迷える魂は安眠を求める   作:ハリボー

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どうもお久しぶりハリボーッス!

イヤー結構頻度間ちゃいましたね・・・。

楽しみに待っていてくれた人っているのかな。

超不安。


朝の風景

「グヘェー」

 

「・・・朝っぱらから何をだれている?」

 

朝、まだ日も上りきっていない時間帯。

俺とラウムは朝の瞑想を行うために屋敷の庭にいた。

 

「瞑想なんざお前だけで良いじゃんよー。なんで俺までー。」

 

「・・・別に初日みたいに寝てても良かったんだぞ?」

 

「お前さ、分かってて言ってるよね?言ってるよな?な?な?」

 

「・・・何がだ?別に俺は師匠の起し方が恐ろしく、一歩間違えれば部屋の中が真紅に染まる可能性があるから、こんな時間に瞑想をしているわけではないぞ断じて。」

 

「なんなんだよアレ。気持ちよく寝ていたらそのまま永眠しちまう可能性があるとかヨォ。お休みからおはようが、お休みからさようならの可能性が大って・・・はぁ。」

 

確かにそれは同意だ。

 

昔は体が半日痺れるくらいの電撃などだったが帰って来た次の朝、微睡の中でかすかな魔力を感じて咄嗟にベッドから離れれば、寝ていた場所の空間が盛大な爆発。おかげでベッドを直す羽目になってしまった。

 

「生活が命懸けっておっかねぇなぁ。」

 

「・・・もう慣れたがな。」

 

そこで会話は打ち切り、瞑想に集中するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます。ミストガン様、ラウム。」

 

「おっはよ〜‼︎」

 

「おいっ!お前また!」

 

屋敷に戻ってくると待っていてくれたのか、ハイネとジュリエットが出迎えてくれた。別に出迎えはいいと言っているのに。

 

「まだ早朝は肌寒いでしょう。湯の準備できておりますので、朝食までごゆっくりお寛ぎ下さい。」

 

これはありがたい。昼間は寒くも暑くもない心地のいい気温だが、まだこの時期の早朝は慣れているとはいえ少し肌寒い。ハイネの好意に素直に甘えるとしよう。

 

「・・・はい・・・ありがとうございます。」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「?」

 

「おいおいおいお二人さん、なにミストガンの顔をジッと見つめてやがんだ?はは〜ん、さては見惚れてたのか?玉の輿狙いか?この面食い共ギュエッ!」

 

とりあえずラウムのクチバシをつまんで黙らせる。

 

「いや〜まぁ、なんて言うかさ昔とのギャッ・・・ムグッ‼︎」

 

「い、いいいいいいえ!何でもありません!着替えは準備してありますのでどうぞごゆっくりーーーーーーーーー!」

 

「・・・」

 

「〜〜〜〜ッ!」バサバサバサバサッ!

 

あっ、すまん。

 

「ブハァーーー!いきなりクチバシつまんでんじゃねぇよ!」

 

しかし、ハイネとジュリエットは何かおかしくないか?よそよそしいと言うか何と言うか。

 

「まぁ、そのうち慣れんじゃねぇの。で、お前は風呂行くの?」

 

「・・・そうする。お前はどうする?」

 

「俺はいい。羽濡れると重いし飛びにくい。」

 

別に魔法で乾かせばいいと思うのだが

 

「・・・そうか。・・・入ってくる。」

 

「あいよ、後でな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼェゼェ・・・ゴホッゴホッゴホッ!」

 

「だ〜いじょ〜ぶ〜?」

 

「に見えんのかオメェはよ。」

 

「あれ?ラウムはミストガン様とお風呂行かなかったの?」

 

「おう。てか後ろ。」

 

「んい?」

 

ジュリエットが振り向・・・くまもなく頭を鷲掴みにされる。

 

「「・・・あっ」」

 

「ジュ〜リ〜エ〜ット〜‼︎」

 

