1月もそろそろ終わりに近づいて来ました!
早いわ!また12月まであっという間なんだろうな。
「・・・元ファントムの・・・ガジル。」
「ジジイめ、またギルドを潰されたくねぇからって引き入れやがったな。とんだ腰抜けになったもんだ。」
「オレが元ファントムだとかは今どうでも良い。3人であの雷野郎を止めんぞ。」
「・・・必要ない。」
「あん!?」
正直言ってもう少し期待していたんだかな。
「・・・ハッキリ言っておく。ナツ、ガジルお前たちは弱い。二人はエルザの応援に行け。」
「俺たちが弱いだと?」
「・・・本当はもう少し成長していると思っていたが・・・見誤った。・・・そしてナツに負けたお前は・・・ナツよりも弱い。・・・一人でやる方が勝率がいい。」
「ああっ!?オレがサラマンダーより弱いだ!?」
「・・・今のままでは必要ない。」
ガジルの言葉もそれ以降無視。
ラクサスとミストガンは互いに距離を詰めていく。
「なんだ・・・あいつらの手助けはいらねぇのか?」
「・・・今のままでは・・・・・・な。」
「「・・・」」
ラクサスの右手に、ミストガンのバイデントに魔力が集まる。
ただ収束していく魔力にナツとガジルは動けずにいた。
事態が動く。・・・この場の誰もが思った。その時・・・,
「「「「!」」」」
4人の意識は、突如現れた途中経過を示す魔法掲示板に集中する。
そこに次々と表示されていたのは、神鳴殿を破壊されたという事。
「なっ!がはっ!」
「・・・俺を前にその硬直は・・・致命的だ。」
鳩尾に魔力を纏った不意をうつ一撃。
構えることすら抜け落ちてしまっていたラクサスに容赦なく放つ。
「がっ!ごっ!ぐぎっ!」
「・・・ふっ!」
バイデントで脇腹を横薙ぎ、蹴りにより脛をうち膝をつかせ拳で反撃の隙すら与えないラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!
「プッ・・・調子に乗るなっ!」
拳を喰らいながらも、お返しとばかりにミストガンの鳩尾に雷の魔力を纏った強烈な一撃が入る。
「!」
「・・・で?」
一瞬、驚きはした。が、同時に即座に後退し遠距離からの雷撃に切り替える。しかし、ラクサスの頭の中は先程の事態に思考が大部分を持っていかれていた。
(なんださっきのは、体をすり抜けた?)
無数の雷撃が意思を持ったかのようにミストガンを襲う。
走りながら体を捻り、時にはバイデントで払い、魔法で相殺させ凌ぐ。
その姿を観察しながらラクサスは思考をさらに加速させる。
「・・・考える暇があるのか?」
「考え事ができる程、差があるって事だ。」
瞬間的に雷化の加速。
「!」
ラクサスの手がミストガンを掴む。
「ライジングボム!」
爆音と雷撃音が響き渡る。
「うおっ!」
「・・・速い。」
バイデントの横薙ぎを紙一重でかわせたが、やはり無傷のミストガンに内心苛立ちが止まらない。
(無傷。考えられるのは今目の前にいるミストガンは偽物。本体は何処かに潜んでいる。それだとライジングボムで消し飛ばねぇのはおかしいな。だとしたらやはりアイツは本体。)
「俺達を!」
「忘れてんじゃねえ!」
「「火竜/鉄竜の鉄拳‼︎」」
二人の拳がラクサスを捉えた。
「邪魔だ!」
意に返さず薙ぎ払う。ガジル避けたが振るわれた腕に近かったナツはモロに喰らってしまう。
ラクサスは距離を取り拳を振り上げた。
「・・・フッ、最初からこうすりゃよかったんだ。全てこの力に委ねれば!ミストガン、テメェがどうやって避けてんのかはしらねぇがこれならどうだ?ついでだ、ナツお前はここで退場だ。」
