暗黒と光道   作:必殺雷撃人

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お久しぶりです。現在ストック作成してるところなので、しばらく時間がかかると思います。後2〜4ぐらいで完結ですかねぇ……


IF11.決死の交渉と2人の共同作業

 

〜〜〜

 

鏡介

 「ッ……ここは……」

 

 目を覚ますと、俺は薄暗い空間の中にいた。視界のすぐ目の前には透明なガラス、その奥には人が1人入れるサイズのカプセルと思われる物が大量に置かれていた。

 

鏡介

 「俺は……カプセルの中にいるのか。誰がこんな……ぐぉ!?」

 

 そんなことを考えていると、突如カプセルが開き、中から弾き出された。

 

Z-ONE

 「お目覚めの様ですね。古神鏡介」

 

 目の前にいるのは、さっきまで戦っていたZ-ONEとピエロみたいな仮面を被った男。どうやら俺は囚われの身らしいな。

 

鏡介

 「……透子は無事か。返答次第では刺し違えてでもお前らを潰すぞ」

 

Z-ONE

 「えぇ、彼女は無事ですよ。彼が……パラドックスが運んでくれましたよ。尤も、無事返せるかどうかは貴方次第です。パラドックス。ありがとうございます。後は私がこの場を解決します」

 

 俺の殺気に満ちた視線に臆さずに、Z-ONEは男に一瞥し再び俺に身体を合わせる。パラドックスとか言われた男は何も言わずに消えていった。

 

鏡介

 「そもそもあんたらは何が目的だ。俺に何を求めるつもりなんだ」

 

Z-ONE

 「我々の目的は我々の未来の滅亡を回避する事。その為にシンクロ召喚を歴史ごと抹消するのです」

 

 ????話が繋がらねぇぞ?どういうことだ?

 

鏡介

 「話が繋がらねぇな。そもそもシンクロ召喚と世界の破滅がどう繋がるんだ?」

 

Z-ONE

 「これは失礼。では、事の顛末を話させていただきます」

 

 Z-ONEの話をまとめると、まず【モーメント】というとんでもないエネルギー機関があって、シンクロ召喚をすることでそれがパワーアップするらしい。

 人類はさらなる発展を求めて、欲望のままにシンクロしまくった結果。モーメントが逆回転を起こして未曾有の大災害が発生。人類が滅亡したのだそうだ。

 

鏡介

 「なぁ……1つ質問いいか?」

 

Z-ONE

 「なんでモーメントが存在しないこの時代に来たか……ということですか?」

 

鏡介

 「それもあるけどさ……過去に飛べるならモーメントを開発した場面に飛んでそれを抹殺すればいいんじゃねぇの?それが手っ取り早いじゃんか」

 

 俺の質問に、Z-ONEは首を振ってそれを否定した。

 

Z-ONE

 「確かにその通りではあるのですが……時間はかかりますがいつか再びモーメントの開発が開始されます。それよりももっと前、シンクロ召喚という概念そのものを抹消すれば、世界の滅亡は回避される筈です。そもそも……」

 

 そういえば俺……確かジェネックスでペガサス会長にシンクロとエクシーズの概念伝えたよな……あれ戦犯俺?

 

Z-ONE

 「本来ならばこの時代にシンクロ召喚がある筈がないのです。このアカデミアでシンクロ召喚は先攻実装され、少数のアカデミア生がレベル5·6を主流とし、7のシンクロを限界とする状況にも関わらず貴方方はレベル8以上。ひいては擬似的にとはいえデルタアクセルシンクロを可能とする。貴方方に何かしらの原因があると考えるのが自然です」

 

 不味い。完全に原因俺だわ。どうやって切り抜ける?

