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〜 ジャスティス·ワールド 〜
大体育館から出ると、(ルミナス)さんに呼び出されて私は慌てて自室でジャスティス·ワールドに飛びました。
透子
「(ルミナス)さん……急に呼び出してどうしたんですか?しかも鏡介を呼ばないで……」
側にユニコールを連れて本拠地やってくると、(ルミナス)さんはすぐに本題に入ってくれました。
ルミナス
「来てくれてありがとう透子。簡潔に言ってしまうと、君達を一時的にライトロードの一員にしてしまおうと思ってね」
透子
「えっ……ええ!?」
飛び出してきた予想外の発言。戦いなんてしたことのない私が、戦闘集団であるライトロードに入るなんて予想出来るわけがありません。
ルミナス
「まぁ驚くのも無理はないよね。事の発端は2日前、(カラレス)が鏡介君をモデルにモンスターカードを作り出したみたいでね。我々も同様の事をすれば戦力増強を図れるんじゃないかなと思ったんだ」
透子
「ちょ、ちょっと待って下さい!ライトロードの皆さんと同じ場に立てるのは嬉しいんですけど、鏡介と違って私はちょっと罠を実体化出来るぐらいでとても真表に立てる力はありませんよ!?」
ルミナス
「そう、そこなんだ。君の罠を操る力は我々にない物で、鍛えれば十分戦える物だ。ついでにユニコール君やファルコンさんも同様の手法で戦力に出来ると嬉しいと思ってるんだけど……どうかな?」
私の罠の実体化が……役に立つのですか?少なくともユニコールは頼りになるでしょう。実際ハマれば完封もあり得るほど強力ですから。
透子
「私の力が役に立つなら……分かりました。それに、私がカードになったらどんな効果になるのか気になりますし」
ふと横を見ると、ユニコールの反応も悪くなさそうです。言葉が分かってないと言われたらそこまでですが。
ファルコン
「僕は……霞の谷の一員なんだ。一時的とはいえ他の組織に属するのは……僕の故郷を裏切る様な気がするんだ」
申し訳なさそうに手を上げて、断りを入れるファルコンさん。
ルミナス
「なら、こういうのはどうだい?ダークネスの戦いが終わったら、我々ライトロードは君の世界を探す手伝いをしよう。現状君は君の世界どころか世界の渡り方すら一切の手がかりが掴めて無いんじゃないかな?」
ファルコン
「ウッ……確かにその通りだ。で、でも……」
透子
「ねぇ、ファルコンさん。ファルコンさんは故郷に帰って何したいですか?」
私が声をかけると、ファルコンさんは目を閉じて、静かに話し始めました。
ファルコン
「僕は……故郷の皆に会いたいな。そして今までみたいに鍛錬をして、何気ない会話をして……そんな平穏な1日を取り戻したい」
透子
「それなら、生きてダークネスとの戦いを乗り切らないとですね。ファルコンさんの故郷の事は分かりませんが、きっと故郷の皆さんは、ファルコンさんの帰りを待ってますよ?」
ファルコン
「皆待ってる……か。……………(トワイライトロード·シャーマン·ルミナス)。僕はしばらくの間、君達と同じライトロードとしてダークネスと戦うよ。戦って……生きて皆の元に帰って見せる!」
ファルコンさんが力強く宣言すると、ルミナスさんは満足そうに頷きました。
ルミナス
「その答えを待っていたよ!それじゃあちょっとこっちに来て。衣装はもう用意してあるんだ」
まさかの準備済み。ファルコンさんの分まで用意されているって事は元から説得するつもりできてたんですね。
〜 数分後 〜
ファルコン
「これが……ライトロードの衣装……」
