旅行行きたい
感想待ってます・・・マジで泣
「…クソがっ!」
「何なんだよあのジジイとメガネ!」
「「!」」
「今のを防ぎっ切った。いや、幻による偽りか。よくあれだけの幻術を一瞬にして出せるものだ。」
「しかし、喋る鳥の方は捕らえました。」
「はたして本当にそうか?」
「何を…!」
それを見て笑う老人と、驚きのあまり目を大きく開くメガネの若者。
「…」
「まるで、暗殺者のごとしだな。」
二人の背後が揺らめいたかと思うと、無数の杭が襲う。
「…チッ」
「なんで今のが反応できんだ。」
「…」
土煙が集まり、ミストガンとラウムが姿を現す。
両者並びたち、互いに警戒を怠らず向かい合う。
しかし、ミストガンには、この状況から一刻も早く逃走を図りたかった。
(…ふざけんなよ。これがスプリガン12かよ。)
二人の前に立つ者たちはスプリガン12筆頭オーガストと、同じくスプリガン12インベル。
なぜこうなった。
「ミストガン。」
「・・・はい師匠。」
朝食後、すぐに書斎に引っ込み書類仕事に精を出すアイリーン。
自分の研究などもあるだろうに。
その書類仕事を止めることなくミストガンを呼びつける。
「はいコレ。」
視線は今サインしている書類に固定されたまま、片手はサインもう片手は少し大きめの封筒。
「・・・何ですコレ?」
「私の部隊における予算決済書類、前年度の活動報告内容書類、魔法研究予算増額嘆願書、その他報告書後は・・・」
「・・・?」
「あー、まぁそんなところかしらね。でね、私は見ての通りこの書類の山から動けないのよ。」
確かに山だ。
アイリーンの机はアンティークな装飾が施された特注の机。
その机と並べれば、同じ高さになるくらいの書類の山が鎮座している。
コレは1日かかりきりでも終わるかどうか怪しい。
いや、無理だろ。
「それでね、その書類提出して来てちょうだい。」
は?
「提出する様に言われてたのが、今日だったのを忘れしまっていたのよ。私らしくないミスだわ。
「・・・いえ、そんな事はありません。・・・綺麗ですよ師匠は。・・・人間誰しも失敗はあるものだと、そう教えてくれたのは貴女です。・・・それは師匠も例外ではないでしょう?と言うか、その見た目で年食ってるとか、本当に年をとっているご老人達が聞いたら「若いのに何を言っている」と怒られますよ?」
(あーそう言えば、この子に教えた事なかったかしらねぇ。)
振り返ってみれば、アイリーンはミストガンに自身の年齢や出自を含めた自身の関する事の一切を教えた事がなかった。ミストガンが聞いてこなかったという事も要因の一つでもあるが、わざわざ話す事でもないので話題にもあげなかったというのが理由。
「そんなに私は、町とかで見かける老人達よりも若く見えるかしら?」
「・・・どう見てもそうでしょう?・・・遠回しに俺の目が悪くなったと言いたいんですね?」
「違うわよ。」
苦笑いをしつつ報告書などが入った封筒をミストガンに預けて
「じゃあ頼んだわよ。貴女が届ける事はインベルにもう知らせてあるから。」
の言葉を最後に、一瞬にして視界は書斎からアルバレス帝国の首都に変わっていた。
「・・・届けに来ただけだったんだがなぁ。」
「そう言うな。我々とて、ただアイリーンの遣いとして来た者ならば書類を受け取った時点で帰しておるとも。だが、あの女の弟子とくればな。緋色の災害が選んだ弟子、その実力を見てみたいと思ってしまうのは仕方がない事だとは思わないかね?」
「・・・」
「インベル。」
「ハァ〜、本来なら彼は大切な書類を届けてくれた客人なのですが?」
「相棒!」
咄嗟にその場を離脱。直後の無数の氷の杭が地面より突き出てくる。
「・・・影法師」
「私⁉︎」
「・・・お返しだ。」
無数の氷の杭が地面より突き出てくる。
「私の魔法をなぜ!」
(インベルの魔法を真似るだけではない。あの魔力はインベルそのもの。そして最初に攻撃を受けた幻も・・・まさか。)
わずかな攻防、しかし魔導王の異名を持つオーガストには十分過ぎるほどの情報。
「よもや【
「・・・なんで」
「伊達に長生きしているわけではないぞ?古今東西ありとあらゆる魔法の知識を集めておる。しかし、危険よな。未だ定まっておらんか。そのままでは近い将来、消えるぞ?」
「・・・どう言う意味だ。」
いきなり消えると言われても何が何だか分からない。
分からないながらも、ミストガンは何故かそうなる未来が想像出来てしまう。
「インフィニティとレクイエム。強力な魔法だ。一つの魔法であるにもかかわらず、それぞれ名を持ち強大な力。さて、そんな魔法を行使し続けてまさか何事も起こらんと、本気で考えておるのか?」
ミストガンの苦虫を噛みちぎった様な表情を見て、オーガストは一つ頷く。
「可能性としては考えてはいた様だな。さよう。当然魔法の副作用はあるとも。それだけではない、お主は魔力量は確かに多い。だが、多い分体への負担も大きい。人の小さき体に大量の魔力、強大な魔法。何が起こるか。」
ラウムもインベルも会話に入ってはこないながらも、各々それぞれの隣へ移動して来た。考えを巡らせているインベルは、オーガストの問いに答える。
「キャパオーバーというわけですか。」
「「!」」
「さよう。故に本来なら既にどちらか一方に染まっていなければおかしい筈だ。」
「おい、ちょっと待ちなよ爺さん。アンタの話が正しいと仮定するぜ?そしたらよ変じゃん。コイツくらいの魔力は確かに珍しいんだろうよ。けどさ、アイリーンにしたって爺さんにしたって魔力は多いだろ?それに、コイツはメチャクチャ多くの魔法を習得してるってわけでもねぇ。それだったらアイリーンの方がどれだけだよってくらいだ。それなら、アンタの話を当てはめればアイリーンだってキャパオーバーになっちまうぜ?」
「もっともな疑問だ。ではそこを説明しよう。ミストガン。」
「・・・!」
「私に魔法を撃ってみなさい。」
いきなり何を?
その言葉が出かかるが、即座に飲み込み
魔法を放つ。
「「!」」
ウ・・・ソだろ?
「・・・なんで」
インフィニティ!
「言ったはずだ。古今東西ありとあらゆる魔法の知識を集めたと。集めるだけの知識収集家に見えるかね?」
「・・・鎖よ!」
どこからともなく無数の鎖がオーガストを襲う。
だがそれら全て幻に変えられる。
「ほう」
「・・・幻にされたなら現実にするまでだ!」
捕らえた!
「お見事」
「オーガスト殿!」
「よい。ハハハッ、許せミストガン。少しおふざけがすぎたな。」
マスクの下の唇を強く噛む。
悔しさを隠しきれない。それもそのはず、オーガストであればさらに幻に変えればよかった。それくらいは出来たはず・・・ミストガンよりもコンマ数秒発動展開が速いオーガストには。
「・・・なぜ」
「む?コレはこの魔法の危険性を教えるために見せただけであって、お主の実力はよく分かった。ゆえにあえて捕まったまでのこと。」
鎖の拘束が解けて腕をさするオーガストに、訝しげに視線を向ける。
インベルも、もう何もしないというジェスチャー。
わずか3分の戦闘は後味の悪い終わりを迎えた。