 

鏡介

 「もし俺に原因があったらどうする?単に抹殺するなら俺がくたばってる間にパラドックスとかいう男にやらせれば済む話だろ?」

 

Z-ONE

 「ええ、確かに運び込まれた時、なんとかダメージから復帰した私はそのまま抹殺の指示を出すことも考えましたが、こうも考えのです。貴方方が主に操る力……エクシーズ召喚でしたか。それを手にし……シンクロ召喚の代わりとすれば未来は変わるのではないかと」

 

 なるほどなるほど。交渉の余地が生まれてきたぞ。

 

鏡介

 「つまりエクシーズモンスターをZ-ONE達に提供する。これが俺達を開放する条件ってわけだ……少し取引をしよう」

 

Z-ONE

 「取引……ですと?」

 

 ここで情報を切るか……リターンを増やすためだから割り切るか。

 

鏡介

 「実は俺……アンタたちとは違う未来から、魂とカードと共にこの時代に飛ばされてきたんだ。持ってるカードのパワーは相当高い。それを(みだ)りに振り回せばパワーバランスが余裕でブッ壊れるぐらいにな。アンタもそれを身をもって知っている筈だ」

 

Z-ONE

 「全く違う未来……何が言いたいのです」

 

鏡介

 「取引のレートを上げてくれって事だ。俺にはエクシーズどころか機皇帝を強化するカードすらある。LP4000なんて軽く消し飛ばす機械族テーマも知ってる。俺はそれらと簡単な回し方を教え、ありったけの強いエクシーズ体をやるから、アンタらはダークネスとの決戦での協力と、それ以降の俺等への不干渉を約束してほしい」

 

Z-ONE

 「不干渉……まずはそのカードを見せていただけますか?」

 

鏡介

 「まぁそうだわな。ちょっと待ってろ今出すからな」

 

 俺は目の前で即座にスマホを起動し、ひとまず機皇帝に関するカードを購入してみせた。BPの残量は問題ない。最近使ってないからな。

 

Z-ONE

 「その端末から……カードを生み出しているのですね。もしかして(コズミック·ブレイザー)や(sinスターダストドラゴン)も……」

 

鏡介

 「ああ、結構安かったぜ?120とかそこらだったかな?(sinスタダ)は確か200ぐらいだったと思うぜ?あっこれが機皇帝サポートな」

 

 桁違いの安さに驚いているだろうZ-ONEにカードを渡して、今度は列車とかマシンナーズを用意する。

 

Z-ONE

 「これは……かなり優秀なカード。これは私達の使命を果たすのに大いに貢献するに違いありませんね……ライディングデュエルには使えないのがあまりにも惜しい」

 

鏡介

 「ライディング……デュエル?」

 

 ライディングデュエル。それは遊戯王5D,sに登場するバイクに乗ってデュエルするスタイル。もしかしてコイツ等5D,sの世界からやってきたのか?

 

Z-ONE

 「ええ。私達が居た世界で主流だったもので、バイクに乗ってデュエルするのです。更に普通の魔法カードが発動出来ず、スピードスペルという専用の魔法カードを使うのです」

 

 となると(機皇創出)とかが使えないのか……となるとマシンナーズも渡した方が良いな。マシン機皇なんてタイプあるらしいし。

 

 とりあえずマシンナーズ系のカードを生成して渡す。流石に(カーネル)はパワー高すぎるから止めたけど。(ルインフォース)は……別にいいか。後はエクシーズか。思いつくだけ、ありったけのエクシーズ体を生成して手渡す。

 そしてマシンナーズと列車の回し方をざっくりと教える。マシンナーズはまだしも列車は超簡単だからすぐに戦えるだろう。

 

鏡介

 「後はコピーして量産型アンドロイドみたいのに握らせればかなりの戦力になると思うぜ?あるんだろ?そういうの」

 

Z-ONE

 「確かにありますが……それらはライディングデュエル専用でプログラムを調整するのに時間がかかります。更に貴方達とのデュエルでレインとアポリアが修復中なので、果たして間に合うかどうか……」

 

 バイク専用アンドロイドなのか……これでも俺機械系出身だが流石に人型ロボットをどうこうできる程の知識も技量も無いな。

 

鏡介

 「まぁ間に合わなくても、約束である不干渉さえ守ってくれればいいさ。そういえば透子は何処にいるんだ?」

 