目の前に立っているのは、(ライトロード·パラディン·ジェイン)さんの様な白地に金細工を施した鎧を身に纏い翼を広げるファンコンさん改め(ライトロード·ソルジャー·ファルコン)。しかし、剣と盾は霞の谷時代のものを使っています。
少し視線をズラすと、そこには同じく白地に金細工の馬鎧を身に着けた(ユニコール)改め(ライトロード·キャバルリー·ユニコール)。その上には、特に変わった様子のない(グリー)さんの姿がありました。
そして私、(ライトロード·トラッパー·トーコ)は1年前に(ミネルバ)さんから貰った衣服を纏い、(鎖付きブーメラン)を握りしめています。
ルミナス
「うん!結構似合ってるじゃないか!これが透子のカードね」
渡されたカードの効果は……と。
ライトロード·トラッパー·トーコ
効果モンスター
レベル3/光属性/魔法使い族/攻1100/守1800
①このカードがフィールドに存在する限り、1ターンに1度テキストに「ライトロード」と記された罠カードの効果を発動するために払うコストが必要なくなる。
②自分·相手エンドフェイズに発動する。フィールドのライトロードモンスターの種類の数だけデッキの上からカードを墓地へ送る。その後、この効果で墓地へ送られたライトロードモンスターの数まで墓地のテキストに「ライトロード」と記された罠カードをセットする。この効果でセットされたカードは次のエンドフェイズにデッキの下に戻る。
②の効果は強いですね……ライトロード罠ってどんなものがありましたっけ。
ルミナス
「あっ、カードは(ミカエル)様が用意して下さったよ。有効に使ってね」
渡されたのは7種類の魔法罠カード。どれもかなり良い効果ですね。
ルミナス
「あっそうだ。もうそろそろ食事の時間だから、久々にここで食事を取っていかないかい?」
透子
「もうそんな時間ですか?それではお言葉に甘えて……」
私はユニコールとファルコンさんから自身のカードを受け取り、この場を立ち去りましました。目指すは食堂です。
〜 食堂 〜
出てくるのは相変わらずの美味しい洋食達。それなのにどうもスプーンが進みません。鏡介と一緒だったら……そんなことばかり頭の中を支配していきます。
ジェイン
「……透子?どこか苦しいの?」
ふと前を見るとそこには空の食器を持っている(トワイライトロード·ジェネラル·ジェイン)さん。彼女は私の側に座りました。
前に相談にのってくれるって言ってましたし……せっかくですので聞いてもらいましょうか
透子
「いえ、そういうわけでは……(ジェイン)さん。少し悩みを聞いて頂けますか?」
〜〜〜
ジェイン
「鏡介が他の娘と話してると悲しくなる……なんでそんな事を考えてしまうのか分からないのね?」
透子
「はい、さっきも食事してるときに鏡介が居たら……なんて事を考えてスプーンが進まないんです」
私の相談を聞いたジェインさんは、ほんの少し考え込む様な仕草をして口を開きました。
ジェイン
「それは……恋……だと思う」
透子
「恋って……あの人を好きになる恋ですか?」
頭が理解しきらない内にオウム返しした私の言葉に、ジェインさんが頷きました。
ジェイン
「昔、私がとある世界の長期的な武力介入を終えて撤収するとき、1人の女の子が私に声をかけてきたの。私が……好きだって」
ジェインさんの思い出しながら紡がれる言葉に、私は静かに耳を傾けます。
ジェイン
「どうして?そう聞いたらその子は……確か私を怪物から助けてくれて母さんに合わせてくれた……そんな優しい騎士さんが好きって言ってたと思う」
死に直面する状況を助けてくれたら確かに大きな恩は感じますね。でも好意までは……小さい女の子だからでしょうか?それとも私の想像力不足でしょうか。
ジェイン
「その子は私と結婚して一緒に暮らして欲しいって言ってたけど……断った。私達は光の使者で、降臨した世界に何も残してはいけないんだと……そう伝えた。その時の彼女の表情を……今でも思い出す時がある」
