暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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IF.4鏡介流シンクロ教室〜準備編〜

 

鏡介

 「よ、ようやく終わった……」

 

 全くついていけてない授業を終えて、俺は机に突っ伏した。

 

 俺は前世工業高校で2年半過ごしていたからなんとなく解る場所もあるが、裏を返すとそれ以外は分からない。

 そもそも透子が代わりに勉強してたからブランクがとんでもないことになっていて、それが今になって牙を向いている。

 

 中間テストが控えているなか、これは厳しいと言わざるを得ない。いくらデュエルが強ければセーフといえども限度がある。かといって透子には頼めないし……頼めるのはレインしかいないか。

 

 そんなことを考えながら教科書を片していると、1枚のプリントが目に飛び込んで来た。

 

鏡介

 「2週間後シンクロ召喚講座ねぇ……そういえばそろそろシンクロ実装から1年か。そろそろ評価が固まりきってシンクロ召喚を扱うプロデュエリストが増えて活躍する頃か……まぁスルーだな。だってシンクロの裁定ほぼ把握してるし」

 

 激長ソリティアは不慣れだけどカードと練習時間さえあればクエーサー1体なら立てられるしな。

 

 さて……レインに勉強教えてもらうか。

 

 俺は教科書類をバッグにしまい、レインを探しに立ち上がる。アイツ最近授業終わったらふらっとどこかに行っちまうんだよな……

 

 

〜〜〜

 

レイン

 「……これで任務は一段落」

 

 来賓をもてなす部屋でデュエルディスクを格納しながら1人呟く少女の名はレイン恵。遠い未来からシンクロ召喚を抹消するためにやってきた機械少女。

 

 彼女はシンクロ召喚教室を行うと聞き、忍び込んだ校長室から資料を確認して講師を特定。待ち伏せしてこれを抹殺した。ちなみにこれで講師抹殺は3人目である。

 

 この他にも彼女はこのアカデミアでシンクロ召喚を軸に据えたデュエリストをリストアップしつつ可能な限り抹殺しているが、寮の門限という時間的制約に、何よりも誰も見られない様な場所でデュエルして抹殺しなければならない空間的制約が枷となり遅々として進まないでいる。

 

 それでも少しずつ数を減らしており、課された任務を達成すべく彼女は日々デュエルを続ける。

 

 

〜 校長室 〜

 

鮫島

 「透子さん。貴方の実力を見込んで、シンクロ召喚講座の講師をやっていただきたいのですが、お願い出来ますか?」

 

透子

 「えっ……え?もう一度言ってもらって良いですか?」

 

 校長室に呼び出されて、校長の開口一番の言葉がこれです。私は全く話が理解出来ずに聞き返す事しか出来ません。

 

鮫島

 「まぁそう言われるのも無理はありませんね。透子さん。貴方のシンクロ召喚の腕を見込んで、13日後のシンクロ召喚講座の講師をしていただきたいのです」

 

 や、やっぱり聞き間違いじゃありませんでした……どうしてこんなことに。

 

鮫島

 「実は企画はしたは良いものの、肝心の講師が全く集まらなくてですね……やむを得ず貴方に頼るしかなかったのです」

 

 そもそも、なんで講師と契約する前に発表したんですか……

 

透子

 「確かに私はシンクロ召喚をよく使いますけど教えられるかと言うとそれほど……それに、私人前で話せる自身は無いんですけど……あと講師なら鏡介も適任だと思います。あの人レベル10のシンクロ召喚とかも出来るので……」

 

鮫島

 「なんと……本当に鏡介君は底の見えないデュエリストですね……では鏡介君と共にシンクロ講座を成し遂げて下さい。貴方が断った場合、シンクロ講座を中止せざるを得ないのです。報酬は鏡介君と話を交えて改めて相談します。どうか……お願いします」

 

  わざわざ椅子から立ち上がって、地面と平行になる勢いで頭を下げて来ました。

 

 ここまでお願いされたら……断るなんて出来ないですよ……うぅ、やるしかないんですね……

 

透子

 「うぅ……分かりました。分かりましたから頭を上げて下さい」

 

鮫島

 「本当に、本当にありがとうございます」

 

 そうして、私は申し訳無さそうに項垂れる鮫島校長を後目に校長室から退室しました。

 

 

〜〜〜

 

 やってきたのは鏡介の部屋。なんだかんだ……鏡介の部屋に入るのは初めてな気がします。

 

 扉に触れると、身体がカァァっと熱くなっていくのが分かります。

 