Z-ONE

 「ああ、彼女はこちらの世界には居なくてですね。今頃アカデミアの保健室で安静にしている事でしょう」

 

 つまりは俺だけ飛ばされて、透子はZ-ONEの手元にあったわけじゃないのか。

 

 ……カード渡したは良いものの、奴らの目的は世界の破滅回避。要はシンクロを流行らせなけりゃいいんじゃないか?今渡したカードでずっとカードパワーをインフレさせられる訳ないし、Z-ONE側でカードを新規で作れるなら安泰だよな。

 

鏡介

 「そういえばZ-ONE。アンタ等ってカードを新規で創る能力とかあるか?渡したカードを元にカード作れるならカードパワーのインフレを継続的に進められて良いと思うんだけど」

 

Z-ONE

 「それなら問題ありません。私達の支配下にカードを製作する企業があります。レインに任務の片手間にエクシーズモンスターを何枚か集めてもらい、それをサンプルとして実際にカードの作製に成功しています」

 

 見せられたのは……機皇のエクシーズか?汎用ランク4で効果は……素材を2つ持った自身を対象に発動し、自身を破壊して自分フィールドのモンスターとフィールドのカードを1枚ずつ選んで破壊する……アド損が少し気になるが、汎用のランク4でカードの種類問わずに対象耐性貫通出来るのは優秀。自分のモンスターを破壊してコンボも狙えるからわりと良いカードじゃないか?

 打点がかなり心もとないけどすぐ切腹するから関係ないか

 

鏡介

 「結構いい効果してるじゃん。こんなカードがガンガン出れば多くのデュエリストはシンクロからエクシーズに流れるだろうよ」

 

Z-ONE

 「あなた程のデュエリストにそう言ってもらえるなら作った人達も安心することでしょう。それでは、ダークネスとの戦いで会いましょう……まぁ、会うのはデュエルロイドであるゴーストかもしれませんけどね」

 

 Z-ONEがそんな事を言うと瞼が……重く……

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「ここは……俺の部屋か」

 

 目覚めたのは俺の自室。とりあえず透子を探しに行くか。

 

 そんなこんなで保健室へ向かったのだが……

 

鏡介

 「え……透子はもう居ない?」

 

鮎川先生

 「ええ。ついさっき目を覚まして身体の状態も問題なかったけど……目に光が灯ってない感じが……ちょっと!?」

 

 保健室の先生の言葉を聞いて、身体は弾かれる様に飛び出していた。何処に行ったかなんて分からないし知らない。でも、野放しにしてるととんでもない事になる気がした。

 そこまで遠くは行ってない筈。ならば学園内をしらみつぶしに探す!学園外は(ベージ)にやらせばいい!

 

鏡介

 「(ベージ)3人衆!学園外で透子を探せ!あまり遠くには行ってない筈だ!」

 

ベージs

 『了解!』

 

 指示を出した俺は、透子を探す為に脚力を魔力で強化、風を切るようにアカデミア内を走り回った。

 

 

〜 アカデミア屋上 〜

 

 途中で思いついた方法である魔力強化した跳躍で探索した結果、屋上に透子がいる事が分かった俺は、魔力ジャンプで屋根を伝い謎にドーム状になっている屋根上にいる透子の元にたどり着いた。

 

 日が傾く黄昏時に透子は身体を丸めて座り込み、何やらブツブツと呟いていた。

 

鏡介

 「透子!心配し……」

 

透子

 「来ないで!」

 

 一歩近づこうとした瞬間に放たれる拒絶の言葉。突然の発言に身体が固まる。

 

透子

 「私は……私自身が許せないんです。私は……レインさんと付き合った鏡介を見て……悲しくて悔しくて……鏡介に近づいてほしくないなんて身勝手な理由で……レインさんを殺して……感情のままに鏡介も傷つけたんです。それなのに……それなのに私は鏡介に会いたいなんて……そんな身勝手な私が許せないんです」