顔を俯かせて、少し悲しげに語るジェインさん。その子の表情が容易に想像できてしまいます。
ジェイン
「その子は私の事以外の事を考えられなくなったから帰って欲しくないって言ってたから……この地に途轍もない怪物が現れて君達を襲ったら……その時はまた来るって伝えて納得してもらったと思う。貴方はその子みたいに鏡介の事を考えてしまう。だから好きなんじゃないか……と考えた」
なるほど。私は……鏡介が好きだから、あんなにも変になってしまったのですね。
ジェイン
「ねぇ……透子。貴方は鏡介に貴方の気持ちを伝えるべきだと思う。私も言われるまではあの子の気持ちに気付かなかった。その結末がどうなるかは分からないけど、伝えないと、きっと後悔すると思う」
透子
「確かに……その通りですね。明日、鏡介に伝えます。相談に乗ってくれてありがとうございます」
ジェインさんに相談したお陰で、不思議と胸の中が軽くなった気がします。
私はすっかり冷たくなってしまった食事を摂って、ジャスティス·ワールドを後にしました。
〜 オベリスクブルー寮 〜
ジャスティス·ワールドから帰還して、お風呂に入った私は渡されたカードを使って新しいライトロードデッキを完成させました。
その名はライトロードコントロール。私の効果で墓地から罠を供給してそれで妨害、ライトロードの墓地肥やし能力を活かして(ユニコール)さんで制圧。トドメは(グラゴニス)さんの大火力貫通パンチで決めるデッキです。
遂に完成したライトロードの皆さんを使ってコントロールするデッキです。普通のライトロードデッキ以上に不安定なのが欠点ですが。
ちなみに(裁きの龍)は入っていません。何枚かの罠やユニコールさんが墓地にライトロードモンスターのみ存在していないと発動出来ないので入れることは出来ませんでした。
出来たデッキをケースにしまって2人は寝れそうなベッドに寝転びます。
透子
「鏡介は……私の想いを受け取ってくれるでしょうか?」
ふと脳裏に過るそんな疑問。それと同時にレインさんの顔が浮かび上がってきます。
あの人胸大きいんですよね……私と違って。比べ物にならないレベルで。
身長:アカデミアにおいて誰よりも小さい145cm
B:まな板なんて言葉すら生温い67
W:太っては……ないと思いたい60
H:これを少しでも胸に盛って欲しかった87
私の身体測定の数値を思い出して、気づいたら私は(王宮の鉄壁)すら裸足で逃げる自分の絶壁を撫でていて、凄い虚脱感に襲われました。
透子
「もしかして……レインさんはその身体で鏡介を誑かしてたり……いえ、考えるのはやめましょう」
不純ですし、これ以上自分の傷を抉ると気がやられてしまいそうになります。
透子
「ま、まぁ最近《貧乳はステータスだ!希少価値だ!》なんて言葉も囁かれ始めましたし大丈夫……大丈夫……」
ぶつぶつと呟いていると、心配に思ったのか(ユニコール)がブニブニと鼻を押し当てて来ました。
透子
「(ユニコール)……私を慰めてくれるんですか?」
大きく頷いて、顔をスリスリしてくる(ユニコール)。実体が無いから触れる筈が無いのに……どうしてこんなにも癒やされるのでしょう。
無心になって(ユニコール)を撫でていると、いつの間にか抱えていた悩みや不安が完全に消え去っていました。
透子
「ふふっ、ありがとうございます(ユニコール)。私に貴方を実体化させられる力があったなら……目いっぱい撫でてあげるんですけど、それも叶わない事ですね」
撫でるのを辞めると、(ユニコール)は名残惜しそうに見つめて、しばらくしたらフッと姿を消してしまいました。
私も、明日に響かない様に早めに寝ましょうか。