振り向けぬほど力を込め鷲掴みにされている為、声だけでも分かる激怒しているであろうハイネの顔が幸か不幸か見ることは叶わない。

 

「アババババビビヒヒビィMcpwjG@mpdp'WdgMぶじごは!」

 

いや、身体的ダメージが出ている時点で不幸でしかない。

 

「お〜ま〜え〜は〜‼︎」

 

「ぎゃーーーー!ママママママ待ってハイネ!い、痛い!痛いんだけど!なんか・・・なんかで・・・出る。でちゃいけないもの・・・あっ、違う。なんか開けそう知らない世界が!目の前に大きな扉が!」

 

「おいやべぇよ!このまま扉を開けさしちまったら掲載場所を変えなくちゃいけなくなっちまう!そんなことさせられっか!」

 

「掲載って何だ⁉︎掲載って⁉︎クッ・・・仕方ない。」

 

手が離れ床に崩れ落ちる。が、何故か恍惚とした表情。ついでにビクンッビクンッと痙攣を起こしている。

 

「あーあ、俺しらねぇかんな。」

 

「ハァ・・・で?何のようだラウム。何かしらの用があって私達を追いかけてきたのだろう?」

 

「そんなムスッとした顔すんなよ。別に用ってほどのことでもねぇ。と言うより、お前さんのお悩み相談に来てやったんだ感謝していいぜ?」

 

「は?」

 

悩みなど思い当たる節はないと言わんばかりに眉を寄せるが、ラウムの一言によりその表情は一変した。

 

「昔のミストガンと今のミストガンのギャップに驚いて、どう対応したらいいか悩んでんだろ?」

 

「‼︎」

 

やれやれとでも言いたげに首を振るラウム。まるで、「え?隠してるつもりだった?」とでも言いたげだ。

 

「そんでもって照れ隠しなのかなんなのか知らねぇが」チラッ

 

「・・・」ビクンッビクンッ

 

「こんなにしちまって。」

 

「うぐっ。」

 

ジトーとしたラウムの視線がハイネに突き刺さる。

視線を逸らし何とか耐えては居たが降参は意外にも早かった。

 

「・・・ああ、そうだ。昔の・・・まだ旅に出られる前のミストガン様と今のミストガン様の違いに、何と言うか・・・その違和感?と言うか困惑している。」

 

「んなこっだろうと思ったぜ。で?お前さん的には具体的にどこが変わったのに驚いてんだ?」

 

「まずは・・・そう言葉使いだな。昔は「うるせぇ」「黙れ」「消すぞ」などと言った荒い言葉ばかりだったのに・・・帰ってこられた日「・・・ただいま。・・・お久しぶりですハイネさん。」だぞ。最初は幻聴を疑った。」

 

そう言えばハイネもジュリエットもミストガンが帰って来た時の言葉に、口を大きく開き固まっていたのを思い出しラウムは悟られないように小さく笑う。

 

「その時はアイリーン様もご一緒だったし取り繕っているのかとも思ったが・・・。」

 

「が?」

 

「言葉は丁寧!いただきますからご馳走様、朝昼晩の挨拶。それに・・・それにありがとうございます⁉︎今まで一度だって言われたことはないぞ!昔アレほど口を酸っぱくして言葉は大切だと言っても「知るか」の一点張りだったあの方が・・・うぅ。」

 

「あーそうね。ガキの頃アイツ、メチャクチャクソガキでしたね。てか泣いての?マジで?」

 

「ゔゔるざいぃぃ!」

 

どうやら本気で感動しているのかマジ泣きを始めてしまった。が、そんなこと関係ないとばかりに次を問う。

 

「他にはどんなとこに戸惑ってんだ。」

 

「ゔゔゔ」

 

「はいはい、鼻をおかみなさいな。はいちーんして、ちーん。」

 

「ゔん。ズビビビビッ!」

 

ラウムがいまだに床で倒れている同僚から持って来たハンカチで涙を拭き鼻をかむ。

 