 呼吸を整えて、覚悟を決めて扉を軽く叩いて鏡介に呼びかけます。

 

透子

 「きょ、鏡介……い、居ますか?」

 

 問いかけても、帰ってくるのは沈黙だけ。「入っていいぞ〜」といった、ちょっとぶっきらぼうな私の望んだ言葉はいつになっても返っては来ませんでした。

 

透子

 「やっぱり……あの時のことを気にしてるのでしょうか……」

 

 ユニコールさんに噛まれかけてしまったあの時の記憶。もしかしたら、それで鏡介に嫌われたのかも……

 

鏡介

 「と、透子!どうしたんだ俺の部屋の前になんか立って?」

 

 声がした方を向くと、そこには教科書とノートを持った鏡介の姿が。

 

透子

 「鏡介!補習の帰りですか?」

 

鏡介

 「いや、レインに勉強教えて貰ってた。まぁ〜探すのに苦労したぜ。何故か大体育館の裏に居たからな」

 

 また……レインさんとですか……どうしてこんなに胸が苦しくなるのでしょう……

 

鏡介

 「どうした?また具合が悪くなったのか!?」

 

 心配そうに声をかけてくれる鏡介。嫌われては……いないのでしょうか?でも建前の可能性も……

 

透子

 「い、いえ……大丈夫です……それよりも鏡介にお願いがあってきたんです」

 

鏡介

 「お願い?まぁ立ち話もあれだ。俺の部屋で話を聞くよ。ちょっと汚いけど我慢してくれ」

 

 鏡介は部屋の扉を開けて、私を部屋に迎え入れてくれました。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「へぇ……シンクロ召喚講座の講師ねぇ……」

 

 透子のお願い。それはシンクロ召喚の講師が居ないから、代わりに透子と一緒に講師になってくれというものだった。

 

鏡介

 「透子の頼みなら断るつもりはねぇ。とりあえず、鮫島のとこ行くぞ」

 

透子

 「そう……ですね」

 

 俺の部屋をキョロキョロしてる透子。部屋の構造は大して変わらない筈なんだけどなぁ……床には埃降ってるし机は雑に教科書積んであって汚ねぇし。

 

 それにしても、相変わらず透子が浮ついた様子で心配になる。でも前に大丈夫って言ったから信じないと……

 

 俺がドアを開けると、透子は慌てた様子で立ち上がり、俺の後ろ3歩ぐらいの距離を維持して歩いてくる。

 

 女は男の後ろを歩くみたいな旧時代的ななにかを感じながら、俺達は校長室へ向かう。

 

 

 

〜 校長室 〜

 

鏡介

 「失礼します」

 

 俺がドアをノックして、校長室へと足を踏み入れる。

 

鮫島

 「おお鏡介君。シンクロ講座の話。受けて頂けますね?」

 

鏡介

 「透子の頼みとあれば断る理由が無いですから。それより、シンクロ講座用の教本とかって用意されていますよね?」

 

 俺がそう言うと、鮫島校長は、16ページぐらいの薄い冊子を出してきた。

 

鮫島

 「来賓室に置かれていたこの冊子をお使い下さい。後、実践用のサンプルデッキも用意してあります」

 

 渡された冊子を確認する。うん。基本的なシンクロ召喚についてのルールとか裁定が乗ってるな。こんなのが、なんで来客をもてなす来賓室にあるんだよ。

 

 サンプルデッキは……完成度低。1ターンと手札全部かけてバニラ1体立てるデッキとか嘘だろ?

 

鏡介

 「あの……鮫島校長。教本はまだしも実践デッキの質が低すぎます。このデッキではシンクロの強みを広める事が出来ません。ですので、俺がサンプルデッキを2種類作ってみせます。後、授業の形式はこちらで決めてもいいですよね」

 

鮫島

 「……えぇ、授業の形式は基本そちらに任せます。報酬については……講座終了後にDPの支給でどうでしょう?額はこちらで……」

 

 電卓を取り出して額を提示する鮫島校長。学生に出すとしたら中々の額のDPだ。ドローパンとかの菓子類を今日から卒業まで毎日買い食いしてもまだ余裕がある額だな。

 

鏡介

 「まぁまぁ良い額だな。それじゃあ報酬はそれでお願いします」

 

鮫島

 「……分かりました。貴方達の活躍で、このアカデミアに新しい風が吹くことを期待しています」

 

  鮫島校長の言葉を締めとして、俺達は退室した。

 

 

〜〜〜

 

