだろうとレインは思った。

 

レイン

 「そう……分かった。その件についてはこれ以上追求しない。ところで、貴方のデッキを少し見させてもらってもいいかしら?」

 

透子

 「えっデッキですか?今の手持ちはライトロードとナチュルなんですけど……ナチュルデッキは今調整中なのでライトロードを見せます。ちゃんと返して下さいね?」

 

 デッキケースからデッキを取り出し、レインに手渡す透子。すぐさまデッキを広げるレイン。

 

レイン

 「60枚……それよりもエクシーズやシンクロモンスターがこんなに……」

 

透子

 「そうなんですよ。なんとかパックを買えたんですけどエクシーズモンスターがかなり当たって……でも正直使わないカードが何枚かあるんで、もしよろしければドローパンと交換しましょうか?」

 

レイン

 「……!それは本当?」

 

 Z-ONEに提出するために何枚かエクシーズモンスターが欲しかったレインにとってそれはまさに僥倖であり、早速その話にのった。

 

透子

 「ちょっと待って下さいね……トレードしたいカードは(ジェムナイト·パール)と(交響魔人マエストローク)と(始祖の守護者ティラス)の3枚を……1枚につきドローパン2つでどうでしょう?」

 

 透子が見せてきたエクシーズモンスターを吟味しながらレインは今のDPはどれくらいだったか記憶を辿る。なんとか足りそうだと思ったレインは口を開く。

 

レイン

 「分かった。ドローパン6つでそのカード全て貰う」

 

 嬉しそうに笑みを溢す透子を尻目に、レインはすぐさまドローパンを買い、トレードを行った。

 

透子

 「ありがとうございます!強力なシンクロやエクシーズが当たったのは良いんですけど、そのせいなのかドローパンのドロー運が無くって……」

 

 早速一袋開けてドローパンを頬張る透子。ドローパンを食べて幸せそうな笑顔を見せる彼女から、あんな殺気立った表情を見せるとは到底思えない年相応な姿にレインは僅かに面を食らう。

 

レイン

 「それにしても……あなたを見ていると、本当にあんなデュエルをするデュエリストだなんて思えなくなる」

 

透子

 「あのとき……?……んぐ。あぁ、そういえばしてましたね。あの時はちょっと荒れ気味だったので正直あまり記憶が無いです」

 

 レインの問いかけに、すぐさまドローパンを飲み込んで応対する透子。

 

レイン

 「そう。それじゃあ、私はこれで失礼する。カード、ありがとう」

 

透子

 「こちらこそ!美味しいドローパンをありがとうございます!」

 

 席を立ち、例を言って立ち去るレイン。目標を達成した彼女は上司の場所へ中間報告をする為に一時帰還する。

 

 

〜 ??? 〜

 

 星の様な煌めきが空を彩る空間にやってたレインは、異世界から帰還してからさっきまでの行動をZ-ONEに報告する。

 

Z-ONE

 「そうですか……古神透子は高レベルのシンクロ召喚を扱うばかりか未知の召喚法、エクシーズ召喚すら操るデュエリストである……と」

 

 エクシーズモンスターのカードを眺めるZ-ONEの静かな問いかけにレインはゆっくりと首を縦に振り肯定した。

 

Z-ONE

 「記録によれば、十代達は再び異世界に赴き、覇王としての自分を取り戻し強大な精霊との融合を遂げるようです。レイン。貴方には引き続き透子の監視をお願いします。広大な精霊世界で透子を発見するために、ゴースト用のDホイールを用意しました。有効に活用してください」

 

レイン

 「了解」

 

 レインが立ち去ろうとした瞬間、Z-ONEが待ったをかけた。

 

Z-ONE

 「レイン。任務に赴く前に1つお聞きしてもいいでしょうか?アカデミアでのシンクロ召喚は、どれほど流行っていましたか?」

 

 Z-ONEの質問を聞き、暫し考え込むレイン。少しの間を置き答えを話す。

 

レイン

 「月一デュエルでシンクロ召喚を行うデュエリストはまだまだ少数で、レベルも5や6が主流。8シンクロを可能とする透子の異常性が浮き彫りになっている」

 

Z-ONE

 「……そうですか。分かりました。それでは任務を続行してください」

 

 指示を受けたレインは、一礼して部屋を後にした。

 

 

〜 異世界 〜

 

 次元の裂け目を潜ったレインは、早速Dホイールを呼び出して大地を駆ける。

 