 

 掠れた様な声で言葉を綴る透子。返す言葉が出てこない

 

透子

 「私には……もう鏡介に会う資格なんて無いんです……だからもう……放っておいて下さい」

 

鏡介

 「透子……俺はお前に会いに来たんだ。他でも無い俺の意思で。お前に、俺に会う資格が無くても俺にはある。そもそもどうしてこんなとこに居るんだ?」

 

透子

 「いっその事ここで身を投げようと……でも怖くて出来なかった……ならばここで凍えてしまいたいって……ハハ、早く消えてし……!」

 

 気付いたら俺は透子を抱きしめていた。それに遅れて心から怒りが込み上げてくる。

 

鏡介

 「それ以上言うな……それ以上言ったら……俺は許さない」

 

透子

 「やめて……ください……同情で抱き締められても嬉しくなんかないですよ。鏡介だって……私なんかよりレインさんを抱いた方がうれしいでしょう?」

 

 透子の口から漏れる悲哀に満ちた言葉。その意味を認識するより俺は早く言葉を組んでいた

 

鏡介

 「そんな事無い!俺はもう透子以外を考えられねぇんだよ!」

 

透子

 「それじゃあ……それじゃあなんでレインと付き合ったんですか!鏡介があの時OKしなければ……少なくともこんな事にはならなかったのに!」

 

鏡介

 「そもそも付き合ってねぇよ。確かにデッキ調整手伝えって言われたけどさぁ……」

 

透子

 「レインさんと一緒にデッキ調整したんですね……知ってますか鏡介。異性が一緒になってデッキ調整するのはデートの更に向こう側にある行為なんですよ?これで付き合ってないは……通用しませんよ」

 

 ちょ……それ初耳なんだけど……デッキ構築って友人とワイワイ議論しながら組むのも楽しいものだぞ?それ無くなるのはちょっと……

 

鏡介

 「そもそも……透子は俺をどう思っていたんだ?あのデュエルの時みたいに誰かに操られていない……今その胸に抱える想いを……聞かせてくれないか」

 

透子

 「好き……本当に好きなんです。今も鏡介と一緒にいられるだけで……幸せな気持ちになれるんです。」

 

 ハハハ……なんだよ……悩む必要なんてなかったじゃねぇか。

 

鏡介

 「正直柄でもなんでもねぇけれど、俺もお前のことが好きだ。友としても、だがそれ以上に異性として。あのデュエルでは伝える訳にはいかなかったけど、今ならお前の為に喜んで伝えよう。俺はお前に恋してる。俺の想い……受け取ってくれるか?」

 

 刹那の沈黙。そしてそれはすぐに抱きつかれる感触と堰が切られた様な泣き声が破っていった。

 

透子

 「はい……はい!もう離さない……これからはずっと……ずっと一緒ですから!」

 

鏡介

 「ようやく想いを伝えられて……俺も身体が軽くなったみたいだ……お前と一緒ならどんな脅威も怖く無い。さぁ、こんなとこ居ないで部屋に戻ろう」

 

 一旦抱擁を辞めて、手を差し出すと、透子は指を絡めて手を取った。

 

 階段を降りてアカデミア棟内に入った瞬間。ふと我に返りこんな考えが湧いてきた。

 

 俺は今手を繋いでるよな……これ誰かに見られたら不順異性交遊でしょっぴかれるのでは?

 

 そう考えると全身から血が引くような感触に襲われ、冷や汗が吹き出してきた。

 

透子

 「どうしました?鏡介。顔色が悪いですよ?」

 

 今ここで手を離したら絶対に透子が病むよな……どうする。どうすればいい?