 校長先生とのお話が終わって、私は鏡介に誘われて彼の部屋に戻ることになりました。

 

鏡介

 「透子……すまねぇ。俺主体で話進めちまった」

 

 振り返ることなく、申し訳無さそうに私に声をかける鏡介。正直、あのときの私は緊張でとても話せる状態じゃなかったので助かりました。でも、それを言うと鏡介に心配させてしまうので言いません。

 

透子

 「気にしないで下さい。所で、鏡介は教材用のデッキを作るって言ってましたけど、作れる目処は立っているんですか?」

 

鏡介

 「話は変わるけどさ、透子。シンクロ召喚の1番の強み、シンクロに出来て融合には出来ない事って何だと思う?」

 

 鏡介の突然の問いかけ。突拍子もない事を聞かれて言葉が詰まってしまいました。

 

鏡介

 「分からないか?ヒントは透子。お前が持ってるナチュルかユニコールデッキに眠っている」

 

 ナチュルデッキにヒントが……ナチュルの特性は低レベルだけど各々の強力な制圧効果で制圧するコントロールデッキ。

 ユニコールは低レベルなメルフィー達で盤面を整えて、ユニコールによって制圧するデッキ。2つのデッキ共通するのは、コントロールデッキであることと……低レベルモンスターが大半を占めていること。

 

透子

 「シンクロ召喚1番の特性。それはチューナーさえ確保出来ればどんなモンスターも輝ける。そうですよね?」

 

鏡介

 「大☆正☆解。俺が持ってる効果モンスターだけでソリティア決めてやってもいいが、それだけでは本質は見えない。冷遇され忘れ去られたカードにもスポットライトを当ててやる。それこそが新しいデュエルをアカデミアに広げる鍵になると俺は思っている」

 

 だから……と鏡介は1つ間をおいて、これから組むデッキの名を口にしました。

 

鏡介

 「俺が組むデッキは……バニラシンクロビートだ」

 

 そんなことを話していると、とうとう鏡介に部屋にたどり着いてしまいました。鏡介が扉を開けて、先に部屋へ入っていきました。

 

 私がドアを閉めて鏡介がテーブル周りの座布団に、私は3人座れそうなソファの端に座ります。

 

 本当なら鏡介に向かい合うテーブルに座るべきなのかもしれません。でも、私はこの動悸を回避するにはこうせざるを得ないんです。

 

 最近の過度な緊張の原因。毎晩毎晩考えた結果たどり着いた結論は、鏡介に近づくと緊張するということでした。さっきの校長室からここまでの行き来で、3歩までなら平然としていられる事が分かりました。

 なのでこれから、鏡介から3歩以上距離を取らなければなりません。そうしないと……鏡介を心配させてしまうから

 

鏡介

 「……さて、デッキの概要を話す。簡潔に言うと、レベル1~3のバニラモンスターを強力な魔法罠でサポートして大量展開。それらを使って連続シンクロしてビートダウンするデッキだ。魔法罠とExデッキはこちらで用意する。今必要なのは……」

 

透子

 「低レベルの通常モンスター。それなら古井戸にありそうですね」

 

 このアカデミアには、とうの昔に水が枯れた古井戸があり、多くのアカデミア生はそこに低ステータスのモンスターを捨てるのだそうです。必要のない……ザコカードとして。

 

鏡介

 「回収するカードの条件は2つ。1つ、レベル1~3の通常モンスターであること。2つ、水属性であること。これらの条件を持ったカードを古井戸から回収しにいくぞ」

 

透子

 「分かりました。それでは行きましょう」

 

 私は鏡介との距離に気を配りながら、古井戸へと向かいました。

 

 

〜 森 〜

 

 森の奥へ奥へと足を踏み入れて、辿り着いたのは古ぼけた井戸。ここにはアカデミア生によって、多くのカードが捨てられているんだとか。

 

 さっそく鏡介は持ってきたロープを井戸に引っ掛け……ようとましたが何か黒い瘴気を感じたのか足を止めました。

 

透子

 「鏡介……この瘴気ってまさか!」

 

鏡介

 「来る……ダークネスが!下がれ!透子!」

 

 古井戸から湧き上がる大量の黒い瘴気。それらが形を成し、2人のミスターTへと変化を遂げました。

 

ミスターT

 「お久しぶりですね……古神透子、古神鏡介。さぁ、デュエルを受けていただきますよ」

 

鏡介

 「上等だ!消し飛ばしてやる!」

 

透子

 「わざわざ負ける道理は無いんです!勝って生きて見せます!」

 