〜〜〜
鏡介
「ウッ……フゥ……はぁ……」
身体を脱力させながらティッシュで辺りを軽く掃除をして、俺は賢者と化してベットに倒れ込む。
さっきまで俺は(ラーの翼神竜-球体形)2体でエクシーズ召喚した(超弩級砲塔列車グスタフ・マックス)の効果を発動し、虚空に2000バーンを飛ばしていた。凄まじく遠回しな言い方だが、平たく言えば、思春期の男共がほぼ毎日やるアレである。
鏡介
「最近のネタ……全部透子としかヤッてねぇじゃねぇか」
前世……といっていいのか分からないが、俺が透子と魂が同居する前は豊満な異性相手にやれ寄生乗っ取りだのやれNTRだの人格排泄だの洗脳悪堕ちとかそんなもので自らを慰めていた。
しかし透子と同居別れしてからは、女児……いや慎ましやかな体格の異性の純愛しか食指を伸ばしてない。しかもイメージする相手の顔が全て透子である。
鏡介
「これは……もうそういうことなんだよなぁ……」
俺の中に潜む心が……透子との“そういうこと”を求めているのに他ならない。
鏡介
「だが駄目だ!今はそれをすべきではない……」
もう正直に言おう。透子が好きだ。大好きだ。だが、その思いのまま獣になろうものなら颯爽としょっぴかれ退学の憂き目に会うだろう。
今はその思いを胸に秘めて、卒業まで待たなければならない。
その為に、俺は全力で透子の接触を避けている。万が一接触して、友達以上の行為をするわけには行かない。
透子のお願い。「友達でいて欲しい」。その時の透子の顔が脳裏をよぎる。
鏡介
「透子……すまない。お前のお願い聞けそうにないわ……俺だって……会えなくて辛いんだ」
駄目だと分かっていても、透子への想いが日に日に増していくのが分かる。最近では夜を迎える度に寂しさが胸を覆う程に大きくなっている。
鏡介
「透子……俺はどうしたら……どうしたらこの気持ちを抑えられるんだ……」
さっさと就寝の用意を済ませて床に就くが、いつにも増して寝付きは悪かった。
〜〜〜
透子
「今日の授業も終わり……それにしても次の月一デュエルどうしましょう……《過去の月一デュエルで使った事のない種族を主軸にしたデッキでデュエル》って……」
最後の授業が終わり、その際に先生から放たれた事がこれです。
しかも混合で使っていた場合はいずれも使えないという仕様との事で、極めつけに今に至るまで鏡介が使ってきた種族まで使えないので相当範囲が狭いです。
今まで使っていたのは……鏡介が使ってた暗黒界·インフェルノイドの《悪魔族》。kozmoの《サイキック》と《機械族》。メタファイズと真竜の《幻竜族》。私の使うナチュルの《昆虫·植物族》。ユニコールコントロールの《獣族》。ファルコンビートの《鳥獣族》。ライトロードは種族が多すぎる為、お情けでライトロードが名指しで使えない事になっています。
まあ、それは後で考える事にしましょう。時間はまだ3週間はあります。じっくり考えても損はありません。別に現実逃避してるわけじゃありません。本当ですよ?
それよりも、私は今日鏡介に告白しなければなりません。
視線を遠くに移すと、鏡介とレインさんが月1デュエルについて話をしているようです。耳に魔力を籠めて聴力を強化して、話を聞いてみましょう。
鏡介
「次の月1デュエルは種族統一デュエルだってさ。レインは何使うんだ?俺は恐竜族でなんか作るわ」
レイン
「私は……機械族。マシンガジェットで行く」
鏡介
「マシンガジェかぁ……強いなぁ……ま、お互い頑張ろうぜ」
私にレインさんと鏡介の話を止める権利なんて無いのに……何ででしょう。どうして胸が締め付けられる様に苦しいのでしょう。これが……嫉妬というものなのでしょうか。好きだから……こんな気持ちになるのでしょうか?