 

鏡介

 「なぁ……今ここで誰かに見られたら……不順異性交遊でしょっぴかれるんじゃないか?……だ、だから一旦手を……」

 

透子

 「見せつければいいじゃないですか」

 

 突然飛び出すぶっ飛んだ回答。思わず度肝を抜かれる。

 

鏡介

 「い、いやバレたら退学だぞ!?怖くないのか?」

 

透子

 「そもそも手を繋ぐだけで退学なんてなるわけないじゃないですか。そういうのはその……お世継ぎを作るみたいなことをしなければ退学なんてなりません。仮にそうなっても、その前に制裁デュエルが挟まりますよね。私達ならどんな相手でも怖くありません。違いますか?」

 

鏡介

 「そ、そうか……俺達は何もかもレインに騙されてたってことか。そういえば透子って次の月1デュエルのデッキって決まったのか?」

 

 軽い落胆を感じながら透子に話を降ると、透子は困った様子で眉を曲げた。

 

透子

 「実はまだなんですよね……鏡介がまだ私と1つだったときに使った種族が多すぎて……正直何を使えば……」

 

鏡介

 「それは悪かったな。どうするかなぁ……」

 

 暫し考えていると、突如俺の脳裏に電流走る。 

 

鏡介

 「なぁ……透子。突然だけど罠モンスターってデッキの中だと罠カードだよな」

 

透子

 「そうですね。何を当たり前の事を……なるほど、そういうことですね?」

 

 どうやら透子は察してくれたらしい。

 

鏡介

 「まぁそういうことだ。俺もダイノルフィアじゃない別のデッキ組みたくなったから、明日一緒にデッキを組もうぜ?」

 

透子

 「フフッ分かりました。それではまた明日。楽しみにしていますね?」

 

 いつの間にか女子寮前に辿り着き、俺は透子と別れて明日のデッキ構築に備えるべく、すっかり暗くなってしまった道中を走った。

 

 

 

〜 自室 〜

 

 前日に軽く掃除してキレイした自室で、俺はカードを広げて透子と議論しながらデッキ構築に励んていた。と言っても俺が持ち込んだカードを何枚入れるかとかそんなことしか聞かないけど。まぁそれはいいとして……

 

鏡介

 「透子……近くないか?」

 

 近い。透子との距離が物理的に近い。透子の息遣いが聞こえるぐらいに近い。

 

透子

 「嫌でしたか?」

 

鏡介

 「いや、別に良いけどさ……」

 

 ぶっちゃけ良くない。透子が放つ芳香に着々と理性が削られている。耐えろ俺の理性。ここで獣になったらまじで退学だぞ。

 

鏡介

 「よし、大分形になってきたんじゃないか?後は俺のデッキだな。さ。一応透子にもカード見せるな?」

 

 俺はそう言ってデッキのカードとテーマのカードを広げる。

 

透子

 「攻撃力が低いですね……それに罠が多い……罠ビートですか?」

 

鏡介

 「おう、とある事情で出力が85%ぐらいしかでねぇけどそれでも強いからな」

 

 最終的に環境の最前線で戦い、メインエンジンに制限食らった事もある罠テーマ。その名は【オルターガイスト】。後攻0ターンにモンスターを呼び出し妨害を構えられる時があるコントロール系のデッキだ。

 

鏡介

 「まぁ、誰かのレシピをパクっただけだからここからブラッシュアップしてこうか」

 

 とりあえず増Gうらら、墓穴、抹殺は取り除いてある。透子に回し方を説明し、改善案を聞いてみる。

 

透子

 「とりあえず魔法使い族サポートを増やす方針で行きましょう。(魔法使い族の里)はどうでしょう?(サイクロン)とかに強くなります」

 

鏡介

 「ま、無難なとこだな。今のところは魔法使い族サポートからアプローチかけてくか」

 

 こうして方針が固まり議論が始まった。

 

透子

 「(メリュシーク)を墓地へ送る為に(ワンダー·ワンド)を入れましょう。ダイレクトで合計1000ダメージ与えるオマケもつきますよ」

 

鏡介

 「う〜ん速攻性が無いんだよなあ……(ミラフォ)とかの攻撃力反応系食らったらアド損だし(ルドラの魔導書)の方が良いなぁ……」

 

透子

 「そんなカードあるんですね……でも打点不足は無視出来ませんよ。対象耐性を持ったモンスターが出てきたら詰んでしまいます」

 