 記録の無い道を疾走り、殆ど宛も無く走行を続けたが奇跡的に透子を発見。光学迷彩を起動し監視体制に入る。

 

 

 

 鳥獣族エリアで仲間になった(霞の谷のファルコン)を連れた透子は(ライコウ)に導かれ、道端に実っていたリンゴの様な木の実を胸に抱えながら歩いていた。

 

ライコウ

 『透子……得体の知れない果実を採った挙句それを食するのはどうかと思うんだが……』

 

透子

 「確かにそうかもしれませんけど……お腹空いてましたし、美味しそうだったので食べちゃいました。でも実際とっても美味しいですよこれ。1個500円で売られてても箱買いしちゃうかもしれません。ファルコンさんもどうですか?」

 

 差し出されたリンゴを受け取ったファルコンは、妙な視線を感じながらもリンゴに齧りついた。

 

ファルコン

 「こ、これ凄い甘いですね!身もしっかり詰まってますし香りも良い。出来ることなら毎日食べたいですね!」

 

 笑顔で食べかけのリンゴを食べるファルコン。一方透子は別の物に目を向けていた。

 

透子

 「(ライコウ)さん。あの馬は何でしょうか?小さな生き物が乗ってるみたいですけど……」

 

 透子の指さした先には、黒い鞍を身に着けた白馬が居た。しかしどうも足取りが重そうで、上に跨がる小さな生き物も焦っている様に見えた。

 

ライコウ

 「見たことないモンスターだ……何をするか分からない以上近寄らないのがぶな……おい透子!」

 

 (ライコウ)が放置を提案する前に、透子はリンゴを抱えたまま白馬へ駆け寄った。

 

透子

 「あ、あの!お困りのようですけど、どうしたんですか?」

 

??

 「ん?なんで人間の小娘がこんなところに……いや、それはオイラ達も同じ様な物ザンスねぇ……いやそれよりもまず自己紹介をば」

 

 小さないきものは軽く咳込み、自己紹介を始める。

 

グリー

 「オイラの名前は魔轟神鬼グリーって言うザンス。こっちは魔轟神獣ユニコール。グリムロ様のパシリから帰ろうとしたらオイラ達はこんな世界に飛ばされて、かれこれ丸1日は彷徨っているザンスが……さっきから相棒の動きが鈍すぎて困ってるザンス」

 

 グリーの自己紹介を聞いていると、透子はユニコールがリンゴに釘付けになっている事に気付いた。

 

透子

 「リンゴ……気になるんですか?美味しいですよ?」

 

 透子がリンゴを1つ差し出すと、ユニコールは透子の指ごと食い破りそうな勢いでリンゴに食いついた。

 

透子

 「わわ!お腹が空いてたんですね……結構かわいい……」

 

 瞬く間にリンゴの芯まで食べたユニコールは尻尾をブンブン揺らし、残りのリンゴも寄越せと言わんばかりに前掻きする。

 

透子

 「もっと欲しいんですか?う〜ん……いえ、ここは人助けだと思って満足するまであげちゃいましょう。いっぱい食べていいですからね?」

 

 自分の分がなくなる事を危惧した透子だったが、明らかに空腹で苦しいでいる人(馬)を見殺しにするのは良くないと考え手持ちのリンゴを全て与える事にした。

 

 結局ユニコールは手持ちのリンゴを全て食べきり、すっかり調子を取り戻し歓喜の嘶きをあげた。

 

グリー

 「気難しい性格のユニコールが見知らぬ小娘の食べ物を嬉々として食べるなんて……あんた何者ザンス?」

 

透子

 「自己紹介をしていませんでしたね。私は古神透子。デュエリストです。こちらは霞の谷のファルコンさんです」

 

 透子が自己紹介している中、ユニコールはすっかり透子に懐いたのか己の白毛を透子に擦り付ける。

 

透子

 「フフフ……くすぐったいですよ……撫でて欲しいんですかね?」

 

 透子がユニコールの首周りを撫でてやると、心地よさそうに喉を鳴らす。

 

グリー

 「今まで懐かなかったユニコールがこんなに懐くなんて信じられないザンス……オイラには全く懐かなくて振り回されてたのに……」

 

 落胆するグリーを後目に、ユニコールは脚を曲げ、透子に乗る様にアイコンタクトを取る。

 

透子

 「乗って……良いんですか?じゃあ失礼しますね?」

 

 馬の乗り方が全く分からない透子は、手綱を優しく掴んで背中に乗り、手綱をギュッと掴んだ。

 ユニコールは透子が乗ったのを確認し、脚を伸ばす。

 

