IS-後悔から始まる憑依譚-[真]   作:ジョーキッド

1 / 4
1. 終わり、後悔

‐結局のところ、俺は甘えていただけだったんだ‐

 

 平凡な両親のもとに生まれ、平凡な兄弟姉妹がいて、平凡な日常を過ごし、特筆すべき特徴もない、平凡で、凡愚で、愚鈍で、鈍重で、なにより普通な俺は、普通に思春期にいたり、何事もなく幼少期を過ごし、なんとなく思春期に至り、流されるままにドロップアウトした。夢なんて希望はなく、目標や将来の展望などといった高尚なものなどあるはずもない。過去に思いを馳せ、未来を怖がって、現在にすがりつき刹那的に送る日々…俺は、普通に事故にあった。

 

 

 なんてことはない、ツレと一緒にツーリングをしている際の、年間50万やら60万ほど起きているうちの1件に数えられる程度の普通な交通事故。

 

 普通ではなかったのはそのあと、植物状態であると診断された俺が意識を持っていたこと。正確に言うと本来あるはずの肉体にではなく、自分を俯瞰しているかのような視点でふわふわとしているだけ。

 

 そんな状態で目にしたのは家族-母と父、姉が2人に弟1人-が、俺の体が寝かされているベッドの傍にいる光景だった。

 

 何故か音は、声は聞こえなかった。が、母が俺の体に縋り付いて泣いていること、父が静かに涙していたこと、2人の姉が抱き合って嗚咽していること、流石に幼く、現状を理解できているとは思えない弟が、それでも家族の雰囲気から母の裾を掴みながら泣きそうになっていることが分かった。それだけは理解した。

 

 思えばいつだって、家族の温かさや思いやりは傍にあった。それを全て無碍に扱っていたのは自分で、今さらながらに後悔した。後悔しかできなかった。もっと早ければ、もっと自分がしっかりしていたら…それは、たら・ればの話、ifの話でしかなく、家族の声も聞こえない、自分の声も届かない、泣きたくなった俺は、けれども、ふわふわと浮いた状態から体を動かすことも、涙を流すことすらもできなかった。

 

 それから恐らく3,4ヶ月ほどの間、その期間を相変わらず、ふわふわとした状態で過ごした。毎日、昼間にきては俺の頭をなでる母とそれにひっついている弟、2,3日おきに1時間ほどベッドの傍で過ごす姉達、週に2回ほどやってきては、やはり頭をなでていく父。何も感じることのできない身なれど、それは温かく、嬉しい気持ちにさせると同時に、それを凌ぐほどの圧倒的な後悔があり、誰かの涙を見るたびに、泣きたくなって、でも泣けなくて…

 

 そんなふうに、18年間続いた馬鹿な自分の結果(結末)を延々とみせられ、家族の温かさを知り、けれど何も返すことができなくなったことに泣きたくても、泣けない日々にも終わりがきた。

 

 唐突にふわふわとしている状態になってから初めて眠気が襲ってきた。時刻は深夜、日付も変わり日曜日。この状態になってから家族が揃って見舞いにくる日。そんなときに襲ってきた眠気になんとなく理解する。終わりだ、と。

 

 後悔だらけだ。未練たらたらだ。いつか意識が体に戻り、この温かい家族とともに歩め始めることができるんじゃないかと、やり直せるのではないかと思ったこともあるが、そんなことはないらしい。

 

 後悔があり、未練もある。しかし、この温かい家族に生まれてきたことが何よりも嬉しかった。そう思えるようになっていた。

 

 だからか、最後に思ったのは、思うことができたのは謝罪の言葉でなく、感謝の言葉であった。

 

 

 

 

 

‐ありがとう‐

 

 

 

 

 




えっと、どうもジョーキッドです。ご無沙汰してます。

約1年エタってたモノを恥ずかしながらボチボチと晒していこうと思います(´・Д・)」


よろしければお付き合い下さいm(_ _)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。