IS-後悔から始まる憑依譚-[真]   作:ジョーキッド

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3. 小学生其の2

ー2年1組ー

 

進級した。クラスは変わらず2年1組だが、結構ガラッとクラスのメンツが変わってた。およそ半々といったところ。箒とは一緒のクラスになれた。なんだかんだ言って一番つるんでる時間も長いし、委員長の仕事の手伝いとかもしてくれてる。

 

去年1年を通して委員長は続けた。最初は手探りだったし、途中で箒のいじめとかもあったけど、3学期にもなると良く出来ていたと思う。それでか繰り上がりで一緒のクラスになった奴らの推薦で委員長に任命された。立場上、皆とコミュニケーションも取りやすいし担任の先生からの熱い視線もあったので快く了承した。

 

そろそろ、一緒にお風呂はやめたほうがいーよなー、

 

ー規格外ー

 

今更だけど、我が姉こと織斑 千冬はちょっとおかしい。ちょっとを凄くにしても構わない。

 

小柄とはいえ、10キロ強はある俺を背負って山中を小走りで息を切らさず登ったり(山道てばなく山中である)、空を飛ぶ蝿を投擲した鉛筆で串刺しにしたり、俺をからかうためによく分からない速度で背後に回ったりするし、逆に俺がからかうと威力がおかしいデコピン食らわしてくるし、etc.etc

 

そして今日、新たなる伝説が刻まれたのだ。

 

1年。365日かかさず竹刀を降り続け、週2のペースで、道場で箒と一緒に柳韻さんの指導を受け、たまに千冬姉さんが参加。そんな感じで剣道を習ってきた。

 

そんな記念すべき?1年目の今日。

 

柳韻さんおよび、千冬姉さんから篠ノ之流の技を見せて貰った。

 

奥義・篠ノ之流抜刀術『篠突く雨』

 

相手の攻撃に合わせて抜刀、逸らした後、刀を鞘に収め、一歩踏み込みガラ空きとなった胴に再び神速の一太刀を浴びせる2連撃の抜刀術。

 

しかし、柳韻さんの実演はソレを超えていた。刀の抜き手は見えず僅かに閃く軌跡、澄み切った音を頼りに判断すること4つ。

 

これでも歴代最高の才って言われてたんだよ、とは柳韻さん。けれど、千冬君は僕を遥かに超える、そう続けられた。

 

そして、柳韻さんと場所を交代して佇む千冬姉さん。

 

元々、神社であることもあって静謐な空気が流れていたのだが、あの空気をなんと表現すればいいのか、今の俺の語彙力では無理である。それでも何とかしようとすれば、静寂の音が聞こえてきそう。と、こうなる。

 

時間が引き延ばされ感覚がおかしくなる。1秒が10秒に、10秒が1分に、1分が……

 

瞬間、抜刀。……したらしい。一歩を踏み込んだのはわかった。けれど他の動作がまるで見えなかった。音も立てず光すらも閃かない神速の抜刀。

 

柳韻さん曰く九連撃、らしい。かろうじて見ることしか出来ないけどね、と柳韻さんの苦笑いがやけに目に焼き付いている。

 

いや見切れてるだけでも凄いですよ、それ以上にどんだけ規格外なんだよ千冬姉さん……

 

この技はその性質上、相手が武器を持っていることに加え相手から攻撃してくることが前提らしく、実戦ではあまり使えない技なのだとか。

 

にも関わらず篠ノ之流の奥義として受け継がれているのか、それは神速を生み出す各関節やそれぞれの筋肉の動かし方、その速度で振るう刀を精確に鞘に収めることを可能とする技能。相手の攻撃を予見しうる観察眼、それらを併せ持つことで扱える奥義であることから、篠ノ之流の体得の目安として受け継がれているらしい。

 

最終的にこんな超人技の会得が卒業の条件とか……千冬姉さんは中学生の時点でできたってことだよな?ッパねぇ……

 

奥義を披露した後の俗に言うドヤ顔であった千冬姉さんは可愛かった。これがギャップ萌えというやつか……

 

ーインフィニット・ストラトスー

 

男には乗れないらしいというのが分かってからというもの、積極的には調べてこなかったが、連日のようにニュースで報道されていると自然と分かってくることもある。

 

ISに関する取り決めを行う国際的な機関、IS国際委員会の設立。

 

IS運営協定(アラスカ条約)の草案、及び日本国内にISに関する専門的な学校を建設すること。

 

幾つかの先進国に分配されたISコアであるが、未だにそのメカニズムを把握、解析できた国はないということ。

 