透子

 「わぁ〜こんなにお馬さんの視界ってこんなに高いんですねぇ〜」

 

 人生初の乗馬の景色に軽く感動する透子。そこで1つの案が思いつく。

 

透子

 「ファルコンさん。これで鏡子を追えませんか?ユニコールさんに乗ればかなり早く着きますよね?」

 

ファルコン

 「確かにそのとおりですが……透子さん?馬術の心得はありますか?」

 

 痛いところを突かれて沈黙する透子。ここで今まで意気消沈していたグリーが話を作る。

 

グリー

 「それならオイラに任せるザンス!懐かれてはないけど馬の扱いには慣れてるザンス!」

 

ライコウ

 『一時はどうなることかと思ったが……案内は私がやろう』

 

 ライコウの声と共に光の球が現れ、それを追うようにユニコールが走る。そしてその後ろを追う様にバイクの音が動き始めた。

 

 

 

〜〜〜

 

 バイクを駆るレインはユニコールを追い、暗黒界のモンスターとの戦闘で発生した(裁きの龍)の光をなんとか回避して、レインは遂にアリーナと呼ばれる暗黒界の施設に辿り着いた。

 

 その先には、疲弊した十代と(暗黒界の洗脳)を発動した鏡子の姿があった。

 

 透子の加勢により戦況が変わるかと言われたら全くそんなことはなく、(大暴落)で手札を大幅に削られるも、(生還の宝札)と(便乗)、そして(超融合)で生み出された(暗黒界の混沌王カラレス)によって齎される膨大な手札と展開力を武器に十代と透子を粉砕してしまいそうになった。

 

 2人はなんとか鏡子の猛攻を凌ぎ、十代がモンスターの効果を牽制する(暗黒界の洗脳)を破壊すると、鏡子は気を違えたのかヨハンを抹殺する暴挙を犯す。

 

 激昂した十代は(摩天楼-スカイスクレイパー)のコンボで盤面を捲ったり、デッキでコンタクト融合をする等して鏡子を圧倒。鏡子はフィールドを更地にされ、続く透子の(裁きの龍)のダイレクトアタックで止めを刺された。

 

 鏡子はどこからともなく現れた(暗黒界の狩人ブラウ)によって何処かへ運ばれ、透子が(ユニコール)に跨りそれを追う。

 

 レインもDホイールに乗り、すぐにその後を追う。

 しばらくすると巨大な城に辿り着き、直様Dホイールを隠し光学迷彩を起動して侵入を試みる。

 

 玄関から侵入しようとした瞬間、頭上から矢が飛来。咄嗟に躱すも第2射がレインを襲う。

 

 これをバックステップでギリギリ回避して、顔を上げるとそこには(ブラウ)の姿があった。

 

ブラウ

 「妙ですね……何もない筈なのに敵の気配を強く感じます……姿が見えない侵入者でしょうか?姿は見えなくてもお帰り願いましょう」

 

 自身の存在が把握されていると結論付けたレインは作戦の実行は不可能と判断して即座に城周辺を離脱。どうすることもできずに城周辺の捜索を開始した。

 

 

 

〜 暗黒界城内 〜

 

 すっかり懐いた(ユニコール)さんを優しく撫でていると、ドアをノックする音が聞こえました。

 

 私が入るように促すと、鏡子が入ってきてユニコールさんを見て驚いていました。

 

透子

 「鏡子!どうしたんですか?」

 

鏡子

 「あ、あぁ……ファンコンビートに使えそうなカードを持ってきたんだ。ほら、午後から覇王との戦いが始まるからさ。デッキを強くして欲しくて……」

 

透子

 「本当ですか!ありがとうございます!でも……もしあるならこの子を上手く扱えるデッキが欲しいです……ね」

 

 鏡子がカードを手渡そうと距離を詰めた瞬間。突如心臓の鼓動が格段に早まり、一気に胸が苦しくなりました。

 

透子

 (なんですか……これ。身体が熱くて……胸が……痛い)

 

 私が苦しんでるのを察知したのか(ユニコール)は耳を絞り、首を伸ばして鏡子を噛みにかかります。

 

鏡子

 「おわ、危ね!ユニコールコントロールのデッキパーツは後で渡しておくからな!体調は整えておけよな!」

 

透子

 「あ!鏡子!」

 

 鏡子はユニコールから離れて、手持ちのカードを床に置いて直様部屋を出てしまいました。

 