鏡介

「そこなんだよなぁ……(メリュシーク)落としつつ打点になる魔法使いねぇかなぁ……」

 

 十数分程議論して行き詰まる難題。【打点不足】。壊獣入れれば解決なんだけど“一種族を軸にしろ”だからな……入れたら壊獣だして(シルキタス)で回収するというシステムモンスターとして扱われそうで入れられん。

 

透子

 「魔法使いで高打点といえば(サイレントマジシャンLv8)ですけど……レベルモンスターを出すギミックを入れる枠なんて……」

 

 サイマジ……そうかサイマジか!

 

鏡介

 「ナイスだ透子!確かにレベルモンスターのサイマジは使えないが、サイマジのリメイクなら使える!」

 

 即座にスマホを起動して即購入。これで打点問題は解決だな。

 

透子

 「便利ですねその機械。欲しいと思ったカードを即座に召喚出来るんですから……でも(サイレントマジシャン)ってかなりのレアカードですよね?その資金はどこから出てるんですか?」

 

鏡介

 「いや。大分安いぞ。1枚200円前後ぐらいだ。むしろここのカードの相場がイカれてんだよな。レッドアイズ1枚で数十万とか未だに納得できねぇよ」

 

  ただただ愕然とする透子。よし、これで完成だな。

 

鏡介

 「よし出来た!これで今回の月1はもらった様なもんだぜ!」

 

 カードをまとめてデッキケースに仕舞うと、透子が申し訳なさそうに口を開く

 

透子

 「あの……鏡介。完成したところで申し訳無いんですけど……これ妨害能力高すぎて鮫島校長の制限に引っかかりません?」

 

鏡介

 「……あ。……ッス〜忘れてたわ。今までの努力返せ……」

 

 そうじゃん鮫島の制約忘れてたわ……相手の一挙手一投足封殺出来るレベルのデッキで月1デュエルを受けてはいけない。これじゃあ振り出しじゃねぇか……

 

透子

 「あの……もし良ければなんですけどこのデッキで月1デュエルに挑んで良いですか?」

 

鏡介

 「おう、良いよ。その代わりまた俺のデッキ構築手伝ってくれ。罠モンデッキは性に合わん」

 

 まぁ罠モンデッキは第一次異世界騒動の時に使った奴の焼き直しだったからダメージは無い。でもなんの種族でやるか……

 

鏡介

 「……考えても仕方ないか。透子。俺が今までの月1デュエルで使った種族以外の種族を5つ適当に言ってくれ。その中から阿弥陀くじで決める」

 

透子

 「わ、分かりました……それじゃあ……【岩石族】、【炎族】、【昆虫族】、【水族】、【植物族】……これでどうでしょう?」

 

 とりあえず言われた種族を紙に書いて、透子に線を引かせて1つ選ぶ。結果は……

 

鏡介

 「【植物族】……か。中々強い種族引いたな」

 

 植物族といったらとにかく横の繋がりが強い種族だ。次はテーマを何にするかだが……

 

透子

 「植物って……何かテーマありましたっけ?」

 

鏡介

 「この時代には無いな。とりあえず3つには絞れた。LPを回復しながらメタビみたいな動きをする【アロマ】か、デッキを捲って大型の植物並べる【森羅】、リリースをトリガーにして、豊富な初動から安定した動きをする【六花】……このうちのどれかだな……」

 

透子

 「やっぱり鏡介は大型モンスターで場を蹂躙してるのが似合ってると思うので【森羅】が良いんじゃないでしょうか?」

 

 俺そんな評価なのか……別に脳筋じゃないんだがな……まぁいいか。

 

 スマホを起動し、一先ず森羅のカードを1枚ずつ透子に見せていく。俺は森羅は名前と大雑把な特徴しか知らないからまずはカード見て特性を把握しよう。

 

 異常に距離が近い透子に理性を削られながら、共に吟味をしつつデッキを作り始める。

 