「・・・!ナツ立て!」
「サラマンダー!」
「グッ・・・クソあ・・・頭がフラフラする。足に力が」
天に轟く雷音が二つ落ちて来る。
地面は隆起し、ステンドグラスは割れて床に散らばり大聖堂の外郭を保っているだけに成り果てた。
「・・・本気でナツを殺す気か?」
「ようやく傷がついたなミストガン。」
「ミ・・・ミストガン⁉︎」
ラクサスの放ったレイジングボルトによって二つのクレーターが出来上がる。
一方にはただクレーターがあるだけだ。しかし、もう一方にはナツとナツを庇って負傷したミストガン。
「サラマンダーが無事で、なんでミストガンが深手を負ってんだ。そもそもどうやってあの一瞬でサラマンダーの所まで?」
「昔ジジイに聞いた事があった。ミストガン、お前の魔法についてな。」
「・・・」
「二つの側面を持つロストマジック、レクイエム。・・・お前がさっきまで無事だったのとナツがまだ生きている理由。詳しい仕組みまでは分からなかったがお前は俺の攻撃を受ける時、自分自身を幻にしてたんだろう?ナツの所まで一瞬で移動出来たのも、そもそも移動したんじゃなくてナツのそばにいたという事を現実にした事で可能にした。」
バレている。全て。
「だが・・・欠点もあるみたいだな?」
「けっ・・・・・・・・・てん?」
「あん?ナツお前なぁ、ミストガンはテメェを助ける為に欠点を晒すハメになったんだぜ?」
「おれ?」
「ミストガン・・・お前、自分以外のやつを幻にするには直接触れなきゃいけないんだろう。それに・・・だ。他者を幻にすると自分は幻に出来ない。まぁ、欠点と言っても、そんなヤツ気にしなきゃ欠点にはなりはしないがな。お前も甘いなミストガン。」
「グッ!」
「ミストガン!」
保険に魔力で体全体を覆ったが、予想以上。膝にきて立てない。100%の動きをするのは無理か。
「・・・ナツ。」
「おい!しっかりしろ!」
「・・・いいかよく聞けナツ。お前とガジルで協力してラクサスと戦え。」
「そんなの元から「・・・最後まで聞け。」ウグッ!」
「・・・今の二人ではラクサスに良くて善戦できるぐらいだ。」
「いや俺が勝つ!」
その自信はどこから?それとガジルと戦えと言ったよな?今言ったよな?
「・・・まぁそれはいい。「よくねぇ!」・・・これを渡しておく。」
「なんだよコレ?」
「・・・使い方は・・・・・・・・・・・・・・・だ。・・・すまないが予備はない。あとは任せた。」
そう言い残し、ミストガンは倒れた。
ピクリとも動かない。
「任せろ。・・・オレが、オレが勝つ!ガジル!」
「ああっ?」
「お前にも勝つ!」
「なんでだよ!まぁいい!まずは・・・」
「クククッ・・・ミストガンも言ってただろ。お前らじゃオレに勝てねぇよナツ。」
「「ブッ飛ばす!」」
「来いガキども!」
二匹の竜と相対する超人。炎の熱が、鉄の冷たさが襲う。だが、雷の轟音が全てを吹き飛ばす。
幾度も幾度もラクサスに滅竜魔法をぶつけるが・・・。
「クッソ!どうなってやがる!コレだけ滅竜魔法を喰らわせてるのにヨォ!竜迎撃用の魔法なんだぞ!」
いくら強いとはいえ、竜迎撃用の魔法を受け続ける。
タフネスという言葉だけでは収まらない。
「そいつは簡単なことさ。ジジイがウルセェからずっと・・・隠してきたんだがなぁ。特別に見せてやろう。」
すると、突如魔力がまた膨れ上がる。歯が変形し筋肉も膨らむ。
ラクサスの突然の変形にあっけに取られる二人。
「雷竜の・・・.。」
「なっ!まさか!」
「お前もドラゴンスレイヤーだったのか!」
「咆哮ーーーーーーーーー!」
眩い雷光の息吹が二頭の竜を飲み込んだ!
