フゥー・・・。
すいませんでしたーーーーーーーー!
「・・・皆既日食の日はいつか分かるか?」
ズイッと、顔を近づけられ真剣な眼差しで問われる。
「へ?あ、え?」
あまりに唐突な事に困惑を隠せないジェニー。しかし、この男にとってはそんなものは関係がない。
「・・・いつだ?」
(ちちちちちちちち、近い近い近い!)
「・・・おい」
(お、おおおと、おおちおおおお!!おとおももととととちいゅ)
「・・・ジェニー・リアライト」
「は、はいっ!」
混乱を極めんとする彼女を、魔力を乗せた掛け声で正気に引き戻す。
「・・・状況によっては時間がない。迅速かつ正確な情報を頼む。・・・もう一度聞く、皆既日食が起きるのはいつだ?」
ジェニーは頭の中で整理する。
街の人達やマスターは、地震が起き始めてからなんて言っていた?
以前に一度だけ見た時は、地震が起きてからどのくらいで皆既日食は起こった?
既に地震が起きて初めてから一週間は経っている。
考えろ⁉︎思い出せ‼︎マスターやみんなが言っていた。
{この揺れからしたらそろそろね}
{マスター}
{あら、なあに?}
{今度の日食はいつかなぁ}
{うふふ、そうねぇ〜この揺れ方なら}
そうだ、マスターはあの時
「1週間と1日。既に1週間は終わってる。だから・・・」
今日が皆既日食のある日・・・そう・・・続けようとした時だった。
「・・・コレは!」
「な、何⁉︎・・・なんなのこの巨大な魔法陣!」
今までで、一番大きな揺れと共に一帯に超極大な魔法陣が形成されていく。
「・・・!」
咄嗟に上を見上げるミストガン
視線の先には重なりつつある太陽と月
「・・・始まったか⁉︎」
「なに!何が起こるってのよ‼︎」
パニックに陥るジェニー。
ミストガンはその事に気を回す余裕もなく、食い入るように形成されていく魔法陣に集中していた。
少しでも、魔法陣から情報を得る為に。
そして…
「重なった!」
「・・・クソッ!」
完全に太陽と月の軌道が重なり、日中にも関わらず闇が世界を支配した。二人のいるギレーシア太陽時計遺跡を除いて。
魔法陣が発する光で周囲のみが目視出来る。
「・・・六芒星、黄道十二門?なぜここで精霊魔法の事が?」
「な、何よあれ!?ミストガン!上を見て!」
段々と発する光が強くなっていく中、微かな焦りと共に魔法陣を読み解いていたミストガン。ジェニーの声に反応し上を見るとそこには
「・・・なっ!バカな!」
「ど、どうするの⁉︎このままじゃ、私達!」
死。その一文字だけが頭の中を埋め尽くしていく。
なぜ、月が落ちてきているかなど、どうでもいい。
今すべきことは、助かる事。ただそれのみ。
「・・・クソッ‼︎ジェニー!君はここから離脱しろ!」
「何言ってんのよ!アンタもでしょう!」
「・・・口論をしている場合ではない!早くしろ!このままでは
「はぁぁ!?意味わかんないんですけど⁉︎いいから逃げっ・・・」
言葉を言い終える前に、迫る月と魔法陣から放たれる光が視界を白い世界に変えた。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
「クソッ!」
光が収まり、白い世界から皆既日食による暗い世界に戻る。
するとどうだろうか?地表に迫っていた月は消え、魔法陣すらも消えていた。まるで初めから何もなかったかのように。
・・・・・・そして二人の姿も
ー隣国ー
「あら?」
とある城とも思えるような大きな屋敷。
自室で読書に勤しんでいた女性は本から顔を上げ、ふと虚空を見つめる。
「・・・消えた?違うわね。コレは・・・移動、転移の類かしら?フフッ、何やら面白い事に巻き込まれているのかしら?フフフッ」
本を閉じ、部屋からテラスへと移動する。
「まったく。・・・一度くらい顔を見せに来てもバチは当たらないと思うのだけれど・・・元気にやっているのならそれでいいわ。」
思い浮かぶ者の顔。成長し、今は己が知る姿よりも逞しくなっている事だろうと思いを馳せる。
「頑張りなさい、ミストガン。」
ー ??? ー
「キャアアアアア・・・・・・あぁ・・・・・・アレ?」
光が収まり、視界が戻って来る。
ジェニーは少しずつであるが、視界が戻り辺りの状況を把握する為にまずは自身の状態から確認を始める。
「痛みはない。・・・魔力の乱れもないわね。それにしても・・・なに・・・何処なのここ?」