レイン
「ねぇ鏡介……付き合って?」
鏡介
「ん?あぁ……なるほど。別に良いぞ。」
レインさんから放たれた衝撃の言葉。それにあっさりと頷いた鏡介に、まるで後頭部を激しく殴られたような感覚に襲われます。
ふとレインさんと目が合いました。その表情に、勝ちを確信した雰囲気を感じた気がしました。
レイン
「……鏡介は頂く」
いつの間にかレインさんと鏡介が私の横を横切って、すれ違い様にレインさんがまるで私だけに聞かせる様に囁いていきました。
鏡介
「レイン?なにか言ったか?」
レイン
「気にする必要は無い。独り言。門限まで付き合ってもらう」
レインさん達はそのまま教室を出ていきましたが、そんなことはどうでもいいんです。
透子
「鏡介……友達でいてって約束したしたじゃないですか……どうして……どうしてこんな……」
目からは涙が、心からは悲しみがとめどなく溢れて頬を濡らしていきます。
透子
「あぁそうか……友達で居続けたいって思ったから……それ以上の関係にならないようにしていたのですね……ハハハ……」
自然と渇いた笑いが込み上げてます。とにかく帰りましょう。周りに心配をかけるわけには行きませんから。
〜オベリスクブルー寮〜
透子
「仕方ない事……そう、先にレインさんが自分の想いを伝えてそれが実ったんです。だから私は諦めなければならない。どうしょうもない事なんです……」
何人かに心配そうに声をかけられましたがこれを振り払い帰ってきて、今やっている事は、自分の想いを掻き消す為にひたすらに仕方のないことだと思い込む事でした。けれど……
透子
「うっ……鏡介……私には鏡介しか居ないんですよ……私を見てくだいよ……レインさんなんて見てないで……私を……見てください」
掠れる様な声で呟いても、当の本人はレインさんと愛を育んでいるのでしょう。仕方のない筈なのに……想えば想うほど諦めきれなくて……
透子
「ユニコール……」
気配を感じてふと振り返ると、そこには心配げに顔を近づけるユニコールが。
普段と違って瞳は紅くて、見ていると心の奥からグラグラとした感情が湧き上がるのを感じます。
鏡介は私の物……鏡介を誑かしたレインを許してはいけない。何としても取り返す。
衝動に駆られるようデッキを握りしめて、私は部屋を駆け出した。全ては泥棒猫を処す為に。
ユニコールは憤怒した。必ずや透子を悲しませるあの男を滅さなければならぬと決意した。
ユニコールは完璧には人の言葉は分からぬ。ユニコールは不思議な力があれど所詮馬である。
されど自分を良くしてくれる
しかし、何故
ユニコールは己の力を行使し、透子の想いを大いに膨らませた。透子がデッキを握り駆け出す姿を見て、ユニコールは誇らしげに身体を震わせ彼女の後を追う。
〜 図書室 〜
鏡介
「これで完成だろマシンガジェ。これで月1テストは貰ったもんだな」
眼前に広がるは機械族のカード。ガジェット達で継続的に戦線を維持して、(奈落の落とし穴)や(ミラーフォース)といった汎用罠で相手を迎撃。ダブったガジェットを糧に(マシンナーズ・フォートレス)や(ギアギガント·クロス)を出す。なんなら(血の代償)で一気に決めにかかる。この2007年環境では相当強力なデッキだろう。唯一残念な点は機械族ランク4で有用なのは(ギアギガント·クロス)ぐらいな点だろうか。
レイン
「ありがとう。思ってたよりかなりスムーズにデッキが組めた」
鏡介
「良いってことよ。別に断る理由も無いしな。それにしても仕上がり過ぎて俺でも勝てるかあやしいかもな。特に(王宮の弾圧)貼られたら詰むぞ」
まぁ、思いついたのは俺なんだが。
レイン
「そういえば、貴方はデッキは出来てるの?コチラのデッキ作りの手伝いをしてもらったから、お返しをしたい」
鏡介
「俺のはもうバッチリよ。他のデッキと全く違う動きするから月1デュエルで楽しみにしてくれよ」
レイン
「そう。なら期待しておくわ。また明日」
そう言ってレインはデッキを纏めて部屋から出ていった。
……我慢の限界だ。面と向かわなくてもいいから透子と話がしたい。
そう思った俺は小さい携帯みたいなアイテムを起動する。入学したときからあるけど名前分かんねぇんだわ。
鏡介
「……?メッセージが入ってる。しかも俺の……透子宛だな」
こんなの書いた覚え無いんだが……えぇと“透子へ。19:00に古井戸の近くで待つ”……か。こんなのいつの間に、誰が入れたんだ?