「やっぱりお前ら程度じゃこのザマだ。お前らも、エルザにミストガン、フェアリーテイルの連中もマグノリアの住人どもも全て・・・消え去れ!」
ラクサスの魔力が今まで以上に練り上げられる。
そしてそれは、両手に集中していく。
そこからの独特な構え。
ナツとガジルは知っている。
「あ、あれはあの構えは!マスタージョゼが敗れた!」
「フェアリーロウ!」
「レビィ!」
「バカ!何しに来やがった、来るんじゃねえ!」
息を切らしながら駆け込んできたレビィ。
しかし、その瞳には戦うという意思ではなく、悲しみの涙で溢れていた。
「ラクサス、マスターが・・・あんたのお爺さんが・・・・・・危篤なの。」
「じっちゃんが・・・・・・危篤?嘘だろ⁉︎」
「・・・・・・・・・・・・」
「お願い・・・もう戦いはやめて。マスターに・・・・・・・・・会ってあげて。」
「好都合じゃねぇか。これでまたオレがマスターになる可能性が再び浮上したわけだ。」
「ラクサス!」
「テメェどこまで!」
「逆らう奴は許さない!俺がルールだ!俺が一から作り直す!誰もが恐れ慄く!最強のギルドを!」
ラクサス・ドレアー。フェアリーテイル三代目マスター、マカロフ・ドレアーの実の孫。その才、その実力は確かに受け継がれている。
フェアリーテイル三大魔法を扱う事もまた受け継がれし才によるものか、はたまたラクサス個人の努力の賜物か。
「フェアリーロウ・・・発動」
眩い光と膨大な魔力がマグノリアを照らす。
「さ・・・せるかああああああああああああああああ!」
言葉と共に投じられた何かが、フェアリーロウに相対するかのように黒く混沌の渦からキーンッ!という思わず耳を塞ぎたくなるような音を発する。
光が混沌が終わる。
ラクサスは確信していた。
フェアリーロウは間違いなくマグノリア全体にとどいた。
コレで邪魔をするものは誰一人としていなくなった。
・・・・・・・・・はずだった。
「ど・・・どうなった?」
「私達・・・・・・無事・・・だよね?」
「ああクソッ!まだ耳の奥で音がなってる!」
そこにはフェアリーロウにのまれたはずの者達が、何事もなく存在していた。
「な・・・なぜっ。完璧だった。俺のフェアリーロウは完璧だったはずだ!」
「へへっ、どーしたよラクサス。そんな隙だらけでよ!火竜の翼撃!」
「うっ!ぐああああああああ!」
「後ろがお留守だぜ?鉄竜槍!鬼神!」
「があああああああああああ!」
不意の攻撃が完璧に入りなすすべなく地べたを転がる。
攻めの好奇を逃すまいとナツとガジルは追撃を仕掛ける。
「クソクソクソッ!フェアリーロウは完璧だった!完璧だったはずなのに!」
「火竜の煌炎!」
「鉄竜剣!」
「グッ!がぁっ!・・・この、この雑魚どもガァァァァァァァァ!」
「「!」」
「雷竜の咆哮!」
ただ苦し紛れの咆哮をかわす2人。
しかし、2人の立ち位置が悪かった。
「しまった!」
「レビィ!」
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!」
「レビィーーーーーーーーー!」
「術式発動」
雷光がレビィを飲み込むと誰もが思った。
しかし、考えとは裏腹にレビィは無事。
まるで見えない壁に阻まれるかの様に咆哮はレビィに当たる直前で爆ぜた。
「私の術式はルールを細かく設定すればする程・・・・・・グッ、発動までに時間がかかる。はぁはぁ・・・だが簡易的なものではればその限りではない。」
「フリード!」
声に振り返れば、入り口付近の壁に寄りかかりながら辛うじて立っているフリードがいた。
「レビィ、その場から動くな。術式のルールは絶対だ。その中にいれば安全だ。たが、咄嗟だった故に君の周囲にしか展開出来ていない。」
「フリード何のつもりだ。」
「もうやめようラクサス。街の人達もギルドのみんなも無事だ。さっき感じた魔力はフェアリーロウだろう?運が良かった。コレで発動していれば俺達は取り返しのつかない事をするハメになっていた。今ならまだ間に合う。マスターに会ってやれ。」
「うるさい!うるさい!うるさい!ジジイなんざどうでもいい!俺は俺だ!ラクサスだ!」
爆発する魔力。
誰もが言葉を失う。だが、ナツは立つ。
「そんな事みんな知ってる。」
「ああ?」
「自惚れんなよコノヤロウ。じっちゃんの孫だとか、そんなの関係ねぇ。ギルドは・・・仲間でそこに集う者みんなが家族だろうが!」
「ッ!」黙れ黙れ黙れ!この死に損ないが!」
一気にナツの懐へ。
「雷竜の崩拳!」
「ナツッ!」
ダメージが大きすぎる故か立ち上がれない。
「お前らもギルドも街の奴らも、消えてなくなれ!」
「まてラクサス!今そんな魔法をナツに使うつもりか!」
「雷竜方天戟!」
「本気でナツを殺すつもりかラクサス!」
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!」
「クソーーーーーーーーーーーーーーー!」
誰もが思った、ナツ自身でさえも。
ナツが雷竜方天戟によって、ナツの形だけの焼け焦げ様とかしてしまうナツの姿を。
感じとった己の死。何も出来ない悔しさ惨めさ。
ここまで差があるのか。
全てを諦めた。
まて、なぜ後悔をしている?