時折送られてくるデータの全てが日本語であり解析に遅れが生じていること。

 

3年後を目処にISを何らかの形で世界に披露できるような催しを行うことなどなど。

 

 

正直、最先端の技術の塊であろうISの運用にしては異常なほどのスピードで行われていると思う。それほど、白騎士事件のインパクトおよび、世界に与えた影響は計り知れないということなのか。

 

どうせ聞いてもよく分からないだろうことに加え、もしも聞いたことでテンションを上げてしまうと2時間強は拘束されてしまうことを考えるとISに関しての質問はしてこなかったが、何故男は乗れないのか?ぐらいは聞いてみようかな……

 

ここ最近の千冬姉さんの疲労の色が濃ゆい。何か出来ることはないか……

 

 

ー篠ノ之 束ー

 

 

日曜日。本来なら道場に行って稽古に励む日だったのだが、柳韻さんが神主としての仕事で不在であること、最近の自主練がオーバーワーク気味であることを理由に丸一日休みになってしまった。

 

買い物も、掃除・洗濯も午前の内に終わらせぐでーっと千冬姉さんとソファに座りながら、なんとはなしにテレビに視線を向けつつ時折交わす会話。

 

俺の学校での話だったや、剣道の話だったり、千冬姉さんの束姉さんに対する愚痴だったり、恐らく同僚の人の愚痴だったりとを続けて行く。

 

夕方。台所に立つ俺と千冬姉さん。踏み台の上に立っている小学2年生(8歳)と中卒社会人(17歳)。傍から見たらお姉さんを手伝う弟に見えるのかも知れないが、実際は逆。料理長(シェフ)が俺で、千冬姉さんは(サポート)である。

 

以前とは違い、ハンバーグのパテを捏ねるだけの簡単な作業をお任せしてみた。2回の失敗のもと、3回目にして漸く綺麗なパテが完成。2人してハイタッチして喜んだ。

 

千冬姉さんの疲労をどうにかするために柳韻さんに相談したところ、箒に肩を揉んでもらうのが凄い癒しになるよ。とのことから、千冬姉さんにマッサージを施すことに。初めてでぎこちないものであった筈なのだけど、途中で寝てしまうくらいには気持ちよかったのか、単に疲れが出ただけなのか。精進の必要があるな。

 

 

 

 

 

 

 

夜、就寝。したんだけど、束姉さんに起こされた気がする。結構寝ぼけてたので、夢かも知れないが。

 

なんとなく覚えてるというか、気にかかるというか……

 

「いっくんは凄いね。気づいてるかな?束さんには出来なかったんだよ?」

 

「束さんといる時にあんな笑顔のちーちゃんは見たことがないよ。あんなに気の抜けたちーちゃんも今日、初めて知った」

 

「ちーちゃんは優しいからね、束さんダメなことをやると怒ってくれるんだ。で、最後には力を貸してくれるの」

 

「私はダメだねぇ。ちーちゃんを笑顔には出来なかったよ」

 

「世界を変える力はあるけど、こんな風になるとは思ってなかったや」

 

「でもね、もう少しだけ、もしかしたら変われるかもしれないんだ。だから、もう少しだけ……」

 

「…………」

 

「ふふっ、ありがとねいっくん」

 

朝起きてコレを書いてるのだが、いつもとのギャップが酷過ぎて現実感がない。もっと色々話したと思うのだが、自分が何を言ったのかも定かではない。

 

けれど、束姉さんは泣いてた気がする。それが酷く頭にこびりついて離れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

NG

 

奥義の修行。道場の地下室へと誘われた。深く続くソノ終着点に存在していたのは球であった。

 

「『篠突く雨』の修得にあたって、必要な刀のコントロールの修行だよ」

 

「一本の巨木を斬り、限りなく真球にまで近づける」

 

「そして、これがち千冬君が斬り作りあげた物だ」

 

僅かなデコボコすらないッッ!!ヤスリがけを行ったかのような滑らかな表面ッッッッ!!!!そこには精密な機械で削り出されたような真球があった。

 

 

 

NG 2

 

千冬姉さんのコリをほぐす。ホグス。解す。

 

たまらない。こんな快感があったなんて……

 

凝り固まった筋肉を、酷使した脚を、剣ダコのある努力の積み重ねが具現化したような手を揉み、指圧し、解す。

 

コレはいぃーものだ……思わすため息が出てしまう。

 

あぁ、答えを得た……

 

 

整体のスペシャリスト!様々な原因によるあらゆるコリを見逃さず、揉み解すッ!!

 

整体師・一夏!!

 

始まりません。

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