透子·ミスターT

 「デュエル!」

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(魔獣の懐柔)を発動!このカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、デッキからレベル2以下の獣族モンスターを3体効果を無効にして特殊召喚します!来て!(魔轟神獣ケルベラル)、(不屈の獣僕)、(メルフィー·フェニィ)!」

 

 低空から飛んできたグリーさんに似た悪魔達が3匹?飛んできてきて、彼らがどこかへ飛び去ると、共通点の見いだせない獣達が飛び出してきました。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「私は(不屈の獣僕)と(魔轟神獣ケルベラル)をチューニング!雄々しき白馬よ!その魔性の瞳で戦場を支配せよ!シンクロ召喚!レベル4(魔轟神獣ユニコール)!」

 

 光の中から駆けつけてきたのは、白い白馬。己の存在を示すかの如く、甲高い嘶きを上げました。

 

透子

 「私は(レスキューキャット)を召喚!効果発動!このカードをリリースして、デッキからレベル2以下の獣族を特殊召喚!来て!(森の聖獣カラントーサ)、(メルフィーキャシィ)!」

 

 ヘルメットを被った猫がホイッスルを吹くと、どこからともなく可愛らしい兎と猫がやってきました。

 

透子 手札5→4

 

透子

 「私は(メルフィー·フェニィ)と(キャシィ)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク2(森のメルフィーズ)!効果発動!素材の(フェニィ)を取り除き、デッキからメルフィー魔法罠(メルフィーのかくれんぼ)を手札に!」

 

 切り株の周りに集まる可愛らしい動物達。彼等が藪の中から1枚のカードを私に手渡してくれます。

 

透子 手札4→5

 

透子

 「永続魔法(メルフィーのかくれんぼ)を発動!効果発動!墓地の獣族を3種類(メルフィー·フェニィ)、(レスキューキャット)、(魔轟神獣ケルベラル)を戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札5→4→5

 

透子

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに手札の(メルフィー·ワラビィ)と(メルフィ·キャシィ)を特殊召喚!(レスキューキャット)の効果で特殊召喚されたモンスターは破壊されますが、(かくれんぼ)の効果で破壊されません!」

 

透子 LP4000 手札3 伏せ1

 

魔轟神獣ユニコール 攻2300

メルフィー·ワラビィ 守400

メルフィー·キャシィ 守200

森のメルフィーズ 守2000

森の聖獣カラントーサ 守1400

 

メルフィーのかくれんぼ

 

ミスターT LP4000 手札5 伏せ0

 

ミスターT

 「私のターン。ドロー」

 

ミスターT 手札5→6

 

ミスターT

 「私は(ダーク·アーキタイプ)を召喚」

 

透子

 「(メルフィー·キャシィ)の効果発動!相手が召喚·特殊召喚。またはこのカードを攻撃した時発動!このカードを手札に戻して、デッキから獣族モンスター2枚目の(レスキューキャット)を手札に加えます!」

 

 ミスターTが繰り出すモンスターを見て、私の猫が驚いて逃げていきます。

 

透子 手札3→4→5

 

ミスターT 手札6→5

 

 そしてミスターTが私の手札と同じ枚数になった瞬間。(ユニコール)の瞳が赤く輝きました。

 

ミスターT

 「バトル!(ダーク·アーキタイプ)で(魔轟神獣ユニコール)を攻撃!」

 

 鈍重な動きで近づこうとする不気味なモンスターは、逆に(ユニコール)の強烈な後ろ蹴りで粉砕されていきました。

 

ミスターT LP4000→3100

 

ミスターT

 「ダーク·アーキタイプ)の効果発動!このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキから受けたダメージと同じ攻撃力を持つモンスターをデッキから特殊召喚!」

 

 不気味なモンスターが消え去り効果を行使しようとした瞬間。(ユニコール)の瞳が真っ赤に強く輝いて、その力をかき消してしまいました。

 

ミスターT

 「な、何!?(ダーク·アーキタイプ)の効果が!」

 

透子

 「(魔轟神獣ユニコール)の効果。このカードが存在する限り、私と貴方の手札が同じなら貴方の効果は無効化されて破壊されます。貴方は私の掌の中に……足掻けるなら足掻いて見なさい。その一挙手一投足を……否定してあげますから」

 

 魔轟神獣ユニコールの効果の恐ろしい所はターン1がついていない事。そして永続効果であること。そのため着地して条件さえ満たしてしまえば、ありとあらゆる効果やカウンター罠。チェーンを許さないあの(超融合)すら無効に出来てしまいます。