視界に広がるのは、石造りの壁。かなり年代が経っていて、苔が広がっている。
そして極め付けは
「・・・なんて濃密度の魔力なの。針林の魔力溜まりの比じゃないわよこんなの。」
辺りを支配する魔力に、少し背筋を寒くしながらこの状況で一番大事な事を確認する。
「・・・ハッ!ミストガン⁉︎ミストガンいるの!?」
「・・・ジェニー」
「ミストガン!良かった無事だっ・・・たの・・・・・・え?」
「・・・良かった・・・・・・なら今すぐ逃げろ」
探し人であるミストガンの声が後ろからかかり無事で良かったと思ったのもつかの間、振り返った瞬間固まった。
その姿は、まるでシスターかのような格好に血が通っていない青白い顔。瞳を閉じて背中からは細長い光が無数に伸びてそれはまるで羽のよう。それよりもジェニーが固まってしまった要因は、その謎の者から感じられる魔力。それがこの部屋に充満する魔力、それがその者から発せられている事だった。発していると言うよりも垂れ流しになっていると言ったろうが正しいだろう。垂れ流しているにも関わらず、一向に減る気配がない。それどころか圧が増している。
そしてミストガンは自身と謎のものとの間に立っていた。ミストガンに目立った外傷は見受けられない。その事に、一つ息を吐き安心出来た。だが、ミストガンの周りには何かの残骸が散らばっている。見ればミストガンが所持していた杖が五本から二本に減っていた。散らばる残骸が杖であったという事は言わずもがな。
「な、なんなのよ・・・本当に何なのよ!次から次へと!」
その時、細長い光が数本ジェニーを襲う。
「・・・させん」
ミストガンは杖の先端に魔力を集中させる。それは可視化できる程に密度を高め、刃を模した形状へと瞬時に変わる。ここまでで、0.1秒を切るのは単にミストガンの魔力の操作が並はずれている事が窺えた。
「・・・フッ」
形成した魔力の刃でジェニーに迫る攻撃を退け隣に降り立ち追撃に備える。しかし、迎撃した光を引っ込めると静止した為、少し息をつく間が出来たことは、行幸だった。
「・・・フゥー無事か?」
「無事だけど、そうじゃなくてアレは一体何なの⁉︎そもそもここは何処⁉︎私達さっきまで居たギレーシア太陽時計遺跡と違うわよね!何処なの⁉︎」
「違いませんよ」
「え?」
突如、何処からともなく女性的な声が聞こえる。
「ここは貴女が言うギレーシア太陽時計遺跡で間違いありませんよ」
そして今ハッキリと分かった。この声の主は目の前の謎のモノから発せられているのだと。
「アンタ・・・何なの?」
「私は我が主神よりこの研究所の管理を仰せつかった者」
「ここは何処!」
「ここは貴方達がギレーシア太陽時計遺跡と呼ぶ場所。」
「なぜ私達はここにいるの!」
「貴方達はゲートを潜りここへ来た。」
淡々と返される答え
ゲート?管理?訳も分からず、冷静になりきれていないジェニーは思考がまとまらず、ただ苛立ちが募るばかり。
「・・・なるほどな」
「ミストガン?」
一歩前に出て今度はミストガンが謎のものに問いかける。
「・・・次は俺が聞かせてもらう。」
「・・・」
「・・・お前は、先程ここが
「いかにも」
「・・・だが、お前はその前に自身の主神にこの
薄く笑うミストガン。だが、一転して強く睨み付ける。
「・・・もう一つ確認したいのだがいいか?」
「・・・」
「・・・お前はお前の言う・・・その主神とやらの名は?」
「恐れ多くも、私を作りたもうた我が神の名を問いますか人の子よ。ですが良いでしょう。私を作りたもうた大いなる神の名をその身に刻みなさい。」
ハッキリと答えた。
ゼレフ、この名はフィオーレの魔導士ならば誰もが耳にした事のある人物の名。
歴史的偉人?
否。
されど歴史的と言う部分では肯定できよう。
それは歴史上最悪のと言う意味での。
ゼレフ、黒魔導士ゼレフそれが歴史に語られる名である。
彼の生み出した魔法で幾万もの人が死に、戦争、災禍が起きた。
それが目の前のモノを生み出した神。
「ゼレフ、それが私を作りたもうた偉大なる神。そして私が神より授かりし名を名乗りましょう。私は
そしてデウス・エクス・マキナから、垂れ流していた魔力など比にならないほどの魔力が噴き出す。まるで決壊したダムから水が噴き出す様に。魔力の放流
「運悪く巻き込まれたか、はたまた
ちなみにデウス・エクス・マキナの姿は遊戯王のエルシャドール・ネフィリムを想像していただけると分かりやすいかと。