迷える魂は安眠を求める   作:ハリボー

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秘匿依頼

「・・・」

 

「ハァー・・・確かに“近日都合がつく日に召喚に応じられたし”と記載はしてあるとも」

 

「・・・」

 

「だがな?・・・普通は受け取って2、3日遅くとも1週間以内に来るものだぞ?」

 

「・・・都合がつく日とあったので。」

 

「だからと言って・・・受け取ってから普通2ヶ月後に顔を出すかね?」

 

「・・・申し訳ありません。」

 

「ふぅー。いや、すまない。謝るのはやはりこちらだ。少しばかり君に当たってしまった。年寄りの戯言と聞き流してもらえると助かる。」

 

目元を押さえながらため息を吐くこの老人こそ、ミストガンに召喚を命じた張本人。

 

評議員のオーグであった。

 

「・・・しかし、評議員がこれほど騒がしいのは珍しい。・・・近々、大規模な部署の配置換えでもあるのですか?。」

 

「む?もしや知らんのかお主?。」

 

「こっちが全部知ってる前提で話してんじゃねぇよ爺さん。」

 

「はっはっはっ!こりゃ失敬。」

 

「頼むぜ本当。」

 

「はっはっはっ・・・・・・・・・鳥が喋った!!!!!」

 

「いまさらwww」

 

もはや空気がブチ壊しである。

 

(フェアリーテイルを評議員の中では問題視している代表格の1人がなぜわざわざ?完遂した10年クエストにもしや不備?それともまたギルドの連中が何かやらかした為の後始末?・・・・・・まさか、また10年クエストの依頼?)

 

「あーこの歳でびっくらこいたわ。ああ、さてさて君に来てもらった話をする前にミストガン。」

 

「・・・はい」

 

思わず背筋を伸ばす。

オーグが醸し出す雰囲気がことの重要性を嫌でも理解させてくる。

 

「この話を聞かずに帰っても評議員は構わない。」

 

「「・・・は?」」

 

思わずラウムと被ったしまう。

 

「今回君に依頼したい内容については秘匿性が高くてな。ゆえに、この依頼を受けずとも問題視にはしないし、ここに来るまでの分と帰りの移動費なども勿論こちらが負担しよう。」

 

(なんだその高待遇。気持ち悪いにも程があるぞ。)

 

「・・・少し思考を整理しても?」

 

「構わんとも。わしはその間に茶菓子でまったりしとるわい。」

 

そう言って世話係に茶菓子と紅茶を持って来させ、1人ティーパーティーを始める。

 

「・・・おいおいおい相棒、こんな前置きされたんじゃ選択肢は一つだろ?帰ろうぜ。もうめんどくさい依頼ですって言ったようなもんだぜ。それに、お前まだ自分の事終えてねぇんだからよ。行き帰りの金もくれるってよ。な?ちょっとした息抜きでしたって事でちょろっと観光して帰ろうぜ。な?」

 

「随分と舌の回る鳥じゃの。」

 

「あ?やんのかジジイ?」

 

「・・・」

 

「あ?ホレどうした?どしたどした?ん?どした?」

 

ラウムとオーグが騒ぎメンチを切り合ってはいるがら頭の中で冷静に状況整理に努める。

 

 

「目が3つーーーーー⁉︎」

 

 

「いまさらwwwwwww」

 

 

(この高待遇・・・考えられる可能性で最も高い可能性があるのは2つ。一つ、明るみになれば評議員院の信用に関わる問題。二つ、10年いや100年クエスト級の依頼。それもギルドに発注出来ない程の。)

 

「・・・」

 

「ほーお主、鳥と言うより怪鳥じゃな魔物と言い換えても良い。魔法は使えるのか?」

 

「一応なー。なんで爺さん片目閉じてんの?」

 

馴染んでる

 

「・・・オーグ老師、一つ質問を宜しいでしょうか?」

 

「内容によっては黙秘するぞ?」

 

「・・・この依頼、私以外に受けた者はいるのでしょうか?」

 

「いや、おらん。」

 

(いない。断言した。ならば前者の可能性が高い。正直、後者であればどうしようかとも思ったが・・・。)

 

「分かりました。引き受けましょう。」

 

「そうか。」

 

「「!」」

 

(あー?こりゃ遮音の結界か?)

 

(評議院でも秘匿性の高いというわけか。)

 

「まずは依頼を引き受けてくれた事を評議院を代表して礼を言う。」

 

ミストガンの中で一体どれほどの事態なのかと警戒レベルが上がる。

 

「さて、ミストガン。元評議員のウルティアとジークレインは当然知っていよう。」

 

「・・・元?」

 

「事の発端は3ヶ月ほど前だ。」

 

聞けば聞くほど評議院の信頼を瓦解させる話だ。

ジークレイン。本名ジェラールとウルティアが結託し秘密裏に建築されていた黒魔道士ゼレフ復活の為の楽園の塔なる建造物。正体は魔力貯蓄のラクリマの塔。その塔に蓄積した魔力を使いゼレフ復活を目論んでいた。しかし、問題は建築だけに数十年かかったものをさらにその塔を満たすだけの魔力となると、さらに数十年要する。そこでジェラールは己の思念体=ジークレインを使い評議院に潜入。そして言葉巧みに誘導し、魔法評議員の最終兵器 超絶時空破壊魔法エーテリオンを使わせたのだ。