「それで他は・・・体格だな昔は私よりも背が低く、アイリーン様の修行で気絶したミストガン様をよく介抱したものだ。それが今や私よりも大きくなられて・・・うううぅぅぅ。」

 

「それは嬉し泣きなの悲し泣なのどっちなの?」

 

「両方だ〜。ゔぅぅぅぅ!ハイネは・・・ハイネはミストガン様の成長が嬉しい反面・・・お側でみまもれながっだごどが〜〜‼︎」

 

「あーはいはい。そうね〜小さい時からアイツを見て来たもんね。アイリーンが拾って来た時から、看病やアイリーンがいない時とかの世話も焼いてたもんな〜。」

 

 

 

「ねぇちょっと、誰かコーヒーを・・・・・・・・・何事?」

 

 

 

床で未だ痙攣しているジュリエット。顔面をクシャクシャ鼻水などお構いなしに泣くハイネ。それを慰めるラウム。起き抜け一番、ブレックコーヒーを頼みに来たらカオスな場面にそう呟くしかできないアイリーンであった。

 

 

 

 

 

 

 

汗を流し終わったミストガンも合流し、程なく朝食になった。

広い屋敷といえど、普段住んでいるのはアイリーンと住み込みで屋敷の管理も担っているハイネとジュリエットのみ。そこにミストガンとラウムが加わったとしても4人プラス一羽なので食堂はあるにはあるのだが、流石にこの人数では広すぎる為、パーティーや客をもてなす時の専用になっていた。その為、朝食はリビングルームとなっている部屋でをとっていた。

 

 

 

「・・・しかし」

 

「んあ?どした相棒?」

 

「・・・いや、流石に使用人でも雇うべきなのではないかと・・・思ってな。」

 

ハイネとジュリエットは屋敷の管理も担ってはいるが、軍属の為任務などで屋敷を空けるなどザラだ。加えてアイリーンもしょっちゅう屋敷を空ける。

 

「ん〜雇ってもいいのだけど・・・ねぇ〜。」

 

「なんか問題でもあんのかよ?」

 

「そもそもこの屋敷の周囲は修行用トラップだらけだし、住み込みで働くにしても、食料は買いに行く必要があるけれど街まで距離もあるわ。それに、そこらに飾ってある調度品。」

 

「おう、趣味悪いな。」

 

「お昼は怪鳥のソテーね。」

 

「え?ちょっと?」

 

「調度品の中には強力な魔法を封印されたまま発掘された物や、呪いを宿す物もあるから、おいそれと普通の人間を近づけるわけには行かないのよ。まぁ、他にも色々理由はあるけれど・・・。」

 

突如、ミストガンはなりふり構わず座っていた席から飛び退く。直後に起こる爆発。ミストガンが飛び退いていなければよくて両手両足欠損、最悪の場合は死んでいた。

 

「こういう修行が行われているから、それから身を守れる実力もないとね。」

 

「ああ、そりゃ無理だわな。」

 

「ああ、ミストガン。」

 

「・・・?」

 

「貴方が欲しがってた杖の素材、あらかたこの家にはあったけれど天琥珀だけはごめんなさいね、やっぱりなかったわ。」

 

やはりか

 

「・・・いえ、とんでもありません。ある素材をいただけるだけでも感謝します師匠。」

 

「けど天琥珀・・・ね。魔法を記録したラクリマではダメなの?」

 

天琥珀。名の通り琥珀だが、一般の琥珀と異なり色は透明で別名天の雫とも言われている。見つかる場所も様々で海底、標高の高い山、地中はたまたその辺の道端。一定した場所ではない為、どう言った原理で再生できるのか今もなお研究者たちが必死になって解明に動いている代物だ。

 

最近の話だが、天琥珀には魔力を記憶する効果があら事が判明した。

しかし、俺が天琥珀を必要としているのは魔力を記憶する効果ではなくその強度にあった。

 

「・・・確かにラクリマでも問題はありません。しかし、俺が必要としているのは天琥珀の強度です。・・・普通のラクラマでは俺の魔力に数回耐えることができれば御の字。」

 