 鏡子が部屋を出た瞬間に、さっきまで私を苦しめていた胸の痛みは僅かな余韻を残してどこかへ消えていきました。

 

 どうして突然胸が苦しくなったのか考えていると、ユニコールが褒めてほしいと言わんばかりに顔を擦り付けてきます。

 

透子

 「ありがとうございますユニコールさん。でも、鏡子は噛んじゃだめですからね?」

 

 鼻を鳴らして頷くユニコールさん。本当に賢いですね……なんでこんなお馬さんがリンゴで手懐けられたのでしょう。意外とチョロい子なのかもしれません。

 

グリー

 「透子?大丈夫ザンスか?おサーモンでお腹下したザンス?」

 

透子

 「い、いえ……実はそれよりも前から……鏡子と手を繋いだ時から胸の痛みがあって……これっていったい……」

 

グリー

 「まぁ、分からない考えても仕方のないことザンス。今は覇王を倒す事に集中するザンス。胸の痛みもきっとそのうち分かるザンスよ」

 

 ユニコールさんから降りて私を励ますグリーさん。なんだか心が軽くなった気がします。

 

 私がファルコンビートの調整をしていると、ふと疑問に思った事をグリーさんに疑問を投げかけました。

 

透子

 「そういえばグリーさん?どうして私についてきてくれたのですか?」

 

グリー

 「簡単な事ザンス。ユニコールが透子を気に入ったからザンス。オイラ達はグリムロ様のパシリを長い間させられていたから、ユニコールも飽き飽きだったと思うザンスよ」

 

 あっ、本当に単純な理由でした。

 

 そんなことを考えているとドアがノックされ、鏡子がカードを置いていきました。

 

 ドアを開き、置かれていたカードとメモを見ると、どうやら低レベルの獣族を活用するコントロールデッキみたいです。

 

 それにしても相手の手札と同じ枚数に調整して制圧ですか……中々難しいですけど面白そうです。

 

 メモの通りにデッキを組めましたし、行きますか。

 

 私は荷物を纏めて、ユニコールさんを連れて部屋を出ました。

 

 

 

〜 ??? 〜

 

 星空の様な光が煌めく空間で、Z-ONEとレインが話をしていた。

 

Z-ONE

 「お疲れ様です。どうでしたか?透子の様子は」

 

レイン

 「彼女は注意すべき存在です。彼女は(魔轟神獣ユニコール)を駆使して覇王を討ち倒していました。しかし、それよりも危険な存在を発見しました」

 

Z-ONE

 「透子よりも注意すべき存在……ですか」

 

 Z-ONEが鸚鵡返しすると、レインは頷き報告を始めた。

 

レイン

 「名は不明ですが、暗黒界を操るデュエリストで、遊城十代の仲間達を生贄に(超融合)を生み出し、ユベルを強引に従え、(スターダスト·ドラゴン)をシンクロ召喚していました」

 

Z-ONE

 「スターダスト……ドラゴンですと!?それは本当なのですか!?」

 

 想定外の発言に言葉を震わせ動揺するZ-ONE。

 

 (スターダスト・ドラゴン)。それはZ-ONE達が監視している未来で不動遊星と呼ばれるデュエリストが操る【シグナーの竜】の一角である。

 

 【シグナーの竜】は5000年に1度行われる戦いで重要な役割を果たすカードであり、本来は5人の選ばれしデュエリストのみが扱えるカードの筈である。間違っても遊城十代の時代のデュエリストが扱える訳が無いのである。

 

レイン

 「肯定。彼は十代にユベルを超融合させるように仕向ける行動を多く取っていましたが真偽は不明。一刻も早く歴史からの排除を提案します」

 

Z-ONE

 「それについては私も同意見です。しかし、歴史の改変を先程行使しようとしたのですが、彼等だけは一切その効果を受けず改変は失敗しました。よってデュエルで直接抹殺するしかありません」

 

 Z-ONEの発言を聞いて顔が僅かに青ざめるレイン。

 

Z-ONE

 「安心してください。現状我々の戦力では彼を倒すことは出来ないと考えています。そのため、今度は彼と古神透子の監視と彼以外のシンクロ召喚を操るデュエリストの抹消をお願いします」

 

レイン

 「任務了解」

 

 レインは少し安堵した様子で、再び透子達の時代へ飛んだ。




恋愛描写を入れようにも、彼女いない歴=年齢+恋愛物読んだことないので聞いてる曲と想像でカバーします。
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