 

 このデッキを作ってから今に至るまで、多くのデュエリストが(ユニコール)の効果に阻まれ、絶望の表情で私を見つめてきました。その表情を、相手の不完全な盤面を見る度に私の心が満たされていくのが分かるんです。

 

 これこそが私が小さな頃からしたかったこと。相手の動きを徹底的に阻害して、じわりじわりと相手を追い詰めてフィールドを支配する。

 

 我ながら嫌な性格だと思いながらミスターTに視線を向けると、彼はカードを1枚セットしてターンを終えていました。

 

ミスターT LP3100 手札4 伏せ1

 

透子 LP4000 手札5 伏せ1

 

魔轟神獣ユニコール 攻2300

メルフィー·ワラビィ 守400

森のメルフィーズ 守2000

森の聖獣カラントーサ 守1400

 

メルフィーのかくれんぼ

 

透子

 「私のターン。ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(カラントーサ)と(ワラビィ)でオーバーレイ!ランク2(神騎セイントレア)!」

 

 現れたのは半人半馬の騎士。その攻撃力は2000なので殴って終了なのですが……石橋は叩いて渡るものです。堅実に行きましょう。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「カードを1枚セットしてトラップ発動!(サンダー·ブレイク)!手札の(禁じられた1滴)を捨ててセットカードを破壊!」

 

 放たれた稲妻がセットカード(聖なるバリア -ミラーフォース-)を焼き切りました。

 

透子 手札6→5→4

 

透子

 「バトルフェイズ。(魔轟神獣ユニコール)と(神騎セイントレア)でダイレクトアタック!」

 

 騎士の一突きが、白馬の噛みつきがミスターTを削り取り、カードとなって消えていきました。

 

ミスターT LP3100→800→-1200

 

透子

 「鏡介!」

 

鏡介

 「おう、終わったのか。俺も丁度ケリがついた所だ」

 

 鏡介に目を向けると、そこにはカードになってどこかへ消えていくミスターTの姿と消えていく(グラファ)の姿がありました。

 

鏡介

 「さて、作業再開。古井戸に乗り込むぞ」

 

 今度こそロープを結びどんどんと降りていく鏡介。地に足が付く音がしたので、声をかけます。

 

透子

 「どうですか?目的のカードはありましたか?」

 

鏡介

 「駄目だ!目的どころかカード1枚すらねぇ!全部ダークネス堕ちしたみてぇだ!」

 

 最近の会議での話によると確か……愛されなかった、簡単に言うなら使われなかったカードはダークネスの支配を受ける……とか言ってましたね……。

 

 すぐさま縄を登ってくる鏡介。その表情は残念そうです。

 

鏡介

 「……仕方ない。こうなったらアカデミア中駆け回って、生徒全員に片っ端から条件のあったバニラモンスターを強請ろう。協力してくれるよな?」

 

透子

 「要は……バニラモンスターを譲って貰える様に交渉すれば良いんですね?やれるだけやってみます」

 

鏡介

 「欲しいリストは用意してある。有効に使ってくれ」

 

 そう言って裏紙を渡してくる鏡介。覚悟を決めて、過度の緊張を無理やり抑え込んで紙を受け取りました。

 

鏡介

 「それじゃあ……検討を祈る。6時前に校舎前集合な」

 

 そう言って駆け出した鏡介。その背中は……なんとなく悲しそうな雰囲気を滲ませていました。

 

 

〜〜〜

 

 すっかり日が沈みかける頃、校舎前に行くと、鏡介が壁に寄りかかっていました。

 

鏡介

 「おぉ透子!どうだ?集まったか?」

 

透子

 「渡されたメモのカードは枚数通り揃えられました。鏡介はどうですか?」

 

鏡介

 「バッチリだぜ!ほんのちょっと出費が嵩んだけど、なんとか揃えられたぜ」

 

 見せられたのは、水属性のレベル1~2の通常モンスターと……チューナーモンスターである(ガード·オブ·フレムベル)。それも3枚。

 

透子

 「チューナーモンスター!?よく揃えられましたね?」

 

鏡介

 「あぁ。どうやらめっちゃダブってたらしくてな。適当な5シンクロを提示したらそれはもう喜んでトレードに応じてくれたぜ」

 

 息を整えて鏡介にカードを手渡すと、カードを確認して満足そうに頷きました。

 

鏡介

 「よしよし……ちゃんと揃ってるな……今回はありがとうな。何かお礼したいんだけど……何か欲しい物あるか?」

 