「・・・戦闘中に壊れました、なんて笑い話にもならないものね。」

 

「・・・ええ。それに俺の魔力伝導に対応出来るだけの速度処理はラクリマでは不可能なので。」

 

なるほどと納得がいった様子で頷いているアイリーン。

だが、今度は別方向から疑問が上がった。

 

「あの〜なんでミストガン様は杖使ってんの?別に使わなくても魔法自体は行使可能だよね?」

 

ふむ。ジュリエットは意外とこういうところ感がいいんだよなぁ。

 

・・・意外と。

 

てか口周りを拭け。ケチャップ付いてるぞ。

 

「・・・確かに行使はできる、行使は・・・な。」

 

「それだと問題あるの?だって今まで使ってた杖で魔力伝導率が追いつかなくなってたんだよね?なら素直に直に行使すればいいじゃん。」

 

コーヒーを一口飲み再度疑問に答える。

 

「・・・魔法を行使することにおいて何かしらの道具を用いる魔法でもっともポピュラーなものはなんだか分かるか?」

 

「え?う〜んと、星霊魔法?」

 

「・・・その通り。星霊魔法を行使する際に(ゲート)を空けるのに必要なのが鍵だ。鍵の役割は星霊界と人間界を繋ぐこと。・・・鍵に魔力を通すことにより、互いの世界を簡単には行き来できないようにしている門を顕現させ星霊をこちらの世界に召喚している。」

 

「うん。・・・うん?」

 

ふむ。これだけではまだ理解できていないか。

 

「・・・鍵もなく星霊を召喚する事は出来ない。」

 

「当たり前じゃん。」

 

「なぜだ?」

 

「ふえっ!なぜって・・・さっきミストガン様が鍵で星霊界と人間界を繋いでるって。」

 

「・・・。」

 

「えっとえっと、鍵に魔力を通して門を顕現・・・アッ!」

 

気づいたか。

 

「・・・そうだ。本来見る事も触れる事も感じることすらできない星霊の門。それを出来るようにするのには鍵が絶対に必要だ。だからこそ星霊魔導士は鍵を大切にし必要としている。」

 

すると今度はハイネ

 

「ではミストガン様が魔法を行使するのにも、何かしらを可能にする為に必要だという事ですか?」

 

「・・・半分その役割もある。」

 

「半分?」

 

「・・・俺の場合は目標いや、核と言った方がいいか。」

 

「目標?核?」

 

レクイエムによって存在を曖昧にする際、現実と幻実の境に立っているような物だ。幻実は虚構世界とも言い換えてもいい。細い凧糸の上に立っているような状態を歩いている。目標がなければどちらが本当の世界か術者である俺ですらわからなくなる。

 

インフィニティを行使する際、幻を現実にしている。普通の幻ならば物理攻撃、魔法による攻撃どちらを受けても消滅する。だが、インフィニティを行使して生み出す幻はその程度で消滅はしない。それを可能にしているのは擬似的な核、人間に例えるなら心臓を有しているから。しかし、それをおいそれと破壊されれば意味はない。ではどうするかと考えた末に導き出した答えが外部に核を作ればいい。

 

「え、ちょっと待ってください。インフィニティの仕組みはなんとなくですが理解はしました。でも外部に核を作ったとしてもそれを破壊されたら結局は同じですよね?確かにどこか別の場所に隠しておくならば魔力が尽きるまで立ち上がってくる脅威ですが、広域魔法などで一帯を消されて仕舞えば終わりなのでは?」

 

「・・・ああ、だからこその杖だ。」

 

「ま、まさか杖を核に!」

 

「・・・正確には杖に嵌め込む予定の天琥珀だ。」

 

ツゥーと一雫汗がハイネの頬をつたう。

 

「・・・核は壊されないようにするには、壊すことの許されない、許さない守り手が持てば良い。だろ?」

 

最後に残った一欠片のパンを食べ、ミストガンは手を合わせた。

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