なぜ後悔できる?
後悔する暇さえないはずだ。・・・なぜ?
「・・・・・・・・・〜ッ⁉︎」
目を開ければ空中に止まったままの雷竜方天戟。
「ケケケケケケッ!コレで
「・・・分かってる、一々言うな。」
「テメェ、下で呑気に寝てたんじゃねぇのかよアァッ?ミストガン。」
ナツの後ろに立ち肩にラウムを乗せたミストガン。
「ミストガン⁉︎」
「ウソ・・・エルザにそっくり。」
「・・・ナツ」
「グッ・・・大丈夫だ。まだやれる。やられっぱなしでおられねぇ!フェアリーテイルを家族を同じ仲間を軽んじるやつを許さねえ!」
「・・・お前はコレだけ痛めつけられようと・・・ラクサスを仲間だと・・・それでも家族だと?」
「フェアリーテイルは誰だろうが皆んな家族だ!」
なぜそんな事を聞く⁉︎ふざけるな!ナツの目が吠える!」
「・・・・・・・・・・・・フッ」
「んだよっ!」
「ケケケッ、そうカッカすんなよナツだっけ?あーあー立つのがやっとじゃん。コリャ魔法でちゃっちゃと治すよりじっくり治したほうがいいな。」
「あぁ?治せんのか!鳥、早く治してくれ。そんでもってラクサスを俺がブッ飛ばす!」
「ああ無理。俺の魔法治すの向いてねぇし。つか、じっくり治したほうがお前の為だ。その方が強くなるぜい。だから・・・今は楽しい楽しい夢でも見てな。」
「なに・・・を」
「・・・どうだ?ナツはまだお前を仲間だと、家族だと言ったぞ。」
「周囲の人間全てを眠らせたか。本当に秘密主義なヤツだ。答えは変わらねぇよ。俺がフェアリーテイルを支配し、一から作り直す!」
「ケケケッ・・・にいちゃんよぉ。その幻想は」
「・・・現実には出来ない。」
「テメェも消えろミストガン!」
両手に大きな雷の玉を作り出す。
「消え失せろ!!!!!!!!!!」
〜♪〜♪〜♪〜♪
「また幻術かくだらねぇ!」
どこからともなく、大人か子供それとも両方か。
歌が聞こえてくる。
ミストガンは周囲に眠り魔法を発動したはずだ。
それにさっきまでの戦闘音で街の住民大聖堂の付近には近づくはずがない。
最初はとても遠くから聞こえていたのに、それはいつの間にかラクサスの耳元にまで迫っていた。
かごのなかのとりは
いついつでやる
よあけのばんに
つるとかめとすべった
うしろのしょうめんだーれ
(視界が封じられた。どっから来やがる。)
かごの中の
いついつで
夜あけのばんに
つるとかめとすべった
うしろのしょうめんだーれ
「・・・」
「・・・」
「・・・」グラッ・・・バタンッ
「・・・槍は幻だ死にはしないが効くだろう?」
幻槍に心臓を一突き。
あっさりと勝負はついた。
「ハンッ・・・かごの中の鳥って嫌味かコノヤロウ?」
「・・・すまない。」
「にしてもエグい。効くなんてもんじゃねぇだろ、個人に使う魔法じゃねえよな。」
「本来は一師団を殲滅出来る魔法だからな。」
これで終わり。
一人の男の暴走は、男の家族達によって阻まれた。
「・・・手間のかかる
そう悪態をつきながら空を見上げる横顔を見たラウムはフッと笑うのだった。