 お礼……そうですね……正直欲しいものは何も……でも1つだけ、無くなったら困るものがあります。

 

透子

 「それなら……これからも鏡介の友達でいさせて下さい。それだけが……それだけが私の欲しい物です」

 

 鏡介に目を向けると信じられないと言わんばかりに驚いた表情をしていました。

 

鏡介

 「あぁ……あぁ!俺で良ければいくらでも!これからも宜しくな!」

 

 驚いた表情から一転して鏡介は嬉しそうに笑顔を浮かべて、手を伸ばしてきました。

 

 吸い込まれる様に鏡介の手を取ると、今までの様に心臓が加速して身体が熱くなっていきます。……でも不思議と嫌な感じはしませんね。鏡介のゴツゴツとした指を握ると心地良い鼓動を感じる事が出来ます。それこそ、ずっと握っていられる程に……

 

鏡介

 「と、透子?そろそろ離して……くれないか?そろそろデッキ組みにかかりたいからさ……」

 

透子

 「あっ、ご、ごめんなさい!それじゃあまた明日会いましょうね!」

 

 私はすぐに手を話して、鏡介と別れて自室へ逃げるように走りました。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「これでよし……っと」

 

 俺は異世界通販から取り寄せたカードを組み合わせる作業をしていた。

 

 組んでいるのは、水属性バニラを軸にした連続シンクロデッキ。ローレベル特有の大量展開を活かしてモンスターを並べて(白闘気海豚)とか(切り裂かれし闇)を適応した(HSRチャンバライダー)で殴り倒すデッキだ。やろうと思えば(白闘気白鯨)でブッパしたり(ドラガイド)で制圧する事も出来る。

 

 1つだけだと味気ないから更にもう1つデッキを作った。

 

 それはジャンク·ウォリアーワンキル。(ライトニング·ボルテックス)や壊獣、(サイクロン)や(大嵐)で盤面を焼け野原にして(ラッシュ·ウォリアー)と(スクラップ·フィスト)で強化した(ジャンク·ウォリアー)でぶん殴る単純なデッキだ。

 

 ちなみに、これらは講習後アカデミアにデッキまるごと寄贈してやろうと思う。特大出血サービスだ。

 

 なんだかんだデッキを作り終わり、立ち上がって腰を伸ばす。ウッ……立ちくらみが……。

 

 一度しゃかんで、同じく普通のDPで調達したデッキケースにカードを丁寧に押し込んで、ベッドに腰掛け寝転がる。

 

鏡介

 「友達でいさせてくれ……かぁ」

 

 縋るような目つきで口にした透子の事を思い出す。

 

 友達でいてくれ……その言葉を聞いて俺はとにかく嬉しかった。これからもずっと一緒に居てくれると分かってとにかく安心した。……流石にずっと手を握ってくるのは困惑したけど。

 

 でも……それならなんで今まで距離を置いて来たんだろう?友達でいたいけど近づきたくないナニカがあったんだろうか?

 

 パッと思いつくのだと……臭いか?それなら今日から丁寧に身体洗うか。

 

 俺は風呂の用意をさっさと済ませて部屋を出た。

 

 あっ、そうだ。せっかくシンクロするんだからデルタアクセル決めたいな。DPも一応余ってるしジャンド組むか……参考動画探さないとな。

 

 俺はスマホを起動し、動画を漁り始めた。




なんとなく後書きが寂しいので、前に考えたは良いものの出す機会が無いオリカ紹介コーナーにします。

慈愛の果実
通常魔法
このカードを発動するターン。自分は手札が3枚以下のときカードをセット出来ない
①手札を1枚相手の手札に加えて発動出来る。相手フィールドのEXデッキから特殊召喚されたモンスターを選び、そのモンスターのコントロールを得る。この効果を発動後、ターン終了時まで元々の持ち主が異なるモンスターが自分フィールドに存在する限りそのモンスターをリリース出来ず、自分はモンスターを特殊召喚出来ない。
②エンドフェイズに発動する。自分フィールド上に存在する元々の持ち主が異なるモンスターのコントロールは元々の持ち主に戻る。このカードのコントローラーは手札を全て相手の手札に加える事でこの効果を無効に出来る。

 透子がユニコールを手懐けるシーンをどうにかして再現したかったカード。デメリット強めにしたつもりなのですが、強いかどうかは分かりません。カード化したら多分文字ギッチギチでしょうね。(291字)是非感想でコメントお願いします。
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