 

「・・・大失態ですね。」

 

「返す言葉もない。2人の潜入、片方は思念体であったにも関わらず事が起きるまで気がつけなかった。」

 

「へー爺さんもそれなりに魔力あんのに気付かせないとなると・・・相当やるなそのジェラールとか言うやつケケケ。」

 

「・・・で?エーテリオンをまんまと利用されその塔には現在魔力が蓄積されていると?・・・もしや!ゼレフが復活したのか!」

 

「いや、偶々現場に居合わせたフェアリーテイルの魔導士」

 

(は?)

 

「エルザ・スカーレット、グレイ・フルバスター、ナツ・ドラグニル、ルーシィ・ハートフィリア、ネコ」

 

(ハッピーか)

 

「そして現在フリーの元ファントムロード魔導士ジュビア。その者らの活躍により周辺海域への被害はなく。ナツ・ドラグニルによってジェラールは倒され塔は崩壊した。」

 

またアイツらは・・・いや

 

「・・・まて崩壊?では貯蔵された魔力はどうなった⁉︎エーテリオンだぞ?それだけの魔力だ、貯蔵は出来ても安定するまでに時間がかかる。それを待たずして崩壊したとなれば被害は」

 

「お、落ち着きなさい。被害は出ておらんと言っただろう。」

 

「・・・」

 

「確かにあのままであれば半径数キロは確実に甚大な被害が出ていた。しかし、塔崩壊寸前で魔力が引っ張られるように上空に登り文字どうり消えたのだ。信じてはもらえんかもしれんが・・・まるでパッと別のどこかに吸い込まれるように。」

 

(・・・・・・・・・・・・ん?)

 

「・・・パッと?」

 

「パッと」

 

「・・・吸い込まれるように?」

 

「吸い込まれるように」

 

「・・・消えた?」

 

「消えたのだ。」

 

「・・・」

 

 

 

すぅーーーーーー

 

 

 

 

あ   れ   か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺跡から脱出する際に入れ替えた魔力か!

確かに空間を維持する為の魔力は膨大だったし、、一か八かの賭けでは合ったけど・・・普通思わないだろう⁉︎エーテリオンだぞ!エーテリオン!そりゃ上手くいくって!十分だよ、いや多すぎるよ!

 

だが(ノω`)チラッ

 

「どうしたのかね?突然頭を抱えて・・・あ、いや分かる分かるぞ。ワシも納得するまで時間を要した。」

 

「いや、そうじゃねぇと思うけど・・・。」

 

ラウム黙れ。

 

だが結果オーライ。終わりよければすべてよし。

 

ならば

 

「・・・少々、疑問はありますが・・・周囲に被害がないのならば何よりです。今はそれで良しと納得しましょう。」

 

知らぬ存ぜぬで行くまで‼︎

 

(あーコイツなんか知ってやがんなこの顔は。後で聞こー。)

 

「・・・周囲に目立った被害もなくジェラールが率いていた教団も捕縛出来た。失礼ですが事は解決したとみえます。・・・私にいったい何を依頼したいのですか?」

 

「教団は・・・な。」

 

「・・・まさか」

 

「察しの通り主犯格であるジェラール及び評議院に潜入していたウルティア。この両名の逮捕に至っておらん。」

 

「・・・この際ウルティアは逃亡中は置いておきます。オーグ老師、先程貴方はナツによってジェラールは倒されたとおっしゃいましたね?・・・ならばなぜ逮捕に至っていないのですか?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「今回の依頼内容は」

 

「ケケケ」

 

「何者かによって連れ去られたもしくは、協力し逃走したジェラールの居場所の特定または捕縛。」

 

なんとしても評議院のミスで見つけられなかった事を無かった事にしたいようだな。

 

「報酬は1000万J。」

 

暗に必ず見つけろでなければ貴様も逮捕と言いたいわけだ。

 

「そしてこれは前払いだ。」

 

「?」

 

「前払いとしてなんでも良い、君の望む物を用意しよう。」

 

「てーとなんだ爺さん。」

 

「何でも良い。さらに報酬額を用意してもいいし、評議院に保管されている魔導書・・・禁書の閲覧権限でも良い。魔導具・家・魔法研究費用でも・・・何でもだ。」

 

「・・・」

 

何でもか。

 

「期限は?」

 

「指定はない。だが早急に取り掛かってほしい。必要な事があれば言ってくれ、我々は全力で支援する。」

 

フッ

 

「・・・分かりました。ではさっそく取り掛かるとしましょう。」

 

「うむ。」

 

「・・・それで前払いの報酬ですが」

 

「ああ、もちろんこの場で決める必要もないぞ?」

 

「・・・いえ、一つ欲しい物が」

 

「おお!ならばすぐに用意しよう。何かね?」

 

「・・・天琥珀を所望します。それも用意できる中でも超巨大な・・・ね。」

 

 

この時のオーグ老師の顔は一生忘れないだろう。

 

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