 

〜 2時間後 〜

 

鏡介

 「な、なんとか完成したな……後はデュエルしてブラッシュアップしなきゃだな……」

 

透子

 「でももうすぐ門限ですね……また明日、デュエルしましょう」

 

 ふと時計を見ると確かにそろそろ門限だ……暗くなり始めるし、透子を送り迎えしなきゃ。

 

 透子を女子寮へ送って、1日を終えた。そして翌日テーブルデュエルすることになったが……

 

透子

 「(シルキタス)の効果発動!(マルチフェイカー)を手札に戻して(森羅の神樹レギア)をバウンス!」

 

 効果を使う前に除去られ……

 

鏡介

 「よし……なんとか(森羅の鎮神オレイア)出したぞ……効果発ど……」

 

透子

 「永続トラップ(オルターガイスト·プロトコル)発動!同時に効果発動して、オルターガイストモンスター(オルターガイスト·メリュシーク)をリリースしてそのモンスター効果を無効にして破壊します!」

 

 効果を無効にされ使えず……

 

透子

 「(オルターガイスト·マテリアリゼーション)発動にチェーンして(オルターガイスト·シルキタス)の効果発動!コストで(マテリアリゼーション)を手札に戻して鏡介のセットモンスターを手札に戻し、(マテリアリゼーション)で墓地の(メリュシーク)を特殊召喚!そして(メリュシーク)をリリース!(沈黙の魔術師サイレントマジシャン)!(メリュシーク)の効果で(オルターガイスト·マリオネッター)を手札に!攻撃力4500の(サイレントマジシャン)でダイレクトアタック!」

 

 絶望的なリソース差をつけられて惨敗した。

 

鏡介

 「いや……分かってはいたけどこれは酷ぇや。」

 

 かれこれ10戦ぐらいやってるが勝ち星を上げられず。オルターガイストの強さは分かってるつもりだったが、ここまで歯が立たないと流石に心にくるものがある。

 

透子

 「ちょっと休憩しましょうか……少し疲れました」

 

 確かにな……しかしやることねぇな。暇だし候補だった六花のカードでも見てるか。

 

透子

 「何見てるんですか?……ムッ」

 

 身を寄せてくる透子。目を合わせると画面を見て頬を膨らませてた。かわいい。

 

透子

 「これが六花ですか……随分と可愛らしいモンスターですね」

 

鏡介

 「まぁな。イラストのおかげもあってかなりの人気テーマだ。ちなみに俺は六花の中なら……(エリカ)が好きかな。透子は誰が好みだ?」

 

 なんか透子の目が冷たくなった気が……気の所為だよな?

 

透子

 「私は……この(ティアドロップ)って子が良いですね。この綺麗だけど……どこか儚い雰囲気が……」

 

 ティアドロップ良いよなぁ……効果も植物素材に使えばフリチェのリリースかますし。

 

透子

 「鏡介……六花が綺麗なカードなのは分かりますけど……見すぎじゃないですか?私だけじゃ不満ですか?」

 

 透子……さては嫉妬してるんだな?

 

鏡介

 「大丈夫だって。そもそも俺の1番は透子ただ1人だ。言っただろ?“六花の中では”ってさ。」

 

透子

 「もう……調子が良いんですから……ッ!鏡介、そのカード見せて下さい」

 

 透子が指さしたのは、(六花精スノードロップ)のカード。これまた儚げな雰囲気を纏うカードだから好みなんだろうな……

 

透子

 「このカード……森羅に使えるかもしれません。少なくともダブった手札の上級植物を8エクシーズ……(ティアドロップ)に変える事が出来ますよ」

 

 あっ確かに。六花も植物だから植物サポート受けられるな。そもそも六花自体が植物サポートみたいなもんだしな。

 

 こうして六花と森羅を混合させる話になり、透子が自室のストレージ箱から持ってきた(魔導雑貨商人)と(デーモンの宣告)を有効活用すべく魔法を可能な限り削った60枚デッキが爆誕することになった。




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