まぁいいか。その時間帯に森行ってみるか。嫌な予感がするしな。
〜 森 〜
太陽が地平線の向こうに隠れ始め、多くの生き物が眠りの支度をし始める森の中、一人の男が立っていた。
並程度の身長。短く整えられた黒髪。人相悪く見られがちな三白眼気味の眼。名を鏡介と言い、アカデミアではその実力から魔王の右腕と呼ばれる実力者である。
しばらくすると茂みが揺れて一人の少女が姿を現した。
名を透子と言い、その実力で以て多くのアカデミア生徒を蹂躙し尽くした傑物で“アカデミアの魔王”と呼ばれる事も多い。
透子
「鏡介……待ちましたか?」
鏡介
「いや、大して待ってないぞ。むしろ早かったな」
透子は少し不安そうに言葉を零すも、鏡介はあっけからんとそれを否定した。
透子
「鏡介……どうしてこんな森の中に私を呼んだんですか?何となくは察してますけど」
鏡介
「俺の想いを……透子に伝えたくて……」
透子
「それなら、私の想いを先に伝えさせてください」
鏡介が重々しく口を開こうとするが、透子がそれを割って入った。
透子
「鏡介……貴方が好きです。貴方しか好きになれないんです。レインさんじゃなくて……私を見て欲しいんです」
一瞬驚いた表情をする鏡介だったが、すぐに笑ってその答えを口にした。
鏡介
「あぁ、俺で良ければ喜んで」
透子
「フフ……フフフ……アッハハハ」
透子が放ったのは、想いが通じた喜びの声ではなく、嗤い声。まるで酷く滑稽な物を見たかのように高らかに笑う。
透子
「なぁんて。《本人》に言えたらどれだけ良かったのでしょうね」
鏡介
「な、何を言って……」
困惑する鏡介に対して、透子は有無を言わさずに赤枠のカードを高らかに翳す。
透子
「(サンダー·ブレイク)!」
赤枠のカードから赤い雷が迸る。咄嗟に回避行動を取る鏡介だったが反応が遅れて頬の一端を稲妻が掠めた。
すると鏡介の身体に電子的なノイズが走り、レインの姿へと変化した。
レイン
「な、何故分かった」
鏡介と透子。この二人の怪物を抹殺するためにレインが思いついた作戦は同士討ちだった。鏡介と透子の仲を裂き、片方を洗脳してもう片方にけしかけ、疲弊したタイミングで全力で抹殺しにかかる。
その戦略が崩れつつある中、レインは困惑と焦りが交じる様子で透子に尋ねた。
透子
「私は鏡介と3年間、身体を共有して過ごしてきたんです。違いなんてすぐ分ります。好きならば尚更……ね」
透子の雰囲気がガラリと変わる。まるで絶対零度の世界に放り込まれたかの様な冷酷な視線にレインは一歩後ずさる。
透子
「さぁ、デュエルです。私の鏡介を誑かした罪はその身体で償ってもらいます。五体満足でこの森から出られると思わないで下さいね」
レイン
「ッ……勝敗を」
透子·レイン
「デュエル!」
鏡介がオリカになったのだから、透子もオリカにしようという考えで作ったカードです。ミカエルが作った魔法罠達はお楽しみに。